気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、CodePeas開発、PC向けに3月3日に早期アクセスが開始された浸水対策シミュレーション『DrainSim』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、長雨の続くとある街を舞台に、様々な場所で発生している浸水箇所を道具片手に対策するシミュレーションゲーム。排水溝が詰まっていたら道具でゴミを取り除き、道が冠水していたら排水ポンプで汲み上げます。昼夜のサイクルや物理法則に基づいたリアルな水の挙動などが特徴。日本語にも対応済みです。
『DrainSim』は、2,000円で早期アクセス配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
KaiKai Rövekampです。ドイツ・ミュンヘンを拠点に、CodePeasという名前で活動しているソロ開発者です。主にUnreal Engineを使用したテクニカルアーティストとしての経歴があり、それ以前は主にBMWの様々なプロジェクトに携わっていました。
お気に入りのゲームは『Half-Life 2』です。このゲームには強い思い入れがあり、特に物理演算や世界の「実在感」が非常に印象的でした。数年前には、その開発過程を理解したいという思いから「Half-Life 2: Raising the Bar(訳注:2004年に発売された、『Half-Life 2』などの開発資料が収められた大型本。現在ではプレミア価格がついている)」まで購入したほどです。
とは言え、基本的には面白そうだと思えばジャンルを問わず、どんなゲームでもプレイしますよ。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Kai『DrainSim』は、洪水に見舞われた環境を掃除するゲームです。水を取り除き、瓦礫を片付け、土を掘り進め、ポンプや障壁を設置して水の流れをコントロールします。
このアイデアは、4~5年前に洪水後の片付けや排水溝の詰まりを解消する動画をたくさん見ていた時に思いつきました。そうした状況で水が動く様子を見るのは、まるで催眠術にかかったような感覚があり、これはゲームとしても面白いのではないかと考えたのです。
また、みんな「穴を掘る」ことが大好きですよね。シンプルではありますが、ゲーム全体のサイクルに深みを与えてくれます。
他のゲームとの決定的な違いは、水が単なる「視覚的な演出」ではないという点です。水はプレイヤーが実際に対処し、計画を立てるべき対象なのです。そのため、本作では単に同じ動作を繰り返すのではなく、「どう解決するか」を考えることが重要になります。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Kai「掃除をしていく満足感」という点では、間違いなく『PowerWash Simulator』から影響を受けています。また、主に物理演算を利用してプレイヤーが自分なりの解決策を作り出せるという点において、『Teardown』からも大きなインスピレーションを得ました。
ミッションに向けて準備を整える「ガレージ拠点」については、『Teardown』や『Phasmophobia』のような、現場に乗り込む前に装備を整えるゲームを参考にしています。
私にとって重要だったのは、何か一つのシステムに固執するのではなく、こうした様々なアイデアを組み合わせて「水」というテーマに集約させることでした。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Kaiおそらく水のシミュレーションがようやく安定して、何より「楽しい」と感じられた時ですね。それまでは、正直これが本当に形になるのかどうか全く確信が持てていませんでした。挙動がとにかく予測不能で、それを前提に何かをデザインすること自体が極めて困難だったのです。
しばらくの間は、ゲームを作っているというより、システムと格闘しているような気分でした。しかしそれが解決してからは、すべてがずっとスムーズに進むようになり、ようやくステージ作りやゲームプレイの開発そのものに集中できるようになったのです。
――早期アクセス開始後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Kaiあまりに長い間このゲームを作っているせいで、私はある意味「盲目状態」になってしまっていました。「満足感を得られるプレイサイクルがまだ十分じゃないんじゃないか」と思い続け、もっともっと良くしようと自分を追い込み続けていたのです。
そのため、実際に多くのプレイヤーが「プレイしていて気持ちいい」と書いてくれているのを見たときは、本当に驚きました。現在ある低評価のレビューでさえ、そのほとんどは「もっとコンテンツを増やしてほしい」という要望にすぎません。これはすでに開発を進めていることなので、むしろ大きなモチベーションになっています。低評価をつけている人でさえ、本作の核となる部分は気に入ってくれているようです。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Kai今はとにかく、コンテンツの拡充がメインです。もっと多くのマップ、もっと多くのツール、そしてもっと多くの「やるべきこと」…それこそが今、プレイヤーの皆さんが最も求めていることですからね。
同時に、戦略的な側面ももう少し強化したいと考えています。何かを解決する際に、常に「たった一つの正解」しかないという状態にはしたくないのです。
長期的には、シンプルなステージエディタの導入も考えていますが、まずは公式コンテンツのしっかりとした土台を築くことが先決だと思っています。あとはもちろん、パフォーマンスと安定性の向上については、常に継続して取り組んでいく課題ですね。
――本作では、なぜ、そして具体的にどのように生成AIの生成物を使用しましたか?また、生成AIについてはどのような感情を抱いていますか?
Kai開発の初期段階では、一部のボイスに生成AIを使用していました。当時は本作がこれほど注目されるとは思っていませんでしたし、手っ取り早く、かつ妥当な解決策だと思っていたのです。
ですが、リリース後にそれについて多くの否定的なフィードバックをいただきました。そこで、完成版のクオリティに見合うものではなかったということが、自分の中でもはっきりしたのです。それ以来、そうした音声のほとんどを実際に収録されたボイスに差し替えています。現時点でAI音声が残っているのはほんの2~3箇所だけで、それらもすでに差し替え作業を進めているところです。
開発中のツールとしてAIを活用するのは良いと思いますが、リリースされるゲームにおいては、やはり生身の人間によるパフォーマンスを大切にしたいと考えています。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Kaiもちろん、大歓迎です。YouTubeでもTwitchでも、好きなプラットフォームで配信や収益化を行っていただいて構いません。これまでもコンテンツクリエイターの方々には、本作を広める上で多大な力を貸していただきました。ですから、配信活動については全面的にサポートしたいと考えています。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Kai日本のファンの皆さんには、心から大きな感謝を伝えたいです。本作のSteamページを初めて公開したとき、日本のブログがほぼ即座に『DrainSim』を取り上げてくれたのですが、それは私にとって全く予想外の出来事でした。
最初の3日間で約1,800件ものウィッシュリスト登録がありましたが、そのほとんどが日本からのものでした。デモ版を公開するまでの数ヶ月間、他の地域では本作のSteamページがほとんど認識されていない状態だったので、日本からの支持は圧倒的に際立っていたのです。
あの初期のサポートがあったからこそ、「このゲームに興味を持ってくれる人が本当にいるんだ」と確信することができました。皆さんは、いわばこのゲームを歓迎してくれた最初のプレイヤーなのです。本当に、心から感謝しています。
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に900を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








