気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Kinnymoms開発、PC/Mac向けに7月27日にリリースされたカオスなデッキ構築クッキングゲーム『キニーと名状しがたいおでん屋』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、様々なものを鍋に放り込み食材コンボを起こすカオスなデッキ構築クッキングゲーム。プレイヤーはおでん屋の店主として、ゴブリン、シーフード、フルーツ、鉱石、さらには鉱夫まで、ありとあらゆるものを鍋に投入します。放り込まれた食材は鍋の中で激しくぶつかり合い、ランダムに融合して名状しがたい化学反応を引き起こしスコアを獲得。日本語にも対応済みです。
『キニーと名状しがたいおでん屋』は、1,700円で配信中。


(日本語で回答いただいたため、最低限の編集で掲載させていただきます)
――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Andyこんにちは!『キニーと名状しがたいおでん屋』を開発したKinnymomsでPDを務めているAndy Ahnです。
好きなゲームを一つだけ挙げるのは難しいのですが、まず思い浮かぶのは『龍が如く』シリーズです。シリアスな物語の合間に、突拍子もないユーモアが当たり前のように同居しているところが本当に好きです。もう少し昔の作品では『クロノ・トリガー』ですね。今年の初めに30周年のオーケストラコンサートを観に行ったのですが、ゲームが誰かの思い出になるというのは本当に素敵なことなのだと、あらためて感じました。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Andy食材がガシャガシャと降り注ぎ、そこから生まれる予測のつかない物理的な相互作用こそが、本作最大の特徴だと考えています。
アイデアを思いついたのは日本を旅行していたときでした。レトロなパチンコ台を集めたお店を見学していて、玉が弾かれながら転がっていく様子をしばらく眺めているうちに、食材を玉のように落とし、その衝突でスコアを生み出すシステムの原型が頭に浮かんだのです。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Andy最も大きな影響を受けたのは『幸運の大家様』です。デッキを組み上げていく中で生まれる、コントロールできる領域とできない領域の間のリスクマネジメントを、自分たちなりのやり方で取り入れたいと思いました。ほかにも『Balatro』の指数関数的なスコアの伸び方やジョーカーシステム、『Slay the Spire』や『Inscryption』のカード同士のシナジーの組み立て方などを大いに参考にしています。
世界観とキャラクターについては、私たちの前作『Kinny and the Star Track Puzzle』から一部を引き継ぎ、そこからさらに広げたものです。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Andyリリース前に韓国のクラウドファンディングに挑戦した時のことが、一番記憶に残っています。正直なところ、ある程度集まれば御の字だと思っていたのですが、予想をはるかに超える方々が気に入ってくださいました。まだ完成してもいないゲームに、先に手を差し伸べてくださる人がいる。そのことが開発を続ける上で大きな力になりました。
その後、Xをはじめとする様々なコミュニティで、私たちのゲームの話題が交わされているのを目にするようになりました。その中には日本の方が書いてくださった投稿もあって、海の向こうで誰かがこのゲームを待ってくれているということが、不思議でもあり、ありがたくもありました。ただ同時に、少し怖くもありました。もう自分たちが面白ければいいと言う段階ではなく、待ってくださっている方々の期待に応えなければならない段階に来たのだと気づいたからです。あの時から、開発の密度は確実に変わったと思います。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Andy難易度に関するフィードバックをいただくたびに、一番悩みが深くなる気がします。食材同士のパワーバランス、デッキ構成による難易度の差、運の要素から生まれるブレまで、プレイヤーごとに体感難易度が変わりうる要素がとても多いのです。そのため、基準をどこに置くのかを何度も修正してはテストし、バランスを調整し続けています。
特に印象深かったのは、私たちが思いもよらなかった組み合わせを見つけ出して共有してくださったプレイヤーの方々です。作った本人より深く掘り下げてくださる方がいるとわかってしまうと、もう手を抜くことなどできなくなります。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Andyコンテンツの追加、バランス調整、快適性の向上、バグ修正を今後も地道に続けていく予定です。特に、エンディングを迎えたあとも遊び続けていただけるよう、追加の挑戦要素を含んだチャレンジモードを開発中です。
――本作の日本語対応状況について教えてください。実装の内容や大変だった点、日本からの反応はどうでしたか?
Andy『キニーと名状しがたいおでん屋』は日本語に公式対応しています。日本語翻訳はありがたいことにパブリッシャー側で用意してくださり、しっかりとした品質で進めることができました。
意外な反応があったのは日本語のタイトルでした。「おでんがないのに、どうしておでん屋なの?」というご意見を本当にたくさんいただいたのです。このタイトルはパブリッシャーと長く話し合った上で決めたもので、鍋に材料を入れて煮込むという本作の核となるコンセプトを、日本のプレイヤーの皆さんにとって最も親しみやすいイメージでお伝えしたいと考えました。
また、リリース直後に日本語テキストが正しく表示されない不具合があったのですが、日本のプレイヤーの皆さんがすぐに知らせてくださったおかげで、ただちに修正することができました。この場をお借りして御礼申し上げます。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Andyはい、もちろん大歓迎です。配信も動画投稿も攻略の作成も自由にしていただいて構いませんし、YouTubeやTwitchなどでの収益化にも制限は設けていません。私たちも投稿していただいた動画を一緒に観ながらあれこれ話していますので、面白い動画をお待ちしています!
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Andy何よりもまず、日本のプレイヤーの皆さんに心から感謝いたします。リリース前のウィッシュリストや体験版のプレイデータを見ていた時もそうでしたが、リリース後も日本のプレイヤーの方々の割合が非常に大きいのです。韓国の小さなチームが作ったゲームにこれほど関心を寄せていただけていることが、今でも驚きです。まだ遊んだことのない方が、こうしてインタビューまで読んでくださっている。それも、作り手としては本当に嬉しいことです。
先ほど『クロノ・トリガー』のコンサートの話をしましたが、あの場で私が感じたのは、ゲームは誰かの古い思い出になれるのだということでした。私たちのゲームがそれほどの重みを持てるかはわかりません。それでもいつか、日本のどなたかが「そんなゲームがあったな」と思い出してくださるなら、それだけで十分だと思っています。その日が来るまで、私たちは作り続けます。これからもよろしくお願いします!
(パブリッシャーRogue Duck Interactiveの共同設立者であるDora Ozsoy氏からもメッセージが届いています。こちらのみ原文が英語のため、日本語訳で掲載します)
Dora私たちは「癒し系ゲーム」と「ストラテジーゲーム」に重点を置いており、数多くの癒し系職業シミュレーターやデッキ構築型ゲームを取り揃えています。そのため、『キニーと名状しがたいおでん屋』は私たちのゲームカタログに驚くほどぴったりな作品でした。
本作は、美しいアートワークや楽しいインタラクション、跳ね回るフルーツと言った癒し系の要素に加え、材料やアイテムの選択によって無数のコンボが生み出せるデッキビルダーとしての奥深いゲーム性を兼ね備えています。このプロジェクトでKinnymomsとパートナーシップを結べたことを、私たちは本当に幸運に感じています!
そして、日本のプレイヤーの皆さんといつも私たちを繋いでくださるGame*Sparkさん、本当にありがとうございます!皆さん最高です!
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に1,000を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








