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『HITMAN』を思わせる潜入と「007」らしい映画的アクションの融合。若くてもボンドはボンドだった『007 ファースト・ライト』先行プレイレポ

映画を知らなくても楽しめる作品に仕上がっている印象です。

連載・特集 プレイレポート
『HITMAN』を思わせる潜入と「007」らしい映画的アクションの融合。若くてもボンドはボンドだった『007 ファースト・ライト』先行プレイレポ
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シックなスーツに身を包み、華麗に危険な任務をこなす。時にはカーチェイスで街中を駆け抜け、時にはスパイ用のガジェットで窮地を脱する。

そんなスパイ映画の名作「007」シリーズの約13年ぶりとなる新作ゲーム『007 ファースト・ライト』が、いよいよ発売間近になってきました。

本作の開発を手掛けるのは、『HITMAN』シリーズで知られるIO Interactive。『HITMAN』といえば、ターゲットの行動を観察し、警備の隙を見つけて、変装などを利用しながら目的を達成していくステルスアクションの名作シリーズです。

そんな開発元が「007」のゲームを作ると聞けば、ゲーマーなら期待してしまうでしょう。

今回、発売に先駆けて本作を体験する機会を得ましたので、プレイレポをお届けします。本稿の執筆にあたり、パブリッシャーよりSteamキーの提供を受けています。

“00”の称号を得る前の若きジェームズ・ボンドを描く

本作のストーリーは、航空乗組員であった若きジェームズ・ボンドがとある任務に巻き込まれ、そこから生還したことをきっかけにMI6にスカウトされ、訓練プログラムに参加しながら最高のスパイへと成長していく姿を描いています。

本作のボンドは、既にさまざまな任務をこなした“伝説のスパイ”ではありません。最初から何でも完璧にこなす存在ではなく、任務を通じて経験を積み、少しずつ成長していく若者として描かれています。

厳しい訓練を乗り越えて、上手く潜入任務をこなし、数々の危険を切り抜けたとき、それはプレイヤー自身の体験であると同時に、若き青年があの“ジェームズ・ボンド”になる過程となっています。

また、若きボンドを描くことで、過去の映画シリーズを詳しく知らない人でも入りやすくなっているのもポイントです。ファンならお馴染みの要素がいくつか登場しますが、最初はスパイでもなんでもないボンドが主人公なので、ほとんどのことは説明があります。本作をプレイして、気になったら映画を観る程度で全く問題ありません。

若くてもボンドがボンドである点はかなり魅力的。無茶をして周囲に制止されるし、美女にはすぐに目を奪われて手を出します。まだ荒削りではあるものの、随所に“後のジェームズ・ボンド”らしさがにじみ出ており、見ていて嬉しいポイントでした。

『HITMAN』らしい潜入と「007」らしいアクションの数々

本作をプレイして印象的だったのは、『HITMAN』のシステムを踏襲した潜入と、「007」らしいド派手なアクションの融合です。潜入パートでは、ただ目的地へ向かって進むのではなく、周囲にいる人物、警備員の巡回経路、侵入できそうな場所を確認しながら、自分なりのルートを見つけていくことになります。

周囲の人物が何を話しているのか盗み聞きして新しい情報が得られる、ギミックを使って警備を薄くしてバレずに安全に奥へ進むなど、プレイヤー自身がスパイとして考えながら進めていくというゲームプレイは、『HITMAN』譲りのIO Interactiveらしさがあります。

また、潜入中に警備員に見つかったとしても、すぐに戦闘が始まるというわけではありません。嘘をついて切り抜けたり、抵抗しないふりをして近づいてきた相手を仕留めたりと、ジェームズ・ボンドらしい切り抜け方が用意されているのもかなり面白いポイントです。

単に見つからないように進むだけではなく、見つかった後にどうこの窮地を乗り切るかを考える“スパイらしさ”が味わえます。

さらに、Qが用意したガジェットもスパイらしさを演出しています。電子機器への干渉や敵の注意をそらす手段など、上手く使えば「007」らしいスマートな潜入を可能にしてくれます。

本作が面白いのは、ステルス一辺倒では終わらないところです。

『HITMAN』的な潜入の楽しさをベースにしながらも、本作では映画さながらのアクションも堪能できます。近接戦闘、銃撃戦、カーチェイスなど映画的な表現、見せ場がしっかり用意されているのは非常に印象的でした。

ジェームズ・ボンドというキャラクターを扱う上で、いくら潜入が面白くても、ずっと静かに隠れてコソコソしていては“らしさ”が足りません。やはり彼には、危険な任務の中で予想外のトラブルに巻き込まれ、それをスマートに、時には強引に突破してほしいと思うのは、シリーズファンであれば当然のことだと思います。

静かに潜入していた場面から、ターゲットの逃走などをきっかけに一気にド派手なアクションへ移行。ステルスゲームとして試行錯誤をしながら時間をかけて解決していく瞬間、アクションゲームとして反射的に目の前の目標に向かって全速力で駆け抜けていく瞬間。その緩急が、本作を「007」たらしめています。

序盤は映画的演出が多くやりたいことまでが遠く感じた

ただし、序盤に関してはやや人を選ぶ部分もあると感じました。

本作は「007」作品らしい映画的な演出をかなり大事にしている印象で、魅力的なキャラクターたちの会話、派手なアクションでプレイヤーを物語へ引き込んでいきます。これはもちろん本作の魅力でもあります。実際「映画を自分で動かしている」感覚を味わえる場面も多くありました。

ただ、その影響もあり、序盤はゲームとして自由に動ける場面よりも演出に沿って進む場面がやや多めです。若きボンドの立場や物語の導入を見せる意味合いが強く、プレイヤーが自由に遊ぶというより、まずは本作の世界観とキャラクターを体験させる作りになっている印象です。

もちろん、これは「007」という題材を考えれば納得できる部分でもあります。物語を盛り上げるための“フリ”は欠かせません。むしろ、そこが薄いと「007」らしさが弱くなってしまうでしょう。

ただ、IO Interactiveが開発しているという時点で、多くのプレイヤーが「自由度の高い潜入」というゲームプレイ的な面を期待しているはずです。その期待値が高いぶん、序盤の映画的な導線の強さは、良くも悪くも印象に残ります。

とはいえ、これはあくまで序盤の範囲での話です。物語がある程度進めば任務が始まり、『HITMAN』的潜入を楽しむことができるので、折れずにプレイすれば非常に魅力的な体験がプレイヤーを待っています。


『007 ファースト・ライト』は、『HITMAN』の潜入の面白さを土台にしながら、「007」らしさ溢れる近接戦闘、銃撃戦、カーチェイスなどを詰め込んだ作品です。

単純なステルスゲームでも、TPSでもなく、“スパイアクションゲーム”としてしっかり楽しめる作品になっていると感じました。

若きジェームズ・ボンドの物語、潜入の緊張感、そして「007」らしい華やかなアクション。そのすべてを内包した本作は、非常に魅力的な一本になりそうです。

.『007 ファーストライト』は、PS5/Xbox Series X|S/Windows(SteamEpic Games StoreMicrosoft Store)向けに5月27日(PS5版は5月26日)に発売予定。ニンテンドースイッチ2版は今夏発売予定です。事前予約・購入すると、発売日の24時間前(5月26日)からアクセスできる先行プレイ権が付与されます。

ライター:タケダだいゆう,編集:みお

ライター/ドット絵描きライター タケダだいゆう

ドット絵を描いてゲームを作るライター。趣味が増えすぎてゲーム制作の手が止まることが悩み

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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