Game*Sparkレビュー:『Vampire: The Masquerade - Bloodlines 2』美しき吸血鬼ロールプレイにやみつき。プレイヤーを選ぶ、クセのある一品 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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Game*Sparkレビュー:『Vampire: The Masquerade - Bloodlines 2』美しき吸血鬼ロールプレイにやみつき。プレイヤーを選ぶ、クセのある一品

ゆっくりと牙をむく、ヴァンパイアたちの生き残りをかけた戦いの物語。

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Game*Sparkレビュー:『Vampire: The Masquerade - Bloodlines 2』美しき吸血鬼ロールプレイにやみつき。プレイヤーを選ぶ、クセのある一品
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2025年10月22日にリリースされたばかりの『Vampire: The Masquerade - Bloodlines 2』(以下、Bloodlines 2)は、長き眠りから目覚めたヴァンパイアとなり、現代の米国シアトルでヴァンパイア同士の勢力争い、未解決事件の捜査に関わっていくアクションRPG作品です。なお、本レビューはSteam版のプレイとなります。

◆約300歳のヴァンパイア、現代のシアトルで目を覚ます

廃墟のマンションで目覚めた主人公・ファイアは「長老」と呼ばれるほど古から存在するヴァンパイアにも関わらず、眠りにつく前のことはあまり覚えていません。手の甲には記憶にない印が刻まれ、頭の中からは「ファビアン」と名乗る知らない男が話しかけてくる異常な状況です。

禁酒法の時代からシアトルに住むヴァンパイアにして、街に精通した元刑事のファビアン。彼はファイアが忘れかけていた同族の掟や、スマホとカメラが普及した現代では昔のように、どこでも人を襲っていいわけではないといった常識を教えてくれる、ファイアとプレイヤーにとってのガイド役となります。

声のみ存在するファビアンの本体はどこにいるのか?手の甲に“誰かの所有物”を意味する印を刻んだのは誰なのか?冒頭から大きな謎を抱えてゲーム本編が始まります。

目覚めの一杯は哀れな警備員の血をいただきます
ファビアン本人も、なぜファイアの頭の中にいるのかは分かっていない

冒頭から長い付き合いとなるファビアンとの脳内会話は、黙々とミッションを進める作業感を薄めてくれて、筆者にとっては良き相棒ぐらいの感覚でした。しかし、海外レビューの中には「ファビアンがゲーム体験全体を台無しにしてしまった」と厳しめの意見も。確かに会話の頻度は高めなので、ウザイと感じるか否かは個人差が大きそうです。


古のヴァンパイアには「流れ者(ノマド)」「長老」などいくつもの呼び名を持ち、「ファイア」もそのうち1つにすぎない

◆ゲーム初心者にも分かりやすく優しい親切設計

詳しくは後述となりますが、本作は人間社会に紛れ込む新旧ヴァンパイア世代の価値観の違い、エリート主義な6つの氏族(原作は13氏族)の派閥争いなど、シアトルのヴァンパイア社交界とその闇を、物語を通じて描くことに力を入れています。

そのためか、ゲーム初心者でもどこへ行けばよいのか、次に何をすべきか分からず行き詰まるような複雑な仕掛けは無く、ストレスを感じないゲーム進行が可能です。

何かインタラクトできる人・物がある方向ではレティクルが対象物との距離に比例して大きくなる

困ったらとりあえず「超感覚」機能を使えば、通常では見えない痕跡を浮かび上がらせてくれます。また、画面中央のレティクルはキーアイテムや人物、消費アイテムなどなんでもインタラクトできるものがあれば、その距離に応じたサークルを表示してくれます。サークルの反応が気になりつい寄り道してしまい、ミッションがなかなか進まない悩みはありますが。

「超感覚」は通常は感知できない匂い、血の痕跡、警察官の位置、キーアイテムなどを簡単に見つけられる能力

◆異能の力を感じられる戦闘スキル

戦闘は全て暴力で解決するもよし、殺しは最小限にしてステルスで切り抜けることもできますが、いずれもヴァンパイアとしてのスキルは必須。そして習得可能なスキルの傾向とゲーム難易度は、どの氏族に所属するかで変化します。

遠隔スキルで操り同士討ちをさせたり、サイコキネシスで物をなげて視線をそらすなど、直接戦わないスタイルも可能
戦闘中の敵からも吸血は可能。消費したスキルゲージを回復できる

相手の意思を乗っ取り同士討ちさせる、自殺を命じるといった遠隔操作メインの氏族や、素早く首を切り落とす接近戦に強い氏族もあれば、呪いをかける、相手の影を操るなど、6つのタイプに分かれています。操作の忙しい戦闘は苦手というユーザーなら「トレメール」か「ヴェントルー」が、近接戦闘メインあるいはより難易度の高いプレイをお求めなら「ブルハー」か「ラソンブラ」がおすすめです。

なおゲームの難易度は「カジュアル」「イージー」「ノーマル」「ハード」の4段階があり、いつでも変更可能。アクション操作がとにかく苦手で購入を躊躇するというユーザーでも、「カジュアル」であればボスキャラクター以外は戦闘系スキルすら使わず、ただのパンチでも1、2発当てれば敵が吹っ飛ぶやさしさです。複数の敵に囲まれてもダメージが低いので、慌てずとりあえず殴りまくれば負けることはありません。

ミッション遂行、敵を倒す、吸血行為などで得られる経験値を貯めると能力ポイントがUPしますが、ポイントだけでは上位スキルのアンロックは行えません。同時に要求されるのが「血の余韻」すなわち特定の種類の血液です。

◆ヴァンパイアの本領発揮、吸血行為は楽しくてやみつきに

吸血行為はHPとスキルゲージの回復にも使えますが、スキル解放に必要な「血の余韻」はシアトルの街を行き交う一般人から集めていきます。血には「楽観的(ピンク)」「かんしゃく持ち(赤)」「悲観的(青)」の3タイプがあり、この感情がMAXまで高まっている相手でなければ吸っても意味がありません。一番手っ取り早いのはマップ上にアイコンが表示された、最初から感情が高ぶっている人間です。

マップ上にアイコンが出ている人物は感情度がMAX値で、会話による誘い出しに成功すればすぐ路地裏に連れ込める
「楽観的(ピンク)」はナンパに成功すれば簡単に後ろからついてくるので、吸血行為が最も簡単。

もちろんヴァンパイア社会の法律「仮面舞踏会の掟」により、人間に吸血行為を目撃されるのは最大の御法度。それゆえ「楽観的」なムラムラしてる人間にはナンパを、「かんしゃく持ち」には挑発を、「悲観的」には高圧的な脅しをかけることでアクションを取らせ、人気のない裏路地に誘導してからの吸血となります。

また「超感覚」で各タイプの色は見えるが「血の余韻」の対象ではない人間でも、会話の選択次第で感情を最大値に高められるので、ポイント稼ぎに次々人間を襲うことも可能です。

欲しい血の持ち主だがマップと頭上にアイコンが出ていない人物は、会話であえて怒らせたり、脅すことで感情を高ぶらせる必要がある。
変に楽しませたり、なだめてしまうと何の色ももたない普通の人間になるので注意
ゲーム進行でアンロックされる服装にも「紳士的で好印象」「威圧的」など会話に多少影響する。

一度や二度ならヴァンパイア固有の能力を目撃されても、ビルの屋上など人間の目の届かぬ所に一定時間身を隠せば問題ありません。しかし無差別に人を襲い続ければ、プレイヤーはヴァンパイアの存在を人間に認知させる危険な存在となり、その背後からそっと処刑人の手が……。

ヤンチャをしすぎたヴァンパイアに待っているのは血族からの制裁だ

◆もう少しプレイの自由度とテンポ良い展開を期待していた

派閥争いへ否応なしに巻き込まれるファイアの今後、ファビアンとの関係性など序盤の掴みは十分魅力的なのですが、少々残念なのは展開の遅さでした。そこそこゲームを進行させてもサブクエスト的なものが全く出現せず「まさか、このままエンディングまでメインクエスト1本道?」と、本気で不安になったほどです。ようやくマップ上にサブクエストが出た時には「嬉しいけど、ちょっと遅すぎる」というのが本音でした。

オープンワールドではあるけれど全体マップはさほど広くありませんし、本筋に関係ないお店やビルにも入れず、ただ街をぶらつくだけで楽しい要素は残念ながら見当たりません。掴みはOK、でも物語が盛り上がるまでが単調すぎて、場合によってはここでユーザー離れを招きかねないと感じました。

過去のファビアン視点でファイアが目覚める前の話を振り返る
流血表現はヴァンパイア物なのでそれなりに強め
かつて「公子」として派閥の1つに君臨したヴァンパイア「ルー」

また、本作の特徴の1つに会話の選択肢がNPCとの関係性にも影響する、という点があります。「公子」と呼ばれる気高きヴァンパイアを怒らせたら、どんな不利益があるのか確認したい気持ちはあれど、本作は任意のタイミングでセーブできないため、会話の分岐点でセーブして色々試すことができません。そのためどうしても無難な回答を選びがちに。もう少しプレイに自由度を持たせて欲しかったです。

◆原作TRPGが重視した「Storytelling System」にハマれるかが評価の分かれ目か

本作および前作『Bloodlines』の世界は、いずれもWhite Wolf社のテーブルトークRPG「ワールド・オブ・ダークネス」シリーズをベースとしています。大都会の人間社会にまぎれ込み生活する、ヴァンパイアやワーウルフといった“夜の眷属”たちの視点で進む作品群の大きな特徴が、同社が独自に定義したジャンル「ストーリーテリングシステム」です。

戦闘もあるが、何よりも「物語の語り部となり、物語を紡いでいくこと」を重要視しており、そのためにはディテールを創りこんだ世界設定が欠かせないと考える「ストーリーテリングシステム」のコンセプトは、『Bloodlines 2』にも強く反映されています。

頭の中のファビアンとのやり取り、そしてNPCから明かされる新たな事実など、毎度交わされる会話はなかなかの長尺。アクションと戦闘の合間にストーリーパートが入るのではなく、割合としてはその正反対です。会話の選択肢によってはNPCとの関係性に悪影響を及ぼすため、内容をきちんと読む必要もあります。「ヴァンパイアの能力をどんどん使って戦いまくり、メインクエストをがんがん進めて、血をチューチュー吸いまくりたい!」というタイプのプレイヤーには、会話パートのボリュームの多さは少々ストレスかもしれません。

さらに、創りこまれた設定ゆえ「薄血」「トルポル」といった独特な用語も数多く登場します。そもそもタイトルの「The Masquerade(仮面舞踏会)」には、エリート吸血鬼組織「Camarilla(カマリリャ)」が、人間社会からヴァンパイアの存在を隠そうとしているという意味を含んでいたり、ヴァンパイアの血を与えられ自らもヴァンパイアになった場合、相互に“親と子”の関係性が生まれるなど、知らなくてもゲームの進行には影響しないが、知っておいた方がシナリオをより楽しめる、この世界の基礎知識が散りばめられています。

もちろん会話の自然な流れの中で説明してくれることもありますが、「後からログと解説を読んで理解してね!」と言わんばかりに、会話内に馴染みのないワードが次々使われると意識がそちらに引っ張られてしまい、本作の魅力として挙げているストーリーへの没入感は薄まったと、個人的には感じました。

ただ、この点に関しては大元のTRPG作品に限らずゴシックホラー、ゴシックパンク作品に普段から親しんでいるプレイヤーであれば、「何となく知ってるもの」として全く気にならないかもしれません。トールキンの小説「指輪物語」「ホビット」などを愛読するユーザーにとって、“剣と魔法”の西洋風ファンタジーゲームに使われる、さまざまなお約束ごとやセリフ回しにさほど違和感を覚えないように。

また、対ヴァンパイアに効果的とされる十字架やニンニク、聖水などを「くだらない迷信」と一笑に付す主人公たちですが、日中は行動できない点だけは事実で、そのためゲーム中は常に夜。ゴミ箱脇の暗闇からNPCホームレスが通りがかりに「1ドルでいいからめぐんでよぉ」と声をかけてくる、真冬の大都会シアトルには陰鬱さが漂っています。

ストーリーテリング重視の展開、そして開発元が意識した暗く、不穏なネオ・ノワール調の風景とBGM。これらがピタリとハマるユーザーにはたまりませんが、評価がキッパリ割れそうなタイトルと言えるでしょう。

Game*Spark レビュー 『Vampire: The Masquerade - Bloodlines 2』 PC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S 2025年10月22日発売

暗闇に生きる美しきヴァンパイアたちの物語は丁寧に描かれ、読み応えのあるテキストが魅力。ただしプレイヤーを選ぶ一品

GOOD

  • ゲーム初心者でも安心して遊べるシステムと難易度設定
  • ヴァンパイアを単なる超人的な能力使いとしてではなく、背景や苦悩を描くシナリオ
  • ミニゲーム的にとらえれば楽しい吸血行為

BAD

  • マップの狭さと展開の遅さ
  • ストーリーより戦闘派には物足りない内容
  • 任意のタイミングでセーブができない

ヴァンパイア:ザ・マスカレード 普及版
¥15,000
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
ライター:稲川ゆき,編集:みお

ライター/プレイのお供は柿の種派 稲川ゆき

ゲームの楽しさに目覚めたのは25歳過ぎてからの超遅咲き。人やら都市やら、何でも育て上げるシミュレーション系をこよなく愛する、のんびりゲーマーです。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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