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Game*Sparkレビュー:『キングダム ハーツIII』

13年ぶりのナンバリング作品『キングダム ハーツIII』のGame*Sparkレビューをお届けします。読者レビューも準備中ですので、奮ってご参加ください。

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シリーズ一本目、『キングダム ハーツ』の発売から約17年が経ちました。『KH』ではウォルト・ディズニーと野村哲也氏という二人のクリエイターが生み出したキャラクターと世界が合流し、希望と友情の光の物語が紡がれました。ディズニー映画と『ファイナルファンタジー』シリーズのテーマそのものまでが融合されたような作品です。

おそらく多くの『KH』ファンと同様に、筆者がこのシリーズを初めて手にとったのはまだ子どもの頃でした。「ディズニーなんて子どもっぽくてカッコわりぃー」とカッコつけたりもしましたが、プレイしてみてからは完全に虜。外伝に当る『キングダム ハーツ チェイン オブ メモリーズ』までプレイし終えたときには、すっかり『KH』シリーズの続編を待ち望むファンの一人になりました。

『キングダム ハーツII』では、キャラクターもゲームプレイも進化しました。アクションゲームとしての完成度はPS2世代でも最大級で、そのストーリーはファンと一緒に成長してきたかの如く、より濃厚かつ感情的、そして複雑になりました。物語はきれいに締めくくられたにも関わらず、さらなる展開を見せる予告も現れました。「キーブレード戦争」。鎧の騎士と無数の剣。『キングダム ハーツIII』への期待は、2005年12月から始まったとも言えます。

それからおよそ13年が過ぎ、筆者は結婚して、社会人になりました。「プレイステーション」は2回のモデルチェンジを遂げています。その間も、スクウェア・エニックスでは綿々と『KH』シリーズの開発が続いてました。『キングダム ハーツ バース バイ スリープ』、『キングダム ハーツ ドリーム ドロップ ディスタンス』、『キングダム ハーツ フラグメンタリー パッセージ』……そして2019年1月25日、『キングダム ハーツIII』が、その瞬間を待ち望みながら大人になった子どもたちの手に渡りました。『II』と『III』を隔てた期間は長く、関連作品もなかなかの数。そのすべてをまとめあげることは困難ですし、発売日から出遅れたこのレビューに意義を感じられない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、『KH3』のストーリー、グラフィックス、戦闘については、まだレビューする価値のある要素が数多く存在します。



ディズニーの世界を生き生きと描く「完全再現」っぷり


『キングダム ハーツIII』はとにかく美しいゲームです。過去の作品はディズニーの世界を『KH』らしいグラフィックスタイルで再現していましたが、今回はむしろその逆。ゲームの舞台となる「アナと雪の女王」や「トイ・ストーリー」の世界は、まるで映画そのものをプレイしている気持ちになるほど、細かく再現されていました。そうした表現ができる時代になったからこそ、今作で新しく導入されたディズニー作品はすべて3Dアニメーションのものだったかもしれません。

『KH2』であまりにも不自然に見えた「パイレーツ・オブ・カリビアン」のキャラクターまで、『KH3』では生き生きとした姿で描かれています。『KH』シリーズのオリジナルキャラクターや世界も、Unreal Engine 4によって生まれ変わりました。PS2時代のスタイルからは大きく変わりましたが、その本質的な魅力はそのままに、ディズニーの世界により自然に溶け込むようになりました。


カットシーンとゲームプレイの入れ替わりはスムーズで、自分でソラを動かすシーンであっても、そのグラフィックスの美しさは変わりません。「キングダム・オブ・コロナ」の緑の草原から「ザ・カリビアン」の海まで、もっともっと探検したくなることでしょう。そこでは、隠されたアイテムや映画にも登場した要素の数々とも出会えます。

シリーズの中で最も「生きている」と感じられる世界ですが、だからこそ、マップに広がるモノのどれもが少しだけサイズ不足に思えてしまいます。「あそこにはなぜ入れないだろうか?」と感じてしまうことは、おそらく一度では済まないのでは。エルサの氷のお城、ラプンツェルの塔にも、自分から入ることはできません。そんなわけでロード画面は過去作に比べて少ないのですが、今作の「物足りなさ」の源のひとつであるとは言えます。

しかし、そこを厳しく批判することはできません。この美しいディズニー世界を舞台に、下村陽子氏の素敵なサウンドトラックと共に、今までより多くの敵と、今までより派手な戦闘を楽しめば、「物足りなさ」はすぐに忘れます。

現世代のアクションRPGでも最高峰の戦闘システム



『キングダム ハーツ』シリーズの戦闘は、自由で綺羅びやかで、アクション性が豊富です。ただひたすら○ボタンを押して勝つことを楽しむプレイヤーもいれば、魔法や召喚、素早い動きやガードを使って高難易度モードやシークレットボスに挑むプレイヤーもいます。『KH3』の課題は、スケールをより大きくしながら、演出をより派手にしながら、アクション性や歯応えのある難易度を維持することにもありました。良くも悪くもですが、プレイを開始すれば今作でどこが強調されたか、すぐに伝わってくることでしょう。

戦闘は、『KH1』と『KH2』のコマンドメニューがベースです。攻撃のコンボ、そしてファイアやブリザドなどの魔法に、『バース バイ スリープ』のシュートロックと『ドリーム ドロップ ディスタンス』のフリーフローアクションを取り入れました。

さらに今作では、武器のキーブレードを3つ装着でき、戦いながら自由に切り替えることができるようにもなりました。その上、どのキーブレードも変形可能。最初の武器「キングダムチェーン」は、ソラの服を『KH2』のスタイルに変化させ、『KH2』の技を使わせてくれます。「トイ・ストーリー」の世界で獲得するキーブレードは、大きいハンマーに変形して敵をぶっ潰す。ほかにも2つのピストルになったり、槍になったりすることも。それに加えて、チームとの連携技、溜めて放てる強化魔法、召喚……戦い方のバリエーションは、どの作品より豊富です。


フォームチェンジ、強化魔法、そしてフィニッシュ技はすべて「シチュエーションコマンド」と言われます。コンボや魔法を使って敵と戦うと、コマンドメニューの上に矢印が三つまで溜まります。もう少しすると数十秒だけ入力を受け付けるコマンドが出現。このシステムこそ、戦闘における一番の違いでしょう。後述する「アトラクションフロー」や連携技、ほかのアビリティも、シチュエーションコマンドとして使うことができます。

ソラでめちゃくちゃ強力な武器を振るってみたり、サンダーの強化魔法で部屋の敵を全滅させたりしていると、その力強さを実感できることでしょう。シリーズで最も美しいフィールドで、大勢の敵を相手にできる『KH3』は、この世代のアクションRPGのどのゲームにも負けない魅力を持っています。

しかし、高難易度プレイが好きなプレイヤーにとっては、この魅力は逆効果にもなります。シチュエーションコマンドは「溜める」ものであり、連携技はランダムに出現するため、自由には使えません。例えば、『KH2』ではピンチのときに連携技を使って無敵フレームで防御したり、フォームを使って緊急回復することができました。『KH3』の場合は「良いタイミングでコマンドが出てきたら」の話ですが。そして敵の数が多いため、雑魚のひとつひとつをユニークに感じたりもしません。戦闘の多くは「たくさんの雑魚に効果範囲が広い攻撃を……」というパターンで進みます。楽しさのひとつではありますが、「ツワモノ揃いな少数精鋭との戦い」とは違ったスリル感です。


ボス戦についても触れてみましょう。『KH3』のボス戦は、そのすべてが印象的かつ多様性豊かで、世界観のビジュアルやテーマと繋がっています。どのボス戦も非常に楽しいのですが、ゲーム終盤までのほとんどのボスは、巨大で、よろめいたりもしないタイプ。やっと「人間サイズでよろめいてくれるボス」が出てきたと思ったら、その多くは複数のボスとの同時戦闘というシチュエーション。1対1のボス戦はシリーズの見所のひとつですし、PS2世代で最高に楽しいとまで言えるボス戦もあった『キングダム ハーツII ファイナル ミックス』の続編としては、「最も惜しい」と感じたところです。もし今後なにかしらの機会があれば、真XIII機関のメンバーや『ファイナルファンタジー』シリーズキャラクターとの戦いも欲しいと思います。


最後に、「アトラクションフロー」について。このアビリティは、ジェットコースターやティーカップなど、テーマパーク的な乗り物を召喚して戦うといったものです。操作はミニゲーム調で、BGMがアップビートな曲に入れ替わります。戦闘自体は継続されますが、それぞれの「アトラクションフロー」に用意された攻撃を繰り出していくことになります。これはプレイヤーによって好みの差が大きく分かれることでしょう。どれもがとても華やかな演出なのですが、戦闘の邪魔としか感じられないプレイヤーもいるかもしれません。

全体的には、戦闘システムは楽しくて快適です。ソラはどの作品より強力に感じられますし、プレイヤーには敵を全滅させる方法がたくさん与えられています。その代償として、1対1の戦闘は少し弱まっているとも言えます。

問題点はあるものの、『III』に相応しいストーリー



ストーリーについて触れる前に、ハッキリと明言しておきます。『KH』シリーズのほとんどの作品をプレイしていなければ、『KH3』の物語についていくのは非常に困難です。今作は『KH2』の続編というより、今までのすべての『KH』作品の続編なのです。『バース バイ スリープ』の主人公たちがメインキャラクターで、『ドリーム ドロップ ディスタンス』の内容が『KH3』に直接繋がります。『358/2 Days』のキャラクターが活躍しますし、モバイルゲームの『ユニオンクロス』の内容まで取り入れられています。

シリーズに時間を注ぎ込んだファンにとっては、その時間が報われるような感覚です。ナンバリングタイトルのみに触れてきたプレイヤーのために、今までの内容を総括するコンテンツも用意されていますが、それだけではさすがに網羅できません。ハードルは高いかもしれませんが、シリーズ作品のストーリーが気になるプレイヤーには『1.5+2.5リミックス』と『2.8ファイナルチャプタープロローグ』を遊ぶことをオススメしたいです。

そんな集大成的作品としての『KH3』はどのような仕上がりとなったのか……その答えは、簡単には語れません。過去17年間で登場した大勢のキャラクターが、それぞれの晴れ舞台に現れます。キャラクターひとりひとりに出番が与えられながら、ソラとマスター・ゼアノートの戦いが描かれます。ファンたちの待ち望んだ再会と勝負、今まで会えなかったキャラクターたちのやりとり……それらをひとつに詰め込むだけでも十分に重荷に見えてしまいますが、更に7つのディズニー世界の物語も紡ぐ必要もあります。そしてもちろん、長い間『KH3』を待ち望んできたファンが納得できるエンディングも。


『KH』シリーズはあまりにも大きくなりましたし、すべてにおいて納得がいくものに仕上げることは、そもそも難しい話だったかもしれません。しかし、成功した部分はもちろんありますし、それらは「大成功」と呼んでいい出来栄えです。

具体的な言及は避けますが、ほとんどのキャラクターに「晴れ舞台」が与えられています。ファン待望の展開があれば、予想外で衝撃的な展開も。クライマックス、7つの光と13の闇のぶつかり合いは、『KH3』に相応しいスケール感です。感動するシーン、刺激的なシーン、笑顔になれるシーンも数多くあります。そして、ソラとドナルドとグーフィーの友情は、今までの『KH』より遥かに強く伝わってきます。


ディズニーの世界観を紡ぐ物語も、『KH3』はシリーズで最高の出来です。映画のシナリオの再現も過去作より分かりやすくなっていましたが、それよりも、映画のキャラクターや設定を使って語られるオリジナルのストーリーに面白さを感じました。映画をカットシーンでどう再現するという問題に囚われず、『KH』のテーマを少し違う角度で映し出しています。

……とは言えども、過去作品と同じように、物語の進行速度は問題点のひとつです。序盤以降、20時間分ぐらいはディズニーの物語が連続します。その間、『KH』らしいシナリオ展開は、ワールドを挟むカットシーンでしか進行しません。最後のワールドをクリアするところでは、かなりの速度で物語が動いていきます。この緩急の差が激しく、ディズニー作品への興味によっては中弛みするように感じてしまうかもしれませんし、逆に終盤は詰め込み過ぎに思えるかもしれません。

キャラクターの扱いやシナリオの内容、そして「待った甲斐があったか」について、ファンの間では議論されています。エンディング、エピローグ、シークレットムービーの内容は、続編が発売されるまで考察され続けるでしょう。シリーズはこれからも続く、というのは確かなことですし、『キングダム ハーツ』の本質が強く伝わってきました。『KH3』は、ナンバリングに相応しい作品であることに、間違いありません。

その他のコンテンツも充実。世界を探索したくなる収集&隠し要素



もちろん、メインストーリー以外にもたくさんの魅力があります。ナンバリング作品には登場していたものの、スピンオフなどで姿を見せていなかったグミシップも登場。クリエイターがさらに磨かれて、自由に操作することも可能になりました。まったく興味が沸かないのであれば、グミシップのシーケンスは数分で終わらせることも可能ですが、過去作のグミシップを楽しめたプレイヤーには、さらなるクリエイションと宇宙の探検を味わえます。

ワールドの隠し要素もたくさん揃えられています。『KH2』に比べると、宝箱がさらに細かく隠されているので、探検すればするほどいろいろなものをゲットできます。宝箱以外にも、王様の耳をイメージした「幸運のマーク」があちこちに散りばめられていて、こちらも簡単に見つけられるものから深くまで隠されたものがあります。ソラの新しい携帯電話を使って写真を撮れば報酬が入手できますし、料理の材料もフィールドで入手可能。トワイライトタウンにいる「レミーのおいしいレストラン」のリトルシェフ「レミー」のもとに持っていけば、料理のミニゲームに使うことまでできます。そしていつものシリーズ作品と同じように、敵から集められる材料をモーグリショップで合成することも。

クリア後のコンテンツもなかなかの充実度。強力な敵と戦えるバトルポータルや、ミニゲームに挑戦するセブンプリンズも登場します。ディズニーワールドでは、「トイ・ストーリー」のメカバトルや「ザ・カリビアン」の海賊船バトルなど、ワールドをテーマにしたミニゲームも楽しめます。ただ、これまでのお約束とも言えた最高難易度「クリティカルモード」とコロシアムの大会はなく(記事執筆時)、シークレットボスも1体しかいません。レベル1のままでゲームを進ませる「EXPゼロ」のアビリティはありますが、挑戦的な戦闘を求めるプレイヤーは不足感を覚えるかもしれません。

しかし、先述したように今作は『キングダム ハーツ III』の名に相応しいナンバリングタイトルです。PS2時代のアクションRPGの良いところも悪いところも、しっかりと受け継がれています。戦闘は(激しいやりごたえの難易度がなくても)爽快で楽しく、ビジュアルは映画さながらで美麗です(筆者は通常版PS4でプレイ)。フレームが落ちることはありますが、戦闘中にはあまり発生していませんでした。コンテンツの量で言えば、『ファイナルミックス』以前の作品とほぼ同じ。ちなみに、筆者は難易度プラウドで、メインストーリーとほとんどのバトルポータルを30時間ちょっとでクリアしています。

筆者は「果たして『キングダムハーツIII』がダークシーカー編の完結に相応しい物語だったか」ということについては、ファンひとりひとりが自ら決めるほうが良いと考えています。納得できない展開もありましたし、ずっと待ち望んできた展開もあったので、複雑な気持ちではあります。

しかし、ソラ達を20年近く見守った私は大人になりました。途中からシリーズのファンになったプレイヤーや、『KH3』で初めてこのシリーズに触れたプレイヤーとは、どうしても感覚が違ってくるでしょう。それでも複雑な設定を受け入れられるのであれば、『キングダム ハーツ』の本質である「光」はどんなプレイヤーにも伝わると思います。子供のころに受け取った、前向きな考え方や希望が込められたメッセージ性。大人になった今だからこそ、そういったものが必要になった気がしました。

総合評価: ★★☆

良い点
・ディズニー映画を完璧に再現しながら、スケール感や派手な戦闘を印象的に描くビジュアル
・戦闘のバリエーションが豊富で、どのオプションも楽しい
・17年間分のキャラクター達を織り交ぜる、「ダークシーカー編」の完結に相応しいスケール
・過去作品よりもボリュームが増したミニゲームや探索要素

悪い点
・やり込み好きなプレイヤーにとって、挑戦的なコンテンツが少ない
・通常版PS4では、フレームレートが落ちるケースがある
・ストーリーの展開自体には、賛否両論な点もある




「Game*Sparkレビュー」では、読者の皆さまのゲームの感想も募集しています。下記リンクにて質問にお答えください。回答期間は2019年2月22日から2019年3月1日まで。また、集計終了後には「Game*Spark読者レビュー」として記事を公開し、回答やコメントを取り上げる場合があります。

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《Cameron Gilbert》

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