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【JRPGの行方】第1回 1997年の「アニメ化」と「観る物語」

「JRPGの行方」などと題しましたが、本稿の目的はそれほど大仰なものではなく、かつてゲームジャンルの王であったRPGを、いかなる形であれ話題にすること。90年代後半以降の日本のRPGを考えます。

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【JRPGの行方】第1回 1997年の「アニメ化」と「観る物語」
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■コラム連載スタートに寄せて

まず言い訳から始めさせてください。私に「JRPGの行方」が分かるはずもありません。本当は語呂がいいという理由で、タイトルを「じぇじぇじぇ!JRPG」にしたかったのですが、あまりに時期を逸したということであえなく却下となりました。

本稿の目的はそれほど大仰なものではなく、かつてゲームジャンルの王であったRPGを、いかなる形であれ話題にすること(実はRPGが話題から消えた、というのは厳密に言えば嘘なのですが)。90年代後半からの日本のRPGを参照しつつ、RPGがどのように変化し、どこへ向かおうとしているのかを考えていければいいと思っています。

RPGの定義については、ここであえて明確にせず、とりあえず(ドラクエ、FFに代表される)一般的な日本のRPGということにさせてください。「JRPG」という言葉をなるべく使わない理由は後述します。

本連載では、売れる売れないといった商業面、ハードの進化といった技術面にはほとんど言及しません。そういったものは詳しい方たちの言説が他にもたくさんあるからです。また、ゲームの誕生、RPGの起源、それが日本に登場するまでという「ゲームの歴史」における古代~中世史の部分は扱いません。1990年代後半から、現在に至る近現代史の部分に触れてみたいと思います(この時代区分が正しいかは分かりませんが……)。

本稿は以下の目次からなる予定ですが、気分によって変更となる場合もあります。

    1)1997年の「アニメ化」と「観る物語」
    2)モラトリアムとタナトス
    3)「FF」からみる物語とキャラクター
    4)ゲイシャ化する「JRPG」
    5)「TOP 10 WAYS TO FIX JRPGS」再考
    6)RPGはどこへ消えた?
    7)JRPGを超えし者


■我々はなぜRPGが好きなのか

かつてゲームといえば据え置きゲーム機だった時代に中軸を担っていたのがRPGでした。なぜ我々はRPGが好きなのか。あるいは好きだった、のか。

ライター・物語評論家であるさやわか氏の著書に『僕たちのゲーム史』というものがあります。「ボタンを押すと反応する」ことをゲームの基本としつつ、「物語をどのように扱うか」という視点からゲーム史を語る内容となっています(本稿でも何度か参照します)。

ゲームにおいて物語が重要だとして、物語を扱うのに適しているジャンルのひとつがRPGなのはいうまでもありません。ノベルゲームなどと同様に、RPGにおいてゲームと物語は主従関係を超えた不可分なものとなっていました。これも含め、RPGが主役だった理由はいくつかあります。

    ・物語を堪能できる
    ・時代の最先端
    ・誰でも遊べるやさしさ
    ・感動を期待できる
    ・高いコストパフォーマンス

ゲームにおいて物語は重要で、その物語を十分に楽しめるのがRPG。かつては最新ハードの性能を最大限に引き出した、時代をリードする作品が次々と生まれてきました。それを他のゲームと大して変わらない値段で楽しめ、さらにクリアまで数十時間のゲームプレイを保証されているコスパの良さ。ゲームが苦手でもプレイでき、あわよくば感動できるかもしれない(氏は『イース』のキャッチコピーを引用し、日本のRPGにおける「優しさ」と「感動」をキーワードに挙げています)。

「優しさ」は、ゲームプレイの「易しさ」でもあり、グラフィック面での「優美さ」でもあり、物語における「感動」にもつながる、日本のRPGにとって重要なキーワードといえます。

《Kako》
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