気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Vladyslav Fomenko氏開発、PC向けに10月14日にリリースされたドローンシミュレーター『Remote Reaper: FPV Combat Drone Simulator』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、ウクライナ人開発者による、現代のFPVドローンを操作し様々なミッションを遂行するシミュレーター。装甲車両や航空目標、歩兵などのターゲットに多彩なアプローチを仕掛けつつ、精密な操作による攻撃を行います。記事執筆時点では日本語未対応。
『Remote Reaper: FPV Combat Drone Simulator』は、2,600円で配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Vladyslavウクライナで活動する個人開発者のVladyslav Fomenkoです。10年以上にわたりゲーム開発をしており、テクニカルゲームデザイナーとしては7年間の商業ゲーム開発経験があります。
『Remote Reaper』は私のメインプロジェクトです。軍のドローンパイロットの方々から継続的なアドバイスを受けながら、私自身の手で開発を進めています。本プロジェクトは完全に独立しており、投資家からの資金援助、政府からの助成金、さらには軍事契約なども一切ありません。すべての重要な意思決定は私自身が行い、特定の専門分野についてのみフリーランスの方々に協力してもらっています。
「一番好きなゲーム」ですか?私にとっては一番難しい質問かもしれません。ゲームデザイナーという仕事柄、多様で幅広いジャンルのゲームをプレイすることが求められます。私自身、ゲームというものが大好きですが、「これだ」と言える特定の作品を選ぶことはできません。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Vladyslav『Remote Reaper』は、爆薬を搭載した戦闘用FPVドローンを操作するシミュレーターです。既存のドローンシミュレーターの多くは、スピードやトリックを重視するレースやフリースタイル向けに作られています。
しかし『Remote Reaper』では、すべての飛行に「敵の妨害をかいくぐり、目標を発見して命中させる」という具体的な任務が存在します。ドローンは重量があるため強い慣性が働き、さらに敵の電子戦(EW)によって電波が妨害されるため、あらゆる飛行において精密なコントロールが求められるのです。
このアイデアは、ふたつの要素から生まれました。ひとつは「自分自身が夢中になって遊べるゲームを作りたい」という思い、そしてもうひとつは「重量のある物を積んだ状態でのリアルな飛行体験を再現できるシミュレーターが欲しい」という現役パイロットたちからの要望です。開発に着手した当時、こうしたコンセプトのゲームは存在しなかったため、この極めてニッチで尖ったターゲット層に刺さるゲームプレイを一から模索する必要がありました。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Vladyslav私が一番参考にしたのは「現実」そのものです。今現在、ウクライナの戦場でFPVドローンがどのように使用されているかという現実から着想を得ています。
私は他のゲームを参考にすることを意図的に避けました。参考にしたのは、あくまでも「リアルな体験」です。一般的なゲーム開発において、ゲームデザイナーは既存の他のプロジェクトをベースに発展させることが多いため、これは非常に珍しいアプローチだと言えるでしょう。しかし私にとって、その選択肢はそもそも存在しませんでした。
私は自分で長時間、実際にドローンを操縦しただけでなく、重量物を積んだドローンの操縦経験を持つ方たちから多くのアドバイスをいただきました。また、ドローンが戦術的にどのように活用されているかも研究し、それをシミュレーターにどう落とし込むかを探り当てたのです。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Vladyslav実は、特に印象深いエピソードがふたつあります。それぞれ、まったく異なる感情をもたらしてくれた出来事です。
早期アクセス版リリースの2、3ヶ月前、『Remote Reaper』のサーバーを設置していた場所がミサイル攻撃を受け、甚大な被害が出ました。幸いにも怪我人は出ませんでしたが、戦争はあらゆるプロジェクトに対して予期せぬ困難をもたらします。しかし、それでも私は立ち止まりませんでした。私はこの経験から学び、本プロジェクトが戦争の影響を受けるリスクを極力減らすための対策を講じることとしたのです。
開発中には嬉しい瞬間もたくさんありましたが、中でも忘れられないのが、ドローンを扱うウクライナの超人気チャンネルの方が、私のプロジェクトについての動画を公開してくださったことです。まったく予想もしていませんでした。私が心から尊敬している方に注目していただけたのは、本当に幸運なことでした。最初はその動画でどんな評価を下されるのか、怖くてたまりませんでしたが、実際に届いたのは非常にポジティブなフィードバックと、本作を改善するための有益なアドバイスだったのです。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Vladyslavバージョン1.0のリリース以来、世界中のプレイヤーやパイロットの皆さんから数多くのフィードバックが寄せられています。特に評価されているのは、物理演算、爆薬の重みの感覚、そしてFPV用プロポへの対応です。
一方で、あえて採用を見送った要望もありました。例えば「都市部のインフラ施設への攻撃ミッションを追加してほしい」というリクエストです。私はこうした攻撃が日常的に発生している国に暮らしており、ゲームがそうした行為を助長・奨励することは避けたかったのです。
どのフィードバックを特に印象深いものとして挙げるべきか、丸二日近く考え抜きましたが、ひとつだけを選ぶことはできませんでした。本作の開発はプレイヤーの皆さんと非常に密接に繋がっています。既存のシステムに対するアドバイスや新要素のアイデアをたくさんいただき、私自身もパイロットの方々と何時間もチャットをして意見を交わすことが日常茶飯事です。だからこそ、私にとっては届いたフィードバックのすべてが等しくかけがえのない価値を持っているのです。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
Vladyslav私は本プロジェクトを長期間にわたってサポートし続けていくつもりです。今後のアップデートにおける主な方向性としては、新しいミッションやターゲットの追加、レースモード向けの新規トラック、新たなマップや敵車両、そして味方部隊や味方車両の拡充、さらには小規模なストーリーキャンペーンの実装を予定しています。
また、プレイヤーの目の前のエリアで展開されるロケットの発射、砲撃、多連装ロケットシステム(MLRS)による着弾など、臨場感を高める背景の戦闘エフェクトの追加も計画中です。加えて、macOS版の展開も予定しています。
現在はプレイヤーやパイロットの皆さんからフィードバックを収集している段階であり、それらを精査した上で開発の優先度を決定していくつもりです。
――本作の日本語対応状況について教えてください。有志翻訳は可能ですか?
Vladyslav現時点で、本作はまだ日本語に対応していません。現在対応している言語は、英語、ウクライナ語、ポーランド語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語です。日本語の追加については少し後になる予定で、その理由のひとつとして、UIの調整に加え、使用しているすべてのフォントが日本語環境で正しく表示されるかを確認する必要があるためです。
残念ながら私は日本語がわからないので、お手伝いしていただける方がいらっしゃいましたら、ぜひご協力いただけると嬉しいです!
――本作では、なぜ、そして具体的にどのように生成AIの生成物を使用しましたか?また、生成AIについてはどのような感情を抱いていますか?
Vladyslav特定のタスクをこなすための「ツール」として生成AIを使用しています。すべてを自分一人でこなすことは不可能なため、AIは私の最大の弱点であった「音楽」を補うという点で助けとなりました。特にメインメニューの曲やトレイラー用の音楽制作には膨大な時間を費やしており、とても細かな選定プロセスを経て、自分自身で編集や調整を行っています。AIが多くのプレイヤーの方々をイライラさせることも理解しているため、使用は「他に選択肢がない部分」かつ「プレイヤーに不快感を与えない部分」に限定し、最小限に留めるよう配慮しました。
一方で、3Dモデルや飛行の物理演算、ゲームシステムはすべて人間の手で作られています。これらの部分は、AIを信用するにはあまりにも重要過ぎます。
私はAIを「作業スピードを向上させるためのツール」として捉えています。しかし、最終的な判断と責任は、常に人間にあると考えています。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Vladyslavもちろんです!プレイヤーの皆さんは『Remote Reaper』の配信、およびYouTubeやTwitchをはじめとするあらゆるプラットフォームでの動画の収益化を自由に行っていただいて問題ありません。特別な許可は一切不要ですよ。
コンテンツクリエイターの皆さんがご自身の配信や動画のリンクを送ってくださると、非常に嬉しく思います。私は皆さんを応援するのが大好きで、例えば、視聴者プレゼント企画で使っていただけるようにゲームキーをいくつかプレゼントすることもよくあります。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Vladyslav日本の読者の皆さん、『Remote Reaper』に興味を持っていただき、ありがとうございます。また、私のプロジェクトに注目してくださったGame*Sparkにも心から感謝いたします。このインタビューのおかげで、日本のプレイヤーの皆さんにも本作を知っていただける機会を得ることができました。
フライトシミュレーターが好きな方はもちろん、何か新しいものを求めている方は、ぜひ一度FPVドローンの操縦に挑戦してみてください。ドローンを飛ばしたことがない方に向けて、本作には操作を簡略化したモードも用意しています。皆さんからのフィードバックを楽しみにお待ちしております!
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に1,000を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








