気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Siscia Games開発、PC向けに4月10日にリリースされた街づくりシミュレーション『Pompeii: The Legacy』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、古代都市のポンペイを舞台とした街づくりシミュレーション。西暦79年に起きたベスビオ火山の大噴火から20年後の世界で、灰に包まれた街を再建するのが目標です。プレイヤーはローマ帝国の階級社会の抗争を切り抜けつつ、人々を導いていきます。日本語にも対応済み。
『Pompeii: The Legacy』は、2,450円(7月10日までは44%オフの1,372円)で配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Željkoこんにちは!Željko Kosです。クロアチアにあるSiscia Gamesの創設者です。私は25年以上プロとしてゲーム開発に携わっており、これまでに『Starpoint Gemini』や『Patron』、『Aquatico』といったタイトルの開発に参加してきました。
『Pompeii: The Legacy』は、私にとって初めての完全なるソロプロジェクトになります。この作品では、ゲームデザイン、エンジンのプログラミング、多くのゲームシステムの構築を自ら行い、アーティスト、作曲家、翻訳者、声優陣との調整も担当しました。
亡き任天堂の社長、岩田聡氏の言葉を少し言い換えるなら、「私はゲーム開発者です。しかし、心はゲーマーです」といったところでしょうか。(訳注:岩田氏の言葉は「私の名刺には社長と書かれていますが、頭の中はゲーム開発者です。しかし、心はゲーマーです」)
人生の大部分においてゲームをプレイしてきたため、一番好きなゲームを1つだけ選ぶのはほぼ不可能です。ただ、自分に最も大きな衝撃を与えた作品を挙げるとすれば、コモドール64の初代『Elite』、『The Elder Scrolls III: Morrowind』、『Heroes of Might and Magic III』、坂口博信氏が手がけた昔の『ファイナルファンタジー』シリーズ、『ドラゴンクエスト』、そして初代『ゼノブレイド』です。また、都市開発ゲームも大好きなので、『Caesar III』と『Pharaoh』からも多大な影響を受けました。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Željko私が作りたかったのは、リアルさを感じられつつも、楽しく、かつリラックスしてプレイできるローマを舞台とした都市開発ゲームです。プレイヤーは単に建物を配置するだけでなく、給水システム、物流、交易、教育、医療、そして市民たちの日常生活にまで頭を巡らせる必要があります。
また、本作のキャンペーンモードでは、数十年間にわたる一連のストーリーが描かれます。プレイヤーは、あの大噴火後のポンペイを再建していく中で、同じ一族の何世代にもわたる歩みを追体験していくことになるのです。
本作における私の目標は、クラシックな都市開発ゲームが持つゲームプレイの奥深さと、しっかりとしたストーリーテリングを融合させることでした。それによって、どこか懐かしくもありながら、同時に新鮮さも感じられる作品を生み出したいと考えたのです。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Željkoもちろんです。先ほどもお話ししたように、『Caesar III』や『Pharaoh』、『Zeus』、そして『Emperor: Rise of the Middle Kingdom』といったクラシックな都市開発ゲームからは、多大な影響を受けています。
また、私は映画やテレビドラマも大好きで、本作の開発中にはゲームの雰囲気作りのために多くの作品を観直しました。「グラディエーター」や「ROME[ローマ]」、「ポンペイ」といった有名な作品はもちろん、「ベン・ハー」や「スパルタカス」といった時代を超えた名作も含まれます。
そして、私のお気に入りの一つが、日本の作品である「テルマエ・ロマエ」です。ローマの浴場を通じて古代ローマと現代の日本を実に見事に結びつけており、そのアイデアは非常に巧妙で、信じられないほど面白いと思いました。
もちろん、私はそうしたインスピレーションの源をただ再現したかったわけではありません。その代わり、多くのゲームシステムを現代風にアレンジし、生産チェーンを拡張し、何世代にもわたる物語を紡ぎ、プレイヤーがより大きな自由度を持って都市を建設できるようにしようと試みました。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Željko開発期間のすべてが、私にとってとても印象的でした。というのも、3年近くの間、ほぼ毎日のようにこのプロジェクトに取り組んできたからです。ソロ開発者であるということは、あらゆるバグ、すべてのデザイン決定、そしてどんな成功も、最終的にはすべて自分自身の責任になるということを意味します。
開発の中で最も楽しかったことの一つは、声優の皆さんとの仕事でした。その期間は、しばらく「ソロ開発者の靴」を脱ぎ捨てて、ただコードを書く代わりに、才能あふれる方々とコミュニケーションを取ることに時間を費やすことができたのです。声優さんたちの多くが本当に感情を込めて演技してくださり、自分が生み出したキャラクターたちに命が吹き込まれる瞬間を耳にしたのは、忘れられない経験となりました。
もう一つの忘れられない瞬間は、リリース後に訪れました。プレイヤーの皆さんが、本作を何十時間もプレイした後に、自分たちの作った美しい都市のスクリーンショットをシェアしてくれたり、詳細なフィードバックを書いてくれたりし始めたのです。何年もかけて作り上げたものを人々が楽しんでくれているのを目にするのは、開発者が受け取ることのできる最高の報酬の一つですね。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Željko全体として、反響は非常にポジティブなものです。多くのプレイヤーが本作の雰囲気やビジュアル、そして特にキャンペーンモードを高く評価してくれており、「都市開発ゲームとしてはユニークだ」と言っていただいています。
最も印象に残っているフィードバックは、巨大な都市を建設するために何十時間も本作をプレイし、ゲーム内のあらゆるシステムについて詳細なレポートを書いてくれたプレイヤーたちからのものです。そうした皆さんからの提案は、すでに多くの改善へとつながっており、いくつかのアップデートはコミュニティのフィードバックから直接着想を得て実装したものです。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Željko今後も無料のコンテンツアップデートと、遊びやすさ向上につながる改善の両面で、本作のサポートを継続していく予定です。私にとってコミュニティからのフィードバックは極めて重要であるため、Steamのディスカッション、レビュー、そしてバグ報告にはすべて丁寧に目を通しています。
今後予定している大型アップデートの一つとして、壁や塔、門の追加など、都市管理における「防衛面」のさらなる拡張を予定しています。また、ゲームプレイのバランス調整の継続や、要望の多い機能の追加、既存システムのブラッシュアップにも取り組んでいくつもりです。
それと同時に、次回作となる、宇宙を舞台にしたシングルプレイヤーRPG『Farlane』の開発にも着手しました。とはいえ、『Pompeii: The Legacy』のアップデートもまだまだ長期にわたって続けていきますし、この作品を最高の形に仕上げたいと思っています。
――本作の日本語対応について教えてください。
Željko本作はすでに日本語に完全対応しています。
本作の日本語訳は、私の家族の一員でもある日本語のネイティブスピーカーが手がけてくれました。彼女は単にテキストを翻訳するだけでなく、本作に登場するたくさんの表現を日本語としてより自然になるようローカライズしてくれたのです。時々、オリジナルの英語テキストよりも日本語版の方が上手く表現できていると感じることすらあるほどです!
もちろん、完璧な翻訳というものは存在しません。もし日本のプレイヤーの皆さんが誤訳を見つけたり、改善のための提案があったりしましたら、メールでご連絡いただければ幸いです。本作をより良いものにする機会があるなら、いつでも喜んで対応いたします。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Željkoもちろんです!プレイヤーの皆さんは、YouTubeやTwitchなどのプラットフォームで『Pompeii: The Legacy』の動画を配信したり、録画したり、さらには収益化したりと、自由に楽しんでいただけます。
クリエイターの皆さんがプレイしている姿を見ることは、人々がどのように本作の様々なチャレンジにアプローチしているのかを知るための最良の方法の一つですし、新しいプレイヤーの方々に本作を知ってもらう素晴らしいきっかけにもなります。ご自身の体験を他の人々と共有してくれるすべての方に、いつも心から感謝しています。
そのため、本作内で使用されている音楽やその他のあらゆるアセットについては、すべて適切にライセンスを取得しているか、あるいは『Pompeii: The Legacy』のために制作されたものであり、私自身が必要な権利をすべて所有している状態にしています。クリエイターの皆さんが、著作権の申し立てやコンテンツの削除を心配することなく、安心して動画制作を楽しめるようにすることが私の目標です。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Željko本インタビューをお読みいただき、ありがとうございました。クロアチアの小さなインディーデベロッパーが作った都市開発ゲームに、日本のプレイヤーの皆さんが興味を持ってくださることは、私にとって本当に大きな意味を持っています。
皆さんが古代ポンペイの再建を楽しみ、プレイした後にその感想を聞かせてくださることを心から願っています。皆さんからのフィードバックは今後のアップデートの助けになりますし、受け取るメッセージの一つひとつが、本作をより良くし続けようという私の大きなモチベーションになっています。
また、現在開発を進めている私の次回作、シングルプレイヤー向け宇宙RPG『Farlane』にも、ぜひ注目していただけると嬉しいです。
最後に、私は来年、再び日本を訪れることを今からとても楽しみにしています。日本はゲームやその文化を通じて、長年にわたり私にインスピレーションを与え続けてくれている国であり、また日本に行けることを楽しみにしています。皆さんのサポートに、心から感謝いたします!
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に900を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








