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ほぼ全編が一人称視点!新感覚アトラクション映画「ハードコア」【コントローラーを置く時間】

GameSparkスタッフが、ゲーマーにぜひオススメしたい映画/ドラマ/アニメ作品を1本紹介していきます。今回は「ハードコア」です。

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ハードコアゲーマーのためのゲームメディアGame*Sparkでは、日々、様々なゲーム情報をご紹介しています。しかし、少し目線をずらしてみると、世の中にはゲーム以外にもご紹介したい作品が多数存在します。そこで本連載では、Game*Sparkスタッフが、ゲーマーにぜひオススメしたい映画/ドラマ/アニメ作品を1本紹介していきます。

今回ご紹介するのは、イリヤ・ナイシュラー監督による米ロ合作の映画「ハードコア(露:Хардкор 英:Hardcore Henry)」です。

ゲーマー待望のFPS映画


日本国内にも多くのファンを持つFPS(ファースト・パーソン・シューター)ゲーム。海外では古くから親しまれている歴史的なゲームジャンルです。『コール・オブ・デューティ』や『バトルフィールド』などがその代表格で、現在、日本のFPS人口は数年前に比べて飛躍的に増加しています。

本作「ハードコア」は、そうしたFPSゲームさながらの臨場感と、手に汗握るストーリーが好評を博し、トロント国際映画祭などで幾つかの賞に輝きました。ほぼ全編を主観ショットで撮影した誰も観たことのない映像体験は、新感覚のアクション映画と評されています。

本作の制作に至るきっかけとなったのは、2011年に公開された1本の動画。その映像は、ロシアの若手インディーズ・ロックバンド、Biting Elbows(バイティング・エルボーズ)が発表した楽曲『The Stampede』のミュージック・ビデオで、全編を一人称視点で撮影したスリリングな映像体験が話題に。大胆不敵で、かつ挑戦的な映像表現に、多くの視聴者が驚きました。



そして、2013年には同映像の第2弾として『Bad Motherfucker』が公開。スケール感やバオレンス度、縦横無尽なパルクールアクションも大幅にパワーアップし、前作以上に大きな反響を集めます。この2本のミュージック・ビデオを監督したのは、ほかでもないBiting Elbowsのフロントマン、イリヤ・ナイシュラー。青く発光する謎のワープ装置を盗み出し、敵を倒して脱出を試みる単純明快な逃亡劇の様子は、人気FPS『ミラーズ・エッジ』シリーズを連想させます。

この革新的なミュージック・ビデオは、「ウォンテッド」(2008)やリメイク版「ベン・ハー」(2016)などで知られる映画監督ティムール・ベクマンベトフの目にも留まり、監督はこのミュージック・ビデオの長編映画化を熱望。ナイシュラーにFacebookを通じてコンタクトを取り、映画化企画が動き出します。

そして、クラウドファンディング・サービスを利用した映画化プロジェクトは、目標額を大幅に超える25万ドルを調達。1本の動画から誕生した本作は、映画製作の新しい可能性を提示しました。

革新的な映像表現


こうした一人称視点、ないしは主観ショットは、映像業界ではPOV(Point of View Shot)方式などと呼ばれ、古くから多くの映画に採り入れられていきました。例えば、同名の古典FPSを原作とする映画「DOOM」(2005)では、クライマックスのワンシーンに怒涛の主観ショットを組み込むことで、ゲームさながらのダイナミズムを演出。ヒットメイカー、J・J・エイブラムス制作の「クローバーフィールド/HAKAISHA」(2008)では、ほぼ全編が主観ショットではあるものの、設定としてはビデオカメラ越しの記録映像という体裁を採っています。

また、「美女と野獣」(2017)のダン・スティーヴンス主演「リディバイダー」(2017)では、場面に応じて主観ショットと客観ショットを交互に観せることで、非常に見やすい映像づくりを意識しています。

かように、これまでのPOV方式は映画の一部にアクセントとして組み込んだり、フェイク・ドキュメンタリーの体裁を取る作品がほとんどでしたが、観客自身が主人公となる本作「ハードコア」は、ほぼ全てを一人称視点で撮影し、観る者すべてを映画の中へと誘う新感覚のアトラクション要素を提供してくれています。しかも、使用しているカメラ機材は、スポーツマン御用達の“GoPro”カメラで、臨場感に溢れる映像表現を可能にしているのです。

そして本作を1本の映画として成立させているのは、何を隠そう実力派のキャスト陣です。「イコライザー」(2014)や「マグニフィセント・セブン」(2016)などの人気女優ヘイリー・ベネットや、こちらもゲーマーにオススメしたい1本の「第9地区」(2009)からシャールト・コプリー、マーベル映画「インクレディブル・ハルク」(2008)のティム・ロスなど、粒ぞろいの俳優陣にも注目です。


映画「ハードコア」は、Netflix/Hulu/U-Next/Amazonプライムビデオにて視聴可能。映像表現の新機軸を打ち立てた本作「ハードコア」は、全ゲーマーにオススメしたい至極の1本です。
《Hayato Otsuki》
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