ダンジョンで拾った武器や素材を道具屋へ売り、わずかな金に換えた経験はありませんか? 苦労して持ち帰った品物にもかかわらず、二束三文で買い取られてしまうことも珍しくありません。
それなら、いっそ自分で値段を決めて売ってしまえばいい。そんな冒険者の願いをかなえてくれるのが、Digital Sunが開発する『Moonlighter』シリーズです。今回プレイレポをお届けするのは、そんなシリーズの最新作『Moonlighter 2: The Endless Vault』。
主人公「ウィル」は、ダンジョンへ潜ってお宝を集める冒険者であると同時に、持ち帰った品々を販売する道具屋の店主でもあります。ビジュアルは前作の2Dドット絵から3Dへ刷新され、戦闘や探索、成長要素にも大幅な変更が加えられました。
異世界で拾った商品を、自分の店で売りさばく冒険者生活
物語の舞台となるのは、異なる次元に存在するトレスナの村。とある事情から前作の舞台となった村を追われたウィルたちは、この地で新たな生活を始めることになります。
無一文となったウィルが再起する手段は、やはり商売。危険なダンジョンへ乗り込み、そこで手に入れた遺物を店頭へ並べ、稼いだお金で装備や店を強化していきます。
ゲームの基本的な流れは、ダンジョンで商品を集め、村へ帰って販売するというもの。品物を仕入れるために戦い、商売で得た利益を次の冒険へ注ぎ込むループ性は、前作から変わっていません。
ただし、その周囲にあるシステムは大きく様変わりしています。前作の仕組みをそのまま拡張した続編を想像していると、最初は戸惑うことが多いかもしれません。

連続した小部屋から、進路を選ぶローグライト形式へ
本作のダンジョンは、複数の候補から次に向かう地点を選び、戦闘やイベントを一つずつ攻略していきます。自由に部屋を歩き回っていた前作とは異なり、今回は分岐したルートを進む、ローグライト色の強い構造になりました。
進路上には、遺物を入手できる宝箱や、一時的な能力を獲得するNPCとのイベントなどが出現。売り物となる遺物を狙うか、戦闘を有利にする能力を集めるか、現在の状態に応じて進む道を考えます。

装備できる近接武器は、剣、大剣、槍、拳の4種類。それぞれ攻撃速度や間合いが異なるほか、前作の弓に代わる遠距離武器として銃も利用できます。
さらに、バックパックを振り回して弱った敵を吹き飛ばし、壁やステージ上のギミックへぶつける豪快な攻撃も登場。3D化も相まって、戦闘の迫力は大きく増しています。
道中で獲得できるパークを組み合わせれば、通常攻撃や特殊攻撃、銃の性能も変化。同じ武器を装備していても、選択した内容に応じて異なる戦い方を組み立てられるので、ここはかなりローグライトとしての完成度が高まっている点だと感じました。


バックパックの中では遺物同士が影響し合う
ダンジョンで手に入る遺物は、バックパックへ詰め込んでいくのですが、ただ空いている場所へ入れれば良いわけではありません。一部には「呪い」と呼ばれる固有の性質があり、配置に応じてほかの品物を燃やしたり、反対に燃焼から守ったりします。
条件を上手く満たせば希少度が上昇し、最初は安価だった品物が高額商品へ化けることも。価値を最大限に高めるにはどこへ置けば良いのか、手持ちの遺物を見比べながら配置を決めます。

ただし、見つけた品々のすべてを持ち帰ることはできません。バックパックの容量には限りがあるため、価値の低い遺物を捨てて高価な品を入れるのか、複数の作用を連鎖させて全体の価値を引き上げるのか、取捨選択を迫られます。
こうした荷物整理そのものが小さなパズルとなっており、本作ならではの面白さを生み出していました。
せっかく高価な品を手に入れても、無事に帰還できなければ十分な利益には繋がりません。奥へ進むほど大きく稼げる可能性がある一方、強敵に倒される危険も増していきます。「あと一つだけ宝箱を開けたい」という欲が、たびたび帰還の判断を鈍らせました。

客の表情を読みながらギリギリの価格を探る
ダンジョンから帰還したら、今度は店主として働く時間です。持ち帰った遺物を台へ並べ、一つずつ販売価格を設定。開店すると客が店内へ入り、気になる商品を手に取ります。
適正価格は最初から明確に示されません。値札を見た客の表情を観察し、「喜んでいるなら安すぎる」「怒っているなら高すぎる」と判断しながら金額を調整します。
あまり安く売れば、仕入れに費やした危険に見合いません。しかし、欲張って値段を上げすぎると、客は何も買わずに帰ってしまいます。相手が購入を諦めない範囲で、できるだけ高い金額をつける。その落としどころを探す作業が、単純ながら癖になります。
営業中は、客を満足させることで専用のゲージが蓄積。一定量に達すると、特定の種類の商品を高く売ったり、チップを増やしたりするパークを選択できます。前作とは違い、店舗経営にもローグライト的な選択が加わり、ただ商品を並べて待つだけではなくなりました。
高品質な遺物に強気な値段をつけ、それでも客が購入し、大もうけできた瞬間は格別です。ダンジョンで戦っている最中にも、「これは高く売れるだろう」と考えてしまいます。


稼いだ金を注ぎ込み、さらなる利益を目指す
トレスナの中央には、巨大な立方体のアーティファクト「エンドレス・ヴォルト」が存在。店で稼いだ金額が目標に達するたびに報酬を獲得でき、物語や新たなダンジョンが解放されていきます。何をしたら良いのか分かりにくかった前作とは違い、明確な目的がありました。
稼いだお金は、武器や防具、銃、回復薬、バックパック、店舗など多岐にわたる強化要素に費やしていきます。
装備を強くすればダンジョンの奥まで進みやすくなり、バックパックを広げれば一度に持ち帰れる商品が増加。店へ投資することで、より効率よく利益を伸ばせるようになります。稼いだ資金をどこへ回すかによって、次の探索や商売の成果も変わってくるでしょう。
一方で、序盤は複数の強化項目に対して資金も素材も不足しがちです。同じダンジョンへ何度も何度も潜り、商品を売って少しずつ設備を整える必要があるため、早い段階から劇的な成長を求める人には、進行がゆっくりに感じられるかもしれません。

続編というより「基本のゲームループを受け継いだ別作品」
前作は温かみのある2Dドット絵で描かれていましたが、本作では画面全体を3D化。キャラクターの動きや攻撃演出も派手になり、ダンジョンには高低差が生まれました。
この変化を魅力と捉えるかどうかは、最終的に好みによるところが大きいでしょう。筆者はドット絵が好きなので、前作のビジュアルが失われたことには少し寂しさを覚えました。

また、ダンジョンがルートを選んで進むローグライト形式へ変わったことで、探索から得られる感覚にも違いが生まれています。
前作では、小さな部屋に分かれたダンジョン内を歩き回るため、次の部屋に何があるのか分かりませんでした。体力が残り少ないなか、回復スポットがあるかもしれないと先へ進む緊張感や、思いがけずお宝を発見したときの喜びがあったのです。
本作では進路の候補があらかじめ示され、その中から目的に合ったルートを選びます。ローグライトとしての質は高まった一方、「未知の場所を探索している」という手触りでは、前作に軍配が上がる印象です。
町づくりの面でも、前作に存在した「稼いだお金で新たな店を呼び込み、少しずつ発展させる」という感覚が薄くなりました。本作にも施設や店舗を強化する要素はありますが、町全体が豊かになっていく手応えは前作ほど強くありません。
冒険と商売を重ねた成果が町の風景にも現れる点が好きだっただけに、個人的には残念な変更でした。
ダンジョンでものを集め、それを自分の店で売る。この独自の楽しさは、確かに『Moonlighter』から受け継がれています。しかし、ダンジョンの構造や戦闘、装備、成長システムは大幅に刷新。そのほかの部分は別のゲームと言っても良いほど、大胆に作り直されました。
前作と同じ体験をそのまま求めると、変更点が気になる可能性はあります。反対に、スピード感のある3Dアクションや、パークを組み合わせるローグライトが好きな人にとっては、魅力的な一本になるはずです。
命懸けでお宝を仕入れ、自分で値札をつけて売りさばく。姿は大きく変わっても、冒険者と店主を往復する中毒性は健在でした。
『Moonlighter 2: The Endless Vault』は、PC(Steam)/XBOX Series X|S(Game Pass対応)/ニンテンドースイッチ2/PS5向けに配信中です。PS5/ニンテンドースイッチ2向けパッケージ版は、セガより12月10日に発売予定です。













