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『Daemon X Machina: Titanic Scion』が“隠れた名作”だと私が感じる理由―オリーさんの2025年発売おすすめロボゲ【オリーさんのロボゲーコラム】

パワードスーツも立派な「メカ」である。

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『Daemon X Machina: Titanic Scion』が“隠れた名作”だと私が感じる理由―オリーさんの2025年発売おすすめロボゲ【オリーさんのロボゲーコラム】
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先日、『アーマード・コア』シリーズへの独自の視点からの言及をきっかけに、多くの日本人から「ロボゲー・ロボアニメ詳しすぎな外国人」として知られるようになったオリー・バーダー氏。実は、氏はゲームやアニメを中心として日本サブカルを海外に長年伝えてきた記者であり、様々なタイトルにかかわってきたゲームクリエイターでした。


弊誌の取材に対して、そんな氏がこぼした最近の悩みと言えば「ロボゲーを作らせてくれるスタジオが見つからない!」ということなのだそう。そこで、本稿では、氏の文章を通じて、氏のもつ「ロボゲー・ロボアニメ」への視点や美学の一端をお伝えしていきたいと思います。


私が昨年プレイしたゲームの中でも、特に印象に残っている作品の一つが『Daemon X Machina: Titanic Scion』です。本作はやや野心的すぎた面があると指摘されることもありますが、それでもなお、あらゆるゲーマーの注目に値する作品だと私は考えています。

まず、私はニンテンドースイッチ版の初代『Daemon X Machina』が大好きでした。クラシックな『アーマード・コア』シリーズを思わせるプレイ感覚でありながら、キャラクター描写により重点が置かれていた点が非常に魅力的でした。正直に言えば、少なくとも英語版のストーリーは理解しづらい部分もありましたが、ゲームプレイそのものの楽しさや、河森正治氏による卓越したメカデザインには強く惹かれました。

スイッチ向けタイトルであったこともあり、本作は確かなファン層を獲得し、比較的限られた予算規模でありながらも、予想以上に好調な売り上げを記録しました。そのため、『Titanic Scion』の発表を知ったとき、私は非常に大きな期待を抱いたことを今でもよく覚えています。

さて、全体的に見て、『Titanic Scion』は前作から大きく二つの点で変化を遂げました。一つ目は、前作に登場した大型のアーセナルが、より小型のパワードスーツへとスケールダウンされた点です。そして二つ目は、ゲーム構造がオープンワールド形式へと移行した点でした。

海外ではパワードスーツが必ずしも「メカ」とは見なされない理由

前者についてですが、本作が従来のメカ作品らしいアプローチを捨てたと感じ、失望した人々も一定数存在しました。この点を理解するうえで重要なのは、日本国外では「メカ」「ロボット」「パワードスーツ」という言葉が、それぞれより明確に異なる意味を持って使い分けられているということです。(この使い分けの詳細については、今後のコラムで取り上げる予定です)

言うまでもなく、日本においてはパワードスーツはメカ文化を構成する重要な要素の一つです。梶田達二――正確には宮武一貴氏と加藤直之氏による『宇宙の戦士』小説版のオリジナル・パワードスーツ・デザインは、このジャンルを代表する決定的な存在として正当に評価されています。その影響力は非常に大きく、昨年日本各地を巡回した「日本の巨大ロボット群像」でも、これらのデザインは大きく取り上げられていました。なお、その展示会には、私自身もほんのわずかではありますが関わらせていただきました

しかしながら、日本国外ではこうした背景知識は広く知られているとは言えず、その結果として、この変更を快く思わない声の大きい少数派が存在しました。中には、これらの小型化されたデザインについて「これはメカではない」とまで主張する人々もいたのです。

非常に高い戦闘力を備えた小型メカが大型メカより弱い、ということはない

『Titanic Scion』における小型化されたアーセナルについて問題視された点の一つは、海外の一部ファンが、このパワードスーツとなったアーセナルが、初代『Daemon X Machina』に登場した大型メカとしてのアーセナルよりも実際には弱いのではないか(戦闘の規模もスケールダウンした)と考えていたことでした。

そこで私は、この仮説を検証してみることにしました。その結果、標準的な二丁持ちアサルトライフル構成を用いた場合、新たに登場したアーセナルは、サイズが小さいにもかかわらず、少なくとも従来のものの2倍以上の火力を持っていることが分かりました。

比較方法としては、両作品においてほぼ同様の装備構成でガンフォートを撃破し、撃破までに要した時間を確認しました。初代作品ではおよそ3分程度かかっていたのに対し、『Titanic Scion』では90秒未満で破壊することができました。

もちろん、この検証方法は決して厳密でも科学的なものでもないことは認めますが、それでも『Titanic Scion』において、新しいアーセナルが大型の敵をこれほど短時間で撃破できたことには、大きな驚きを覚えました。

また、到達するまでに数時間を要したものの、ゲーム内の隠しボスとの戦闘も非常に楽しむことができました。

オープンワールド構成を楽しむということ

そうした点を踏まえたうえで、もう一つの大きな変更点であるオープンワールド化は、総じて非常に素晴らしい試みだったと思います。ただし、個人的にはやや野心的すぎた面もあったのではないかと感じています。

というのも、本作における最大の課題は、一度にあまりにも多くの要素を詰め込みすぎた点にあります。『Titanic Scion』の導入部分(オンボーディング)も非常に簡素で、新規プレイヤーに対して、本作が持つ複雑かつ相互に絡み合った多数のゲームシステムを十分に理解させるには不十分だったように思われます。

しかしながら、本作がプレイヤー自身のペースでその複雑さを学べるよう、全体として非常に穏やかな設計になっていた点については、高く評価しています。ゲームが持つ多面的な奥行きを自ら発見していく過程そのものが、体験の一部として機能していたからです。

一方で、個人的には、カードゲームなど一部の要素を削減し、その分ストーリーへの注力や、オープンワールドマップにおけるより作り込まれた専用ミッションの追加に力を注いでいれば、さらに完成度が高まったのではないかとも強く感じています。

後者については、ややプロシージャル生成を思わせる要素が見受けられ、私自身は特に気にならなかったものの、人によっては「安っぽい」と受け取られてしまう可能性がある点も否めません。

結局のところ、限られた人数と予算で本格的なオープンワールド作品を制作しようとした以上、こうした汎用的なコンテンツがある程度避けられなかったのは事実でしょう。しかし、より明確な方向性と焦点を定めた演出によって、それらをうまく目立たなくすることはできたのではないか、というのが私の率直な感想です。

素晴らしいメカデザインと「光の剣」

本作において特に完成度が高かった点として、やはり河森正治氏によるメカデザインの素晴らしさが挙げられます。以前、本作について同氏にインタビューした際にも、小型化されたメカには、より「ヒロイック」なアプローチが必要であることを強く意識してデザインされたと語られており、その理解の深さには大いに感銘を受けました。

本稿執筆時点で、私はスイッチ2版をおよそ200時間ほどプレイしており、ほぼすべての要素を解放し、新たに追加されたDLCもすべて遊び尽くしています。本作は私にとって2025年のトップ10ゲームの一つでもあり、他の方々に自信を持っておすすめできる作品です。

個人的には、より強力なアサルトライフルのバリエーションがもう少し欲しかったところですが、「クラウ・ソラス(Claíomh Solais)」の追加には思わず頬が緩みました。日本ではしばしば「日本のゲームは日本だけを見て作るべきだ」という声を耳にしますが、『Titanic Scion』の開発チームが、明らかに高い国際的教養を備えた方々であることを知り、私はむしろ安心感を覚えました。

というのも、クラウ・ソラスはアイルランドの古い民間伝承に登場する伝説の剣であり、いわゆる「光の剣」です。それを知っているという事実そのものが、称賛に値する国際的な文化理解の深さを示していると感じます。

英国出身の人間として、私はこの新しいアーセナルにクラウ・ソラスを装備できることを大変嬉しく思っています。強力で独特なレーザーブレードであるという理由はもちろんですが、それ以上に、このような武器がゲームの中に存在していること自体が、世界が文化的により近づいていると感じさせてくれるからです。

総括すると、この伝説の「光の剣」と同様に、『Titanic Scion』は真のダイヤモンドのように輝き、きらめく作品です。そして私もまた、多くのファンと同じように、本シリーズの次回作を心から楽しみにしています。


オリー氏とともに「ロボゲー」を作ることに興味のあるスタジオや団体は、この記事の末尾にある氏のプロフィールから個別に問い合わせていただけますと幸いです。


ライター:オリー・バーダー,編集:Akira Horie》



ライター/ゲームデザイナーであり、Forbes の寄稿者、そしてどうやら「日本のメカ専門家」。 オリー・バーダー

オリー・バーダーは、日本のゲーム業界やポップカルチャー全般を取材・執筆しており、日本のクリエイターへの数多くのインタビューも行っています。また、メカ系ゲーム専門サイト「Mecha Damashii」を創設し、パブリッシングおよび開発の両分野において、20年以上にわたるゲーム業界での豊富な経験を有しています。

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Akira Horie

編集/『ウィザードリィ外伝 五つの試練』Steam/Nintendo Switch好評発売中! Akira Horie

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