
先日、『アーマード・コア』シリーズへの独自の視点からの言及をきっかけに、多くの日本人から「ロボゲー・ロボアニメ詳しすぎな外国人」として知られるようになったオリー・バーダー氏。実は、氏はゲームやアニメを中心として日本サブカルを海外に長年伝えてきた記者であり、様々なタイトルにかかわってきたゲームクリエイターでした。
弊誌の取材に対して、そんな氏がこぼした最近の悩みと言えば「ロボゲーを作らせてくれるスタジオが見つからない!」ということなのだそう。そこで、本稿では、氏の文章を通じて、氏のもつ「ロボゲー・ロボアニメ」への視点や美学の一端をお伝えしていきたいと思います。
先日公開された情報によると、私が注目している、上田文人氏の新作『gen ATLAS』では巨大なメカが登場し、プレイヤーは人間として地上からそれらを操作できるようです。この点を見て、私はサンドロットの作品、とりわけ『ギガンティック ドライブ』を思い出しました。
もちろん、『gen ATLAS』は『ワンダと巨像』や『人喰いの大鷲トリコ』、そして『ICO』の系譜に連なる作品でもあります。私はこれらの作品にも非常に馴染みがあり、『ワンダと巨像』ではオリジナル版の「秘密の庭」を発見したほか、2005年にはイギリスの新聞「The Guardian」のために上田文人氏へインタビューを行ったこともあります。
いずれにしても今回の記事では、『gen ATLAS』がメカという領域へ踏み込んだことで、私が強く思い起こすことになった『ギガンティック ドライブ』やその関連作品についてを語りたいと思います。
ひと味違うメカゲーム

2002年にPlayStation 2で『ギガンティック ドライブ』を初めて遊んだとき、私はそれまでにこのようなゲームを見たことがありませんでした。実際、この作品が私にとって初めて遊んだサンドロットのゲームであり、本当に素晴らしい作品だと感じました。
他のメカゲームではプレイヤーがメカを直接操作するのが一般的ですが、『ギガンティック ドライブ』では地上にいる人間を操作し、その人物が遠隔で巨大メカを操縦するという仕組みになっていました。
操作方法も非常に素晴らしく、メカを四肢ごとに細かく動かしていく必要がありました。ショルダーボタンで左右それぞれの脚を前後に動かし、デュアルアナログスティックで両腕を操作するというものでした。
物語では、さまざまな巨大メカを駆使してエイリアンの侵略を食い止めていきます。各バトルではメカを非常に細かく操作しながら、巨大な拳で巨大エイリアンの顔面を殴りつけることができました。
私はこのゲームを職場の同僚たちに見せたことをよく覚えていますが、皆その見た目に驚いており、一緒にマルチプレイも楽しみました。
そのため、『gen ATLAS』でメカそのものではなく、人間の視点からメカを操作するという要素を目にしたとき、『ギガンティック ドライブ』を友人たちと遊んだ頃の素晴らしい思い出がよみがえり、とても懐かしい気持ちを覚えることになったのです。
サンドロットという開発会社をもっと知る

この作品をきっかけに、私はサンドロットという個性的なゲーム開発会社についてもっと知りたいと思うようになりました。そこで、初代PlayStation向けの『リモートコントロールダンディ』や、当時発売されたばかりだった『地球防衛軍』シリーズの存在を知りました。
その数年後には、当時放送されていた新作アニメに合わせて『鉄人28号』の素晴らしいゲームも発売されました。この作品では『ギガンティック ドライブ』よりも操作が洗練されており、非常に気持ちよく遊べました。
また、ニンテンドーDSの『超操縦メカ MG』を遊んだこともよく覚えており、この作品でも独特で個性的な操作方法を大いに楽しみました。
その後まもなく新たな『地球防衛軍』が発売され、第1ミッションの舞台がロンドンで、ビッグ・ベンを破壊できたことも印象に残っています。
さらに、『鉄甲機ミカヅキ』のサウンドトラックも購入しました。そこにはサンドロットが制作したPlayStation 2向けの小さなゲームが収録されていたからです。
いずれにしても、この頃には私はすっかりサンドロットのファンになっており、その後何年にもわたって同社が手がけた作品の多くを楽しんできました。
残念ながら、同社は現在では純粋なメカゲームを制作しなくなってしまいましたが、それらのエッセンスをところどころに引き継いだ『地球防衛軍』シリーズはいまも作られ続けており、どの作品も本当に楽しく遊べます。
海外での少し変わった歩み

多くの日本のメカゲームと同様に、サンドロットの作品もすべてが海外で発売されたわけではありません。しかし、『ギガンティック ドライブ』は2002年末にアメリカで『Robot Alchemic Drive』というタイトルで発売されました。
その独特な内容から、海外では少数ながらも非常に熱心なファンコミュニティが生まれ、このゲームを心から愛する人たちが集まるようになりました。
しかし、その一方で、海外ではあまり好まれない複雑な操作性が理由となり、このゲームを高く評価しない人も少なくありませんでした。
2003年に初代『地球防衛軍』が海外で発売された際には、『Monster Attack』というタイトルになっており、それが『ギガンティック ドライブ』と同じ開発会社による作品だと気づいていた人は多くありませんでした。
実際のところ、サンドロットという開発会社が海外で広く注目されるようになったのは、『地球防衛軍3』が2007年に『Earth Defense Force 2017』としてアメリカで発売されてからでした。しかし、それ以前の同社のメカゲームの歴史については、残念ながらほとんど顧みられることはありませんでした。
実際、当時私はゲームメディアの同業者たちにサンドロットの過去の作品について話していましたが、彼らはあまり興味を示しませんでした。というのも、自分たちが何か「新しいもの」を発見したと思いたかったからです。
残念ながら、このような姿勢はいまでも海外のゲームメディアには根強く残っています。
サンドロットを称え、その作品を紹介し続ける
海外でのこうした状況に私はかなり不満を感じていたため、かつて存在したGameSetWatchというウェブサイトで、メカゲームを扱う連載コラムを書くようになりました。そのコラムのタイトルは「Roboto-chan」で、初期の記事のひとつではサンドロットとその作品を取り上げました。
その後、このサイトはGamasutraに吸収されて閉鎖されましたが、私は多くの記事を自身のメカゲーム専門サイト「Mecha Damashii」に保存しました。
私は、さまざまなゲームがどのような背景から生まれたのか、そして各スタジオの歴史を理解することは本当に重要だと考えています。
これはフロム・ソフトウェアのような会社にも当てはまります。現代の海外ファンの多くは、同社がかつて手がけていたメカゲームについて、実際のところほとんど知りません。
『gen ATLAS』とこれから
もちろん『gen ATLAS』はサンドロットが開発したり関わったりしている作品ではありませんが、私は同社がかつて手がけたメカゲームの系譜が、この新作にも受け継がれているように感じています。
私が唯一気になっているのは、本作の操作があまり複雑になりすぎないことです。海外でゲームを展開しようとする際、この点は日本の開発会社の多くが苦戦しがちな部分でもあります。
いずれにしても、巨大なメカを遠隔操作するというゲーム体験は、昔から非常に楽しいものでした。『gen ATLAS』の成功を心から願っていますし、本作が開発チームの望むだけ多くのプレイヤーに届くことを期待しています。
オリー氏とともに「ロボゲー」を作ることに興味のあるスタジオや団体は、この記事の末尾にある氏のプロフィールから個別に問い合わせていただけますと幸いです。








