
すべての生物は、最終的にカニになる。
もちろん、これはだいぶ暴論です。しかし生物学には「カーシニゼーション」と呼ばれる現象が存在します。これは、異なる系統の甲殻類がそれぞれ独立に“カニのような姿”へ近づいていく進化現象を指す言葉です。
そんな半ばミームのように扱われている進化論をローグライトゲームにしたのが本作。『Everything is Crab: 生物進化ローグライト』です。
本作は、個性豊かな生態系を舞台に、プレイヤーが様々な進化を選びながら生き残りを目指すアクションローグライトです。脚、爪、牙、毛皮、鱗、尻尾、翼、触手……プレイ中に得た進化の組み合わせで、性能も見た目も奇妙な生物へと進化していきます。

今回は、そんな本作を実際にプレイ。カニ化の運命に抗ってみました。
進化を選んで生態系を生き延びるローグライト
基本的な流れはとてもシンプル。プレイヤーは青いスライムのような小さな生き物として、周囲の生物や環境を相手にしながら成長していきます。
生物を倒して肉を食べたり、落ちている果実を食べたり、時には被捕食者として襲われつつ経験値を稼ぎます。レベルアップ時に提示される3つの進化を選択して、これを繰り返しながらより強い生物を目指します。


操作感としては、アクションローグライトらしく移動しながら敵の攻撃を避けつつ攻撃を当てます。序盤は貧弱なので、無理に戦闘を重ねるとあっという間に死亡。敵の動きや攻撃の範囲予測を見つつ、戦える相手を見定めながら生存を目指します。ゲームの題材通り、“生存競争”を行う感じです。

面白かった点として、単に攻撃力や耐久力を伸ばすだけが生存に繋がるわけではないことです。機動力と回避率を伸ばしてとことん戦闘を避ける生物を目指したり、ソーシャル力を伸ばして敵を魅了してみたり。生き延びるための“強さ”にも種類があることを感じます。
本作の大きなテーマとして、冒頭でも触れた“カニ化”を逃れることがあります。しかし実際にプレイしていると、カニに近づく進化は性能面でもかなり魅力的に映りました。攻撃面や生存能力、魅了など強化幅も大きいものが目立ちます。より強い生物を目指すと、否応なしにカニに近づいてしまうのです。
低難度ではまだカニを避けつつ自由な進化を楽しむ余裕があります。しかし、難易度が上がるにつれてそうはいかなくなります。敵の攻撃はより激しさを増し、生き延びるためにはより実用的な強化を選ばざるを得ません。すると、性能的に頼れるカニの進化がどうしても選択肢に入ってきます。
カニ化を逃れるゲームでありながら、攻略を意識するとカニに近づいていくのはなかなか皮肉を感じました。
しかし、安易にカニになればいいわけではありません。カニ化が進むと被ダメージが上昇する、ボスに新たな攻撃パターンやバフが追加されるなどのデメリットもあり、強力な進化には相応のリスクが伴います。単なるネタに見える「カニ化」という要素が、実際にはビルド選択の悩ましさにしっかり結びついていました。

選んだ進化によって性能が変わるだけではなく、見た目も少しずつ変化していくのも本作の大きな魅力です。強そうな爪が生えたり、翼が生えたり……。毎回異なるビルドに進むことで見た目も全く違うものになります。
選択した進化の要素がどんどん上乗せされていくので混沌とした生物が完成しますが、ランが終わるころには愛着が湧いてきます。図巻からお気に入りの見た目を保存して見返してみるのも楽しいです。


また、進化の選択肢が多いぶん、思い通りの生物を作るというよりは、その場で方向性を決めていきます。理想のビルドを追うだけではなく、引いた進化に合わせて「今回はこういう生物として生きていくか……。」と決める行き当たりばったりなローグライト感が生態系の進化というテーマとうまく嚙み合っていると思いました。
総評として、本作は“カーシニゼーション”というテーマをビルド構築の悩ましさとして落とし込んだ一作です。
すべての生物は最終的にカニになる。それが本当かはさておき、本作を遊んでいるとカニ化という進化の誘惑が少しわかったような気もします。皆さんもぜひ、進化の過程でカニになってみてはいかがでしょうか。
『Everything is Crab: 生物進化ローグライト』はPC(Steam)向けに1,200円で発売中です。
※UPDATE(2026/06/01 10:10):記事中の重複していた箇所を修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございました。











