台湾のゲーム開発会社「第四の壁」が送る実写ADV『異世界帰りの僕と失われた恋』が2025年5月1日にリリースされます。
実写映像にVFXを加え、“異世界”という要素と現実社会を織り交ぜたストーリーが紡がれる『異世界帰りの僕と失われた恋』。本作には台湾のみならず日本からもヒロイン役として男性ファンの多いキャストが集結しており、作品を彩ります。
セクシー女優として知られる河北彩伽さん、三浜唯さん、グラビアアイドルとしても活動される上原亜衣さん。さらには台湾、マレーシアで活躍されるJoey短短さん、Kira詹上真さんとあって、“わかっている”豪華なメンツに驚く方もいるのではないでしょうか。
しかし、本作はセクシーなショットも多いものの一般向けのゲーム。有名アニメなどの演出を多く手掛ける腕利きの日本VFX制作チームも関わる意欲作となっています。プレイヤーは“異世界で魔王を倒し日本に帰ってきた最強の魔法使い”となって現代日本で恋愛をするという、ちょっと変火急なストーリーとなっています。後述しますが、この変化球が面白い。
とはいっても「実写ADVってどんな作品なんだ？」と思う方も多いのではないでしょうか……。今回、メーカーより『異世界帰りの僕と失われた恋』の先行プレイの機会をいただきましたので、 “実写という要素をよくわかった演出・シナリオが笑わせてくる”本作の模様をお伝えしていきます！
◆実写をメタ的に活かして「異世界から帰ってきた男」を描く“喜劇なラブコメ”！
ゲームは見知らぬ会社のパーティ会場から話がスタート。なんと主人公が「異世界から帰った場所」がこの会場で、冒頭からヒロイン「青山乃愛」と再会することになるのです。
一人称視点でゲームが進行するを観ていると、少し不思議な気分。映画を見ている感覚とも違う“実写ADV”ならではの演出ですね。。全体的に本作はテンポよい展開が印象に残りますが、ドラマのように長い実写を観させられたとしたなら「ゲーム」と言えなくなるので、そこを想定した塩梅なのでしょう。
ちなみに、プレイヤーが自分を見れないのを逆手にとって「服がボロボロで汚い」とか言われるのがちょっとショック。しかし本作はこういう「実写ADVを遊んでいるゲーマー」の心理を逆手に取ります。後述しますが、これらの“メタ視点を弄る笑い”が上手い。
本作にはミニゲームとして、時折現れるハートを押して好感度を左右するシーンや、魔法を発動するためのミニパズルなどがあります。正直に言ってミニパズルは“魔法を能動的に発動させる要素”程度にしか捉えられなかったのが少し物足りない印象でした。ただ、ミニパズルなどの要素はある程度短縮or無視することも可能だったりします。
ハートを押すのは反射神経の問題になりますが……出るポジションが良い感じ！
しかしなにより面白いのが本作のシナリオ＆演出。正直に言って、本作のストーリーに関しては「わざわざ異世界帰りって設定いる？」と思っていたのですが、プレイした今は絶対に必要と感じます。
なにせ、いい意味でシナリオの悪ノリが過ぎる！
実写で高まった没入感を逆手にとって、「現実で行ってはいけない、ぶっ飛んだ選択肢」をこれでもかと入れてくるのです。
たとえば、ふと歩いているときに「この10年で現実世界は大きく変わったようだ……どうする？」という選択肢。ここでは「異世界に戻ろう」「現実世界で頑張ろう」と選べます。え？異世界に戻るの？と思いきや、これを選ぶと車の前に飛び込んだりと、自……“異世界転生”を試みます。
一回異世界に行ったから完全に躊躇いがなくなっちゃってますね……。しかもやたらとこの主人公、帰りたがる！
現実世界に苦労するパートでは、自分を落とす面接官に意趣返し。「首絞めの魔法」とか「傀儡の魔法」とかえげつない選択肢が出てきます。首絞めの魔法を使ってみたところ、本当に世界を救った側なのか！というビジュアルになりました。
「実写ADVであり、恋愛ストーリーである」という分野での没入感からはっちゃけた選択肢が出てくるので、思わずそのギャップに笑ってしまいます。ゲームオーバー率は高めですが分岐からすぐに目的の選択肢まで戻れるので、むしろ全ての演出を見てみるというコンプリートを目指す形式になっていますね。
男性に人気の女優さん方が勢ぞろいの作品なので、本稿では当然そちらをメインに言及しようと思っていたのですが、このギャグセンスは筆者のツボ。“実写であり、ゲームだからこそ行えるギャグ”というのがかなり練られており、本作の特徴をしっかりと逆手に取ったギャグが展開されます。異世界ものにあらず、“異世界から帰ってきた男”を実写で面白おかしく描写した作品なのです！
もちろん、実写で描かれるヒロインたちも可憐でドキッとします。（当たり前ですが）現実的なリアルなビジュアルに、恋愛ゲームとしてのキャラクター性を混ぜたかのようなヒロインたちに向き合うと、独足の新鮮さを感じますね。徹底した1人称視点というのも強いでしょう。リアルな女性と、フィクションの女性の狭間にいるような登場人物たちが不思議な心地良さを感じさせてくれます。
もちろんちょくちょくセクシーなシーンもありつつ……メタ的な視点を理解しきっているかのような“一般向けの面白さ”も持った作品が『異世界帰りの僕と失われた恋』です。
ミニゲームなど荒削りな部分もありますが、実写ADVとしての物珍しさのみでは無い魅力は確実に感じられました。ゲーマーとして気になった方はチェックしてみてはどうでしょうか！
Game*Sparkでは、『異世界帰りの僕と失われた恋』に出演された河北彩伽さんへのインタビューや、出演声優陣へのインタビューも今後公開予定となっていますのでご期待ください。
実写ADV『異世界帰りの僕と失われた恋』はPC（Steam）向けに2025年5月1日発売予定です。
