「弁当作り」と「ローグライト」、そして「ホラー」。一見すると結びつきにくい要素を組み合わせた作品が、『Don't Let It Starve』です。
先日掲載したプレイレポートでは、実際に本作を遊んだうえで、その独特なゲームプレイやホラー演出について紹介しました。
今回は、本作を開発したブラジルのソロゲーム開発者Eduardo Scarpato氏にメールインタビューを実施しました。
──まずは自己紹介をお願いします。あわせて、これまで遊んできたゲームの中で特に好きな1本と、その理由についても教えてください。
Eduardo Scarpato氏(以下敬称略):こんにちは。Eduardo Scarpatoです。私はホラーが大好きな、ブラジル出身のソロゲーム開発者です。
ただ面白いことに、私のお気に入りのゲームはホラーゲームではなく、ゲームボーイカラーの『ポケモンカードGB』なんです。
私はカードゲームが大好きで、このゲームはいま遊んでも信じられないほど楽しいです!現代でもこういう体験が作られてほしいと思うような作品ですね。実際、これに影響を受けた現代的なゲームを作ることは、ずっと私の夢でした。
──本作は「弁当作り」と「ローグライト」を組み合わせた、かなりユニークな作品です。そもそも、このアイデアはどのようなきっかけから生まれたのでしょうか?
Eduardo Scarpato:前作『Benny Bash』をリリースしたとき、私は新しいアイデアを探していて、シンプルなデッキ構築型ローグライクを作りたいという着想を得ました。ローグライト的なさまざまな要素を組み立てていける、強くてシンプルな核となるメカニクスが必要だと分かっていました。
私はボードゲームも大好きで、ゲームデザイナーにとって最高のインスピレーション源のひとつだと思っています。『Patchwork』という、さまざまな形のピースで盤面を埋めていくゲームがあるのですが、そのメカニクスはまさに自分が探していたものかもしれないと思いました。そこからプロトタイプを作り始めました。
弁当というテーマは、実はそのあとに出てきたものです。ピースと盤面の両方を表現できるものは何かと考えていたとき、すでにホラーテーマにしたいことは決めていたので、ただ盤面を埋めるのではなく、モンスターが食べるための弁当を作る、という形にしたら面白いのではないかと思ったんです。

──料理ゲーム、配置パズル、ローグライト、ホラーと、複数の要素が組み合わさっています。本作を作り始めた時点で、もっとも核になっていたのはどの部分だったのでしょうか?
Eduardo Scarpato:最初の段階での主な焦点は、間違いなくローグライトのメカニクスでした。いま本作に入っている要素は、どちらかというとケーキの上のアイシングのようなもので、本当のケーキにあたる部分は、デッキビルダーにおけるアイテムやシナジーのゲームデザインだと言えます。
私はこうしたジャンルのゲームが本当に好きで、自分で作ることは信じられないほどやりがいがありました。そのため、この部分をできるだけ良いものにし、プレイヤーにも私がこのジャンルを遊ぶときに感じているのと同じ喜びを体験してもらえるよう、かなりの時間をかけて磨き込みました。

──プレイする中で、『CloverPit』にも通じるような、スコアを伸ばしていく中毒性と、どこか不穏な空気が同居した感覚を覚えました。本作を制作するうえで、影響を受けたゲームや作品があれば教えてください。
Eduardo Scarpato:もちろんです。私が作るすべてのゲームには、自分自身のアイデンティティや好みが反映されていると思います。なぜなら、私が見たり、遊んだり、読んだりしたあらゆる小さなものが、最終的には自分のゲームの中に入り込んでいくからです。もし影響を受けたものをすべて挙げようとしたら、この数年間で触れてきたメディアを全部リストアップしなければならないでしょうね(笑)。
ただ、絞って言うなら、『CloverPit』以外では、『Inscryption』が本作のビジュアルや全体的な雰囲気に大きな影響を与えています。ゲームデザイン面では『幸運の大家様』が素晴らしいインスピレーション源でしたし、モンスターのデザインには『Amanda the Adventurer』が大きな役割を果たしました。また、『Iron Lung』や『Buckshot Roulette』のような、小さな部屋に閉じ込められるタイプのゲームは、環境や空気感を形作るうえで大きな助けになりました。
──ローグライトというジャンルには、同じ行動を繰り返しながらも、毎回違う発見や成長を味わえる魅力があります。開発者として、ローグライトというジャンルのどこに面白さを感じていますか?
Eduardo Scarpato:開発者として言うなら、ローグライトについて私が最も好きなのは、比較的少ないコンテンツで非常に長いプレイ時間を提供できるところです。私はソロのインディー開発者なので、時間は最大の制約のひとつです。ジャンルやゲームデザインについて賢い判断をしなければ、ひとつのプロジェクトに何年も費やしてしまうことも簡単に起こりますし、それは今の私にとって経済的に持続可能ではありません。
だからこそ、私はずっとこのジャンルに惹かれてきました。ゲームの核となるメカニクスから自然に生まれる、創発的なゲームプレイが大好きなんです。新しく面白い状況を生み続けるシステムを設計することには、信じられないほどの満足感があります。そして、開発者である私自身が、自分のゲームを何時間も本気で楽しんで遊べる数少ないジャンルのひとつでもあります。

──本作では、食材やツールの組み合わせによって、さまざまなビルドを作ることができます。開発者として特に気に入っている組み合わせや、プレイヤーにぜひ試してほしいシナジーはありますか?
Eduardo Scarpato:私が一番好きなのは、遊び方そのものを完全に変えてしまうようなビルドです。どのツールによってそれが可能になるのかは、プレイヤーに自分で発見してほしいのでネタバレしません。
ただ、食べ物を一切盛り付けずに最初のランクをクリアできるビルドや、弁当をひとつも届けずにクリアできるビルドが大好きです。
私は、自分のDiscordサーバーで、これらを達成できる人に向けたチャレンジを開催したこともあります。そうした戦略が実際に可能だと気づいたときは、本当に興奮しました!プレイヤーが創造的な方法でゲームを壊していくのを見ることは、ローグライトをデザインするうえで私が最も好きなことのひとつです。

──スコアが一気に跳ね上がる瞬間には、かなり強い気持ちよさがあります。数字が伸びていく快感を演出するために、UIやサウンド、テンポ、演出面で意識したことはありますか?
Eduardo Scarpato:もちろんです。これは実際、『CloverPit』がとても上手くやっていることのひとつです。大きなスコアを出すと、マシンが揺れ始め、まるで発作を起こしているようにも見えて、その瞬間が信じられないほど気持ちよく感じられます。私はその感覚を、自分のゲームでもできる限り再現したいと思いました。
そのため、プレイヤーに向けたフィードバックをたくさん加えました。弁当が回転し始めたり、効果音のピッチが徐々に上がったり、スコア表示が燃え上がったり、そのほかにも複数の視覚・音響効果が発動します。目的は、大きなコンボのひとつひとつを刺激的で報酬感のあるものにすることでした。
──一方で、本作はただ楽しいだけでなく、どこか不気味で、プレイヤーが追い詰められているような感覚もあります。ホラー要素とゲームプレイ上の気持ちよさを両立させるうえで、意識したバランスはありますか?
Eduardo Scarpato:もちろんです。これはとても良い質問で、私もかなり時間をかけて考えたことです。私はホラーが大好きで、自分のゲームでプレイヤーが不安な気持ちになるのを見るのも好きですが、その一方で、ホラーに寄りすぎると、主にデッキ構築の部分に興味を持っている人たちを遠ざけてしまう可能性があることも分かっています。
本作は純粋なホラーゲームではないので、デッキビルダーを楽しみたいプレイヤーにも十分楽しんでもらえるよう、ホラーを強く押し出しすぎないようにしました。とはいえ、完全に我慢することはできませんでした。プレイヤーの不意を突いたり、少し怖がらせたりする瞬間は、ところどころに入れたいと思っていました。たぶん、どうしても抑えきれなかったんだと思います(笑)。


──現時点で話せる範囲で、今後のアップデートや追加要素について教えてください。新しい食材、ツール、モードなどを追加する予定はありますか?
Eduardo Scarpato:うーん、まだ確かなことを言うには早すぎると思いますが、さらなるコンテンツが来る可能性は確かにあります。私はまもなく新作ゲームの制作に取りかかる予定ですが、プレイヤーからのフィードバックやアイデアをたくさん集めてきました。それらは将来的に、いくつかの面白い新機能を含む大型アップデートになるかもしれません。
まだ何も確定していませんが、間違いなく私のやることリストには入っています。
──最後に、日本のプレイヤーや、これから本作を遊ぶユーザーに向けてメッセージをお願いします。
Eduardo Scarpato:すでにゲームを遊んでくれた皆さん、本当に、本当にありがとうございます。人々がこのゲームを遊んでくれたり、フィードバックを送ってくれたり、自分たちでチャレンジを考えてくれたりするのを見ると、心からうれしい気持ちになります。日本のプレイヤーの皆さんの応援に、とても感謝しています。本当にありがとうございます。
そして、これから初めて遊んでくださる方々も、このゲームにチャンスをくれてありがとうございます。本作に用意されたさまざまなコンボを発見し、極めていく時間を楽しんでもらえたらうれしいです。ローグライク・デッキビルダーが好きな方なら、『Don't Let It Starve』をきっと大いに楽しんでもらえると確信しています。
そして、楽しんでいただけたなら、レビューを残すのも忘れないでください。私はそのすべてに目を通していますし、レビューを見るたびにいつも本当にうれしくなります。ありがとうございます!
──ありがとうございました。
『Don't Let It Starve』は、PC(Steam)向けに920円で配信中。日本語にも対応しています。
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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)













