
アメリカ現地では9月12日と13日の2日間にわたって開催された「BlizzCon 2026」。今回の記事ではそんな「BlizzCon 2026」で行われた『ハースストーン』開発陣への日本メディア向けグループインタビューの模様をお届けします。シニア・ゲームデザイン・マネージャーのBrenden Sewell(ブレンデン・シーウェル)氏と、エグゼクティブ・プロデューサーのNathan Lyons-Smith(ネイサン・ライオンズ=スミス)氏に、新メカニクスや来年実装予定の新クラス「モンク」、そして今後の展望について話をお伺いしました。

――日本では『World of Warcraft(WoW)』がローカライズされていないため、新クラス「モンク」の背景について教えていただけますか?
ブレンデン・シーウェル氏(以下、シーウェル氏):モンクを語る上で欠かせないのが「チェン(・ストームスタウト)」というキャラクターです。彼は『WoW』の第4弾拡張データセット「Mists of Pandaria」における象徴的な存在であり、『ハースストーン』にモンクのスタイルを導入する上でも非常に重要なキャラクターとなります。モンクは機敏さが持ち味で、敵の戦略に合わせて臨機応変に反応できるクラスデザインになっています。
――モンクの新カードについて、現時点で少しお話しいただけることはありますか?
ネイサン・ライオンズ=スミス氏(以下、ライオンズ=スミス氏):現在は今年の『ハースストーン』の展開に注力しているため、詳細なご紹介は来年になります。モンクは来年度の第1弾拡張版からの実装を予定しています。

――新メカニクス「アセンブリ」についてお聞きします。プレイヤーが選択肢からカードを構築するような能力ですが、近年の「1ターンを短くする」という方針に対し、思考時間が増える懸念はありませんか?
シーウェル氏:デザインチームが最優先しているのは、キーワード能力の「わかりやすさ」です。プレイヤーに面白い選択を提供しつつも、思考の負担は制限したいと考えています。どなたでも直感的にメカニクスを楽しめるよう、何度も試行錯誤を重ねて現在の「4つの選択肢から選ぶ」という洗練された形に落ち着きました。また、瞬時に選択肢が表示されるUIにし、画面の中央に情報を集約することで、ぱっと見てすぐに判断できるよう簡略化しています。
――今回「黒の帝国」が発表されましたが、『WoW』本編の展開と何か連動しているのでしょうか?
シーウェル氏:意図的に『WoW』の展開に合わせて動いているわけではありません。『ハースストーン』の拡張版は、チームが約1年半前にブレインストーミングを行って決定しています。「旧神」をフィーチャーしたのは、単に我々が『ハースストーン』における旧神のコンセプトをとても気に入っており、彼らの全盛期を描きたいと考えたからです。『WoW』の展開とタイミングが合ったのは、嬉しい偶然ですね。
――旧神は過去にもカードとして登場していますが、今回の新しい効果は過去のものと関係していますか?
シーウェル氏:過去の拡張版『旧神のささやき』からインスピレーションを受けているため、アーキタイプは似ています。「ヨグ=サロン」の強烈な効果は健在ですが、パワーレベルは現代の『ハースストーン』に合わせて調整しています。巨大なミニオンを出しつつ、1ターンに2つの強力なアビリティを選べるという点が今回の旧神の大きな特徴です。
――「ヨグ=サロンがプレイヤーの代わりに操作する」というのは、どのようなアルゴリズムなのでしょうか?
シーウェル氏:法則性はぜひプレイヤーの皆さん自身で見つけていただきたいのですが、今回のヨグはある程度「賢い」選択をするようになっています。賢く作られてはいますが、同時に「ああ、やっぱりヨグだな」と感じられるようなランダム要素もしっかり残しています。
――「バトルグラウンド」のアップデートについて教えてください。
シーウェル氏:今回の新しいミニオンタイプには2つのメカニクスが搭載されています。1つは旧神とのシナジーです。まずは2体の旧神を実装し、追って他の旧神も追加します。「味方のミニオンが3体死ぬと、旧神が盤面を一掃する」というような絶大な影響力を持ったデザインです。また、ウォーロックの「カードを破棄する(ディスカード)」メカニクスもバトルグラウンドに持ち込まれます。

――旧神はデッキに1枚しか入れられないとのことですが、その理由は何でしょうか?
シーウェル氏:盤面に絶大なインパクトを与える、規格外の効果を持たせたかったからです。その代わりとしてデッキに1枚までの制限を設けました。また、すべてのクラス/デッキが旧神の力にアクセスできるよう、中立カードとしてデザインしています。
――2v2のゲームモードを実装するにあたり、技術的な困難はありましたか?
シーウェル氏:開発初期は、技術面とユーザー体験の両面で多くの課題がありました。しかし最終的には様々な壁を乗り越えることができ、そこで培った技術は「酒場の喧嘩」のシステムなどにも応用されています。今後もプレイヤーに何が受けるかを見極めながら、システムを推し進めていきたいです。
――「ジャーナル」のシステムなど、全体的にこれまでの『ハースストーン』とは方向性の異なるアップデートだと感じます。今後の発展についてどのようにお考えですか?
ライオンズ=スミス氏:これからはジャーナルがゲームのスタート地点となり、「今日は何を遊ぼうか」と考えるベースになっていくと思います。新規プレイヤーはジャーナルを通してやるべきことを学び、復帰勢にとってもゲームへ戻るための重要な手がかりになります。
また、各拡張版のバックグラウンドやストーリー面の説明もジャーナルに組み込まれるため、「なぜ今このイベントが起きているのか」という体験を一つにまとめ、新規・復帰勢に優しいシステムになっています。
――私は主に「闘技場(アリーナ)」をプレイするのですが、ジャーナルを通じて他のルールにもアクセスしやすくなるのでしょうか?
シーウェル氏:ジャーナルはプレイヤーに最新のコンテンツを届ける役割を持ち、それは闘技場のシーズンにおいても同様です。単なるチュートリアルや指示出しのツールではなく、現在の『ハースストーン』の物語の枠組みを作るものです。闘技場しか遊ばないプレイヤーであっても、ジャーナルを通じて拡張版全体のストーリーを追えるように設計しています。
――「ボスファイト」とはどのようなシステムですか?
ライオンズ=スミス氏:今回のバージョン1は、ソロモードで一人でダメージを積み上げていく形式です。まずは皆さんのフィードバックを楽しみにしています。将来的に夢見ている構想としては、多くのプレイヤーで同時にボスを倒すレイド形式のものや、討伐速度を競うリーダーボード(ランキング)の実装なども視野に入れています。
――新規や復帰勢を呼び込む重要な転換期が来ているように感じます。今後の『ハースストーン』はどうなっていきますか?
ライオンズ=スミス氏:昨日のイベントでもお話ししましたが、新しいイベントやモードの目的は、常にプレイヤーへ「何か新しい体験」を提供することです。遊んでもらい、フィードバックを受け、それをもとに新しい拡張版を作る……このサイクルでマンネリ化を防ぎたいと考えています。ジャーナルを通して物語が見えることも、新規や復帰プレイヤーの心を躍らせる要素になると期待しています。
これまでにも、復帰プレイヤー向けに無料のデッキを提供したりと、戻ってきやすい環境づくりを進めてきました。『ハースストーン』の累計プレイヤー数は1億5000万人を超えています。我々としては、かつて遊んでくれた方々がいつでも戻ってこられるよう、常に歓迎の準備をしておきたいのです。来年モンクが実装される際にはぜひ熱狂していただきたいですが、まずは現在の「旧神」の展開を存分に楽しんでください。








