
今年で40周年を迎えるCastlevania(悪魔城ドラキュラ)シリーズの完全新作として発表された『Castlevania: Belmont’s Curse(キャッスルヴァニア ベルモンドカース)』。本作の鍵を握るコナミデジタルエンタテインメントのプロデューサーの谷口勲氏、ディレクターの外尾有樹子氏、 本作の共同開発を行うEvil Empireでクリエイティブディレクターを務めるEmmanuel Nouaille氏を交えたインタビューが実施されました。(Emmanuel氏はオンラインでの参加)


『Dead Cells』を手がけるEvil Empireとのコラボレーションのきっかけから、シリーズファンを唸らせる時代設定の裏側、そして気になる「なぜ悪魔城ではなく“Castlevania”なのか?」といったタイトル選定理由まで、余すことなく語った模様をお届けします!
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徹底した原作愛!熱いコラボのきっかけとは
――今回の制作に、Evil Empireがコラボレーションで参加することになったきっかけというのは『Dead Cells: Return to Castlevania』と伺いました。具体的にEvil Empireのどういったあたりに感銘を受けて今回の話に至ったのでしょうか。
谷口氏: まず第一に言えるのは、シリーズに対しての理解力と愛情というところと、ゲームを作るということに対する徹底したこだわりに感銘を受けました。例として、実は『Dead Cells』のDLCって企画の初期から発売に至るまでに、結構ボリュームが増えているんですよ。当初全然想定していないくらい大きくなっていて。それはなぜかというと、最初にこれくらい作ろうね、こういうことやりたいけど多分できないよねと諦めていたものが、作っていく中で繰り返しどんどん仕様やアイデアが増えていったんです。
それは彼ら自身が作っていく中で、『Dead Cells』のファンの方もそうですし、『Castlevania』のファンの皆さんにも、「こういうところまでお届けした方が絶対喜んでもらえる」と考えた結果だったりします。彼ら自身結構大変だったと思いますし、我々も一緒に作っていくのは本当に大変だったんですが、最終的にどんどん膨らんでいってしまったというところで徹底してファンの皆さんを想像しながら、とにかくできることはやっていくというスタイルになりました。
僕が開発中に一番驚かされたことで言うと、DLCの企画当初に「リヒターモード作れたら良いよね」という話をしていたんですよ。ただ「これは無理だよね」と諦めていた部分があって…。発売の少し前くらいの時期に「谷口さん、実はサプライズがあります。見てください」と言われて、なんとリヒターモードができていたんです。「さぁやってみてください」と言われたら結構な完成度で、驚かされました。色々な人を喜ばせたいという思いで、どんどん物を作っていく手腕というのは本当に素晴らしいと思いますし、感銘を受けました。
女性主人公ローズの誕生秘話から完全新作に込められた野望
――前回の過去作の移植から今回は完全新作ということで大きな動きがありましたが、今後『悪魔城ドラキュラ』および『Castlevania』シリーズにおいて、どういった展望を目指しているのでしょうか。
谷口氏:気になりますよね(笑)。直近のところで言うと、具体的に今ご説明できることはあまり多くはありません。ただ、僕個人が元々このプロジェクトに至るまでの話で言うと、僕自身もこのシリーズのファンの1人で、小さい頃から初代『悪魔城ドラキュラ』や『悪魔城伝説』から遊んでいた人間です。この会社に僕が入社して、あるときからコミュニティやSNSなどで、「探索型のアクションゲームは好きだけど、実際『Castlevania』や『悪魔城』は遊んだことない」という声や、「アニメは見ことあるけどゲームはやったことない」という声をよく見かけるようになったんです。
社内の人間、1ファンとしても、何とかしたいなと考え始めて、何かできることからやろうとスタートして、結果的にコレクションとして何とか過去作をまずは遊べる環境を作ってみようということで制作しました。『Dead Cells』のDLCも新しいユーザーにも触ってもらえる機会になるし、知ってもらえる機会があるならコラボレーションも取り組んでみようという形で1個1個積み上げてきた結果、ファンの皆さんの反応を見ながら開発をやっていたんですが、最終的にやっぱり新作欲しいよねと。僕も見たいですし、やりたいですし。
どうやったら新作を作れるんだろうと、色々現場で考えながらやってきた結果が今回の『Castlevania: Belmont's Curse』になります。まずは新作をここまでお届けできるところまで来れたというのはすごく嬉しいことですし、この先がどんどん続いていったらすごく嬉しいですし、そうあってほしいなと思っています。
――『悪魔城伝説』から23年後という舞台設定になったのはどういったきっかけなのでしょうか。『Castlevania -Lords of Shadow-』のようなリブートではなく、正史に戻そうとなった経緯を教えてください。
谷口氏:まず、元々このプロジェクトを立ち上げるときに、KONAMIの中での大元の考えとしては、久しぶりの新作なので2D探索型のアクションゲームをまず作りたいというところと、シリーズの象徴でもあるベルモント家の主人公を何とか登場させたいという考え方がありました。その中に鞭をコアに据えたかったという思いがありました。
話を書いて進めていく中で、大きな枠組みとしての考えというのも網羅しつつ、自然にベルモント家の新しい主人公を登場させられる、鞭をコアに据えられる、探索型のアクションゲームを作れる……といったところをチームで一緒に協議しながら作っていった結果、ここの時代設定がいいだろうとなりました。僕自身が実は一番好きなゲームが『悪魔城伝説』でして、決してそのために作ったというわけじゃないんですけど、結果的にそれが作れるようになったというのはちょっと嬉しいです。
――過去のシリーズでベルモント家かつ女性の主人公というのは珍しいと思いますが、女性主人公になった経緯を教えてください。


外尾氏: 最初から女性にしたいという風に決めていたわけでは全くなくて。世界観とか物語を組み立てていたときに、このトレバーとサイファの娘という出自や、母親が既に亡くなっている状況で、その子供というのはどういう存在でどういう物語を作っていくんだろうというのをEvil Empireと話していくうちに自然とこの女性の主人公になっていったという形になります。
谷口氏: 実際最終的に男性だった世界ってどうなったんだろうと開発を進めていく中で考えたことはあるんですけど、それはそれで格好良かったと思うんです。ただ、今回の物語に最適だなというのが自然と女性になっていったという経緯です。
Emmanuel氏: ストーリーを書き上げていくにつれて、やっぱり谷口さんや外尾さんが言ったように「ローズは女性がしっくりくるね」となったんです。特にサイファの呪いが娘に受け継がれると考えたときに、親子の絆だったり2人の間の強い絆が繋がっているということで、母親の仇を討つべき敵という目標を作り上げたものがローズになります。なので、本当に家族の絆、レガシー、 そして犠牲、この要素に適しているのは女性ヒロインだったのです。
難易度調整のこだわりと美しいゴシックグラフィックの秘密
――シリーズファンの方と新規の方の両方がプレイするにあたって技能の差があると思いますが、難易度の調整において工夫された点を教えてください。
谷口氏: 今回の開発において、KONAMIのほうでは全体的にIPオーナーという立場から、ゲームプロジェクト全体に対して大枠のところで「IPとしてこうありたい」「こういう良さはしっかり残したい」といった部分はまず枠組みとしてしっかり作らせていただいて、その中で最高のゲームを一緒に作っていきましょうという体制でゲームを作ってきています。
例えば難易度に関しては、今作は非常にプレイフィールの良い、操作して気持ち良いアクションを目指しました。ある程度自分で戦略的に、攻撃的にバトルができる選択肢の多いゲームにしていきたいと思っていたので、自然と敵とのバトルにおいて少し難易度が高く、常に求められる選択肢が多くなっています。
人によっては難しいと感じる部分もあったかもしれませんが、それでもシリーズらしさや、初めてプレイする方・あまりアクションゲームが得意じゃない方がプレイしたときにもしっかり楽しめるようにレベルアップシステムを用意していたり、それでもちょっと厳しいなという方に関しては設定のところにちょっと難易度を調整できるような形で準備させていただいています。そういった意味ではアクションゲームが得意な方、そこまで得意ではないよという方も、シリーズファンの方々も、最近のアクションゲームを結構ゴリゴリやっていますよという方も、皆ができるだけ満足できるような設定にはなっているかなと思います。
外尾氏: 単に優しいゲームにはしたくないというのがあって。初期の『悪魔城ドラキュラ』と言えば、苦しみのその先を見たときの喜びみたいなのはやっぱりあると思うんです。手触りがいいアクションの中でも、ボタン連打で突破できるというよりはしっかり遊ばせたいというところで作り込んできていたので、そこは単に優しくできない、譲れないポイントでした。
一方でレベル制は『悪魔城ドラキュラ』シリーズが進んでいくに従って導入されたものですが、良いシステムだと思っていて、それがあることで物語とか世界観を楽しみながらでも先に進めます。
あとはシングルプレイゲームですので、オプションでカスタムモードで細かく難易度調整できるようになっています。自分が一番ちょうどよく楽しめるバランスというのを見定めて最後まで楽しんでほしいというところで今の調整になっております。
Emmanuel氏: フェアにするというのはすごく大事で、念頭に置いてました。本作はある程度手応えのある難易度を設定しつつも、新しい新規プレイヤーにもあまり壁がなく入りやすいようにしています。特にプレイヤーが段階的にゲームの仕組みを理解して1つずつ習得していく、そんなような挑戦を乗り越えるために必要なものは何なのかという知識と自信を、自然につけていけるような仕組みにしています。こうすることで、課題に直面した場合でも自分なりのプレイやスキルを理解した上で、敵を倒せるような作りにしています。
――本作品は1499年のパリを舞台としているとのことですが、新たな世界観を構築していくにあたって、グラフィック面でのこだわりや一番特に注目してほしいという部分について教えてください。
谷口氏:まずパリになった経緯についてお話させていただきますと、本作の制作にあたっては、物語や時代設定を先に決めていきました。久しぶりの新作なのでヨーロッパのどこかでやりたいというのは漠然としてはあったんですが、じゃあどこを舞台にしようかというのを考えたときに、時代背景も調べつつ当時の大都市であるパリというのがすごく適しているという話になりました。なぜパリなのかと言うと、ゴシックな建築が当時からいっぱいあって、トーンやテーマ性が、今作をはじめ『Castlevania』シリーズのトーンともすごくマッチしていたんです。
グラフィックについては、シリーズの魅力というところでゴシックの要素というのはしっかり継承したいという考えもありました。グラフィックとしてとにかく美しくありたいと思っている一方で、今回のゲーム性やアクション自体がダイナミックで機動性が高いということを考えたときに、アクションゲームとしての視認性をしっかり担保しなければなりませんでした。彩度やコントラストを少し強めにして、しっかりプレイヤーが見えやすくする。ゴシックで美しい要素を備えつつもアクションの邪魔をしないというところを模索していった結果、今回のグラフィック表現になっています。
Emmanuel氏: まず1499年のパリを選ぶことで、物語に現実味と説得力を持たせたいと考えました。歴史的な背景を取り入れることで没入感を高めつつ、Castlevaniaらしい豊かな物語、そしてキャラクターやファンタジーに続く形で描きたかったのです。ゲーム内では、実際にパリに存在するカタコンベやノートルダムのような場所もあり、ジャンヌ・ダルクのような歴史上に存在する方と伝説を多く盛り込んでいます。実際にそのグラフィックや背景に関しては、谷口さんが仰ったように、敵やアクションとのコントラストを付けて映画のような設定にしたかったんです。
――本作でタロットカードをモチーフとして選ばれた理由を教えてください。
Emmanuel氏:本作の時代を考えたときに、マルセイユ版のタロットカードというのがありまして、それとのオマージュとして 独自のオリジナルタロットを取り入れたいと考えました。タロットカードは古くから神秘的、魔術的、オカルト的という結び付けがありまして、『Castlevania』のゴシックらしさにすごく結びつく良い要素なんじゃないかなと思いました。
また、タロットカードというのがサイファの力に強く紐付くものなので、彼女との絆もありますし、神秘的な相性がローズの物語に寄り添うようなものになるんじゃないかなと思い今回の作品に入れました。タロットカードとアルカナシステムが、ゲームプレイの中で本作の物語や世界観を象徴づける重要な要素になってくるので、それを楽しんでいただければと思います。
谷口氏:まさにその通りで、結果的にゲーム全体を通してこのタロットカードであったりアルカナの結び付きが、ずっとローズの隣にいる存在として寄り添っているというのは個人的にもすごく気に入っていますし、すごく良い設定だったなと思ってます。
開発陣が頭を悩ませたタイトル名決断の真相
―― タイトルを『悪魔城ドラキュラ』ではなく『Castlevania』にした理由を教えてください。
谷口氏: 本当に率直に申し上げるとめちゃくちゃ悩んだんです。本当にすごく、悩み悩み悩んで、僕だけじゃなくてチーム関係者の中でも悩み悩み悩んで最終的に出した決断ではあります。
我々としては、これまでのファンの皆様方にも今回の作品をぜひ楽しんでいただきたいという思いはありますし、それと同じくらい新しいファンやこれから初めて『Castlevania』シリーズのゲームをプレイするという方にもいっぱい遊んでいただきたいと思っています。今、世の中的にも情報が簡単にネットを経由して伝わっていく中で、今回のタイトルの結び付きや伝わりやすさというのを考えたときに『Castlevania』にしようという決断をしました。
ですが、僕自身も小さい頃から『悪魔城ドラキュラ』に親しんでいる人間なので、すごく簡単な答えではなく、あれこれ悩みに悩んで「今回はこちらが適切なんじゃないか」という風にチームとして考えた決断です。
―― お三方それぞれにお伺いします。今作の中で気に入っている部分やこれを入れたいと思った要素があれば教えてください。
谷口氏: 言い出したらきりがないくらいいっぱいありますね(笑)。代表的なところで言うと、まずレベルアップシステムやRPGシステムは絶対に入れたいという話はしていました。重厚なレベルアップシステムである必要はないけれど、自然とこのゲームの中で頑張って何度も挑戦していればいつかはゲームを進めることができる。これは本当にこのシリーズの良さでもあると思いますし、僕自身もちょっと歳を取ってアクションがちょっと辛い時があったりするので、そういう人でも楽しめるようにしたいという気持ちがあって、RPGシステムは本当に初期から入れたいですという話をさせていただいてました。
外尾氏: 私も本当にいっぱいあるんですけど、作っていく過程でだんだん入ってきたものも結構多いです。燭台を壊してドロップするものとか、「壁を壊したら肉は当然出てこないとダメですよね」みたいなところですね。これらは一番最初の頃からあったわけではなくて「私たちが作っているものって『悪魔城ドラキュラ』らしいんだっけ?」という話をEvil Empireチームともディスカッションを重ねて、みんなが「これ、あるあるだよね」というものをネタ出しして散りばめていったというのは、このベースのシステムに色々と加えられたところかなと思います。
Emmanuel氏: 強いて言うなら全てです。でもやはりCastlevaniaを象徴する「鞭」ですかね。あとは谷口さんが言ったように2D探索型であること、そして欠かせないのが懐かしのボスを入れること。外尾さんが言っていたように壁を壊したりなど昔からのファンが楽しめるような要素を入れました。ノスタルジーを求めるファンと新規のファンの方々に楽しんでいただけると嬉しいです。
――ローズの父親のトレバー・ベルモントは『悪魔城伝説』ではラルフという名前だったと思うんですが、今回トレバーになった経緯を教えてください。
谷口氏: これも全く同じで、めちゃくちゃ悩み悩んで相談して出した決断でした。今回の作品に関しては、できるだけ多くの皆さんに改めて「『悪魔城ドラキュラ』や『Castlevania』ってこういうものなんだ」と楽しんでほしいという考えがありました。情報の伝わり方であったりとか調べたときの理解のしやすさみたいなところで、今回はこちらの名前でいこうという決断をしました。
――ありがとうございました!

『Castlevania: Belmont’s Curse』は、2026年10月15日にPS5、XBOX Series X|S、XBOX on PC、PC(Steam)、Nintendo Switchにて発売予定。現在予約受付中です。公式サイトでは早期購入特典/予約特典とMidnight Editionの内容も公開されています。
ⓒKonami Digital Entertainment
※ゲーム画面は開発中のものです。











