
3月14日に東京新宿のヨドバシカメラ 新宿西口本店のゲーム館にて開催された、シティコネクションのベルトスクロールアクション最新作『RUSHING BEAT X: Return Of Brawl Brothers(ラッシング・ビートX リターン・オブ・ブロウル・ブラザーズ)』の体験会。
今回はこのイベントの取材に加え、本作の開発に関わったシティコネクション社長の吉川延宏氏と開発ディレクターの渡辺敬氏にインタビューを行いました。様々なことが語られたインタビューの模様をお届けします。
道行く人が続々プレイしていた体験会
『ラッシング・ビートX』の体験会は午前11時からスタートしました。ヨドバシカメラ新宿西口本店のゲーム館では、道路側に大型ディスプレイ2台とニンテンドースイッチ2を使った試遊台を設置。朝からの試遊にもかかわらず、すでにプレイヤーの姿が見られました。中には、親子連れの姿も。




店先にはリック・ノートンとダグラス・ビルド、そして新キャラであるカルアのパネルが設置。さらに店内には発売日を告げるポスターやトレイラーを流し続けるディスプレイ、専用コーナー、各プラットフォームコーナー別の映像展示など『ラッシング・ビートX』関連のものがありとあらゆる形で宣伝されていました。








さらに、試遊台近くには本作の数量限定版の中身である、スチールブックやCD付きブックレットも展示。加えて『ラッシング・ビートX』ゲーム内にてコラボしているドムドムハンバーガーのどむぞうくんぬいぐるみも置いた気合の入れようです。



メイド服姿の敵キャラが登場したのはなぜ?吉川氏と渡辺氏に聴く発売直前の『ラッシング・ビートX』の細かいところ

――いよいよ発売を迎えます!今の気持ちを教えてください。
渡辺敬氏(以下、渡辺): ようやく発売できる!という気持ちです。店頭で広告が出たり、イベントでのカウントダウンをみると、世に出てくる実感が出てきました。「(リリースされたら)どんな反応がもらえるのだろう」と緊張しています。
吉川延宏氏(以下、吉川): 今までのタイトルは発売数か月前にマスターアップすると一安心すると共に、発売初週が勝負であるという思いがありました。しかし、このタイトルに関しては発売以降で売上を伸ばすためのスタート地点という一般的な考え方でマーケティングを行います。(シティコネクションとしては)初めての試みです。
本作は既存シリーズの新作でありつつも、新規IPに限りなく近いため、限定版を予約するような往年のファン向けというより、発売後にSteamを筆頭とした各プラットフォームのセールなどを通じて新規層に向けたマーケティングを行うタイトルであることは理解しています。
――『ラッシング・ビートX』は2023年に発表してから約3年経過しての発売となりました。発表から発売までの間に、大きく変化した要素などはありますか?
渡辺氏: ベルトスクロールアクションにおいて3年という期間は長い開発年数だと思います。手広く沢山の部分に変更が加わりましたが、大きな変更点はアクションの手触りです。「気持ちよくアクションが繋がるにはどうしたらいいのだろう?」と何度かスクラップ&ビルドで大きく作り直しました。
他にも、キッチンカーのシステムに関する部分を何度も作り直しました。なぜならベルトスクロールアクションは、RPGやハクスラのように同じ場所を何度も往復してランダムで多くの食材を手に入れられるのでなく、一方通行なため必ず手に入れられる素材数が決まっているからです。そのためランダム性を強くしづらいのです。それでもランダム感を出すために試行錯誤を重ね、何度も作り直しました。

――なるほど。アイテムのランダム性といえば、ベルトスクロールアクションは1クレジットクリアを狙うとなると、アイテム配置を覚える必要があります。ランダム性が強いとなると覚える意義が薄れてしまうため、何度も作り直したのはキッチンカー要素と合わせても納得できます。調整したのは敵を奥に投げて入手出来るアイテムも含めてですか?
渡辺氏: そういった事を含めてアイテム配置は苦労しましたね。『ラッシング・ビートX』の奥に投げる独自要素はプレイヤーに気付いてほしいため、アイテムを多く仕込むことはプランナーと事前に調整しておきました。また、出現するアイテムはお金をメインに置いたほうが、敵を奥に投げて物を壊すことに意識が向くように調整し、完成版に仕上げました。。
――また、先程語られていた操作性についての質問です。プレビュービルドをプレイしたところ、連打コンボとオートコンボにプレイ感の差が小さいと思いました。どのような調整があったのでしょう?
渡辺氏: オートコンボ自体は開発の中期ぐらいに構想として入りました。それまでは、連打コンボでキャンセルできる技を調整していたのですが、オートコンボを入れようとなった時に、アニメーションを担当しているアニメーターが「こんな感じでいいんじゃない?」と意図を拾ってくれて実装してくれました。また、怒り状態でのリアクションが変わる時のズレはありますが、思ったより違和感がないように仕上げられました。
途中に無茶を言って、ボタンを押しっぱなしでも良いし、離して連打しても良い、レバー入力を入れても良いし…、と派生の要望を色々出したら苦い顔をされてしまいました(笑)。しかし、導入したら良くなったので「ありがとう!」と言いたいですね。

――本作のプレビュービルドをプレイしたところ、敵キャラクターにゾンビや等身大ロボ、ドローンが登場するなど、過去作と違うように思えました。今回の敵には、どんなコンセプトがあるのでしょうか?
渡辺氏: 敵キャラのデザインやバリエーションは、ストーリーの流れが固まる前から一部決まっていました。例えばロボットだったり、ゾンビだったり……。

吉川氏: ゾンビは私からの提案でした。
渡辺氏: また、さまざまな理由があり、登場する敵キャラは先に決めていました。先述した通り、後からストーリーのプロットを決めた流れもあって、プロットの関係上登場した敵キャラもいれば、「最初からこういうキャラが存在した方が良いよね」という敵キャラもありました。ロボットなどは、過去作に登場するメタルフレームのデザインを踏襲していたりなど、ストーリーに合わせたデザインにしています。
またゾンビは、後付け設定ではありますが『ラッシング・ビート修羅』で登場するセルというカエル型モンスターへの変化前の姿にしました。(※編注 セルは人間の死体が新型覚醒剤・ジーカスに適応した姿。適応できないとゾンビになる)

吉川氏: アクションゲームにおいてゾンビが登場するなら、映画「Dawn of the Dead」的にショッピングモール×ゾンビという組み合わせは皆やりたいじゃないですか。それを、言いたい放題話せる開発着手前のタイミングで、コンセプトとして固めているときに言っていたから、そのまま残ってしまいました(笑)。
渡辺氏: (ゾンビとショッピングモールが登場することに)サウンドコンポーザーが凄くノリノリで、あのステージだけ館内放送が流れたりするなど、環境音が凄く多いのですよ。
――なるほど。ゾンビ登場にはそんな理由があったのですね。またショッピングモールは序盤のステージという理由もあると思いますが、かなり物が多いですよね。
渡辺氏: そうですね。「色々な物がリアクションする」というものは最初に覚えてもらうという意図がありました。
吉川氏: 私が大好きなカプコンの『デッドライジング』に登場する規模ほどのショッピングモールを表現するのは難しいですが、「他社はもっと凄いぞ!」と比較対象があることを言って開発期間を延ばしたような気がします。

渡辺氏: ショッピングモールとゾンビの組み合わせを、序盤に展開したのはある意味ラッキーでした。ゾンビものにおいて、ショッピングモールとゾンビの組み合わせになったら大量にゾンビを出したいじゃないですか。
一方で敵を大量に出すとレベルデザイン的にバランス調整が難しくなってしまうために、あまり攻撃してこない、数で押し切るようなデザインのゾンビになりました。序盤のステージでゲームプレイに慣れてもらうための敵という意味では良かったかなと思っています。
余談ではありますが、海外の方が火炎放射器を持たせてゾンビを攻撃するとゲラゲラ笑ってくれていました(笑)。

吉川氏: 北米の『ラッシング・ビート』ファンはホラーやメタル音楽的な文脈を持った人たちが沢山いて、それらの人たちをターゲットにしたところも当初から存在するコンセプトの一つですね。
渡辺氏: 火炎放射器で焼く、ありえない武器で殴る、敵が地面に頭から突き刺さるなど、面白おかしい演出というか、ちょっとコミカルなところは意識して入れるようにしていますね。
――本作は、1作目や2作目に比べてストーリーモードの比重が大きいです。なんとなくリック・ノートン達の物語の完結編な雰囲気も感じましたが、ストーリーとしてのテーマは何かあるのでしょうか?
渡辺氏: ストーリーのプロットは、後からゲームへ合流したために、当初のストーリーは全然違ったものでした。初期から『ラッシング・ビート乱』のキャラを使おうと構想し、もう少しストーリーは薄めだったのですが、続編として作品の魅力がなくなり、ベルトスクロールアクションの新しいタイトルが出ただけになってしまうのではないかと思ったんです。
吉川氏: 『ラッシング・ビート乱』と『ラッシング・ビート修羅』を繋ぐ話にしようと言うのは当初から決まっていて、シナリオを担当いただいた『スーパーロボット大戦』シリーズなどで知られる森住惣一郎氏に、その点お願いしました。
渡辺氏: 海外版のキャラや作品設定を逆輸入して、一本のお話にしてしまおうという意図で作られたのが今回のストーリーですね。
――なるほど。過去作に関わる物事への言及が何度も出てきたために、ここまで話をまとめようとしたように思えました。
渡辺氏: ちゃんと『ラッシング・ビート修羅』に繋がる伏線はステージ中盤や後半にも散りばめられているので、知っている人が見たらニヤリとする演出は多いかなと思います。
――ちなみに、今回の物語を駆動させるキャラは2作目のラスボス、アイスマン・ダイターの弟なのでしょうか?ネタバレにならない範囲で誕生理由を教えてください
渡辺氏: まず初代のジーカス・ウイルスの事件は、リック・ノートンとキンタークという初代ラスボスの絡みがありました。ただ2作目のラスボスであるアイスマン自体は明確なキャラ同士の絡みがないのですよね。


ただサイバークローン計画という設定を活かすとしたら、それの「アイスマンの意思を付いだやつがいた方が良いよね」ということで決まりました。そういうところから、アイスマンのキャラをベースにちょっと改良して出来上がったキャラクターです。
――加えて何度も登場するボスのジュリエットはどういった経緯で誕生したキャラでしょうか?また制作時にエピソードがあれば教えてください
渡辺氏: 僕の先輩に当たる荒井正広さんが「メイドを出してほしい」と要望が挙がったため、「どうやったら(そのアイデアを)活かせられるのだろう?」と思考を重ねた結果、エドガーの側近キャラクターとして設定しました。

吉川氏: 荒井さんは『スーチーパイ』シリーズや『ゲーム天国』を作ったディレクターで、今現在は別のプロジェクトを担当しています。
渡辺氏: ジュリエットは、デザインに僕の好みも入っています。ロングスカートは3Dだと表現に苦労しましたね。ジュリエットの登場タイミングは、森住氏にプロットを考えてもらったときに、「このタイミングでこのキャラが出てきた方が良い」と言えるぐらい細かく考えてくれていました。
そのため、「ステージの展開に合わせてそこに居てほしい」というゲーム側からの視点に合わせて出現タイミングを調整しました。ストーリーの時点で誰が、どのように絡むのかも設計されていました。
――なるほど。ジュリエットは要望から生まれたキャラだったのですね。ステージと言えば本作のステージは過去作をベースに刷新されたものが多数あります。3Dとして蘇らせるのに苦労した点はありますか?
渡辺氏: 僕が元々3Dデザイン出身ということもあったのですが、モーションを作るときに2Dより3Dの方が後々量産もしやすいだろうという予想していたこともあり、3Dでやりたいという希望はありました。ただ同時に2Dのような見た目にもしたかったんです。グラフィックに関しては、何回も方向性の調整を続けていましたね。


吉川氏: 本作は元々ドットで表現するプロジェクトとして立ち上げていました。当初は『ストリートファイターZERO2』のようなグラフィックで……と注文をつけていたのですが、半年から1年の間にもう違う表現で開発を進めたいと協議したため、その構想はなくなりました。
その間、Dotemuさんの『Teenage Mutant Ninja Turtles: Shredder's Revenge』や、Limited Run Gamesさんの『He-Man and the Masters of the Universe: Dragon Pearl of Destruction』などが登場して、当初構想していたグラフィックに似たものとなっているので、結果的に差別化出来たと思います。「考えていることは皆似ているのだな」と。
――ちなみにステージ3の中盤ではカメラが真横から切り替わり、斜めに映す箇所があったのですが、その要素を実現するための試行錯誤はあったのでしょうか?
渡辺氏: 3Dならではの特徴というのはカメラの向きが変わることだと思っています。なので、要所でカメラの向きを変えて奥行きのある演出を見せたりしたり、「ここは斜めに進むよ」というちょっとしたギミックや遊びというのは仕込みたいと思っていました。デモシーンのカメラワークを入れやすくなるので、そういったところが3Dの強みであることを入れたいと思っていました。

吉川氏: 大変で、たくさんやり直したよね。今回の『ラッシング・ビートX』はほぼ新規タイトルかつ内製であるため、開発期間は区切っていなかったんです。自分もアクションゲーム全般はコアに遊んでいますが、プレイヤーとしても社長としても手触り感覚のレベルで「このままじゃ出せないよね」というのはずっと言ってきました。期間として2年半ぐらいの時間をかけ、3回目の作り直しでようやく出せるようになりました。それまでは、ちょっと触れたら、それ以降触れることがないほど未熟だったのです。
自分が納得……というより、みんな同じ事を思っていたのではないかと思います。東京ゲームショウに初めて出展したときは、「これを本当に出すの?」みたいなコメントを多く貰っていましたから。
渡辺氏: もっさりしているとは言われていました。
吉川氏: あの時とは別物になっていますし、キビキビしたゲームではありませんが、自分は今の『ラッシング・ビートX』みたいなのが好みです。
渡辺氏: ようやく「こういった感触でプレイしたいんだ!」というバランスに落ち着いたかなと思います。
吉川氏: 後は、WASi303のSEが入ってから一気に化けた感触がありますね。3Dベルトスクロールアクションの参考として、アークシステムワークスさんの『ダブルドラゴン リヴァイヴ』やForever Entertainmentさんの『Night Slashers: Remake』、Pelikan13さんの『The Takeover』などを見てきましたが、本作はそれらとは全く違う爽快感を目指しました。
シティコネクションの移植やリメイクものだと、タイトル名とPVで大体ゲームプレイをイメージできるのですが、本作は触れてもらわないと面白さが伝わり辛い側面があります。触って貰えれば面白いと気に入っていただける自信はあります。本当にこれからですね。インフルエンサーなどを通じて、ゲームが動いている姿をどれだけ沢山の人に届けられるかなというのも重要なので、今日みたいなイベントも凄くありがたいです。
――触れてもらうという点で先の話に連なりますが、最新ビルドをベースとした体験版の配信は考えてはいますか?
渡辺氏: 最新ビルドの体験版自体は作ろうと思えば作れるのですが、広報と相談してからになります。また昨年の2025年には、Steam Nextフェスにて体験版を期間限定で配信しました。
吉川氏: (Steam Nextフェスにて体験版を配信して)ウィッシュリストも良く伸びました。
渡辺氏: (体験版配信やプレイアブル出展などを行って)意外に思ったこととしては、小さなお子さんも触れてくれるのが嬉しいです。お父さんの世代だったらジャンルを含めて「昔遊んだゲームじゃん!」という感じでプレイしてくれるかなと思ったら、親子で楽しんでいたり兄弟で楽しんでいたりと嬉しかったですね。
――これらのインタビュー内容を踏まえて本作の見どころや、注目ポイントはどこでしょうか?
渡辺氏: 注目ポイントはいっぱいあるのですが、『ラッシング・ビート』シリーズの最新作として、今までのシリーズがどのように繋がっていたのかを楽しめる設定となっているので、是非ストーリーも見てほしいです。
ゲームとしては、とにかく色々な技が繋がることです。敵を好きなだけお手玉にして遊べるという爽快感。操作に慣れれば慣れるほど、色々な事が出来るようなシステムになっているので、この気持ちよさを味わってもらいたいです。

吉川氏: 元々の設計思想として、ボタン連打で殴っていけばもちろん敵を倒せて進められるのですが、それだけではなくてフィニッシュを決める自由度を高くしようとしました。フィニッシュまでの連打コンボの分岐は、敵を浮かすだけでも、投げるだけでも、技のキャンセルからオーバーキルまで相当数あります。多彩なフィニッシュパターンはプレイしていると自分だけのパターンが生まれてくるため、フィニッシュパターンを沢山探して遊んでもらえたらと思います。
サウンドはシティコネクションに所属しているWASi303さんが担当しています。これまでの担当作品からシューティングゲームのイメージが強いと思いますが、彼はサクセス時代にシューティングゲームの曲をたくさん頼まれたから作っていただけで、他のジャンルの曲でも書ける人です。そういった意味でも音楽に力を入れています。
――最後に楽しみにしているユーザーに向けてメッセージをお願いします!
渡辺氏: もう本当にお待たせしてすいません!ずっと追いかけてくださっている方も僕の耳に入っていたり、社内でも当然共有はされているので、「待たせてしまって悪いなあ」と一言あります。その分、楽しめるものになったと思うので、あともうちょっとお待ち下さい。
吉川氏: ベルトスクロールアクションというか、アクションゲーム自体シティコネクションで手掛けるのは初めてです。もちろん、開発メンバーが前職などで作っていた人たちはいますが、会社として初めての試みなのでとても時間がかかってしまいました。
今回『ラッシング・ビートX』の評判がそれなりに良かったら、どんどんベルスクやアクションゲームを作りたいので買ってください!うちらに新作IPもののアクションゲームのリメイクや新作を沢山作る機会をください!っというのを強く言いたいです。いっぱい作ります。
日本においてベルスクを作れる会社はそこまで多くない一方で、ベルスクのIPを持つ会社はいっぱいあるので、「『ラッシング・ビートX』が良かったら、次はそこに頼んでみようかな」となれば良いと思っています。言うだけならタダなので、ぜひうちに作らせてほしいです。「天地を喰らうIII」とか……!?(笑)
今回『ラッシング・ビートX』を買って手にとって貰えれば未来が生まれます!
――ありがとうございました!

『RUSHING BEAT X: Return Of Brawl Brothers』は2026年3月19日にPC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S/ニンテンドースイッチ2向けに配信中です。













