ピンボール×登山系×西洋哲学の異色作『Fallosophy』プレイレポ―上昇の苦行を通じ、汝自身を知れ | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

ピンボール×登山系×西洋哲学の異色作『Fallosophy』プレイレポ―上昇の苦行を通じ、汝自身を知れ

無知は善の敵である

連載・特集 プレイレポート
ピンボール×登山系×西洋哲学の異色作『Fallosophy』プレイレポ―上昇の苦行を通じ、汝自身を知れ
  • ピンボール×登山系×西洋哲学の異色作『Fallosophy』プレイレポ―上昇の苦行を通じ、汝自身を知れ
  • ピンボール×登山系×西洋哲学の異色作『Fallosophy』プレイレポ―上昇の苦行を通じ、汝自身を知れ
  • ピンボール×登山系×西洋哲学の異色作『Fallosophy』プレイレポ―上昇の苦行を通じ、汝自身を知れ
  • ピンボール×登山系×西洋哲学の異色作『Fallosophy』プレイレポ―上昇の苦行を通じ、汝自身を知れ
  • ピンボール×登山系×西洋哲学の異色作『Fallosophy』プレイレポ―上昇の苦行を通じ、汝自身を知れ
  • ピンボール×登山系×西洋哲学の異色作『Fallosophy』プレイレポ―上昇の苦行を通じ、汝自身を知れ

壺おじさんこと『Getting Over It with Bennett Foddy』をはじめとする、苦行系ないし登山系と呼ばれる、ワンミスでスタート地点まで戻されるプラットフォーマーゲーム。

『Jump King』などを筆頭にフォロワーが多数生まれ、ゲーマーをたくさん苦しめてきましたが、この度一風変わった新作が出ました。

『Fallosophy』は、西洋哲学とピンボールと登山系ゲームを組み合わせた異色作。

含蓄豊かな言葉を聞きながら、光を渇望し、ひたすらに上昇と下降を繰り返しましょう。それが汝自身を知ることに繋がるのですから……。

本作を起動すると、小難しい表現ながら聞き取りやすい声でナレーションが再生され、何もない空間にボールと左右のフリッパーが誕生します。

目的は、各地に据えられたフリッパーでボールを弾き、上へ上へと飛ばしていくこと。揺らしも、スコアも、ボールセーバーもなく、ピンボールのイデアだけが剥き出しになったような作品です。

基本的には『Jump King』と同じ構造で、画面は縦スクロールのみ、ボールを変なところに飛ばしてしまったり、フリッパーで弾くのが間に合わなかったりすると、するすると落ちていってしまい、遥か下方からまたやり直しです。これぞシーシュポスの神話!永劫回帰!(言ってみただけ)

ゲーム中はこれまた『Getting Over It with Bennett Foddy』と同じく、含蓄に富んだ言葉をひたすらに聴かされます。

壺おじもかなり難しいワードばかりが出てきましたが、本作は西洋哲学のフレーバーなだけあって、より直接的に聖書の引用や哲学者の物語が出てきます。アウグスティヌスが梨を盗んだ話など、大学で哲学を学んだ人や、岩波文庫を日頃から読んでいる人などはピンと来る話題が多いでしょう。

しかしながら、ピンボール部分が忙しなくて字幕を読む暇がなく、せっかくのお話も馬耳東風。おれはありがたいお話を聞いて心の平静を保ちたいのに、玉が! 落ちてくるからッ!

壺おじに比べると、落下したときの煽りセリフもアカデミックな香りがして、あまりイライラしませんが、とはいえ「君が落下したのは、光があまりに多くのものを求めるからだ。」と言われても、どんな顔をすればいいのやらといった感じでした。

そんなこともあり、本作を入口に西洋哲学に触れることはできなさそうで、あくまでユニークなフレーバーにとどまっています。

一方で、ゲーム部分はなかなかステキでした。

本作は苦行系登山ゲームではありますが、昨今のフォロワー作品同様に、ほとんどチェックポイントと言っていいような地点(よっぽど変な跳ね返りをしない限りはそこよりも落ちないエリア)がいくつも設けられており、実際はハード寄りのプラットフォーマーという作りです。

また、フリッパー以外にもシューター(長押しで射出できる仕掛け)や、『スーパードンキーコング』シリーズにあるような大砲など(見た目は古代ギリシャらしく水甕でしたが)、一息つける場所は数多く設けられています。各エリアごとに難所は一個か二個くらいのもので、苦行系のなかでは比較的簡単な部類と言えるでしょう。

加えて、エリアごとに登場する仕掛けは出来が良く、イイ感じに飽きを払拭してくれます。

すべてのシンボルにタッチしなければ壁が開かない箇所や、フリッパーの同時押しでボールを急停止させられるエリアなど、アクションゲームらしいギミックを提示し、ちゃんと利用していかないと進めないようになっています。

ギリギリジャンプや長押しの強弱だけではない、ゲーマー心をくすぐる遊びが盛り込まれていました。

といった具合で、西洋哲学ネタはやや一発ギャグ感はあるものの、そこそこ出来の良い登山ゲームとして仕上がっている本作。

『Jump King』や『Getting Over It』は到底やれる気がしないけど、こういうのに挑戦したいなあ……と思っている人にオススメです。

しかし、手元が忙しいと哲学的思索に耽る余裕もないというのは、アテナイとスパルタの関係を思わせるようでしたな……。

『Fallosophy』はPC(Steam)にて配信中です。

《ライター:各務都心,編集:みお》

ライター/ 各務都心

マーダーミステリー『探偵シド・アップダイク』シリーズを制作しているシナリオライター。思い出の一本は『風のクロノア door to phantomile』。

+ 続きを読む

編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

+ 続きを読む

編集部おすすめの記事

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top