本レポートでは詳細なシステムや技の性能といったディテール部分はひとまず置いておき、前作『ストリートファイターIV』との比較を交えながら、ゲーム全体のプレイフィールを中心とした、オンラインバトルのハンズオンをお伝えしていきます。
■歴代シリーズから集う4人のファイター
来年春に発売が予定されている製品版に先駆け、ユーザーが開発中のタイトルを実際に体験して不具合や要望を報告するという目的で行われた今回のベータテスト。ネットワークの不具合から一旦中止されてしまった先月のテストを再開する形で、他のプレイヤーと対戦を行うオンラインバトルモードのみプレイ可能でした。
使用可能キャラクターはお馴染みのリュウ、春麗、ベガに加えて、本編シリーズでは『ストリートファイター ZERO3』からおよそ17年ぶりのプレイアブル参戦となるナッシュの4人。土曜日昼の時点では告知されていたキャミィ、バーディの2名は選択不能でしたが、翌日のサービスイン時刻には解禁されていました。
前作のランクマッチでは、プレイヤー自身の総合的な腕前を示すPP(プレイヤーポイント)と、使用キャラクターの熟練度を示すBP(バトルポイント)を目安にマッチング行われていましたが、本作ではPP、BPがレベル制に変更され、レベル0からスタートし対戦を重ねて経験値を稼いでいく方式に。現在の経験値はキャラの選択画面に表示され、対戦相手の進行状況も一緒に確認出来るようになっています。
前作でDランクからグランドマスターまでに分けられていた、所属階級の表示も現時点では見当たりませんでした。代わりにプレイヤーの行動を分析した簡易的なグラフが導入され、オフェンシブであるか、もしくは守りや待ちを好むかなどの傾向が一目でわかるように。こちらも経験値同様対戦相手の状況もチェック出来るので、試合前にどう戦うかの判断材料の一つとしても使えそうです。
その他の追加点としては、試合後のリザルトで経験値に加えてファイトマネーを獲得出来るように。製品版ではインゲームのストアで使用出来るようですが、現時点のバージョンではまだお金の使い道はありませんでした。
■一瞬の判断が勝敗を分ける
まず、ベータバージョンをプレイした際に筆者が感じたことは、前作に比べて一動作の比重が大きく増したということ。前作では隙の大きい技を直後の行動でキャンセルするのはセオリーでしたが、セービングに当たるような必殺技のキャンセルに手軽に使えるような動作が少なく、安易な行動に対するリスクは大幅に上昇しています。
更に中攻撃・大攻撃はガードをしていても削りダメージが発生するようになったので、ゲームスピード自体は大きく変わっていないものの、今まで以上に瞬間的な駆け引きが重要となります。
前作では猛威を振るっていた投げも大幅にテコ入れされており、ほぼ対戦の必須テクニックであった”しゃがみグラップ”を仕込んだ場合でも、強制的に投げモーションが発生するように変更され使用が不可能になるなど、近~中距離戦の攻防は特に変化が感じらるシチュエーションでした。
■重量級のイロモノ、”バーディ”
ベータ2日目では、初代『ストリートファイター』や『ZERO』シリーズからの復活する”バーディ”が解禁されたのでさっそくプレイ。ぶよぶよのお腹に半裸革ジャン。更に金髪のモヒカンという強烈なルックスです。
移動速度は他キャラよりもやや遅めながら、頭突きを中心とした打撃やコマンド投げに加えて遠距離攻撃もこなすなど、見た目と裏腹に意外と万能型ファイターです。
鎖を使った各種遠距離技は隙こそ大きいものの、相手の飛び道具をすり抜ける性能を持っているので、プレイヤー数の多いリュウの波動拳へのカウンターとしての効果は抜群。見た目に抵抗が無ければ、オールラウンドで戦いやすいキャラかもしれません。
ほぼ使い道は無さそうですが、一定時間放置しているとあたり判定のついた鼻くそを相手に投げはじめ、若干のダメージを与えることが可能でした。
■トレーニングモードやプレイヤーカードも強化
本作では、前シリーズの最新作『ウルトラストリートファイターIV』で実装されたトレーニングモード待ち受け機能が採用されているので、操作やコンボの練習を行いながら対戦相手を探すことが出来ます。
トレーニングオプションにも手が加えられ、従来までのレコード機能にダウン復帰やガード復帰時の項目が追加。テストバージョンでは選択出来ませんでしたが、各場面を想定した練習が効率よく行えるようになりそうです。
そのほか、キーコンフィグ画面に使用しているパッドのグラフィックが追加され、設定したボタンを押すと対応箇所が色付きでハイライトするようになったりと、細かいながら嬉しい追加点も。
■逆転の鍵を握る”V”システム
完全新作となる本作では、バトルシステムも大きく新刷されています。その中でも特徴的な”Vトリガー”、”Vリバーサル”、”Vスキル”の3つのVシステムついて少し触れておきましょう。
Vトリガーは、キャラクターの性能を一時的に上昇させる技となり、単純に威力を上げるものから、技そのものの性能が変化するものまで、効果はキャラクターによって様々。今のところトリガー発動中は様子を見ながらひたすら逃げるという戦法を取るプレイヤーも多く見られました。
Vスキルは特徴的で、キャラクター固有で全く異なるユニークな効果をゲージ消費無しで発動させる能力です。リュウの持つ心眼は『ストリートファイター III』シリーズでお馴染みのブロッキング、春麗の「鸞脚」はハイジャンプ、ベガは飛び道具除去など、キャラによって多種多様。一貫して発動中のスキが大きいものが多く、使いどころが難しい技ともいえそうです。
残るVリバーサルはガード中に使うことによって一気に攻守を入れ替えるという所謂ガードキャンセル技。他2つと同様こちらも性能はキャラによって変化するようで、ナッシュは相手後方へ一気に移動する性能であったりと、個人的に『ストリートファイター ZERO』シリーズのZEROカウンターと『ヴァンパイア』シリーズのアドバンシングガードを混ぜた様な感覚でした。
■ネットワークには未だ改善の余地あり
先月より実施された1回目のクローズベータテストでは、通信のトラブルに見舞われ結果的に中断を余儀なくされる事となった本作。残念ながら今回も全体的に不安定な部分が多く、まだ整備途中といった印象でした。
対戦相手の回線状況や相性にも左右される為一概に判断することは出来ませんが、2日間のうち、主にプレイをした時間帯は土曜日と日曜日の日中~夕方。その中でも土曜日の昼の時点では、およそ3試合に1回のペースで数秒以上動きが硬直するようなラグが発生し、その後3,4戦行ったところで試合中に切断が発生。最終的にしばらくゲームのログイン自体ができなくなるという状況が続きました。2日目は切断こそないものの、試合中動作が著しく低下することが頻繁に起き、いわゆる水中戦のようになってしまうことも。
一方、スムーズに流れた試合に関しては、体感的に前作のオンラインバトルと変わらない快適動作が実現していた印象です。
前作『ストリートファイターIV』シリーズは、きちんと環境をととのえた国内ユーザー同士であれば、アーケードに比べてもほぼ遜色のないクオリティで対戦を楽しむ事が出来たので、対戦中のラグや回線切断は今回のテストで残念だった点の1つ。
もちろん、あくまでも開発途中のテスト段階であり、日程が2日限定と短い期間であることから、サーバーの負荷テストとしての割合を占めている事も予想できるので、結果を反映した製品版に期待です。
『ストリートファイターII』シリーズ特有のジリジリとした差し合いの面白さを軸に、これまでのナンバリングと全く異なるアプローチでキャラ固有のVトリガーやVスキルに発展させた本作。長く続く『ストリートファイター IV』のバージョンアップではない、”新作タイトル”としての意気込みが非常に感じられました。
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