【敵は二億四千万】飯島多紀哉氏の名作『BURAI』のここがスゴイ!RPG原体験が本作のゲームライターが語るその魅力【挑むは八匹の狼たち!!】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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【敵は二億四千万】飯島多紀哉氏の名作『BURAI』のここがスゴイ!RPG原体験が本作のゲームライターが語るその魅力【挑むは八匹の狼たち!!】

令和に降り立つ、八玉の勇士たち――MSX2版『BURAI』がニンテンドースイッチに登場!幼少期に『BURAI』をプレイし衝撃を受けたライターが、世にあまねくすべての人に本作の魅力を伝えます。

連載・特集 プレイレポート
【敵は二億四千万】飯島多紀哉氏の名作『BURAI』のここがスゴイ!RPG原体験が本作のゲームライターが語るその魅力【挑むは八匹の狼たち!!】
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6月19日、メビウスはニンテンドースイッチ向けにMSX2版『BURAI 上巻』の配信を開始しました。

本作はリバーヒルソフトが1989年に各種ホビーパソコンで発売したRPG『BURAI 上巻』(以下、『BURAI』)のMSX2版を移植したタイトル。シナリオ・ゲームデザインは『ラストハルマゲドン』や「アパシー」シリーズを手がける飯島健男(現・飯島多紀哉)氏、キャラクターデザインにアニメーターとして著名な荒木伸吾氏・姫野美智氏、楽曲の原案に女性ロックバンドの草分けであるSHOW-YAを迎え、ゲーム制作の側から異業種で活躍するクリエイターを巻き込んだ大型プロジェクトとして知られています。

さて、実は筆者にとってこの『BURAI』は、生まれて初めてプレイしたRPGのひとつ。本作は『BURAI 八玉の勇士伝説』としてコンシューマー向けにも移植され、筆者はそのスーパーファミコン版をプレイしていたのです。それと同時期に某国民的2大RPGもプレイしているのですが、幼い頃の筆者にとってはそれらと同じくらい、あるいはそれ以上に筆者にインパクトを与えたのがこの『BURAI』でした。

一体、本作のなにがそれほどまでに筆者の心を惹きつけたのか……『BURAI』に出会ってしまったあの時の衝撃を思い出しながら、本作の魅力を掘り下げていきます!

「敵は二億四千万、挑むは八匹の狼たち!!」――あまりにもスケールがデカすぎる戦い

タイトルに「上巻」とある通り、本作は上・下巻の2部構成。オープニングでは、舞台が惑星キプロスという星であること、そしてビドー・クレラントと呼ばれる人物が闇神ダールを復活させようとしていることが、作中神話たる「キプロス創世記」の一節を用いながら厳かに語られます。

このオープニングシーンは筆者が初めてプレイしたスーパーファミコン版では大幅に簡略化されていましたが、MSX2版を含む各種ホビーパソコン版においては40分超の大ボリューム。フロッピーディスクを1枚(他機種版では複数枚に渡る)まるまる用いたものとなっています。

さて、当時本作をプレイした時に筆者が真っ先に感じたのは「他のRPGと違うな?!」という異色さ、型破りな雰囲気でした。たとえば戦闘はトップビューでオーソドックスなコマンド選択式なのですが、時折ビドー軍の兵士が軍勢として現れることがあり、そうした敵軍を一撃で何十体も屠ることができるのです。

いまにして思えばそれは、「HPのダメージ量」を「敵の数」に置き換えた演出だったのですが、コマンド選択式RPGで一騎当千、いわば「無双」ができてしまうこの感覚はとても爽快感があるものとして感じられました。加えて、攻撃ヒット時の効果音がやたらと迫力あるものだったこともその爽快感の一助になっていると思います。

本作のキャッチコピーは敵は二億四千万、挑むは八匹の狼たち!!。打ち出されたスケールの大きさに違わぬ描写を、上記のようにビジュアルや数値を通じて演出していたのが本作の魅力だったのだと今回のプレイで改めて思い起こしました。

なお、本作は飯島多紀哉氏の構想する世界設定「天界9部作」のうちのひとつでもあり、飯島氏の携わった他のゲームや小説ともリンクする壮大なバックグラウンドを持っています。

バラエティに富んだ各7章のシナリオ。そして集結する八玉の勇士

幼馴染を探して旅をするリリアン・ランスロット。針を用いた特殊能力を持っている。

先述のビドー率いる闇の軍勢に立ち向かうのが主人公たる「八玉の勇士」たち。闇神に対抗する光神リスクの化身・光の御子を守るべく、空に放たれた勇士を選ぶ8つの玉。その玉が勇士として選んだのは、何もかもがバラバラな8人の人物。個々に目的を持つ彼ら彼女らが、宿命に導かれ戦いに身を投じることになります。

義侠心あふれる海賊、ザン・ハヤテ。仲間共々ビドー軍に捕えられていたが、脱獄を図る。

本作は8人のキャラクターたちが織りなすオムニバス形式のシナリオを採用。7つの章(このうちゴンザ・マイマイ兄妹でひとつの章を構成)から自由に選び、それぞれ順不同、個別に進めていくことができます。

光の御子を守護する三銃士のひとり、ダニエルはビドー軍の襲撃を受け重傷を負う。彼は御子の周囲に結界を張り、八玉を天に放った。

オープニングシーンで語られたキャラクター個別の目的や状況に連なり、ゲーム本編ではそれぞれ別の島でストーリーが展開。やがて最終章「八玉の章」で勇士たちが集結していくことになります。なお、「八玉に選ばれた勇士が集結する」というストーリーのモチーフには曲亭馬琴による江戸時代後期の読本「南総里見八犬伝」が下敷きにあると思われます。

幻 左京。美しい容貌の青年だが、その正体は竜神である。
念術師のバビル・ロー・タム。自らが勇士として旅立つ留守の間、妻のマリア、息子のクークを友人のもとに預けようとする。

ビドー軍打倒と光の御子守護という天命の前段として、各章それぞれ異なった目的のシナリオが描かれるため、勇士たち個々の人物像の理解が深まるのも本作のよかったところ。合間に挟まるイベントでは荒木伸吾氏と姫野美智氏が原画を手がけたビジュアルシーンをふんだんに用い、ドラマチックな演出がなされます。

名門セバスチャン家の御曹司 ロマール・セバスチャン七世は父危篤の報せを受け、長らく出奔していた実家に帰ろうとしていた。

先述したように、勇士たちは年齢も種族も出自もバラバラ。爬虫類に似た外見を持つリーザズ族の紳士ロマール・セバスチャン七世、占い師の老翁アレック・ヘストンなど、なかなか他のRPGでは見られないメンツが揃っています。

占い師の村の村長 アレック・ヘストン。おちゃらけた名前の魔法を使うが、その威力は絶大。

個人的に思い入れが深いのは、ウォッシュ族と呼ばれる獣人種族であるゴンザとマイマイのプロット兄妹です。というのも、筆者が初めてプレイしたスーパーファミコン版ではシナリオ選択ができない仕様になっていて、最初は必ずこのプロット兄妹の章から始める必要があったからです。

ゴンザ・プロット、マイマイ・プロット兄妹。両親の仇である妖狐ナイン・テールを追っている。

ふたりは両親の仇を討つという目的を持っていますが、大柄で寡黙な兄ゴンザと小柄で口が達者な妹マイマイのコンビは見ていて愉快、そして心が温まるものでした。ゴンザは戦闘でメインを張れる頑丈かつパワータイプ。一方、マイマイは打たれ弱く、すぐに戦闘不能状態になってしまうのが印象深いです。

ステータス表示は“玉”?!従来のRPGの型を破るUIやシステム

これまで述べてきたように、本作は既存のRPGの枠を超えようとした型破りさ・異色さがあります。この点は現在で言うところのUIにも見て取れます。

たとえば画面左のステータスウインドウに玉のようなアイコンが表示されているのが分かるでしょうか。これは体力や攻撃力などの各種ステータスをビジュアルで示したもの。コンピュータRPGのステータスは数値あるいはバーで表示されることが多かったなかで、本作は「八玉の勇士」にふさわしく玉にヒビが入っていく様子を用いてその増減を表しています。なお、フィールドや戦闘中では玉の表示ですが、メニュー画面を開けば数値を見ることができます。

このほか、あるシナリオではあたかも推理アドベンチャーのようになるパートや、拠点防衛シミュレーションを簡易的に表現したようなパートもあり、RPGという型に縛られない表現や演出が随所にみられます。

戦闘中に体力が無くなった場合、離脱状態になりフィールド画面に戻される

個人的に印象に残っていたのが、エンカウントでの戦闘中に体力がゼロになってもゲームオーバーにならず、離脱してフィールド画面に戻るという本作のシステムです。これはプレイヤーへの救済策として用意されたもので、体力回復アイテムで回復できるほか、あと少しで街に辿り着けるという場合に活用できます。

かつてこのテキストを何度見たことでしょう

しかし、幼い頃の筆者はこのシステムがよくわかっておらず、体力が減った状態で敵と遭遇した瞬間にゲームオーバーを迎える……ということを何度も繰り返していました。おかげでゲームオーバー画面のテキストが脳裏に焼き付いてしまいましたが、いまとなってはいい思い出です。

サウンドプロデュース・SHOW-YA、コンポーザー・藤岡千尋氏によるイカした楽曲群

冒頭に述べたようにBGMのサウンドプロデュースにはロックバンドのSHOW-YAが携わり、それを基に編曲・作曲を務めゲームミュージックに落とし込んだのが、コンポーザーの藤岡千尋氏。

全体としてハードロック調の激しい楽曲が多い印象で、敵との戦闘や危機的なシーンにとてもマッチしています。特に通常戦闘曲は忙しない滑稽さとカッコよさを両立していて、とてもクセになる楽曲です。メニュー画面を開く度に流れるどこかアンニュイな雰囲気をたたえたポップス風の楽曲も、妙に本作の世界観とマッチしており、プレイの手を止めてついつい聴きいってしまったことが何度もあります。

このほか、各キャラクターに用意されたテーマ曲は各章ごとのフィールド画面の曲でもあり、バラエティ豊かでプレイヤーを飽きさせません。

筆者はこれまでスーパーファミコン版とPC-98版の同名タイトルをプレイしてきましたが、今回プレイしたMSX2版のサウンドを聴くのは初めてで、全体的に柔らかい音色が特徴的で、街などの穏やかな楽曲と合っているなと感じました。

『下巻』も後日リリース予定!スイッチでよみがえる八玉の勇士たちの伝説

今回リリースされたMSX2版『BURAI 上巻』ではニンテンドースイッチ仕様の「MSXPLAYer」が用いられています。「MSXPLAYer」とはMSXライセンシングコーポレーション公式のMSXエミュレーターで、本作はそれを用いたニンテンドースイッチ向けシリーズの第1弾。そのため、ディスクの切り替えなどはオリジナルから忠実に移植されています。

また、背景壁紙の選択、ステートセーブ・ロードが追加され遊びやすさも向上。ニンテンドースイッチでいつでもどこでも『BURAI』の世界を体感できます。

そして、メーカーリリースによれば、後編にあたる『BURAI 下巻 完結編』も2026年2月にリリース予定。また、限定仕様の上・下巻セットのパッケージ版も販売が予定されています。限定版には『BURAI 上・下巻』のゲームソフト本体に加え、飯島多紀哉書き下ろし小説とサウンドトラックが付属し、特製BOXに収納されるとのことです。

『BURAI』から多大な影響を受けた筆者ですが、コンシューマー向け移植の『下巻』はPCエンジンSUPER CD-ROM2版のみで、『上巻』の出ていたスーパーファミコンやメガCDではリリースされませんでした。それもあって『下巻』までプレイしたという人は少ないのではないでしょうか。これを機にチェックしてみるのもいいかもしれません。

かつてPCゲームユーザーに衝撃を与えた、型破りで破天荒なRPG『BURAI』。本作の放つ輝きはいまだ消え失せていません。


BURAI(ブライ) VOL.1 (スーパークエスト文庫)
¥550
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
ライター:林與五右衛門,編集:みお


ライター/ 林與五右衛門

2023年4月よりゲームライターとしての活動を始めました。『Fable』や『シェンムー』といったゲームから影響を受けてNPCに強い関心を抱き、彼らがゲーム内でどう息づいているのか観察しています。演劇集団ゲッコーパレードのメンバーとしても活動中。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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