Game*Sparkレビュー:『あつまれ どうぶつの森』第1回―幻の無人島生活 2ページ目 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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Game*Sparkレビュー:『あつまれ どうぶつの森』第1回―幻の無人島生活

ニンテンドースイッチ向けにリリースされた『あつまれ どうぶつの森』のレビューを連載形式でお届けします。第1回は“案内所の改築”までです。

連載・特集 Game*Sparkレビュー
『あつまれ どうぶつの森』
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『あつまれ どうぶつの森』の新要素


たぬきマイレージは、特定の条件を達成することでマイルが貯まり、新機能の解放やDIYのレシピ、特別なアイテムと交換することができるシステムです。マイルが貯まる条件はゲーム内で楽しめる基本的な遊びであり、時々意識するだけで自然に遊び方の基礎が学べるようになっています。同様の仕組みは他のゲームでも珍しくありませんが、なにをして遊んでも良いゲームだけに有効に機能していると感じました。

DIYは本作の中核をなすクラフト機能です。最初のうちこそレシピの数が少なく、大したものは作れないと思うかもしれませんが、ゲームの進行とともにレシピは増えていきます。レシピの入手方法は一通りでなく、プレイヤーによって覚えているレシピは異なります。DIYの作業自体はやや煩雑に感じました。同じ物をまとめて複数個作成することができず、自宅の収納の中にある材料は一度取り出さなければ利用できません。

マイルと交換できる“おきにリング”は道具を簡単に切り替えられるショートカット

たぬきマイレージとの交換で離島ツアーに行くことができます。離島の形は毎回異なりますが、自分の住む島に比べるとかなり小さく、探索は短時間で終わります。ゲーム序盤では自分の島と同じフルーツ、花が自生する離島にしか行けませんでしたが、途中からまったく異なる環境の島が出現しました。偶然か必然かはわかりませんが、DIYに必要な材料であふれた離島に巡り会った時には興奮しました。

ある程度ゲームを進めると撮影スタジオが解放されます。ここでは自分がこれまでに入手したことのある家具や衣服を自由に呼び出して、写真撮影を行えます。モデルには島の住民の他に「amiibo」(任天堂が販売するフィギュア/カード)を利用して、好きなどうぶつを呼び出すことができます(一部の特別などうぶつには未対応)。この機能の利用頻度が一番高くなる方もいるのではないでしょうか。

どこかにある撮影スタジオは独立した複数の部屋からなっている

生き生きと生活するどうぶつたち


本作ではどうぶつたちの会話や仕草のバリエーションが豊富になりました。どうぶつはその時々のプレイヤーとの関係を反映したセリフを返してくれます。仕草も多彩で、釣りや虫とりのほか、食事、読書、買い物、運動、合唱など様々な行動を取ります。どうぶつ同士がコミュニケーションしたり、一緒に活動する姿も見られました。どうぶつの方からプレイヤーに話しかけてくることもあります。

どうぶつもDIYを行います。どうぶつの家を訪ねるとDIYで作った家具が飾ってあったり、なにかを作っている最中だったりします。屋外に設置した家具のギミックをどうぶつが操作することもあります。どうぶつは頻繁に服を着替え、雨が降ってくると雨具姿で傘をさします。もちろん、プレイヤーがプレゼントした服を着てくれることもあります。

このように、本作のどうぶつは過去作より“人間味”あふれる行動を取ります。一方、定形会話がスキップできない点は気になりました。これは博物館や商店において顕著で、アイテムのやり取りをするためだけに毎回同じセリフを聞かされます。Bボタンで早送りできますが、煩雑なことには変わりありません。

自宅でDIYにいそしむどうぶつはレシピを教えてくれることも

本作の重要人物であるたぬきちは相変わらずプレイヤーに借金を負わせるのが上手です。巧みな言葉でマイホームの建設や増築を勧め、プレイヤーが契約すると満面の笑みでローンを組んでくれます。もちろん、このローンは無期限、無金利、無審査の極めて良心的なものとなっています。前作で献身的にプレイヤーを支えたしずえもゲームが進むと登場します。「仕事中にウイスキーを飲んでいる」と海外で話題になった麦茶も確認できました。

島内の施設を担当するのは、博物館のフータ、商店のまめきちつぶきち、仕立て屋のきぬよです(執筆時点であさみは未登場)。中でも特筆すべきは博物館の壮麗さでしょう。展示されている生き物は本物のように動き回り、幻想的な光と音の演出と相まって感動を覚えずにはいられません。昼と夜で生き物の動きが変わったり、寄贈品が増えるに従って展示内容がパワーアップするといった作り込みの細かさもさすがです。

この他、行商人や旅人として登場するどうぶつも存在します。一方、過去作で登場した特別などうぶつの大半が未登場なのは気になるところです。ゲームの進行とともに登場する可能性は残っていますが、そうでない場合でも今後のイベントやアップデートを通じて登場することがあるかもしれません。実際、4月1日から開始されるイースターのイベントでぴょんたろうが、4月下旬のアップデートでレイジが登場すると予告されています。

もはやウイスキーを飲んでいるようにしか見えない(麦茶です)

過去作の不満を解消


本作では動植物だけでなく、空、水、風といった自然がビジュアルとサウンドの両面から圧倒的な美しさで描かれ、時刻や天候の変化とともに刻一刻と移り変わっていきます。天候自体の変化も自然に表現され、晴天からしだいに雲行きが怪しくなり、風が出てきて雨が降り出すといった流れをゲーム内で感じ取ることができます。

本作ではプレイヤーに与えられる裁量権が拡大しました。キャラクター作成は自由度が上がり、ゲーム開始後も性別を含む外見の変更が可能となっています。プレイヤーやどうぶつの家の場所も自由に選べるようになり、ゲームを進めれば一度決めた場所を変更することも可能です。島に移住してくる住民もある程度はコントロールすることができます。これまで難しかった自然の改造も容易になりました。

屋外での視点変更も2段階から3段階になりました。これ自体は喜ぶべき改善ですが、プレイ中にしばしば視点を自由に変更したいと思うことがありました。木の後ろに隠れた虫を捕まえる時など、キャラクターの視点では見えているのにプレイヤーの目に見えないのはもどかしいものです。室内では自由な視点変更が可能になっただけに残念でした。

水面は時刻や天候の変化とともに様々な顔を見せてくれる

模様替えの自由度も増しています。家具とレシピは豊富に用意され、ディテールは細かくなり、多くの家具には固有のギミックが存在します。家具は屋外にも配置できるようになり、創意工夫の幅が広がりました。室内では視点が自由に変えられるようになり、レイアウト専用のモードまであります。家具の見た目を変えるリメイクも前作より手軽になりました。

一部の家具にはマイデザインと呼ばれるドット絵編集機能で作成した画像を貼り付けることができます。ゲームの解像度が上がったことに伴い、マイデザインにはドット絵を自動的になめらかにする補正機能が追加されました。この機能はオフにできないため、慣れるまでは試行錯誤が必要になります。過去に作成したマイデザインを流用する場合にも注意が必要です。

インターネット経由のマルチプレイでは、一時的なパスワードを発行してフレンド以外と遊べるようになりました。この状態ではホストの島を破壊しないよう道具の一部に使用制限がかかりますが、それでもフルーツを落としたり雑草を抜くといった景観の破壊は可能となっています。もう少し細かく行動を制限するオプションを用意するか、前作の「夢見の館」に相当するモードが欲しかったところです。

家具が増えて少しは部屋らしくなってきた

冒頭に述べたとおり、本稿は『あつまれ どうぶつの森』レビューの第1回です。“案内所の改築”以降のプレイで明らかになる要素や、4月1日以降に開催される季節イベントなどについては第2回以降で取り上げる予定です。



総合評価: ★★★

良い点
・コミュニティを自分の手で作り上げるゲーム構成
・遊び方の指針となる“たぬきマイレージ”
・どうぶつの会話と仕草の豊富さ
・自然描写の表現力の高さ
・プレイヤーの裁量権の拡大
・自由度の増した模様替え


悪い点
・あっさり失われる無人島らしさ
・手順が煩雑なDIY
・スキップできない定形会話
・未登場のどうぶつの多さ
・視点変更に残る制約
・マイデザインの自動補正機能
・不完全なマルチプレイの行動制限


《FUN》

遊ぶより創る時間の方が長いかも FUN

元ゲームプログラマー。得意分野はストラテジーゲーム。ゲームライターとして活動する傍ら、Modの制作や有志日本語化に携わっています。代表作は『Crusader Kings III』の戦国Mod「Shogunate」。

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