『BrokenLore: UNFOLLOW』は、Serafini Productionsが開発し、松竹ゲームズがパブリッシャーを担うサイコホラーアドベンチャーゲームです。
『BrokenLore』はSerafini Productionsが展開しているホラーシリーズで、本作はその3作目に当たります。シェアワールド形式を取っており、共通して登場する組織やキャラクターが存在していながらも、各作品ごとにストーリーラインは独立しているため、本作から始めても問題ありません。
本稿では、そんな『BrokenLore: UNFOLLOW』の数字付きレビューをお届け。プレイにあたって、Steamキーの提供を受けています。なお物語の核心には触れないものの、若干のネタバレを含むためご注意ください。また、本作はホラーゲームであり取り扱っている題材上、ショッキングな描写を含みます。
工夫の見られる手堅い探索とチェイス

本作は一人称視点アドベンチャーで、主人公「アン」が見知らぬ家で目覚めるところから始まります。脱出を目指して探索を進めるうち、様々なドキュメントを読んで徐々に背景が明らかになるという、典型的なサイコホラーの開幕です。
まず本作の優れた点として、集めたドキュメント類をメニュー画面からいつでも見返せます。物語を振り返る上でも、時にパズルを解く上でも、こうした機能はありがたいものです。

さて、背後で突如ドアが閉まるといった演出もホラーではまた定番ですが、閉まった後の進行は少し独特。
通常であれば鍵のかかったドアを見つけ、それに対応する鍵を探すという流れになりますが、ここでは何か特定の行動をするとドアが開くという形が続き、何を探すのか、何がきっかけで進めるようになるのか、それらがやや不明瞭です。
ただ探索範囲が広くないため迷うというほどではなく、置かれた状況の不気味さを引き立てるのに一役買っています。

そうして進むうちに不気味な仮面の人物が現れ、逃走することに。相手の奥にある扉を目指し、時にしゃがんでステルスし、時に走って逃げる定番のチェイスが始まります。
不意に始まるチェイスの恐怖、ステルスの緊張感が組み合わさり、スリリングな場面が展開されます。

とはいえ、一人称視点におけるチェイスは鬼門。背を向け逃げるということは、追ってくる脅威を画面に入れないということであり、捕まる瞬間も見られず理不尽になりがちです。
また、追われるという恐怖は原始的な反応であり強力ですが、一本調子でもあります。本作もチェイスが行われるエリアでは隠れられる箇所や迂回できる構造が読みやすい上、敵が通れない隙間を通って逃走成功となりがちで、かつ回数も多いため次第に恐怖は薄れていきます。
しかし、来た道を逃げ帰るはずなのに形状が変わったり、折り返し階段で敵が見えたりと、一定の工夫は見られます。

それから再び探索とチェイスを挟み、巨大なミミズのような怪物と遭遇。空腹の怪物のために3つの材料を集め料理を作り、食べさせることで先に進めます。
この怪物は摂食障害の象徴であり、主人公の恐怖たる材料を食べさせることで本作は前に進んでいきます。

ここまでが、本作の基本的なゲームループです。章ごとに様々な異界へ入り、探索とチェイスを繰り返します。
第1章では探索→チェイス→チェイス→探索でしたが、章によっては探索→チェイス→探索→チェイスと順序を変えたり、簡単なパズルを挟んだりと変化をつけ、恐怖に慣れさせないようにしています。

またビジュアルはシリーズ共通の美点で、この価格帯のインディーホラーとしては安っぽさがなく、雰囲気があります。クリーチャーデザインも優れていますが、それだけにチェイスによりあまり眺められないのが惜しいところです。
BGMも耳をつんざくほどの重低音が雰囲気を盛り上げており、敵に見つかると激しいものに変わる、足音で接近を感じられるなど、サウンドデザインもきちんとしています。

物足りなさがあるもののSNSを題材とした優れた演出
本作で最も独特かつ素晴らしいのは、SNSを題材とした演出でしょう。ゲーム開始時から画面隅にはフォロワー数が表示されており、盛り上がる場面では増え、行き詰まっていると減るなど、ライブ配信をしているような緊張感があります。
また、作中では2回大きな選択肢が登場しますが、ここで残酷な選択を取れば激増、取らなければ激減し、悪意としてのSNSの描写として類を見ないものがあります。


とりわけ、病院を舞台にした章ではコメント機能がオンになり、視聴者が好き勝手コメントするように。謎解きに行き詰まっていると徐々に指示コメントがヒントを出し始め、最終的にはネタバレを行ったり、退屈な展開には叩きコメントをしたりと、面白いものとなっています。
また主人公の憧れとして、実在するインフルエンサー・Akidearestさんが出演。上述したコメントのアイコンとしても様々な実際の配信者が使われているなど、SNS面はユニークかつ力の入った要素となっています。

本作はSNSの闇を題材にしています。しかし、実のところストーリーとしては、こうした悪意を増幅する装置としてのSNSはあまり描かれていません。
親の虐待、学校でのイジメから来る激しい自己嫌悪に陥った主人公が、SNSでの承認欲求に囚われる描写はありますが、SNS上での出来事よりも手前の経緯に重きが置かれています。SNSの悪意が主人公を追い詰めるというより、追い詰められた主人公がSNSに依存するという構図です。
また、様々な社会問題を扱ってはいるものの、ひとつひとつを深く掘り下げているというものではありません。それはそれで良いのですが、SNSを介した演出が卓越していただけに、そちらに主眼を置いたストーリーを見てみたかったところです。

そして『BrokenLore』シリーズの良いところでもあり悪いところでもあるのですが、シリーズ共通の設定や要素が多く登場するものの、ひとつひとつの中ですべての収拾がつくわけではないため、散漫な印象を受けます。
たとえば本作でも、繰り返し視聴することになる映像や、クリアと関係のない収集要素があります。それらは過去作をプレイしていればシリーズ全体の世界観の一部であることが分かり、考察の余地ではあるのですが、本作単体で見た際には雑味に感じられるのです。
一方で、こうした繋がりがシリーズに対する関心を惹起するものでもあり、かつゲーム単位で終わらせず考えさせる部分でもあるため、今後の展開によってそれらの評価が変わる可能性も大いにあるでしょう。

総評
『BrokenLore: UNFOLLOW』は、総じて優れた雰囲気と演出を持ちつつ、遊びや物語の面では少しガチャガチャした印象があるという点で『BrokenLore』シリーズらしい1作です。過去作に比べ、質量ともに大幅に向上しました。
サイコホラーとしても水準を満たしており、シリーズ未経験者が最初に遊ぶ1本にも良いでしょう。恐怖の面ではジャンプスケアはじめショッカー描写が多く、苦手な方は注意が必要ですが、安っぽい使い方はしていないためホラー好きならばきっと楽しめます。

開発元・Serafini Productionsは、約1年前の『BrokenLore: LOW | 霧雨村』から3作目となる本作までハイペースにリリースしていながら、どれも独特かつ良質な作品を繰り出しています。
すでに本作の前日譚である『BrokenLore: FOLLOW』はじめ数多くの作品が発表済みであり、今後の展開にも大いに期待させられるところです。
Game*Spark レビュー 『BrokenLore: UNFOLLOW』 PC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S 2026年1月16日
『BrokenLore』最高傑作といえる良質なサイコホラー
-
GOOD
- 高品質なビジュアル&サウンド
- 工夫の見られるホラー演出
- 独自性のあるSNS描写
BAD
- 典型すぎるきらいのある展開
- 1作単体で閉じきらない煮え切らなさ















