『メイプルストーリー』初の劇場版アニメ『DEAR MY HERO』日本初上映会レポート。シリアスなタッチで描く、ひとりの兵士が戦場で探す“自分にしかできないこと” | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『メイプルストーリー』初の劇場版アニメ『DEAR MY HERO』日本初上映会レポート。シリアスなタッチで描く、ひとりの兵士が戦場で探す“自分にしかできないこと”

『メイプルストーリー』の物語はこれからも続く

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『メイプルストーリー』初の劇場版アニメ『DEAR MY HERO』日本初上映会レポート。シリアスなタッチで描く、ひとりの兵士が戦場で探す“自分にしかできないこと”
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23年にわたって冒険者を迎えてきたネクソン発のMMORPG『メイプルストーリー』が、ついにスクリーンへ──ただしその舞台はかわいらしいイメージとは裏腹に、血の匂いが漂うシリアスな戦場でした。

11月7日、東京・新宿の109シネマズプレミアム新宿で、初の劇場版アニメ「DEAR MY HERO」の特別上映会が開かれ、新たに制作された日本語吹き替え版が日本初披露されました。

憧れの英雄に近づけない一人の新兵が、戦場で見つけるものとは。約30分の短編映画の魅力とイベントの模様をお届けします。

ご長寿MMO『メイプルストーリー』の世界で英雄になれない新兵の物語が描かれる

上映に先立ち、日本『メイプルストーリー』ディレクターのイ・ギョンジュンさんから挨拶がありました。23周年を迎えたことへの感謝が伝えられ、これからもたくさんの期待に応えていきたいという意気込みが語られました。そのまま「DEAR MY HERO」の上映開始が告げられ、場内が暗転して映画が始まりました。

イ・ギョンジュンさん

『DEAR MY HERO』は、サービス開始23周年を記念して2026年6月に韓国のロッテシネマ約100スクリーンで公開された劇場用短編アニメ。現地のプレイヤーから高い評価を受けた本作が、今回、新たに制作された日本語吹き替え版で日本初上映となりました。上映会は東京と大阪の2会場で行われる完全招待制のイベントで参加は無料です。

監督はイ・ソンファンさん、制作総指揮は韓国で『メイプルストーリー』のディレクターを務めるキム・チャンソプさんが担当しています。吹き替えキャストは、アイダンを山口智広さん、カーツを熊谷健太郎さん、ロエンを伊藤彩沙さん、ジグムントを小原莉子さん、キダンを蓮岳大さん、ベルを山北早紀さんが務めています。

主人公は『メイプルストーリー』をプレイしたことのある人であれば全員がお世話になるシグナス騎士団に入団したばかりの新兵アイダンです。彼が胸に抱いているのは、連合の英雄のように、たった一人で戦局を覆し、いつか世界を救う存在になるという夢でした。

しかしメイプルワールドを守るために戦う騎士団を待っていたのは過酷な戦場。戦いに身を投じるほどに、アイダンは憧れの英雄に近づくどころか、自分がいかにちっぽけな存在であるかを思い知らされていきます。

超シリアスに描かれる戦場の厳しさ

物語はシグナス騎士団の兵士たちが戦いに向かう回想シーンから幕を開けます。冒頭からいきなり兵士が嘔吐し、青ざめた兵士が震えながら叫ぶなど、全体にかなりシリアスな雰囲気です。『メイプルストーリー』のかわいらしいイメージを想像していると、良い意味で驚かされるはずです。

場面は主人公がシグナス騎士団に入隊する時点に切り替わります。見習い兵士となったアイダンは、初日から浮き足立った様子を厳しいキダン教官に叱咤されます。続く入隊式でも、新たにできた友人のロエンやカーツと一緒におしゃべりをして注意されるなど、お茶目な一面を見せます。

幸先は悪いものの訓練ではなかなか良い成績を残していきます。自分はいつか英雄になるのだという思いを胸に、アイダンはロエンとカーツとともに、いよいよモンスターたちと戦う戦地へ向かうことになります。

ところがアイダンは思いが強すぎるあまり単独で行動して無理を重ね、負傷してしまいます。その傷を治療してくれたのが、衛生兵を志願していたロエンです。

ロエンは親身になって励ましの言葉を送りますが、アイダンのどうしても名を残したいという思いは消えないまま。アイダンは正式な兵士として再び戦場へ向かいますが、先の負傷で味わった不甲斐なさが尾を引き、前向きとは言いがたい心境のままでした。

次なる舞台は「ブラックヘヴン」です。ゲームでも大規模ストーリーコンテンツ「ブロックバスター」の第1弾として登場した戦いで、あまりにも強大な敵を前にアイダンたちはなすすべを失ってしまいます。そこからどう立ち向かい、どう成長するのか。ここから物語は一気にクライマックスへと向かっていきます。

ゲームでは味わえない緊張感と、おなじみのキャラクターたち

観ていて印象的だったのは、まず描写の生々しさです。流血表現もあり、戦闘シーンは迫力たっぷりで、トーンは終始シリアスに貫かれています。とくに雑魚モンスターとの戦いは、本編のゲームでは敵を一掃していく爽快感が中心なだけに、なかなか味わえない緊張感がありました。普段は軽快に倒している相手でも、一介の兵士からすれば命がけの脅威なのだと実感させられます。

そして、多くの兵士のなかのひとりが“自分にしかできないこと”を探していく物語は、かなりMMOらしいメッセージだと感じました。大勢のプレイヤーが同じ世界で冒険するMMORPGならではの教訓が、約30分の中にしっかりと盛り込まれた満足感のある作品でした。

韓国メディア「GAMEVU」によると、キム・チャンソプさんは、兵士の視点を通して、プレイヤーが重ねてきた冒険も十分に価値のある物語だと伝えたかったと語っているそうです。もともとは約17分の企画でしたが、制作が進むなかで現在の長さまで膨らんだとも伝えられています(外部リンク)。

作中には、シグナスやジグムント、ヘレナといった連合の面々や、レジスタンスのベルなど、『メイプルストーリー』を彩ってきた重要キャラクターたちが登場します。いち兵士の視点だからこそ、おなじみのキャラクターたちが戦場の向こうにいる遠い存在として描かれ、物語に奥行きを与えていました。

筆者にとって特に熱かったのがレジスタンスのキャラクターの登場です。かつて4次転職(当時の最高段階)までワイルドハンターを育てており、そこまでが本当に大変だったんですよ。

かなり気に入って使い込んでいたので、スクリーンにレジスタンスの面々が映った瞬間、あの頃の苦労とギルドメンバーとの思い出がよみがえってきました。長く遊んできたプレイヤーほど、こうした場面にこみ上げるものがあるはずです。

来場特典はメイプルらしいデザインがずらり

会場では来場者にさまざまなグッズが配布されました。本作の主人公アイダンのイラストがあしらわれたシネマチケットとアートカード、作中の場面がフィルム風にレイアウトされたステッカー、リーフレットです。

さらに、コースターやポップコーン用の紙ピック、ドリンクストロー用の紙チャームも用意されていました。コースターはピンクビーン、紙ピックはオレンジキノコと、メイプルらしいデザインです。

かわいらしい世界の裏に命がけの戦場がある。「DEAR MY HERO」は、数えきれない冒険者のひとりひとりが歩んできた道のりを、いち兵士の視点からあらためて見つめ直す作品でした。

憧れの英雄にはなれなくても“自分にしかできないこと”を探し続けるアイダンの姿は長く遊んできたプレイヤーにこそ響くはずです。23周年を迎えた『メイプルストーリー』が初めて見せた、シリアスで熱い一本。一般公開については続報をお待ちください。

《ライター:タナカハルカ,編集:Akira Horie》

ライター/気さく タナカハルカ

インディーゲームデベロッパー・よんとんトマチンのメンバー(ヤムニャン学園)として『ふりかけ☆スペイシー』を開発。著書『海外ゲーム音楽ガイドブック ビデオゲームからたどる古今東西の音楽』『楽曲派アイドル・ガイドブック ももクロ以降のアイドルソング再考』。寄稿『ユリイカ2025年12月臨時増刊号 総特集=大貫妙子』『DAWN N°2』など。毎週新高円寺で会える。

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Akira Horie

編集/『ウィザードリィ外伝 五つの試練』Steam/Nintendo Switch好評発売中! Akira Horie

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