カメラ片手に“誰もいない日本の郊外”を歩く―怪異と俗っぽさが交差する撮影ADV『SOMBRAS: negative frames』試遊レポ&インタビュー【BitSummit PUNCH】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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カメラ片手に“誰もいない日本の郊外”を歩く―怪異と俗っぽさが交差する撮影ADV『SOMBRAS: negative frames』試遊レポ&インタビュー【BitSummit PUNCH】

異界と「郊外の日本」の融合 カメラのフラッシュが照らすものとは

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カメラ片手に“誰もいない日本の郊外”を歩く―怪異と俗っぽさが交差する撮影ADV『SOMBRAS: negative frames』試遊レポ&インタビュー【BitSummit PUNCH】
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カメラで写真を撮ってモンスターを撃退する……のではなく、ただ満足させる。満足させたついでに、もらったポイントでカメラのパーツを買ってより良い写真を撮る。

そんなカメラと写真にストイックに向き合う撮影アドベンチャー『SOMBRAS: negative frames』が、京都で行われた日本最大級のインディーゲームイベントBitSummit PUNCHにありました。

この記事では2000年代の日本が舞台、主人公は日本とスペインのハーフ、化け物にエロ本を持って来い、と言われるなど気になる要素が盛りだくさんの『SOMBRAS: negative frames』試遊レポートとともに、今作の開発Maboroshi Artworksへのインタビューをお届けします。

異界と「郊外の日本」の融合 カメラのフラッシュが照らすものとは

プレイヤーはスペインと日本にルーツをもつ写真専攻の学生、アルテリオ汐実。神社で目を覚ますと辺りに人は見えず、空の色もなんだか変です。

近くにある祠の周りには何やら大事そうなお供物が見事に砕け散っています。バチが当たって異世界に飛ばされてしまったのでしょうか。

コインランドリーの先にある扉を開けるとそこには、写真を現像するための暗室を備えたプレイヤーの拠点がありました。今作のシステムの核となるカメラを手に入れ、再び町へと繰り出します。

町に出るとうごめく影のような超常的な存在が、プレイヤーに気軽に話しかけてきます。翻訳の関係で真意を知ることは難しかったのですが、どうもエロ本を持ってきてほしい、とのことでした。こんなコズミックな成りをしているのにいったい何を言っているのでしょうか。

件の本を手に入れるためには、さらに変わった人物と話す必要がありました。グラビアポスターの目の部分をのぞき穴にしているアパートの住人いわく、エロ本を渡す交換条件として町中に張られたアニメ調のポスターの撮影してくるように、ということでした。

まるで悪夢のようなキャラクターたちにたらいまわしにされながら町を探索していると、今度は町の作りこみが随所に見えてきます。

コインランドリー、古びた自動販売機、どこにでもある駐車場や神社。少し歩くだけで「誰もが知っている郊外の日本の街並み」が、驚くほどリアルな質感で表現されていました。海外スタジオが描く日本にありがちな“奇妙な勘違い”はなく、その高い解像度が、誰もいない町の不気味さを引き立てていました。

写真は指定されたオブジェクト以外にも好きなように撮れるのですが、祠やポスター、そして黒い影など特定のオブジェクトをフレームに収めることでフレームが黄色く光り、そのオブジェクトが「有効」であることが示されます。カメラを覗いて「有効」なオブジェクトを探す過程の中で良いアングルが見つかったりと、撮影ゲームとしてのポテンシャルも感じました。

写真を撮ったカメラをセーフスペースの暗室に持っていくと現像することができます。FPSの弾のように数に限りがあったフィルムの数もここで回復することができます。

「有効」な写真を現像したり、ミッションをクリアすることでカメラの部品を買うことのできるポイントが手に入ります。例えば「トーチ」という部品を買うことでカメラを向けた方向に光を当てることが可能になります。

もちろん暗い場所の写真を撮れるようになるという撮影の幅が広がるのも嬉しいのですが、これまで開けることのできなかった特殊な扉を開けられるようになる、というギミック攻略的な意味合いも持っています。

町中のアニメ調のポスターを撮影し、エロ本を手に入れ、カメラの部品である「トーチ」を手に入れたところでカットシーンが流れました。そこで映った謎の影と戯れるのは全く違う装いをした「もう一人の自分」でした。今の自分をあざ笑うようにもう一人の自分は姿を消していき、デモは終了しました。

日本の街並み、超常的だか俗物だかわからないキャラクターたち……カオスな要素であふれてはいますが、カメラ撮影という手堅くまとまったゲームプレイによって全ての要素が調和されている。そんな不思議な感覚に陥るゲーム体験となりました。

また一見するとカオスでユーモアあふれる世界観の中にも、非常に真摯なテーマが隠されていました。前作『Last Time I Saw You』でも美しいノスタルジーを描いた「Maboroshi Artworks」のフアン・ファンディーニョ氏に、本作に込めた想いを伺いました。

「テーマはアイデンティティ」――カオスな異界の底に流れる、日本へのリスペクトと明るいメッセージ

――最初に自己紹介と、開発スタジオのMaboroshi Artworksについて教えてください。

フアン・ファンディーニョ(以下、フアン):代表のフアン・ファンディーニョです。Maboroshi Artworksは10人ほどのメンバーでゲームを開発している小さなスタジオです。開発拠点は特になく、日本、タイ、ヨーロッパなど世界中にメンバーが散らばっています。

――主人公の汐実は日本とスペインのハーフという設定ですが、このキャラクターはどのように生まれたのでしょうか?

フアン:モデルはいませんが、私が10年間大阪に住んでいた、という経験がキャラクターのアイデアに反映されているかもしれません。この作品のテーマは「アイデンティティ」です。日本人の母とスペイン人の父をもつ主人公の汐実は「私はどこの国の人間なのだろう」と悩みます。それが今作の持つ大きなテーマのうちの一つです。

――前作『Last Time I Saw You』は80年代の日本を舞台にした作品でしたが、今作にも同様のノスタルジーな要素はあるのでしょうか。

フアン:今作の舞台は2000年代の日本です。懐かしく感じる要素もあるとは思いますが、そこに主軸を置いているわけではありません。それよりもホラーな雰囲気の中にある、明るいメッセージを届けることに力を入れています。

――最後に読者にメッセージお願いします。

フアン:私は海外の人間ですが日本をテーマにしたゲームを作っています。今作をプレイして日本へのリスペクトを感じてほしいと思います。ゲームはたくさんあふれていますし、アルゴリズムはよくわからないので、SNSなどでシェアしてくれると嬉しいです。

以上、写真撮影アドベンチャー『SOMBRAS: negative frames』の試遊レポとミニインタビューをお届けしました。日本へのリスペクトと写真撮影へのこだわりがうかがえる作品となっていました。ぜひウィッシュリストに加えてリリースを待ちたいところです。


ライター:ようげ,編集:みお

ライター/3D空間を一人称視点で歩くのが好きです。 ようげ

隠れた宝石のようなゲームを日々探しています。 英日ゲーム翻訳者としても活動中。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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