2026年の5月22日からビジネスデイと一般開放日の3日間にわたって行われた「BitSummit PUNCH」。
本記事では、宇宙をテーマにしたサバイバルサンドボックスゲーム『Starpath』の開発者インタビューをお届け。昼はIron Gateの『Valheim』でリードエンジニア兼デザイナーを務めつつ、夜はひとりで本作を手掛けるJonathan Smårs(ジョナサン・スマース)氏に詳しく話を伺いました。

――まずは自己紹介をお願いします。
ジョナサン・スマース氏(以降ジョナサン氏): 『Starpath』の制作者であるジョナサン・スマースです。本作は、サウンド面を手伝ってくれている友人がひとりいますが、基本的にはソロ開発のプロジェクトで、私がほぼすべてを作っています。また、私は『Valheim』のリードエンジニア兼デザイナーでもあり、もう5年ほど働いています。現在もフルタイムの仕事として『Valheim』に携わっており、『Starpath』の作業は夜や週末に行っています。

――現在もIron Gateに所属し、『Valheim』に携わりながら『Starpath』を開発しているとのことですが、『Valheim』での経験が本作に与えた影響はありますか?
ジョナサン氏: 『Valheim』での仕事は素晴らしい経験で、私たちが成し遂げたことを非常に誇りに思っています。プレイヤーとの関わり方や、プレイヤーがゲーム内で建築、探索、戦闘、料理などの多様なプレイスタイルを学べたことはとても良い経験になりました。同じように、様々なプレイスタイルの人たちが一緒に遊べる可能性を、『Starpath』でも再現できればと考えています。
――近年では珍しい制作スタイルではありませんが、副業として個人でゲームを開発するにあたって、所属会社との関係性などで変化はありましたか?
ジョナサン氏: Iron Gateでは、副業として自身のプロジェクトを作ることが許可されているので、まったく問題ありません。社内には他にも別のゲームを作っている人が何人かいますが、そちらも問題になっていません。勤務時間中に『Valheim』の仕事へしっかり取り組んでいる限り、自由な時間には好きなことをして構わないのです。
ゲームメカニクスの多くは、さまざまなゲームで似通っているものですし、建築は『Valheim』の一要素に過ぎません。他にも多くの要素があります。『Valheim』に直接関連するものでない限りは問題ありません。このゲームは影響を受けてはいますが、宇宙を舞台にしているため、まったく異なるゲームです。

――ゲームデザインについても伺います。『Valheim』では、外洋へ漕ぎ出して世界を探索していく部分に大きな魅力があった印象です。『Starpath』では、プレイヤーにどのような遊び方をしてほしいと考えていますか?
ジョナサン氏:『Valheim』の場合、私たちは「探索」「戦闘」「建築」という3つのコア要素について話します。一方で『Starpath』はまったく同じではありませんが、別のアプローチとして「探索」があります。
「建築」もありますが、戦闘要素は重視していません。友人たちと一緒に宇宙船に乗り、ゲームをしたり、植物に水をやったり、船の手入れをしたりしてリラックスするという、「Cozy(居心地の良さ)」の部分を中心に設計しています。
――コージーゲームというコンセプトは、どのようなきっかけから生まれたのでしょうか。また、本作をそうした方向性で作ろうと思った理由はありますか?
ジョナサン氏:私は昔から、宇宙に行って無重力を体験し、宙に浮かんでみたいという非常に強い夢を持っていました。そうした環境に身を置くことは、私にとって非常に穏やかでリラックスできる場所だと感じています。また、宇宙を探索することは、私たちの存在意義について考える上で非常にワクワクするものです。
私は大のSFファンでもあり、「インターステラー」や「エイリアン」のような名作SF映画が大好きですし、「カウボーイビバップ」もとてもリラックスできます。私にとって、とても居心地の良い宇宙船を作り、そこに座ってリラックスしながら長い旅に出ることを想像するのは、とても心安らぐことなのです。
途方もなく広大な宇宙における「孤独感」を探索するということで、人間としての命の意味をプレイヤーたちに考えさせたいとも思っています。ゲームをプレイしている中で、例えば放棄された宇宙船を訪れ、そこで誰かが一生を過ごし、もう生きてはいないことを見つけたりします。
彼らの物語を読み、「ああ、この人はここで45年間も過ごしていたんだな」という感情を抱くことができます。そして、もしかしたら惑星や小惑星などで生命の痕跡を目にするかもしれません。そこから、「ああ、この宇宙に他の生命は存在するのだろうか?」と思いを巡らせるのです。

――デモをプレイしていると、「宇宙には自分しかいない」と感じさせるようなメッセージもありました。今後の開発では、宇宙で見知らぬ誰かに出会ったり、あるいはエイリアンのような存在に遭遇したりするイベントはあるのでしょうか?
ジョナサン氏:生命が存在するかどうかについてですが、それはプレイヤーに考えてもらい、答えを見つけようとしてほしいことであり、ゲームの一番の謎となっています。
ですが、遠く離れた世界や惑星、衛星、小惑星などを探索することになります。また、放棄され壊れた宇宙船のような、他の浮遊物も見つかるでしょう。そこから彼らの物語や痕跡を見つけ、もしかしたら新たな謎に出くわすかもしれません。それが何なのか確信は持てないかもしれませんが、何かしらを発見できるはずです。
「宇宙に他の生命は存在するのか?」という問いは、ストーリーの大きな部分を占めています。そのため、今はお答えできません。
――友人同士でリラックスして遊べるゲームデザインとのことですが、最大何人ほどでのプレイを想定していますか?
ジョナサン氏:まだ確実にはお答えできませんが、制限は設けたくないと考えています。少なくとも7~8人、おそらくもっと多くの人数でプレイできるようになると思います。ただし、テスト段階でどのような感触が良いかにもよります。プレイヤーに対して、あまり制限をかけたくはありません。
本作はコージーゲームであると同時に、やりがいのあるサバイバルゲームでもあります。そのバランスは、プレイヤー自身で選択できるようになっています。自分の船で安全かつリラックスできる空間で多くの時間を過ごしたいのか、それとも危険な冒険に出かけたいのかも選べます。冒険に出れば、宇宙の危険な真空空間や小惑星など、さまざまな困難に立ち向かうことになります。
――グラフィックについても伺います。『Valheim』では、レトロ調のビジュアルが大きな話題になりました。『Starpath』でも、デメイク的な雰囲気のあるレトロなビジュアルを採用している理由を教えてください。
ジョナサン氏:個人的にとても好きなビジュアルだからです。昔、グラフィックアーティストとして働いていたこともあり、私が得意としていて、素早く作れるスタイルだからという理由もあります。現在は、ゲーム全体のデザイン、コード、そしてアートまですべて自分で作成しなければならないため、非常に早く作業できる表現が必要でした。このスタイルであれば非常に早く作ることができるので、採用しました。

――『Valheim』の正式リリース後に本作へ集中したいとのことですが、現時点ではどれくらいの制作期間を想定していますか?
ジョナサン氏:現時点ではお答えしづらいですね。まだIron Gateでもフルタイムで働いていますし、家では5人の子供の世話もありますから。ですが、何年もかかるような大きすぎるプロジェクトにはしたくありません。来年までには、何かプレイヤーにお見せできるものがあれば嬉しいと思っています。
――今回が初めての試遊出展だと思いますが、BitSummitで初めてデモを出展した理由を教えてください。
ジョナサン氏:BitSummitは、私にとってこれまでで最も好きなゲームイベントです。規模が大きすぎず、インディーゲームに焦点を当てていて、プレイヤーに遊んでもらうことに特化しています。また、私が日本をとても好きで、かなり頻繁に旅行で訪れているという理由もあります。日本の食事や温泉も大好きなんです。だから、日本のイベントであるBitSummitを選びました。
――BitSummitに出展して、来場者からの感想やフィードバックなどで、特に印象に残っていることはありますか?
ジョナサン氏:とてもたくさんあります。多くの素敵な人たちに出会えましたし、皆とてもオープンでフレンドリーです。ステージでイベントがあったり、非常に多くのゲームがあったりする、とても良いフォーマットだと思います。楽しくて素晴らしいゲームをたくさん見ましたし、とても興味深い人たちにもたくさん会えました。
また、デモが展示されるというゲームニュースを見て、わざわざBitSummitに来た人も結構いらっしゃって非常に感動しました。

――リリースを目指すにあたって、『Valheim』と同じくアーリーアクセスという形で出すのか、それとも完成版としてリリースするのか、現時点での予定はありますか?
ジョナサン氏:まだ決めていませんが、非常に洗練され、十分に機能する状態になった段階で、アーリーアクセスとしてリリースすることになると思います。ただ、それがアーリーアクセスであれバージョン1.0であれ、私が長期間にわたってアップデートを続け、取り組み続けたいと思うゲームになるでしょう。
――今後、今回出展されたデモ、あるいはそれをブラッシュアップしたデモをSteamで公開する予定はありますか?
ジョナサン氏:デモは出す予定ですが、直近での予定はありません。デモをリリースする際は、非常に完成度が高く、洗練されていると感じられるものにしたいです。今回のBitSummitのように、直接お見せするのが好きなので、Steamでデモをリリースする前に、どこかのイベントで直接お披露目することになると思います。

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
ジョナサン氏:このゲームに興味を持ち、このインタビュー記事を読んでくださっていることに、とても感謝しています。将来的にこのゲームを気に入ってもらえたら嬉しいです。最新情報を追いたい方は、DiscordやXでフォローしていただければ大歓迎です。たくさんのアップデート情報を投稿していく予定ですし、何か提案があれば、私に送っていただくこともできます。
それから、私のDiscordには日本語チャンネルもあるので、ぜひ使ってみてください。私はまだ少ししか日本語が分かりませんが、最善を尽くします。Discordに小さな日本のコミュニティを作れたら、とても楽しいと思います。そうすれば、私がまた日本を訪れた際に、テストイベントやオフラインイベントをやりたいと思っています。ぜひどんどん参加してください。
――本日はありがとうございました!
日本が好きで何度も訪れているとのことで簡単な日本語でのやりとりも交えた楽しいインタビューとなりました。まさかの5児のパパだという点でもパワフルな開発スタイルに非常に驚きを隠せません。
今後もDiscordで日本語コミュニティが盛り上がるようであれば日本でイベントもやりたいとかなり前向きなお言葉もありましたので、興味のあるかたはジョナサン氏のXや本作品のDiscordもチェックしてください。
『Starpath』は、PC(Steam)にて発売予定です。











