『Dragon Age: Inquisition』開発者インタビュー、RPG創りにこだわるBioWareの目指すもの | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『Dragon Age: Inquisition』開発者インタビュー、RPG創りにこだわるBioWareの目指すもの

BioWareのシリーズ最新作『Dragon Age: Inquisition』。本作のクリエイティブディレクター、Mike Laidlaw氏にインタビューを実施し、開発の思い出や前作からの革新など、RPGマイスターの目指す作品像を語ってもらいました。

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『Dragon Age: Inquisition』開発者インタビュー、RPG創りにこだわるBioWareの目指すもの
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Electronic Arts傘下の開発スタジオ、BioWareが手掛けるファンタジーRPGシリーズの最新作『Dragon Age: Inquisition(ドラゴンエイジ:インクイジション)』。今月末の国内発売を目前にして先日開催された体験イベント、「スカイホールド 審問会の秘密会議」にて、本作のクリエイティブディレクター、Mike Laidlaw氏にインタビューを実施し、開発の思い出や前作からの革新など、RPGマイスターの目指す作品像を語ってもらいました。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆


――本作の開発にあたって最も楽しかった思い出を語ってください。

Mike Laidlaw:ゲーム開発は仕上げが一番楽しいものさ。『Dragon Age: Inquisition』は私たちにとって挑戦だった。基本的にスクラッチから作ったも同然なんだ。1作目と2作目のベストパートを盛り込みたいという制作像はあったけれど、Frostbite 3を新たなゲームエンジンとして導入したことで大きな課題ができた。

開発チームの半数は『Mass Effect 3』を手掛けたスタッフなんだけど、Unreal Engine経験者たちにとって全てが新たな体験だったのさ。コンテンツ制作へ即座に着手してくれたし、プロトタイプのアイデアをまとめるのも早かった。それでも、開発初期の段階では剣を振ることはおろか、キャラクターが会話をするなんてできなかった。ゲームのコアは何一つ形成できてなかったんだ。 



3年が経ってチームがクタクタに疲れ果ててきた頃、それまでバラバラだったRPGのパーツが一つになり始めたのがようやく見えた。散りばめられたトレジャー、戦闘で適切に動作するクリーチャー、そして広大に広がる空間。それら全てが一つになった時、私が思い描いた”体験”へと変わったのさ。 単に”ゲーム”というよりはね。

各チームメンバーが2年から3年かけて自分の担当部分だけをコツコツ作る中で、ある日突然それが大きな産物の一部だったと気がついて、みんなのテンションが上がるのを見るのが私は好きだ。マイク、これ最高じゃんってね。まるでぶったまげたみたいに。喜ばしいことだし、最高の瞬間だよ。

――Frostbite 3を導入したことによる最大の利点を教えてください。

Mike Laidlaw:最も大きかったのはビジュアルかな。前作はEclipse Engineを限界まで活用していたんだけど、1作目が出た時にはすで古い類のゲームエンジンだったんだ。Frostbite 3を導入することでディスプレイマッピングやダイナミックライティングをはじめ、Eclipseが得意としなかった多くの分野が向上した。おかげでレベルアーティストは旧エンジンで不可能だった規模の巨大な空間を作り出すことができたんだ。



――過去作品から得たユーザーフィードバックの中で、どのような点が今作に取り入れられているのでしょうか。

Mike Laidlaw:戦闘がごちゃごちゃしていて慌ただしいというフィードバックはそのまま戦術カメラの導入に生かされているね。俯瞰カメラで戦況を把握しながらパーティーメンバーに命令できる指揮官体験は、PC版『Dragon Age: Origins』で高評価だったんだけど、要求スペックが高くてPS3版やXbox 360版では実装できなかった。そのほか大きな課題として、同じ空間の使いまわしが多かったという点もあった。同じ街や洞窟を何回使うんだってね。これらは容易に解決できたよ。

それから、もう1つ面白いフィードバックがあった。ユーザー同士がドラゴンエイジ体験をいかに共有しているのかを議論する機会があったんだけど、実際はネタバレを避けたいという理由からほとんど情報交換が行われていなかったんだ。『Dragon Age: Inquisition』には濃密なストーリーがあって、その軸となるのが重大な選択や決断だ。



しかしながら、そのプロセスを経るにあたって審問会の勢力を強化するためにはオープンワールドのフィールドへ探索にいかなければならない。悪いやつらを倒したり、アイテム収集やクラフトを楽しんだり、古の遺跡のようなランドマークを発見したり、そこでのイカした体験はストーリーのネタバレも気にすることなく友人とシェアできるものだ。最も取り入れたかったのはプレイヤー同士の体験共有なんだ。そういう意味でマルチプレイヤーモードは正解だったと思うよ。

――ゲームボリュームについて教えてください。何時間くらい楽しめますか。

Mike Laidlaw:どこまで体験したいかによるね。個人差はあるだろうけど、メインストーリーを追うだけなら40~50時間もあれば十分だろうね。サブクエストやアイテム収集を含めて、ゲームの全てを体験したいなら100時間以上は楽しめる。私の妻がつい最近本作をクリアしたんだけど、BioWareで働いていてゲームを熟知している彼女ですら98時間プレイしてもまだ遊びつくせていないよ。

――サブクエストがそんなに?

Mike Laidlaw:そんなに。シナリオクリアに必要以上のコンテンツが用意されているんだ。例を挙げると討伐対象のドラゴンだ。倒せば審問会の勢力や影響力がパワーアップしたり、時には貴重なアイテムがもらえたりとゲームプレイが有利になるけど、無視してもゲームをクリアすることは可能なんだ。どこまでロケーションを発見するか、どこまでキャンプを築き上げるか、全てユーザー次第だよ。



――DLCのリリースは予定していますか。

Mike Laidlaw:マルチプレイヤーに関しては計画しているよ。『Mass Effect 3』がそうであったように、オンライン用の追加コンテンツは無料で配信したい。それが新キャラクターであろうと新マップであろうと、持っている人とそうでない人でコミュニティーを分裂させたくないからね。

シングルプレイに関してはどうだろう。追加できるものは特にないかな。100パーセント出し切った状態でリリースするからね。発売を半年も延期した理由でもある。それに大きなプロジェクトを成し遂げた後はスタッフにも休暇が必要だ。少しだけ寝かせてあげてよ。

――仲間に気に入られるとどんないいことがあるのですか。

Mike Laidlaw:主要な登場人物にはそれぞれストーリーが用意されているんだけど、プレイヤーの好感度が上がるにつれて信頼してくれるようになる。事情を話してくれたり、胸の内を明かしてくれたり。結果、シナリオやクエストが追加されてプレイコンテンツが増えるんだ。

単なるお楽しみ要素もいくつかある。たとえば、私のお気に入りは、あるドラゴンを討伐した時に特定のキャラクターがパーティーにいると飲みに誘われるシーンかな。そのキャラクターの人種のことをよく知るいい機会だし、一緒に味わった興奮を共有してくれるんだ。「最高にハイだったなあ! ガハハー!」みたいにね。



もちろん、特定の人物とは恋愛関係になることができる。逆に反感を持たれ続けると審問会を去ってしまう者もたくさんいる。いなくなったキャラクターはストーリーから抹消されて戻ってこない。もしプレイヤーが特定の人物のことを快く思わないのであれば好都合だろう。いずれにせよ、好感度がゲームに与える影響は大きいよ。

――シリーズを通して登場する同性愛もしくは両性愛のコンテンツに関しては賛否あるのでしょうか。

Mike Laidlaw:性別や嗜好に関わらず全てのロマンス要素は完全にオプションだ。恋愛でストーリーを盛り上げるのはおまけ要素。だからユーザーにできる限り多くの選択肢を与えるために、ストレートもゲイもレズビアンもバイセクシャルも全て含めることにしているんだ。それらのコンテンツをいかに楽しむかはユーザーの手に委ねられている。

見たくないものは見なければいいだけの話だけれど、我々が最初から特定のコンテンツをカットしてしまったら、それを必要としているユーザーは成す術がないだろう。あらゆる選択肢を常に用意したいと考えている。そのコンテンツに感謝してくれる人がいてくれる。それが私たちの幸せだ。そして、どんな作品でもなされていることじゃないのなら、我々がやらない理由はないさ。



――BioWareのスタジオ内でもセクシャルマイノリティーに偏見がない?

Mike Laidlaw:はい。エドモントンスタジオのゼネラルマネージャー、Aaryn Flynnはセクシャルマイノリティーのよき理解者なんだ。ロマンス要素について打ち合わせをした際も、「ゲイキャラが出るだと? いいよ!」のたった一言。それで決まりだった。

――BioWareがRPG制作にこだわり続ける理由を教えてください。

Mike Laidlaw:BioWareは大手RPGメーカーの部類に入ると思う。それというのも、ここに集う人たちは皆RPGのような壮大なストーリーに関わりたいと願う者ばかりなんだ。スタジオ創設者のRay MuzykaとGreg Zeschukが事業を始めた当初、『Shattered Steel』という巨大ロボのアクションゲームでデビューしたんだけど、次作の『Baldur's Gate』を開発した時すでにRPG創りのDNAが確立されたといえる。

多くの才能を長く留めてきたという点もあるね。私は入社12年だし、Aarynは13年か14年か、『Dragon Age: Inquisition』のエグゼクティブプロデューサーにいたっては16、17年になる。スタジオ創設初期、初代『Baldur's Gate』の時代からずっといる。RPGは我々の伝統ともいえるし、安らぎの空間といってもいい。



だからといっていつまでも同じことばかりやりたいわけじゃないよ。常に革新を求めてる。シューターRPGを作るなら『Mass Effect』のようになるし、純粋なアクションRPGなら『Jade Empire』みたいになるだろう。世界を冒険することに変わりはないけれど、ストーリーのコアがいつだって重要になる。RPGはそれを最も上手く伝えることができるジャンルだと思うね。

――あなたにとってRPGとは何ですか。

Mike Laidlaw:ヘビーな質問だな、ハハハ。私にとってRPGとは、プレイヤーが物語に重要な影響を与えられる全てのものとでもいうべきかな。それが醍醐味でもあるしね。面白いのは、それに当てはまらないものもあるということ。

私は『ファイナルファンタジー』シリーズが大好きなんだが、その中では必ずしもプレイヤーが物語を左右する影響力を持っているとは限らない。その代わりに監督のような役割を与えられていて、プレイヤーはストーリー進行が途絶えないようにイベントを指揮している感覚を味わえる。

我々の作品も似たようなものだが、少しこんがらがってるんだ。プレイヤーの選択によって異なる方向へゲームが展開して、物語の違った側面やアクティビティーを体験できる。RPGは他のジャンルに比べて、ユーザーが作品へ与える影響がとても大きいと思う。

――それでは最後に、日本で『Dragon Age: Inquisition』を心待ちにしているファンへ向けてメッセージをお願いします。



Mike Laidlaw:繰り返しになっちゃうけど、私は日本のRPGが大好きなんだ。我々が作るものは少し毛色が違うけれど、ローカライズすることで支持してくれている人々へ恩返しできれば嬉しいと思っている。

本作はみんなのゲーム体験をより多くシェアできるように作ったゲームだ。違う道を歩んだプレイヤー同士が異なる体験の共有を楽しんでくれたら、私にとってこれほど嬉しいことはないよ。日本のファンがその他全ての国のユーザー同様にこのゲームを楽しんでくれますように。

――あなたにお会いできてとても光栄です。本日は素敵なお時間をどうもありがとうございました。

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十人十色のプレイスタイルが物語に多様なゲーム体験を紡ぎ出す『Dragon Age: Inquisition』は、PC/PS4/PS3/Xbox One/Xbox 360を対象に、Electronic Artsから国内で11月27日(OriginでのPCダウンロード版のみ20日)に発売されます。さらに詳細になったキャラクタークリエイションや、戦術カメラの再来でよりタクティカルに生まれ変わった戦闘システム、そしてゲーム体験のシェアを促進させるマルチプレイヤー。前作のフィードバックを基に進化したRPGの真髄が、ユーザー主導のファンタジー体験に新たな物語を紡いでくれることでしょう。
《河合 律子》

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