Game*Sparkレビュー：『首無し魔獣と双子姫』コンボを繋ぐ爽快さとTDらしい戦略性の高さが魅力的！親切なヒントもあり遊びやすさも◎

Libragamesは、新作タワーディフェンス『首無し魔獣と双子姫』をPC（Steam）向けに2025年6月18日リリース予定です。開催中の「Steam Nextフェス」にあわせて体験版の配信もスタートしています。

本作は、ゲームの世界に閉じ込められた「双子姫」の2人が、脱出のためのゲームクリアを目指す作品。タワーディフェンスとしては、配置した「ぬいぐるみ兵」による強力な必殺技を繋げるコンボシステムが特徴で、個性豊かな「推しぬい」を強化してさまざまなステージへと挑みます。

ゲームは章仕立てで進行し、アスナとムーナの「双子姫」による物語が綴られていきます。なぜ2人はゲームの世界に閉じ込められたのか、ゲームの真の目的は一体どのようなものなのかといったストーリー部分も本作の醍醐味のひとつです。

本稿では『首無し魔獣と双子姫』のレビューをお届け。なお、ゲームプレイおよびスクリーンショット撮影はメーカー提供の先行版で行っています。

ぬいぐるみ兵を配置して守り抜け！

本作の基本的なルールは、Waveごとに登場する敵モンスターを撃退して画面端まで到達させないことです。モンスターが端まで辿り着くとライフが減っていき、0になったらそのステージは負けになってしまいます。ボスモンスターを処理しきれなかった場合は、どれだけライフが残っていても負けになってしまいます。もちろん高速化機能もあります。

プレイヤーは、敵を倒すために各ステージで決められた場所に、ぬいぐるみ兵を配置していきます。兵士は攻撃力が高いもの、射程が長いもの、全体攻撃ができるものなど、さまざまな種類が用意されています。ぬいぐるみ兵は、物語を進めていくことで2次クラスを含む多くのユニットがアンロックされていきます。

兵士たちが敵を倒すことで獲得したコインで、新たに兵士を配置したり、兵士をレベルアップできます。ステージごとに配置できる場所は決まっているほか、1次クラスが2体まで、2次クラスが1体までと同兵種を呼び出せる数も決まっているので、なるべくバランスの良い配置を考えましょう。

モンスターの中には飛行（一部ユニットしか攻撃できない）、メタル（1ダメージしか与えられない）、デーモン（規定の攻撃力以上はノーダメージ）などの属性持ちも。ステージ開始時にWaveで登場する敵の属性は表示されているので、構成を考えながら対応しやすい配置を考えるのがポイントです。

ユニットのレベルアップはかなり効果が大きく、基礎攻撃力だけでなくそれぞれの必殺技の威力も大幅アップします。本作ではユニットの必殺技による「コンボ」が攻略の鍵となるので、しっかりと配置や強化を考えていく必要があります。

必殺技を繋げてコンボを目指せ

『首無し魔獣と双子姫』の最大の特徴は「コンボ」の存在です。各ユニットはマナが溜まっている際に選択することで、それぞれの必殺技を発動可能で、一定時間内に外のユニットの必殺技を出せばコンボとしてヒット数が増えていきます。

コンボを繋げることで技の威力がアップしていくので、HPの高い敵やボスキャラクターへの対処には必須のテクニックです。また、コンボ数に応じたボーナスコインを獲得できるので、マナに余裕があるときにはコンボで少しでも稼ぐことで、ユニット全体の強化にも繋がっていきます。

ユニットの必殺技の中には、敵をスタンする、減速する、被ダメージをアップするといった特殊な効果を持つものもあります。組み合わせによっては大きなシナジーを発揮させるものもあるので、配置したユニットで“どの必殺技を順番に使っていくか”を考えることが重要です。それぞれの攻撃範囲もあるので、出すタイミングも考えましょう。

注意するべきはマナの管理で、1次クラスと2次クラスで必殺技に必要なマナの消費量が異なります。マナはユニットが攻撃することで溜まっていくので、なるべく早く多くのユニットを配置することで稼ぎやすくなります。とはいえ、ユニットのレベルを上げないと対処できない敵もいるのでバランスも大切です。

やり応えありの戦略性！

本作はどこかファンシーな世界観の一方で、ユニットの配置によっては初期のWaveで負けてしまうことも珍しくありません。しっかりと構成や配置の順番を考える必要がある、戦略性とやり応えのあるゲーム性も大きな魅力です。ゲーム内では章ごとに扱えるユニットが変化するなど、ストーリー上での制約もあります。

また、ゲームを進めていくとユニット性能を強化できる「スキルスクロール」が入手できます。強化項目は通常攻撃や必殺技の威力アップやクールダウン低下、攻撃範囲アップのほか、それぞれのユニットの特性をアップさせるものなどがあり、スクロールは自由に付け替えが可能です。

各章では初期資金やマナ上限アップなどの強化もあるほか、3つのパッシブ効果から1つを選択できる「青い宝箱」もあります。宝箱の中身は特定ユニットを大幅に強化したり、コンボやマナを強化するものなど非常に強力です。プレイスタイルや「推しぬい」に合わせて選択してもいいかもしれません。

各ステージは出てくるモンスターやペースが決まっています。例えば飛行モンスターが多いステージなら弓兵のスキルを優先して強化するなど、状況に応じた対応も必要です。本作はHPの減少でクリア時の評価が落ちることがないので、ある程度割り切ったプレイをするのもひとつの戦略ですね。

双子姫のストーリーにも注目

本作は章仕立てで、戦闘の合間にアスナとムーナの「双子姫」の物語が展開していきます。彼女たちはゲームの世界に閉じ込められる前に、とある事件を巡って喧嘩している状態からスタートしています。これがストーリーだけでなく、ゲーム内のシステムにも大きく関わってくるのも印象的です。

双子姫はもちろん、彼女たちを取り巻くキャラクターや、戦闘中のぬいぐるみ兵たちの動きもなんともキュートです。敵モンスターも見た目の可愛さだけでなく、一見でその特性がわかるものが多いのもゲームとして嬉しい部分です。あと、ボスの名前がそのまま特徴になっているのもユニークですね。

可愛い雰囲気で、結構やり応えがあるタワーディフェンスも楽しめる本作。このジャンルが苦手な人向けにも親切なヒント機能が用意されているので、ジャンルの入門としても向いていると思います。強化や宝箱、スキルのおかげで戦略の幅もそれなりに広く“答え合わせ”にならないゲーム性も楽しめます。

『首無し魔獣と双子姫』は、ユニットの配置や強化といったオーソドックスなタワーディフェンスを楽しめるだけでなく、独自の必殺技を繋げる「コンボ」の存在が特徴的です。コンボを駆使することで倒せるボスがいたり、上手く繋げることでユニット強化がしやすくなったりと、特徴的なシステムをゲーム性に戦略としてしっかりと組み込んでいます。

ゲームを進めることで使用できるユニットが増えたり、各種システムの上限がアップしていきます。ユニットの組み合わせによる思わぬシナジーもあるので、遊べば遊ぶほどゲームの世界にのめりこめるような作りになっている印象です。アスナとムーナの「双子姫」の関係の変化、そこから派生するシステムの変化なども印象的ですね。

なかなかやり応えのあるステージを攻略するには、しっかりと配置や強化の順番、そしてスキルアップなどをしっかり考えなければなりません。スキル強化もすぐに変えられたり、リプレイが簡単だったり、ヒント機能が親切だったりと、遊びやすさにもこだわっているので、タワーディフェンスジャンルの入門にも向いているかもしれませんね！