『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』は、ウクライナのGSC Game Worldが手がける超ハードコアなオープンワールドサバイバルFPS。舞台はチョルノービリ原発周辺、通称「ゾーン」。
そこに集うのは、多くのものを失い、一発逆転を賭けて生死をかけた戦いに身を投じる者たちばかり。いつ死が訪れるか分からないこの土地には、独自の思想や文化、科学技術、あるいは宗教にも似た信念が根付いており、それぞれが自分たちなりの「正義」をぶつけ合って生活しています。
そんな本作は、8月20日(木)に配信予定の大型拡張コンテンツ「Cost of Hope(コスト・オブ・ホープ)」によって新たな物語が展開されます。やはり『S.T.A.L.K.E.R. 2』の主役はあらゆる個人と組織の思惑が複雑に絡み合う物語です。今回のプレイレポでは、その物語面を大きく揺さぶるこのDLCを紹介していきます。
このDLCの軸になっているのは、シリーズおなじみの二大勢力「デューティ」と「フリーダム」の対立です。まずは、これから遊ぶ方が物語を楽しみやすいよう、両勢力の関係と、対立を抑え込んでいた「D4条約(協定)」について簡単におさらいしてから、実際のプレイの模様をお届けします。

敵対勢力「デューティ」と「フリーダム」、そして「D4条約」という名の、脆い均衡
「Cost of Hope」の物語の中心にあるデューティとフリーダムは、『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズの最初期から続く、思想的に相容れない二大勢力です。
デューティは元軍人によって構成されている軍事色の強い階層組織で、とにかく規律を重んじています。そして「ゾーン」そのものを人類にとっての絶対的な脅威とみなし、外部の世界にその影響が出ないように内部に封じ込め、一掃することを目的としています。
一方のフリーダムは、自由と個人主義を掲げる集団です。ゾーンは人類が探求し、その恵み(アーティファクトなどの産物)を活用すべき「贈り物」だという立場を取っています。
実は、もともと近い時期に結成された両者は、設定上は友好的な関係にあったとも言われていますが、思想の違いから決別し、以来長きにわたって敵対関係が続いています。
前作『Call of Pripyat』後、ゾーンの新たな管理勢力の主導で、全面戦争を防ぐための「D4条約」が締結されました。デューティにとってはかなり厳しい内容で、拠点だったロストークをフリーダムに明け渡し、両陣営とも直接的な戦闘行為を禁じられることになります。
以降10年以上、表立った全面戦争こそ起きていないものの、水面下では互いにギャングなどを使った代理抗争が続いており、あくまで「無理やり押さえ込まれた均衡」でしかありませんでした。
そして今回の「Cost of Hope」は、まさにこの脆い均衡が崩れるところから物語が始まります。
物語のキーパーソン、デューティのズールーとフリーダムのマフカ
今回のDLCで軸になるキャラクターも紹介しておきます。
まずは、ズールー(Zulu)。オリジナル三部作からの再登場キャラクターで、デューティ所属の古参軍人です。『S.T.A.L.K.E.R. 2』では名前だけ登場していて、どのような形で作品に登場するか注目されていましたが、このDLCではまさかのフリーダムの拠点で再登場します。
長きにわたるゾーンでの生活に疲弊し、自分が所属する組織の思想そのものが本当に正しいのか、内側から懐疑的な目を向けている人物として描かれています。

もう一方の重要人物マフカ(Mavka)は、「Cost of Hope」から登場するオリジナルの新キャラクターで、フリーダム所属。そしてゾーンではかなり珍しい女性のキャラクターとなっています。
フリーダム内で、確固たる信用を獲得している人物で、彼女の事について聞くと多くの人物が口をそろえて尊敬の意を示します。ズールーと共にミッションをこなすことから分かるように、彼女は組織とは関係のない個人の思惑と目的を抱えながら、スキフたちの物語と並走していくことになります。

この二人が、それぞれの陣営の「顔」としてプレイヤーの前に立ちはだかる(あるいは手を組む)ことになるのです。
いざ、霧のゾーンへ
さて、ここからは実際のプレイの様子をお届けします。
まずPDAの信号が届き、その指示に従って向かうのはボタ山。そこにいる飲んだくれのキャラクター・チャッターボックスに、「アイアン・フォレスト(Iron Forest)」という場所について話を聞くところからDLCは始まります。
このキャラクター、本当にビールが大好きなお調子者です。はじめのうちは情報を教えてくれない態度を取っていましたが、ビールを渡しまくっているうちにべらべらと喋り出してくれました。なんてボタ山らしいキャラクターなんだ!

さて、教えてもらった情報通りにIPSF(国際境界警備隊としてゾーンを封じ込めるために設立された組織)の検問所へ向かうと、ちょうど彼らがミュータントと交戦している真っ最中。筆者は「とりあえず困っている人間が居たら無条件で助ける」をモットーにこのシリーズをプレイしているため迷わず加勢しました。
しかしその戦いの末に待っていたのは、感謝の言葉どころか、横柄な態度とともに突きつけられた、アイアン・フォレストの生存者確認という危険な“頼み事”。ちょっと腹が立ちますね。
まあ、アイアン・フォレストに入るにはこの頼み事を聞かなくてはいけないっぽいので渋々承諾。マジで覚えとけよという気持ちを抱えたまま頑丈そうな大きな門をくぐると、そこは霧で視界が悪くなっている怖いエリアが待っていました。

未知の世界に恐怖を感じながら、IPSFの生存者を合計3人探していきます。前のエリアから存在しているいつものアノマリーはもちろん、見たことのない電気がバチバチの新種のアノマリーも登場していて、なかなかに緊張感があります。
探索していると、タイミング悪く光熱放射の発生がアナウンスされました。ゾーンにいるあらゆる人間は光熱放射に対してはできることがなく、この現象が起きている状態で外に出てしまうと一瞬で死に至ります。
安全な場所として、シェルターや建物に逃げ込まなくてはいけないのですが、こんな場所にそんなものはあるのか?とはいえエナジードリンク(スタミナを回復するアイテム)を片手に必死に走り回っていると、なんとか安全そうな建物を発見しました。

ここで一息つけるかと思いきや、その建物の小さなスペースの中には5体ほどのミュータントが待ち構えています。なんて非情なゲーム、まさにこれがハードコアFPS『S.T.A.L.K.E.R.』だ……。
気の休まらぬまま、大量のミュータントをグレネードで一掃。安全になった途端に奥の鍵がかかっていた扉のほうから人の声がして、生存者が姿を見せます。どうやらこの人がIPSFの生存者。一緒に戦ってくれたら生存率が上がるのに……しかも規則で報酬は上げられないという一方的な言い分にイラつきます。
いやまあけど、私はミッションを受託する時に「生死は問わない」って言われているんですよね(このミッションの名前もそのまま「生死を問わず」)。周りに誰も居ないし始末しても誰にもバレなそうなので、思わず銃を向けてしまいました。筆者は無条件で人を助けますが、同時に気に入らない相手はどんどん始末していくスタイルでプレイしています。

そんなひと茶番がありつつ、どんな言い訳をIPSFの隊長にしようか考えながら光熱放射が収まった建物の外へ出ると、晴れ間が見えていました。霧まみれだったのになんて晴れやかな!このまま残りの2人も見つけ次第……と思いながら探索を続けていると、再びミュータントと交戦している集団を発見します。
アイアン・フォレストに入る時、この土地を占拠しているという「フリーダム」という組織が居るという話を聞きました。どうやらその組織の拠点の方まで来たようです。
ミュータントを一掃した後、気さくなアジア系の隊員・ハープーンとの会話を経て、案内された安全な建物に入ると、陽気な音楽とともにフリーダムの仲間たちが紹介されます。過酷なアイアン・フォレストとは打って変わってトランプで遊んでいたりと、なんとも楽しそうな雰囲気です。

そして意外だったのが、このフリーダムの拠点には、本来敵対勢力であるはずのデューティの姿もあったこと。本当に納得のいく関係で仲が良いのかは定かではないものの、デューティの古参兵・ズールーの姿もそこにあります。
ちなみにフリーダムには一緒に戦ったことで非常に感謝されたため、「俺、フリーダムについて行くよ!」と、この時点での方針を決めていました。
このDLCでは、この後、先ほど説明したフリーダムのマフカ、デューティのズールーたちと協力しながら物語を進めていくことになります。

ここからは戦闘のパートが多くなっていきますが、本編とは一味違う手応えがありました。本編ではミュータントを倒しても基本的に得るものが少ないため、なるべく戦闘をスルーし、やむを得ない時だけ応戦するスタイルでプレイしていました。そのため基本的な敵は人間で、筆者はスナイパーを愛用し、遠くからちまちまと敵を削るのが常でした。
しかし今回のDLCはミュータントが大量に登場し、やむを得ない状況が絶えず発生します。素早く近距離戦闘に持ち込もうとしてくるミュータント相手には遠距離特化の戦い方がまったく通用しません。

特に、電気のアノマリーとミュータントが合体したような存在「ポルターガイスト」が凶悪で、素早く不規則に空中を動き回りながら襲いかかってきます。遠距離特化で挑んできた人ほど、武器構成の見直しを迫られるかもしれません。
ちなみにポルターガイストは銃を撃っても手応えが薄く、最初は「倒せないのでは?」と不安になりましたが、根気強く撃ち続ければちゃんと倒せるので安心してください。
ミッションの中には、パルクールのような操作を要求される場面もあり、これがなかなか緊張感があって楽しいポイント。銃を構えるのではなく、ボルトを投げながら一歩一歩障害を乗り越えていく――これもやはり、『S.T.A.L.K.E.R. 2』ならではの楽しさです。

崩壊するD4条約、そして「フリーダムの代償」
ズールー、マフカとともにミッションを遂行し、フリーダムの拠点に戻ると――なんとそこにはフリーダムの兵士たちがほぼ全滅しているという、衝撃の光景が広がっていました。急すぎる!帰ったらみんなとトランプしたかったのに。
これにはフリーダムの生き残りミクルハもブチギレ。デューティがこの襲撃に関与していると疑ってやまず(実際怪しすぎる)、わざわざデューティのお偉いさんたちを自分たちの拠点に呼び出して口論を繰り広げます。ただ確固たる証拠はなく水掛け論になってしまうんですね。
そこでミクルハが持ち出したのは「D4条約」。その中でも特に第6条B項を基に、真犯人が見つかるまでズールーをフリーダムの人質にすると提案します。素直にそれに従うべく、ズールーはミクルハの元に歩いてゆく──と思いきや睨みつけて踵を返し、デューティの他の隊員と共にヘリコプターに乗り込み、その場から去ってしまうのです……。

ここまで聞くと「フリーダムが理不尽な目にあってて可哀想、助けなきゃ」という気持ちになるのは自然だと思います。しかし、予告映像のラストシーンでは「フリーダムの代償」という気になるワードも登場しているんです。
この戦いはこの後、三つ巴どころか新たな刺客まで登場して、泥沼の戦いに。スキフは果たしてどちらの陣営につき、どのような運命をたどるのか。ぜひ製品版で、自分の目で確かめてみてください。

UPDATE 2.0で遊びやすさも進化
「Cost of Hope」の物語はもちろん見どころですが、あわせて実施されるUPDATE 2.0のパッチによって、全体的にかなり遊びやすくなった点にも注目です。
積み重ねられてきた数千件規模のバグ修正に加え、A-Life・戦闘・経済システムの大幅な刷新、さらにナイトビジョンやオフセット照準、ミュータント収穫といった新メカニクスまで、大幅なシステム変更がもたらされています。
さらに、自分がどれだけ敵を倒してきたか、ミッションをクリアしてきたか、アノマリーを見つけてきたか――そうした進行状況を追跡できる新たなPDAのページも生まれました。

新たな物語と快適性を兼ね備えた『S.T.A.L.K.E.R. 2: Cost of Hope』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/Microsoft Store)/PS5/XBOX Series X|S にて2026年8月20日発売予定です。













