
自動生成やパーマデス(一度死ぬとすべてを失う)など、さまざまな要素が絡み合い、何度遊んでも楽しむことのできるゲームジャンル「ローグライク/ローグライト」。今回の「げむすぱローグライク/ローグライト部」第36回では、MogDogBlog Productionsが開発・販売を手がけるインフレパチンコ風ローグライト『Nubby's Number Factory』をご紹介します。
『Nubby's Number Factory』とは
まず最初に言っておきますが、本作は今までのローグライク/ローグライト特集において「もっともローグライトらしくないローグライト」です。筆者も、Game*Spark編集部から本作の記事を提案されるまで全くこのゲームの存在を知りませんでした。
でも、遊び続けていくうちに「ああ、これは間違いなくローグライトだ!」という確信に至ったゲームでもあります。果たしてどんなゲームなのか、見ていくとしましょう。

本作の主役は「Nubby」と呼ばれるボール。プレイヤーができることは、方向を決めて「Nubby」を落とすことだけです。

ステージの下には「Peg」と呼ばれるブロックが配置されており、NubbyがPegや外壁に触れると反発して跳ね返り、Pegに記された得点が入って触ったPegの得点が半分になります。Nubbyが画面下に落ちるまでに、Pegに触れ回ってステージ規定点数以上を稼ぐことが本作の目的です。

Nubbyが画面を跳ね回る様子はピンボールにも近いのですが、ピンボールと違うのは一度Nubbyを発射するとそれ以降プレイヤーの介入要素はありません。放った球が落ちるまでの結果まで眺める……というのは、スマートボールやパチンコが近いかもしれません(筆者はパチンコに全く詳しくないので、的外れな例えだったらすみません)。

本作をローグライトたらしめるのが「アイテム」の存在です。一定ステージごとにアイテムが購入でき、例えば「Flaming Skull」というアイテムはNubbyが画面外に落ちたとき、10%の確率で画面全体のPegに爆発を起こし得点を稼ぐ(もしNubbyが最後の残機だった場合、40%の確率で発動する)という効果を持っています。

さらに「Peak」(特典)の存在も組み合わせることで、アイテムの可能性が広がります。例えば、「The Springy Peak」という特典はNubbyが跳ねる度に、5%の確率でアイテムスロット5番のアイテムを強制発動させるという効果を持ちます。Nubbyはもちろん跳ねまくるので、例えばこの特典を得て「Flaming Skull」をアイテムスロット5番に置けば、Nubbyが落ちずともたまに画面全体のPegの爆発を起こすことができます。

これらのアイテムと特典の組み合わせで、ステージクリアのための無数の戦略が生まれます。この莫大な組み合わせと、ゲーム自体の小気味良さが、思わずこのゲームを何度もプレイしたい……!と思わせる、まさしく「ローグライト」なゲームに本作は仕上がっているのです。
アイテムやブロック配置運も絡むが、戦略がハマったときの快感は異常

本作はクレーンゲームのミニゲームもあります。クレーンゲームとは言え、本作ではカプセルを掴んだ後に落とすことはないので、実質取得できるアイテム種別を選択できるガチャのようなものです。

クレーンゲームで鍵を手に入れると訪れることができるブラックマーケットでは、「壊れたアイテム」(Collapted Item)を得ることができます。これは強制発動ができない代わりに、強烈な癖のある効果を持つアイテムが手に入るというもので、例えば「Mannequin Head」というアイテムはステージ開始後初めてNubbyがPegに接触した際、クリアスコアノルマを30%減らすがステージ全体のPegの得点が半減するというアイテムです。

普通にプレイするとこれはステージ全体から得られる得点を半減させる、使い道の難しいアイテムなのですが、「最初に接触したPegの点数はそのまま手に入る」ので、初手で高い点数のPegにぶつけると以降の展開が有利になります。なお、「左に置いたアイテムをコピーする」アイテムを隣に置くと、目標スコア3割減→さらに3割減……と繰り返され、最初のPegの接触点数だけでクリアスコアに届くこともしばしば。さらにこのアイテムで下がった目標スコアは、Nubbyが落ちてもリセットされないので(もしかしたらバグかも)、わざとNubbyを落とす→下がりに下がった目標スコアで高スコアPegに一撃を加え目標スコアの数倍を達成、目標スコア超過ボーナスによるエクステンドでNubbyを補充……というほぼ無限ループもできます。

そんなテクニカルな組み合わせを狙わずとも、例えば「直接フィールドに物体を降らせてPegを攻撃する」系統のアイテムは単純に強力です。アイテムと特典の組み合わせ次第では、Pegを襲う弾幕を降らせることも可能です。

上手くアイテムの選択がハマってこうした弾幕ビルドが出来上がると、ただただ「爽快」の一言です。
序盤はアイテムも特典も思うように揃わず、(各ステージ1度Pegの配置リセットができるとはいえ)Peg配置次第ではなかなか目標スコアに届かずでゲームオーバーになることも珍しくありません。
しかしながらその分ステージを圧倒するようなビルドが出来上がると、苦労した分だけ爽快感があります。この緩急のバランスが絶妙で、思わず何度もプレイしたくなる、「ローグライト」なゲームに仕上がっています。

「本当にこんな単純そうなゲームがローグライトとして成り立ってるの?」と思う方もいるかもしれませんが、筆者的にはこの作品は間違いなく「ローグライト」です。ステージクリアで稼いだポイントでキャラクターをアンロックする仕組みもありますし。
単純なゲームかもしれませんが、気付くとすっかりハマってしまっている……まさに本作、そんな感覚が味わえるゲームですよ。
『Nubby's Number Factory』は、PC(Steam)にて580円で販売中です。無料デモ版も用意されています。日本語には対応していません……が、極端に難しい英語力や操作を必要とするゲームではないので、ある程度体当たりで何とかなると筆者は思います。












