経済産業省が主催するクリエイター支援プログラム「創風」。採択クリエイターが手がける20作品の最終成果発表会が2026年2月20日に開催されました。
本記事では、採択作品の中から『Mount Lomyst ロミスト山のてっぺん』のプレイレポートをお届けします。
ジャンプできないからこそ面白い、リアルな登山体験
本作は山の麓から静かに始まります。序盤はフックショットの基本的な使い方を学ぶチュートリアルを兼ねていますが、標高が上がるにつれて地形は過酷さを増していきます。
主人公がロミスト山の頂を目指すために使うのは、射出される「フックショット」と、壁に張り付く「壁登り」アクションのみ。フックをどの位置で引っ掛け、その勢いを利用して次の足場へどう飛び移るか。画面の向こうに広がるのは単なるステージではなく「攻略すべき斜面」そのものです。ドット絵で描かれた静謐ながらもどこか厳しい山の雰囲気は「自分は今、孤独な登山に挑んでいるのだ」という臨場感で、時間を忘れてプレイしてしまう没入感があります。

ジャンプボタンに甘えないという大胆な設計のもとでは、従来の2Dアクションの常識を一度捨て去る必要があります。この世界独自の物理法則に身を委ねましょう。


基本的な流れは「地形の観察」「ルートの構築」「実行と修正」の繰り返しです。動くギミックや、フックが刺さらない脆い壁や風の影響を受けるエリアなど、山は刻一刻と表情を変えてプレイヤーを阻みます。

一度のミスで大幅に高度を下げてしまうリスクは常に付きまといますが、チェックポイントの配置やリトライのテンポが非常に良いため「もう一度だけ、あそこまで」とつい手が伸びてしまう中毒性があります。これまでの苦労が報われ頂上に近づくにつれてより複雑に変化していくステージは、リアルの登山を思わせる体験となるでしょう。
フックショットがもたらす緊張と緩和
本作をプレイして印象的だったのは操作キャラクターに宿る重さの表現です。ジャンプできないことに加え、壁を登り続けているとスタミナが切れて落ちてしまうといった常に重力との戦いを強いられます。
フックショットは単にロープをかけるだけでなく、スイングの頂点でリリースした際の慣性の乗り方が非常に精緻に作られています。最初は思うように進めず、崖下へ真っ逆さまに落ちることもあるでしょう。次第に操作に慣れてくると、複数のフックポイントをリズム良く繋いで空を舞うように崖を駆け上がることができるようになります。この「自分の技術が上達し、山を支配していく感覚」こそが醍醐味です。

敵やNPCは存在せず、物語は背景や環境から読み取る形式となっており、登ることに純粋に向き合うこととなります。低難度なゲームではありませんが、理不尽さは感じませんでした。何度も自分の操作と進むべきルートを見直し、克服した時の「次はこうすれば行ける!」という発見の連続でつい手が止まらなくなってしまいます。

指先に全神経を集中させ岩肌にしがみつき、一歩ずつ頂上へと近づく――効率的なルートを見つけ出した時の知的興奮と、アクションを完璧に成功させた時の爽快感。この二つが高いレベルで融合した『Mount Lomyst』は、歯ごたえのあるアクションを求める人は、シンプルかつシビアな登山体験に挑戦してみてはいかがでしょうか?
『Mount Lomyst ロミスト山のてっぺん』はPC(Steam)にて2026年中旬以降に発売予定です。












