Game*Sparkレビュー:『UNBEATABLE』ギターを鳴らせ、世界を壊せ、そして | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

Game*Sparkレビュー:『UNBEATABLE』ギターを鳴らせ、世界を壊せ、そして

キミの夢が叶うのは、誰かのおかげじゃないぜ

連載・特集 Game*Sparkレビュー
Game*Sparkレビュー:『UNBEATABLE』ギターを鳴らせ、世界を壊せ、そして
  • Game*Sparkレビュー:『UNBEATABLE』ギターを鳴らせ、世界を壊せ、そして
  • Game*Sparkレビュー:『UNBEATABLE』ギターを鳴らせ、世界を壊せ、そして
  • Game*Sparkレビュー:『UNBEATABLE』ギターを鳴らせ、世界を壊せ、そして
  • Game*Sparkレビュー:『UNBEATABLE』ギターを鳴らせ、世界を壊せ、そして
  • Game*Sparkレビュー:『UNBEATABLE』ギターを鳴らせ、世界を壊せ、そして
  • Game*Sparkレビュー:『UNBEATABLE』ギターを鳴らせ、世界を壊せ、そして
  • Game*Sparkレビュー:『UNBEATABLE』ギターを鳴らせ、世界を壊せ、そして
  • Game*Sparkレビュー:『UNBEATABLE』ギターを鳴らせ、世界を壊せ、そして

A GAME WHERE MUSIC IS ILLEGAL AND YOU DO CRIMES音楽が違法の世界で、犯罪を冒すゲーム)」。『UNBEATABLE』というゲームを一言で表す際に、この文句ほどふさわしいものはないでしょう。プレイヤーが『UNBEATABLE』の世界で起こすのは犯罪であり、反乱であり、そして革命です。

本作は、ケレン味溢れる演出とストーリー、そしてリズムゲームを「超クールなバンドサウンド」によってまとめ上げた一作といえます。本作は決して完璧ではないものの、音楽、特に荒削りなインディー・ロックが好きなゲーマーには心惹かれるものがあるはずです。

本レビューでは、そんな『UNBEATABLE』というゲームの魅力を余すことなくお伝えします。

舞台は、文字通り「音楽が重大な犯罪となった」世界。主人公である「Beat」は、水色のギブソン レスポール・スタンダードを持ってこの世界に迷い込みます。迷い込んだ先で出会ったのは、「Quaver」という少女。彼女はかつてロックバンドとして名を馳せた「ONE MORE FINAL」のボーカルの忘れ形見で、母の幻影を追い、バンドを組もうとしていました。彼女たちは「Clef」と「Treble」という双子と出会い、「UNBEATABLE」というバンドを結成して、この世界に反抗していくこととなります。

シンプルながら飽きのこないリズムゲーム

本作は、端的に言ってしまえば『Muse Dash』ライクのリズムゲームです。リズムゲーム中、基本的に押すボタンは2つのみ。シーケンスによっては1ボタンのみで済むものもあり、操作はかなりシンプルです。

操作はシンプルですが、UIは非常にバリエーションがあり、飽きのこないデザインになっています。例えば基本となるこの画面でも、レーンが左右に分かれており、どちらの方向からノーツが飛んでくるのか油断できません。

また、敵キャラを倒すシーケンスでは、敵の攻撃に合わせてノーツを捌くUIに。ゲーム性としては先述したものと同じですが、UIの変化によってかなり遊び心地も変化していきます。

そのほか、特定のシーケンスではバッティングゲームや、『ジェットセットラジオ』さながらにフィールドを飛び回るリズムゲームも実装。こちらは操作が1ボタンのみで非常にシンプルながら、タイミングがシビアで非常に遊びごたえがあります。とにかく様々な手法で「リズムゲーム」を遊ばせようという開発側のサービス精神がうかがえます。

ただ、左右に分かれたレーンに逐一画面がズームすることによって、直前のノーツが視認しづらい、などの課題点もありました。これは「真面目にリズムゲームを遊びたい」プレイヤーにとっては厳しい課題です。フルコンボを目指すにはレーンの画面変化も含めて覚えていくのが良さそうです。また、細かなバグも多いのも残念なポイント。とはいえ、こちらはパッチアップデートによって対応され始めているため、今後改善が期待できるポイントでしょう。

「フリクリ」を想起させる、ケレン味の溢れる演出

本作を語るうえで欠かせないのが、ケレン味溢れるゲーム内演出です。ゲーム内のカットシーンはもちろん、シーケンス一つ一つをとっても非常にクールな演出がなされています。これは本作があくまで「リズムゲーム」であることも大いに関係しています。

見ているだけで脳汁の溢れる気持ちの良いカット割りと、カットシーンと完全に融合したリズムゲームパート、そしてそれらの軸となるBGM。これは音楽を主軸として、プレイヤーにリズムを刻ませるリズムゲームだからこそ編み出せた手法でしょう。

率直に言って本作をプレイしている間、筆者の頭の中には「フリクリ」の四文字が浮かんでいました。「フリクリ」はガイナックスが2000年に発表したOVAシリーズ。ロックバンドthe pillowsの音楽に合わせ軽妙なカット割りをドライブさせた同作は、国内外でカルト的な人気を集めました。本作と同様に、音楽を主軸としたアニメ制作が行われていたわけです。実際、本作の各話タイトルにもthe pillowsの楽曲タイトルが引用されており、その影響がうかがえます。

本作は現状英語表示のみ対応ですが、この演出を体験するだけでも十分に本作の面白さを感じることができるでしょう。

軽妙でウィットに富んだ会話劇

とは言っても、本作は会話劇も魅力的。ウィットに富んだ言い回しを楽しむことができます。例えば、本作の敵である「HARM」のビルを襲撃する際の会話。

「It's like if you have huge boobs and you try to look at your feet.(あんたにでっかいおっぱいが付いてるとして、足元を見ようとしてみるようなもんよ)」「And the building is… the boobs…(つまり、ビルが…おっぱいね…)」「So… we could be the feet.(だから…あたしたちが足元になればいい)」

「わざわざその例えにしなくても!」という面白さと、微妙に気まずそうにするClefがなんとも面白い一幕です。

次に、BeatとQuaverの会話。「UNBEATABLE」のメンバーを家族だと思うQuaverに対して、「あたしがママって意味じゃないといいけど」と返すBeat。それに対してQuaverは、「ママはTrebleね」と返します。急にママにされるTrebleが不憫な一幕ですね。

そのほか、会話だけでなく、字幕による注釈がつくのも本作の面白さ。街中にバンドのポスターを貼りまわろうとするBeatとQuaverに対して、「band posters are surprisingly effective at screwing with facists.(バンドポスターは、ファシストを混乱させるのに驚くほど効果的だ)」と注釈がつきます。こうした型破りな演出も本作の面白いポイントです。

世界、そして己の内面と戦う物語

本作のストーリーもまた、魅力的です。主人公Beatを始めとしたバンド「UNBEATABLE」は、音楽を犯罪として取り締まる謎の組織「HARM」と戦うこととなります。そしてその戦いは、いつしかBeat自身の内面や過去のトラウマとの戦いにも展開していくのです。

とはいえネタバレをしても面白くないので、本記事では彼女たちのバンド「UNBEATABLE」が歌う楽曲を少し紹介します。楽曲の歌詞を読み込んでいくと、Beatの心情やストーリーのバックボーンを確かに感じることができるのです。ちなみに、バンド「UNBEATABLE」の作中作「ALBUM.」はBandcampにてプレオーダーを受付中。一部の楽曲も試聴することが可能です。

まず紹介するのは、彼女たちが初めてバンドで演奏する「WAITING」。「UNBEATABLE」結成の狼煙を上げた楽曲です。楽曲全体の、前へ前へと進むドライブ感はもちろんのこと、歌詞を読んでいくとBeatの持つ反抗心が全面に表れていることがわかります。

i'm bursting out like a fractured battery
(ひび割れた電池みたいに爆発しそう)

leaking out what's been stuck inside of me
(溜め込んでたものが溢れ出す)

UNBEATABLE「WAITING」

鬱屈とした感情を一気に吐き出すように、Beatは歌います。さらに注目したいのはサビのフレーズ。

i've had enough i'm breaking out
(もうたくさん、あたしは抜け出す)

i'm waiting no more, no waiting
(もう何も待たない、何も)

i'm fighting a way out of the haze
(霞の中の出口を探して戦ってる)

i'm waiting no more on you
(もうあなたなんか待たない)

i'm so sick and tired of watching trains pass by the day
(毎日電車が通り過ぎるのを見送るのはうんざり)

so i am
(だから)

waiting no more, waiting no more on you
(もう待たない、あなたなんか待たない)

UNBEATABLE「WAITING」

この歌詞を読めば、Beatが抑圧的な世界に対して、そして何より停滞した自身の内面に対して宣戦布告をしている事がわかるでしょう。中でも「毎日電車が通り過ぎるのを見送るのはうんざり」というフレーズが印象的です。Beatたちはこの楽曲とともに、バンドとしての道を走り出すこととなります。

続いて注目したいのは、同じく「ALBUM.」に収録されている「MIRROR」。爽やかに駆け抜けるギターリフとともに、ここではBeatの持つ苦悩が表されています。

i'm staring at a mirror of myself
(鏡の中の自分をじっと見つめてる)

all i see is someone else
(見えるのは誰か他人の顔)

call my name and ask for help (i feel fine)
(あたしの名前を呼んで、助けを求めてる(あたしは大丈夫))

UNBEATABLE「MIRROR」

鏡の中の自分を、どうしても自分と感じられない。そして、その悲鳴をどこか他人事として感じてしまう。いつしか感情が麻痺してしまった自分自身を、Beatは歌っています。そしてそれを、彼女は克服しようとするのです。

despite the dark out there, there's a light we share
(外が暗かろうと、あたしたちには光がある)

That cuts through all of the doubt we tell ourselves that we can't bear
(それは耐えられないと思ってた嘘もすべて切り裂いて)

give your voice a shout, your soul wants to be loud
(声を張り上げろ、魂は叫びたがってる)

don't be scared of drowning out the crowd and hearing your new sound
(あいつらの声なんて恐れないで、あなたの声を聴かせて)

UNBEATABLE「MIRROR」

ここでの「you」は、他でもないBeat自身のことでしょう。鏡に向かって、自分を奮い立たせ、愛そうとする姿が克明に描かれています。本作を既にプレイしたプレイヤーならニヤリと笑ってしまうでしょうし、そうでなくともこの感動は共有できるでしょう。「声を張り上げろ、魂は叫びたがってる」という直球なメッセージがなんともかっこいい一曲です。

本作の魅力は、バンド「UNBEATABLE」の楽曲のメッセージ性にもあります。もちろんそのまま聴くだけでも十分に楽しめますし、本作をプレイした後に楽曲を聴き返しても、また違った発見があるでしょう。

いつまでも遊べるアーケードモード

そのほか、本作は「アーケードモード」も実装。本作に登場した楽曲や、そのリミックスをリズムゲームで楽しむことができます。

楽曲はストーリーを進めることでも解放できますし、各楽曲のクリア状況によっても解放されます。総楽曲数は通常版のみでも76曲(!)。別途DLCの「Breakout Edition」を購入することで11曲が追加され、総勢87曲を楽しむことができます。また、楽曲は今後のアップデートにより追加予定で、いつまでも楽しむことができそうです。

なお、本作の楽曲制作にはデベロッパーであるD-CELL GAMESサウンドチームのほかに、『Celeste』や『マインクラフト』のサウンドトラックで有名なLena Raine、気鋭のボーカロイドPであるJamie Paige、日本からはkamome sanoなどが参加。多様で豪華な楽曲群を楽しむことができます。

総評

『UNBEATABLE』は、遊び応えのあるリズムゲームと重厚なストーリー、ケレン味溢れる演出が一気に味わえる作品となりました。そしてこれらの要素を一本にまとめているのが、「UNBEATABLE」というバンドの楽曲群、つまり「音楽」であるのも面白い作品です。本作は現状英語表示のみの対応ですが、音楽、そしてバンドが好きなゲーマーにはぜひプレイして欲しい一作です。

Game*Spark レビュー 『UNBEATABLE』 PC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S 2025年12月10日

リズムゲーム、ストーリー、クールな演出を「バンドサウンド」でまとめ上げた一作

GOOD

  • カジュアルながら遊び応えのあるリズムゲーム
  • 革命を描くストーリーとケレン味のある演出
  • カッコよすぎる音楽と読み応えのある歌詞

BAD

  • 真面目にリズムゲームをするのには向いていない
  • 細かなバグが多い
  • ストーリーが少し飛び飛び
ライター:タキトウ ハル,編集:みお

ライター/ゲームも音楽も大好きな雑食ゲーマー タキトウ ハル

ローグライクとダンスミュージックが大好き。Redditのゲーマーコミュニティをよくチェックしています。

+ 続きを読む

編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

+ 続きを読む
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top