気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Studio Carota開発、PC向けに8月8日にリリースされたホラー釣りアドベンチャー『Loan Shark』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、不可思議な「話す魚」が存在する世界で、大金持ちの未来を約束する「Loan Shark(闇金融)」との取引に始まる、危険な釣り稼業の一晩を描く1プレイ約60分のショートホラー釣りアドベンチャー。刻一刻と迫る返済の時に怯えながら必死に釣りに勤しむ、まさに借金の絶望を体現したような恐怖体験が楽しめます。記事執筆時点では日本語未対応。
『Loan Shark』は、470円で配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Nicolaこんにちは!私はNicolaと言います。ゲーム開発を始めてもうすぐ10年になります。大学ではゲームデザインを学び、その後しばらくAA規模のスタジオで働きました(そこでLucaと出会いました)。そして今は、自分自身のゲーム開発に専念し、それで生計を立てようとしています。
好きなゲームを一つ選ぶのは難しいですね。大好きな作品がたくさんあるので…。例えば、『Prey (2017)』『Fallout: New Vegas』『Dragon’s Dogma』『Ghost of Tsushima』『Divinity: Original Sin 2』『Undertale』などです。もし一つだけ選ばなければならないなら、『DARK SOULS』だと思います。最近は『Deadlock』をよく遊んでいます。
Lucaこんにちは!Lucaです。今はビデオゲーム向けにストーリーを書く仕事をしています。以前はAA規模のスタジオでナラティブデザイナーとして働いていて、そこでニコラと出会いました。私たちは友人となり、現在はインディー開発者としてStudio Carotaを運営しています。
もしお気に入りのゲームを3つ選ぶとしたら、『Mass Effect』『Divinity: Dragon Commander』『王様物語』ですね。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Studio Carota私たちは、Cagliusoこそが本作の心臓部だと考えています。元々のアイデアは、シンプルな「配信者向けゲーム」を作ることでした。つまり、キャラクターも会話もなく、ただプレイヤーがボートに乗って巨大な海の怪物に追いかけられると言う、配信者が短時間で遊んで怖がれるような作品です。
しかし、それは本当に自分たちが作りたいものではないとすぐに気づきました。私たちがワクワクするのは、キャラクターとストーリーだったのです。そこで生まれたのが、喋る魚Cagliusoでした。最初はただのマスコットで、プレイヤーの進行状況にコメントしたり緊張感を高めたりするためにボートに現れるだけの存在でした。ですが、私たちはだんだんと彼に愛着が湧いてきて、最終的にはゲーム体験の中心となったのです。
今では、彼はプレイヤーが借金から逃れるのを「助ける」存在でありながら、同時に最大の敵であり、本作最大の魅力となっています。

――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Studio Carotaストーリーの着想は、エドガー・アラン・ポーの「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」や、アレクサンドル・プーシキンの「漁師と魚の物語」から得ています。後者は、漁師が魔法の金の魚を釣り上げ、その解放と引き換えに願いをかなえてもらえるという物語です。さらに、映画「[リミット]」も本作の雰囲気づくりに大きな影響を与えました。
ゲーム面でも多くの作品から影響を受けています。『RATSHAKER』『That Which Gave Chase』『Dead Man’s Fault』 などです。しかし、最も強い影響を受けたのは 『Squirrel Stapler』 でした。私たちの発想はこうです。「『Squirrel Stapler』が『Cabela’s Big Game Hunter(1998年から2014年にかけて発売されたハンティングゲームシリーズ)』にしたことを、私たちは『Rapala Pro Fishing(魚釣りゲームシリーズ)』に対してやろう」…つまり、古いスポーツゲームのシステムをホラーの器として大胆にひねり直す、という考え方です。
最後に、大きなインスピレーション源となったのがYouTubeで流行している「海洋恐怖症アニメーション」動画です。特にMr. Friendの作品には大いに影響を受けました。
――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Nicola開発中、ラジオで流れる曲のひとつに、サル・ダ・ヴィンチの「Rossetto e caffè」を仮置きで使っていました。最初はただの冗談だったのですが、何百回も聴くうちに、Lucaと私はすっかりその催眠的なリズムと物悲しさに魅了されてしまったのです。やがてその曲が頭から離れなくなり、ついには夢にまで出てくるほどでした。今では、その曲が流れるたびに思わず一緒に口ずさんでしまいます。
Luca開発の初期段階で、ゲーム内にラジオ機能を実装し、懐かしさのある仮置きの楽曲を流していました。私は冗談のつもりで入れただけだったのですが、Nicolaがとても気に入ってしまい、そのまま完成版にも収録されることになったのです。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Studio Carotaプレイヤーの皆さんはとても積極的にコミュニティで活動していて、お気に入りの配信者に本作を遊んでほしいとリクエストすることも多くあります。エンディングに到達し、スタッフロールが流れる中で拍手する姿を見るのは、本当に感動的な体験でした。
私たちにとって、本作で最も重要なのはストーリーです。ですから、プレイヤーが「ストーリーやテーマ、ライティングがすごく良かった」と言ってくれるフィードバックが一番嬉しいのです。私たちの目標は、何よりもまず意味のあるゲームを作ることであり、それをすでに本作から感じ取ってくれている人たちがいるのは、とても励みになります。
面白いフィードバックもいくつかいただきました。例えば、エンドレスモードを追加してほしいとか、果てはマルチプレイ対応をしてほしいといった要望までありました。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Studio Carotaこれまでで一番大きな批判は、エンディングがひとつしかないという点です。正直なところ、そこまで多くの人が繰り返しプレイして「別の結末も欲しい」と思ってくれるとは予想していませんでした。これは嬉しい驚きでした。
現在、新たに3つのエンディングを制作しており、プレイヤーが異なる道を選び、魔法の魚Cagliusoとの契約から抜け出そうと試みられるようにしています。
――本作の日本語対応予定はありますか?有志翻訳は可能ですか?
Studio Carotaはい!現在、日本語を含む複数の新しい言語を追加するアップデートを進めています。翻訳に協力していただける方は、ぜひメールでご連絡ください。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Studio Carotaもちろんです!私たちは、プレイヤーの皆さんが本作を楽しんでいる姿を見るのが大好きですし、正直なところ、ここまで本作が成長できたのはYouTuberや配信者の皆さんのおかげだと思っています。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Nicola本作をすでにプレイし、動画をシェアしてくれた日本のプレイヤーの皆さんに心から感謝します!日本語版がリリースされた際には、ぜひ楽しんでいただければと思います。
ちなみに豆知識ですが、私はサルデーニャ出身です。沖縄と同じく、地球上で最も長寿の人が多いことで知られる「ブルーゾーン」のひとつなんですよ。つまり、ある意味ではすでに少し変わった共通点がありますね!(訳註:以前、沖縄県は世界でも長寿の地域として知られていましたが、現在ではその平均寿命は大きく低下しています)
Luca知らない人が自分のゲームを遊んでくれるというのは、まるで間接的な会話をしているような感覚です。本作を遊んでくださる日本のプレイヤーの皆さん、お会いできて光栄です。この「会話」をぜひ楽しんでいただければと思います!
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に700を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








