アケコン、ハンコン、エリコン……この世にはありとあらゆるゲームのコントローラーが存在します。
ゲーマーたるもの、好きなコントローラーのひとつやふたつあるものですが、とある男はそのコントローラー自体に魅せられ、世界中のコントローラーを集めているそう。
何故彼はそこまでコントローラーにこだわるのか……? いったい、どんなコントローラーを集めているのか? とても気になったので、今回はコントローラー収集家でRTA解説者のぼぶそんさんに、“コントローラー収集の世界”にまつわるお話を聞いてみました。
150ものコントローラーを所有中のぼぶそんさん
――自己紹介をお願いします。
ぼぶそん:ぼぶそんといいます。ゲームコレクターやRTAイベントでの解説請負として活動しており、6年前くらいからコントローラーや周辺機器を中心に集めています。
――今どのくらいの数のコントローラーを保有しているのですか?
ぼぶそん:150くらいでしょうか。正確に数えてませんが、去年の引越しで荷造りした時に、思ったよりあってビックリしました。
――イチオシの変なコントローラーを教えてください。
ぼぶそん:ボタンが一列で、十字キーが左にある謎コントローラーです。メーカーも名称も不明で、常識が一切通用しない感じが最高に好きですね。
調べたら、昔に中国通販サイトで買えたらしいので、ワンオフの改造品とかではなく本当に製品として存在していたようです。

――そもそも、どうしてコントローラーを集めようと思ったのですか?
ぼぶそん:周りやネットを見ても、コントローラー収集をやっている人がほぼ居なかったんですよね。自分の性格上、すでに分かっていることや、先の道が見えているものはのめり込めなくって。
もともと1人でゲームコレクターもどきをしていた頃から、ソフトでも周辺機器でも変なものを集めるのが好きだったんです。芸能人がやたら出てくるゲームや、プラモデルのロボが複数個ついてくるゲームとか。
ただある時から、関西のゲームコレクターの方々と仲良くさせていただいていて。そうしたら、皆さんとてつもなくレベルが高くって、ファミコンとかハード単位でソフトをコンプリートしてる人が何人もいるし、バージョン違いや非売品とか……とにかくとんでもないレベルの話をしてるんですよ。
自分がこれから努力してもついていけないし、ついていっても分かってることだらけじゃ熱くなれない。話を聞くのは楽しいけれど、ゲームコレクターは辞めようかなと思ってました。
でもある日、そんな方々とゲームショップに行ったときに、壁に掛けられた変なコントローラーが目に入ったんです。で、コレが何か聞いたら当然教えてもらえるだろうと思ったら、「わかんない」って言われたんですよ。その瞬間、「この道の先には面白い事が待ってるかも!」と感じ、コントローラーと周辺機器の収集に乗り出しました。
――コントローラー収集を始めて気づいたことや、面白かったことはなんですか?
ぼぶそん:思ったより、変なコントローラーや周辺機器が大量にあるってことですね。
ソフトと違って立体造形物なので、製造コストは高いはずなのに変な形のものが出てくるわ出てくるわ(笑)。機能を突き詰めた結果、機能美に至るものから、明後日の方に飛んでいったものなど……。非正規品や日本未発売の品も含めるとすごい数になりますね。
あと、ハードや時代毎の特性が見えてくるのも楽しいんです。例えば、横展開してるコントローラーを比較すると、ハード毎のイメージカラーをどうしてるのかが分かります。プレイステーションなら灰色でメガドライブなら黒色。でも、ドリームキャストやPCはどうしてるかとか。
ちなみに個人的にですが、一番広く横展開してる特殊コントローラーは『電車でGO』だと思っていて、ここをつぶさに見るだけでも面白いですよ。時代の流れだと、PS3/PS4くらいの頃から、非純正コントローラーを持つ目的が、楽しく遊ぶ道具から勝つための道具に変わったと感じています。
推測ですが、この頃からチャレンジングなソフトが減って、楽しさを追求する専用コントローラーも減ったこと、そしてハードのネット接続が当たり前になり、FPSと格闘ゲームのネット対戦が普及したことで、楽しむより勝つための道具としてのコントローラーが求められたのが大きいと考えています。

奥深い『電車でGO』コントローラーの世界……!
――『電車でGO』のコントローラーについて、もう少しお聞かせください。
ぼぶそん:『電車でGO』シリーズは幅広くかつ長く販売されていた上に、コントローラーの“カラーリング”の価値が低いので各ハードの個性を受けやすいんです。後に出た、車両モチーフ系になると話は違うのですけれどね。
似たところだと音楽ゲーム、特に『DanceDanceRevolution』のマットコントローラーも該当するのですが、元のデザインが強すぎて、ハード毎における色の変化は控えめです。
対して『電車でGO』のコントローラーは色の必然性が低いので、ハード毎の差別化として、本体やハンドルの色が細かく変わってます。

左上:電車でGO 旅情編 右上:電車でGO PC用
左中:電車でGO N64用 右中:電車でGO セガサターン用
左下:左が電車でGOのカードゲーム、右2つがプライズ向け電車でGOの懐中時計
右下:電車でGO PS用 ゴールドエディション
自分の知る限り、最初に出たのはPS版で、本体が黒でハンドルはグレーのものです。ゲームのイメージカラーである緑は、一切使われてないのが印象的ですね。
問題は、後から出たニンテンドー64版。本体カラーが黒なので、素直にいくとただ被りしてしまう。そこで本体の黒はそのまま、追加でハンドルの一部を黒にして、少しだけN64寄りになっているというデザインです。PC版も本体は黒ですが、ハンドルが黄色と茶の組み合わせで、少しおもちゃっぽくなってます。
一度ハード毎に差別化する風潮ができたせいで、後続がなんとか変化を加えようとしてるところに制作意図が感じられて、同じシリーズのコントローラーなのに面白いですよね。
――なるほど。こういったコントローラーを集めるにあたり、ハードルが高いなと感じるのはどのようなときですか。
ぼぶそん:カタログ情報がほぼないときですね。カタログがないと、メーカー単位の集約情報は当然のこと、発売年月日もほぼ不明になってしまいます。雑誌で特集や広告として載ることも稀なので、全体的に存在自体が謎なコントローラーがあるんです。
だからこそ、お店に行ったりオークションサイトを巡回したりして情報を稼ぐのが大事だし、突然の出会いに喜びを感じられるのは楽しいですね。
「実物と人脈に勝るものはない」―コレクターの気持ちと今後の抱負
――ハードルの高さに関連してですが、買ったときに一番テンションが上がったコントローラーは何でしたか?
ぼぶそん:イチオシで挙げた、ボタン一列の謎コントローラーですね。最初にとあるサイトで見かけて一目惚れしたけれど、それ以上の情報が一切出てこない! なんとか文を捻り出したり画像で検索したりしても、状況は変わらずで絶望しましたね。
コレクターをやってて痛感するのですが、インターネットって実は役に立たないことが多いんですよ。集合知たる情報しかないし、間違っている話も多い。結局、実物と人脈に勝るものはない。
このコントローラーも、5年間くらい探していると色々なところで言っていたら、ある日突然知り合いから「ヤフオクでそれっぽいの見かけたぞ!?」という連絡をもらって、急いで落札しました。ちなみに、落札価格は2,000円で入札は自分1人だけ。激レアだけれど需要も値段も低いのはザラ、これもコレクターあるあるですね。
――今、目をつけてるコントローラーは何ですか?
ぼぶそん:単品だと、Wii用のサードパーティ製『DJ Hero』コントローラーですね。

『DJ Hero』は、その名の通りDJを題材にした海外展開のみの音楽ゲームシリーズです。展開機種はPS3/XBOX360/Wiiで、それぞれの機種にてDJプレイヤー型の専用コントローラーが公式販売されていました。
ただ、なぜかWiiだけサードパーティー製の『DJ Hero』コントローラーがあったようで、販売サイトのサムネイル画像が見つかっています。公式が黒とシルバーで、リッチかつカッコいい配色をしているのに対し、こっちは白を基調として青のラインが入った爽やかな配色で、しっかりWiiというハードらしいファミリー層を意識したデザインになっているのがとても良い。
そもそも『DJ Hero』は私の好きなゲームということもあってかなり欲しいのですが、全く情報がない! 少しでもWii版のサードパーティー製コントローラーについて知っている方がいましたら、ぜひぼぶそんのXへご連絡ください!

他に目をつけているものだと、海外のQuickShot社が90年代に出していたコントローラーですね。
QuickShotは海外の老舗コントローラー会社で、今も最新ハード向けのコントローラー関連製品を出しています。そこが昔に出していた製品が個性的な上に、デザインが海外らしくて堪らないんですよ。
バイクハンドル型、両手持ちなのにアーケードスティック付き、水平計測器付きのフライトシミュコンなど……。個性だけでも面白いのに、それらが黒を基調に、ポイントの赤と青が映えるデザインで統一されていてカッコいいんです。複数個まとめて飾りたくなる!

――実際に使ってみて、一番良かったコントローラーは何ですか?
ぼぶそん:私が集めているコントローラーは実用性を求めていないし、むしろ使いづらい方が嬉しいので難しい質問ですね。そういう意味では、最新ハードの正規品コントローラーはよくできているなと思います。冒険も妥協もしすぎず、最大公約数なところに落とし込んでいる。
個人的に、コントローラーは使っているうちに透明になるのがひとつの理想だと思ってます。ゲームとプレイヤーをつなぐ存在なので、自然と手足のように使えて、ストレスがかからないのはとても大事です。
あと、そういう優れた汎用品があるからこそ、どう頑張っても透明にならないような、私の大好きな変なコントローラーたちが輝くのも忘れてはいけませんね。
――アーケードコントローラーや、ハンドルコントローラーも集めていますか? またそうであれば、どのようなものが良かったですか?
ぼぶそん:どちらも高いし重いしかさばるので、よほどのことがないと買わないようにしてます。手持ちのアーケードコントローラーで一番好きなのは『DEAD OR ALIVE 5』用のもので、なんとアナログスティックがついてます。
おそらく3Dモデルの鑑賞モード用なのですが、「そこまでするか!」って作り込みの気合いに感銘して買いました。


――保存には気を遣っていますか?
ぼぶそん:カビや湿気などの環境管理が要らないのは良いですね。でも、写真を撮るためにとあるコントローラーを久々に開けたら、スティックのゴムの部分がカビていて残念でした……。
あと、管理面ではサイズがマチマチなのが大変です。包装形式が箱でもブリスターでも規格なんてないので、雑多に詰め込んで保管することになるから、高確率で行方不明のやつが出てきます。大きいやつも同じ感じなので、とにかく収まりが悪いです。なにか良い管理方法はないかと常に悩んでいます。
――今後の抱負についてお聞かせください。
ぼぶそん:コレクションを披露する活動を増やしていきたいです。これまで自分はコレクターの先輩方から、知識・物・機会など本当にあらゆるものを頂きました。
なので今度は自分が渡す番として、ここ最近はコレクションを公開する活動を増やしています。そうして成果を見せることで恩返しと同時に、「ゲームコレクターという趣味はソフトコンプリートを目指すだけじゃない、もっと気持ちの赴くまま、好きにやっていいんだ」という事が広く伝われば嬉しいです。
――ありがとうございました!
イチオシの変なコントローラーから、保存方法に至るまで、さまざまなお話を聞くことができました。
特にコレクターを目指すことになったきっかけが面白く、趣味にも色々な入り口があるんだなと感じます。激レアな物品が意外と二束三文で売られているところにもときめきました。
今後もヤバすぎるコントローラーをもりもり集めてくれることを期待します!
¥14,692
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)













