ピクセルは、ツインスティックブロック崩し『歌と森の妖怪屋敷』をニンテンドースイッチ向けに2025年7月10日パッケージ/ダウンロードにて発売しました。
本作は、モバイル向けに2015年に配信されていた同名作の移植作品。可愛らしいけれどちょっと不気味な妖怪たちが徘徊する妖怪屋敷を舞台に、主人公の少女・歌が不思議な力を持つ人魂・ミューの力を借りながら、屋敷からの脱出を目指していきます。ゲーム内ではミューだけでなく、さまざまな妖怪の力やアイテムの力を駆使してステージを攻略していきます。
ニンテンドースイッチ版では、オリジナル版をベースに演出面や操作性などを大幅に強化。また、ゲストコンポーザーとして『源平討魔伝』『バベルの塔』『超絶倫人ベラボーマン』などの音楽を手がけたことでも知られる中潟憲雄氏が参加しています。

本稿では『歌と森の妖怪屋敷』のプレイレポートをお送りしていきます!なお執筆にあたっては、ピクセルより製品の提供を受けています。
人魂で妖怪退治しながら少女を守り抜け!
本作の物語は、主人公の少女・郷美歌が、街外れで妖怪屋敷を発見した少年・優樹海と共に屋敷を訪れるシーンから始まります。この屋敷は「妖怪を操る少女が、かつて自分を追い出した人間に復讐するために彷徨っている」という噂の場所で、海が発見したものの誰も信じず、歌だけが一緒に訪れることになったのです。
しかし、2人で屋敷内に入ったとたんに妖怪に襲われてしまい、歌が目を覚ましたときには海の姿がありません。1人出口を探している歌の前に人魂のミューが登場し、屋敷からの脱出と海を探す代わりに、家の中に発生している悪い妖怪の発生源「妖魔界の扉」を閉じるために協力することになります。



ゲーム本編でプレイヤーはミューの発射と歌の操作を行いながら、さまざまな妖怪たちがいるステージ内にある「妖魔界の扉」を壊せばクリアです。歌は妖怪と戦う能力がなく、妖怪に襲われてライフが0になるとゲームオーバーになってしまいます。代わりに歌は、ミューが壊して発見したアイテムを拾ったり、ストーリーで加入した友達妖怪を呼び出す役割があります。
アイテムには追加攻撃を行うもの、歌の周囲を護るバリアを得るもの、歌自身が蹴り飛ばして妖怪が攻撃できる「鞠」などの種類があります。また、ライフ回復やショップで買い物できる「まがたま」などもあり、上手く運用することでステージを有利に進められます。ただし、強力なアイテムを重ねて取ると解除してくる妖怪もいるので注意が必要です。



ゲーム内では「泥田坊」「カマイタチ」「濡れ女」「からかさお化け」など、お馴染みの妖怪たちが登場して歌に襲いかかります。各妖怪に動きや攻撃パターンがあるので、歌を左右に動かしたり、温存していたアイテムや妖怪呼び出しを駆使して乗り切りながら、ミューで扉の破壊を目指しましょう。


頼れる仲間妖怪を使いこなせ!
ゲーム序盤は歌とミューだけで妖怪退治をすることになります。ミューはステージ内の壁やオブジェクトを跳ねて行動するのですが、完全停止するまで操作不可能で、もし動いている最中に歌が狙われたらなかなか助けることができません。そこで頼りになるのが友達妖怪たちです。
友達妖怪は、地上を移動して歌を護る「ぬりかべ」、雨を降らせて火を消す「雨降らし」ステージ内を移動して敵を倒す「輪入道」などがいて、いずれも強力な能力を持っています。呼び出すためには時間経過で「友達妖怪ゲージ」を貯める必要があります。加入直後はチュートリアルに近く、わかりやすく“使うべき場面”が出てくるので、まずはしっかりと特性を覚えましょう。




また、ゲーム内の「妖怪ショップろくろ」では、歌の基礎体力や友達妖怪ゲージの溜まる速度、ミューの攻撃力、各種アイテムの効果アップなどの恒常的な能力を購入できます。もしゲームが難しいと感じたら、こういった能力を積極的に上げていくことでかなり遊びやすくなります。特に友達妖怪ゲージの速度アップが強い印象です。
ステージが進むごとに出てくる妖怪の種類も増え、各ステージではボスとの戦いも待ち受けています。一部のステージやボス妖怪との戦いではギミックのようなものもあり、友達妖怪の力を活かすことで大きく有利に進めることができます。もちろんアイテムの獲得や温存も重要です。




謎多き妖怪屋敷の謎を解け
本作は大きく「地・水・火・風・闇・光」の6つのステージ+αに分かれ、ステージをクリアすれば次の面に進行する形式。ゲームオーバーになったり、途中で止めてもクリアした次のステージから開始できるので、もしステージが難しい!となったら買い物をして再挑戦することもできます。
さまざまな妖怪が登場する『歌と森の妖怪屋敷』では、その舞台となる屋敷を巡るストーリーも大切な要素です。歌とステージの中で出会う友達妖怪は、彼女のことをなぜか知っている様子で話しかけてきます。歌はその理由もわからず、やがて話の中で1人の“別の少女”の名前も出てきます。


そしてゲーム内では“とあるアイテム”を見つけ出すことが重要になってきます。導入部や徐々に明かされていく妖怪と屋敷の謎、そしてプレイヤー自身が探し出さねければならない要素など、シンプルなアクションが楽しめるゲーム性と合わせて世界観をしっかり堪能できる部分になっています。

また、ゲームに登場した妖怪はメインメニューの「妖怪図譜」で説明文と合わせていつでも閲覧できます。ゲーム中は結構操作が忙しく、なかなか登場しない妖怪もいるので、見逃す妖怪もいるかもしれません。図譜で確認して、あらためてゲームプレイ中に探してみるのも面白いかもしれませんね!





ハイスコアを目指す楽しみも
『歌と森の妖怪屋敷』はストーリー部分だけはなく、純然たるアクションゲームとしてハイスコアを目指す楽しみもあります。本作はステージをクリアする事にスコアが加算されていき、ゲームオーバーになるまでの累積のスコアが記録されています。
スコアは敵を倒したり、妖怪やオブジェクトにミューたちをぶつけるコンボでの加算点数に加えて、歌がノーダメージであったり、素早くステージクリアすることでのボーナス点も用意されています。さらに、妖魔界の扉を破壊した後に地面に落ちている強化アイテムがスコア加算アイテムの「鈴」へと変化するのです。


ストーリー上で加入した友達妖怪は、以前のステージを再プレイしても使用可能です。一度クリアした後は、すべての能力を駆使して1面からやり直して高得点を目指したり、苦手なステージをやり直して最適解を探していくこともできます。攻略にはある程度は運も絡んできますが、テクニックや戦術を磨くことで少なくとも歌のノーダメージボーナスは狙いやすい仕様です。



『歌と森の妖怪屋敷』はブロック崩しとアクションの2つの要素を組み込み、誰でも遊びやすく適度なやりごたえもあるゲーム性を実現しています。後半は結構難しいステージもあるのですが、何度もプレイしてパターンを読んだり、ショップでアイテムを購入すればクリアしやすくなっています。
ゲームのテンポはもちろん、音楽や効果音なども雰囲気が良いのも嬉しい部分。全体的にはカジュアルなゲームではあるのですが、明らかに「ハイスコアを狙わせる」ためのシステムもあってテクニックを磨きたくなる要素も。個人的には、ステージクリア後に落ちているアイテムが専用の「スコア加算アイテム」に変化することに強い開発のメッセージを感じました。

どこか可愛くも不気味な妖怪たちが棲まう屋敷に秘められた謎や、歌と海によるストーリーも印象的です。登場する妖怪の種類も多く、そのデザインをたっぷり味わえるモードもあるので、妖怪好きにも嬉しい作品です!
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