
2025年8月にドイツで開催されたヨーロッパ最大のゲームイベント「gamescom2025」にて発表された、最新バットマンゲームのタイトルは『レゴ バットマン:レガシー・オブ・ザ・ダークナイト』。ブルース・ウェインがゴッサム・シティの守護者「バットマン」になるまでを描くもので、コミック・映画・テレビ・ゲームの歴史をベースに、レゴのオリジナル世界として物語が展開します。
注目ポイントはトレイラーに数多く登場する歴代映画シリーズの名シーンです。これまでのバットマンゲームといえば、コミックをベースに独自の世界を描くことが多かったのですが、今作は歴代映画シリーズを意識しているということで、どこかで見たシーンや小ネタが続々と……!映画シリーズしか知らない人にも、刺さる内容になっているのではないでしょうか。
そこで本稿では、映画由来の小ネタをトレイラーからピックアップしつつ、バットマン好きの筆者が期待することを紹介したいと思います。
◆ユニバースを越えてヴィランが集結!
『レゴバットマン:レガシー・オブ・ザ・ダークナイト』は、ブルース・ウェインがバットマンになるまでを描くオープンワールド型のアクションアドベンチャー。そのため、トレイラーもバットマンになるための修行シーンからスタート。若き資産家「ブルース・ウェイン」が「影の同盟」と呼ばれる闇の組織のもとで修行をします。


修行シーンの元ネタは2005年の映画「バットマン ビギンズ」から。同作でも戦闘技術を学ぶために「バットマン」シリーズの有名ヴィランであるラーズ・アル・グールの拠点をめざし、そこで影の同盟に入門することになります。ただしこれは映画ならではのオリジナル要素。1939年11月に出版された「Detective Comics #33(バットマンの掲載誌)」では、両親を強盗に殺され、その復讐のために頭脳と肉体を鍛え、犯罪者たちを震え上がらせるためにコウモリの衣装を纏うことになった経緯が初めて語られます。わずか2ページのとてもシンプルな描写です。
それが長い連載期間の間に要素が付け足され、両親を殺した強盗の名がチンピラのジョー・チルであること、修行のために世界へ飛び出したことも明かされます。1989年の映画「バットマン」ではメインヴィランがジョーカーだったため、ブルースの両親を殺害したのが若き日のジョーカー(ジャック・ネイピア)でしたが、影の同盟と同じく、そちらも映画のオリジナル設定でした。
なおバットマンのオリジンが初めて語られた「Detective Comics #33」は、話数で言うと7話目にあたるエピソード。記念すべき連載第1話(1939年5月出版「Detective Comics #27」)は「ケミカル・シンジケート事件」を追う推理もののようなストーリーとなっており、なぜバットマンが存在するか等の経緯は描かれていませんでした。しかも当初のタイトルは「THE BAT-MAN」でなんとハイフンつき!バットマンも現在とやや異なるデザインをしており、とても“初々しい”姿をしていました。

さて、話はトレイラーに戻り、影の同盟で修行を終えたブルースは、執事のアルフレッド・ペニーワースの迎えで生まれ故郷のゴッサム・シティへ戻ります。そして後のバットケイブ(地下基地)を発見。「バットマン ビギンズ」はバットマンのオリジンをしっかりと描いた初の実写映画ですから、修行からバットスーツ初着用までは、どうやら「バットマン ビギンズ」をベースにしているようでした。



続いてトレイラーはヴィランの紹介へ。そのひとり目は、やはりジョーカーです。歴代映画では、シーザー・ロメロ(「バットマン/オリジナル・ムービー」)、ジャック・ニコルソン(「バットマン(1989)」)、ヒース・レジャー(「ダークナイト」)、ジャレッド・レト(「スーサイド・スクワッド」等)、ホアキン・フェニックス(「ジョーカー」)がそれぞれ個性の異なるジョーカーを演じていましたが、今作は口に傷があることから、おそらく「ダークナイト」のヒース・レジャー版でしょう。
※ドラマ『GOTHAM/ゴッサム』に登場するジョーカーは特に個性強めでおもしろいキャラクターなので視聴をオススメしたいシリーズ。
ヒース版のジョーカーはその誕生経緯が謎に包まれていましたが、どうやら本作では名作コミック「バットマン:キリング・ジョーク」などで描かれたレッドフード説をベースにしている様子。そちらの一部設定は1989年の「バットマン」でも採用されており、トレイラーにも登場しているエース化学の薬品プールに落下したことで狂人化していました。ゲームではどのように料理されるのでしょうか。
そのほか確認できたヴィランは、キャットウーマン(「バットマン リターンズ」版)、ペンギン(「THE BATMAN-ザ・バットマン-」版)、ベイン(「ダークナイト ライジング」版)など。キャットウーマンは2004年にハル・ベリー主演の単独映画「キャットウーマン」が公開されましたから、そちらから小ネタが引用されていたりしたらファンとしては嬉しいかもしれません。
ペンギンは「THE BATMAN-ザ・バットマン-」のカーチェイスシーンをそのままパロディ化しつつ、ロゴの入り方まで「THE BATMAN-ザ・バットマン-」のトレイラーそのままだったので、見比べると面白いでしょう。
またトレイラーには含まれていないものの、公開された場面カットにはクレイフェイスらしきキャラクターもおり、そちらも気になります。なにしろバットマンのヴィランとして有名なクレイフェイスは、本作が発売される2026年に単独ホラー映画「クレイフェイス」の公開を控えるヴィランです。本当に出るとしたら、単独映画とどの程度絡むのか楽しみですね。







そのほか期待するところといえば、やはり映画シリーズで描かれなかった部分でしょう。たとえばヒース・レジャーのジョーカーは「ダークナイト ライジング」でも登場する予定でしたが、ヒースが亡くなったことで方向転換した経緯があります。もしバットマンと再戦していたらどうなっていたのか?という部分が描かれたら興味深いです。
また、ジャレッド・レト版ジョーカーはハーレイ・クインとともにロビンを殺害したという過去がありますし、いずれ崩壊した世界でバットマンと手を組む展開も予定されていました。DCEUのブランド消滅で放置された要素ですが、こういった媒体でフォローされると夢が広がります。
異なる映画に登場したキャラクターたち、たとえば「バットマン リターンズ」のキャットウーマンと、「THE BATMAN-ザ・バットマン-」のペンギンが顔を合わせたら、どんな会話をするかも見てみたいポイント。『レゴバットマン』らしいコミカルな味付けで、どのように描かれるのでしょうか。
※「バットマン リターンズ」にはダニー・デヴィート演じるペンギンが、「THE BATMAN-ザ・バットマン-」にはゾーイ・クラヴィッツ演じるキャットウーマンがそれぞれ登場。

個人的には、WB GAMESアカウントに登録するともらえるゴールデンエイジ版のバットスーツも気になって仕方ありません。なにしろあのデザインのバットスーツは「Detective Comics #27」でデビューした、「THE BAT-MAN」版の“ちょっとデザインの違うバットマン”!できればあのスーツを着て「ケミカル・シンジケート事件」を追いたいのですが、はたしてそのエピソードは収録されているのか?
全バットマンファンなら絶対に気になるだろう『レゴバットマン:レガシー・オブ・ザ・ダークナイト』は、PC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/ニンテンドースイッチ2/Xbox Series X|S向けで2026年に発売予定です。














