Blizzard Entertainmentが開発・提供するデジタルカードゲーム『ハースストーン』は2020年4月8日に新たなローテーションであるフェニックス年を迎え、最新拡張版「灰に舞う降魔の狩人」をリリースしました。
フェニックス年では、『ハースストーン』のローンチ以降初の追加クラスとなる「デーモンハンター」の登場やランク戦システムの改善など様々なアップデートが行われますが、本記事では「灰に舞う降魔の狩人」で登場した新カードについて、「イリダン党選手権」を振り返りながら紹介していきます。
イリダン党選手権は、2020年4月11日・12日に行われた4ヒーロー1BANコンクエストBO5形式の大会です。全224人のプレイヤーがスイスドロー8ラウンドでトップ8を決定し、そこから上位4名を選出。選出された4人は2020年4月25日配信のデーモンハンター生誕祭内で決勝戦を行い、”フェニックス年”最初の日本一を決定します。
予選で最も勝率の高かったクラスは“ウォーロック”で全468試合勝率56%、次点で新クラス“デーモンハンター”が全538試合勝率54%、“ハンター”は全233試合と試合数は少なめですが勝率52%、そして“ローグ”が全435試合で勝率51%を記録していました。
The neutral cards usually make a big impact across classes. What's your favorite card out of this bunch so far?https://t.co/o6yXbvS1Kp pic.twitter.com/TBUMtiIHy2
— HSReplay.net (@HSReplayNet) April 10, 2020
HSReplay.netは4月7日から10日の3日間、スタンダードフォーマットのダイアモンドからレジェンド帯で最も使用されていたカード上位5枚を紹介。「マイエヴ・シャドウソング」「ケルサス・サンストライザー」「大物気取りのオーク」「屑鉄山のコロッサス」「モアーグの加工師」がランクインしました。
ここからは筆者が若干のデータ分析と独断と偏見で選んだ「灰に舞う降魔の狩人」注目カードを紹介していきます!
中立
■マイエヴ・シャドウソング
「灰に舞う降魔の狩人」の中で最強のカードと言っても過言ではないでしょう。対象としたミニオンを2ターンの間休眠状態にする効果は非常に強力です。フェニックス年のアップデートに伴い殿堂入りとなった「スペルブレイカー」をより強力な効果にした形で、ミッドレンジ、コントロールデッキには欠かせない1枚になると思います。
■ケルサス・サンストライザー
「灰に舞う降魔の狩人」の実装に伴い配布された無料レジェンドカードです。低コストの呪文が豊富な呪文ドルイドやOTKデーモンハンター、聖典パラディンなどに採用されています。低コスト呪文で条件を満たし、高コスト呪文を撃つムーブは圧倒的な盤面を構築できます。
■モアーグの加工師
全てのミニオンは呪文から受けるダメージが2倍になると言う、全体除去呪文と相性の良い1枚です。ウォーロック、メイジ、プリースト、シャーマンなどにさしてもいいでしょう。
体力の多いカードが増え、2~3点では除去することができないカードに対して簡単にカウンターできるようになります。
デーモンハンター
■グルダンの髑髏
ドローソースカードですが、異端として発動することでぶっ壊れカードになります。マリガンで左端に確保できた場合、対面次第ではキープするのもひとつの手。後述する「異端者アルトルイス」とのコンボが非常に強力です。
■異端者アルトルイス
正確には「灰に舞う降魔の狩人」で追加されたカードではなく、新参デーモンハンターのセットで追加されたカードですが、あまりにも強力なため採用しました。デーモンハンターは単体でパワーが高いカードが多いですが、アルトルイスは他のカードと組み合わせることで最大限に効果を発揮できるカードです。「二連斬」や「グルダンの髑髏」でコストを減らしたカードと組み合わせれば、敵盤面全体に6打点以上与えることも可能です。
ドルイド
■鉄の樹皮
2コストのまま使って序盤を耐えるミニオンを作るも良し、コスト0のカードとして使って「ケルサス・サンストライダー」とのコンボを狙うも良しと使い勝手の良い1枚です。
■過剰繁殖
「自然の繁茂」に代わるマナ加速カードが登場しました。4マナのタイミングで使用すれば次の自身のターンでマナクリスタルが7つになるので、「鉄の樹皮」や「沼ビーム」などをより使いやすくなります。4ターン目の過剰繁殖から、5ターン目でケルサスと上記の2枚を使い、「滋養」「野生の贈り物」「森の助け」など高コストの呪文をコスト0で発動するコンボがあります。
ハンター
■クズ拾いの工夫
「クズ拾いの工夫」の優れた所は強化の値のみでなく、獣を確実にサーチできる点が魅力。獣とのシナジーが強いハンターですが、カード単体としては他クラスと物足りない部分もあるので、それを補える強化効果が確定で貰えるのはいいですね。
■ナグランドスラム
「フラークのブームズーカ」を彷彿とさせるカードですが、重要な違いは盤面に召喚したクレフトフーフが残る点。単純な打点として12点持っていますが、盤面にミニオンを残せるのでボードコントロールにも使える強カードです。コストが重いので2枚採用するのは難しいと思いますが、使いどころは多数あるでしょう。
メイジ
■詠唱者の循環
2コストのカードとは思えない性能。「力の源」や後述する「アペクシス・ブラスト」とのシナジーにより、ミニオンを1枚もデッキに採用しないスペルメイジ構築で活躍しています。ほぼ全てのカードコストを1減らすと考えたら、かなりカードパワーが高い1枚になります。
■アペクシス・ブラスト
単体でもかなり強力なカードですが、「詠唱者の循環」と組み合わせると暴力的な強さになります。今回の新拡張で「ネザーウィンドのポータル」や「極低温」など、「アペクシス・ブラスト」の他にも盤面コントロール+ミニオン召喚効果を持つカードが増えました。スペルメイジは一味違ったコンセプトを楽しみたい読者の方におすすめです。
パラディン
■レディ・リアドリン
ケルサスの追加によって呪文とのシナジーが強いカードが増えた印象が強いですが、「レディ・リアドリン」はその中でも強力な効果を持っています。特にパラディンには「砂竜の息吹」や「ライトフォージの祝福」「アダールの手」など低コストでミニオンを強化できるスペルが多数存在するため、盤面を一気に強化できます。
■希望の聖典
“聖典”は「灰に舞う降魔の狩人」で新しく追加されたパラディンのスペルシリーズです。「アルダーの従者」や「アルダーの真理探究者」など、聖典に対して効果を持つミニオンも登場したのでフェニックス年のパラディンにとって“聖典”がひとつのキーワードになりそうですね。
■プリースト
■再起
非常に汎用性が高くコストパフォーマンスの良いカードです。どのタイプのデッキに対しても採用できそうです。
■魂の鏡
プリーストと言えば盤面コントロール。多くの除去呪文が存在するプリーストですが、フェニックス年のアップデートで追加された除去呪文で一番強力なカードだと思います。ただの除去呪文なら「死の災厄」が最も優れたカードですが、敵の盤面をそのままコピーできるこのカードは相手がリソースを費やしてきた時のカウンターとして非常に優秀です。
ローグ
■影宝石商ハナー
まず、驚くべきは2マナ1/5というスタッツの高さ。さらに別のクラスの秘策を“発見”できる点。ランダムで手札に追加するわけではないので、盤面の状況や相手に合わせて効果的な秘策を入手できます。加えて、発見した秘策を使用することでもう一度ハナーの効果を発動できるので、マナがある限り秘策を準備することができます。バランス調整で弱体化されてもおかしくないかと思います。また、「灰に舞う降魔の狩人」で強力な秘策が追加されたのも追い風になるでしょう。
本拡張で追加された中立最強のレジェンドカードは「マイエヴ・シャドウソング」ですが、クラス専用の最強レジェンドカードは間違いなく「影宝石商ハナー」でしょう。
■伏兵
本拡張で複数の秘策が追加されましたが、特に強いと感じたのはこの「伏兵」です。猛毒を持つ2/3のミニオンを2コストで召喚できる時点で強力なカードですが、手札からミニオンを使用した後に発動する秘策なので、マナの使用前に確認しづらい点が相手のプレイングをより見出しやすい要素となりそうです。
シャーマン
■ボグストロクのクラッカー
シャーマンのコンセプトは再び“進化”に戻ってきました。「ボグストロクのクラッカー」は簡単に複数体のミニオンを進化できるカード。自身のミニオンが残るように盤面のコントロールを行った後、進化することで相手のリソースを削ぎながら自身の盤面を強化できます。
中盤から終盤に引いた場合でも既に雄叫び効果を使った高コストミニオンを進化させることでよりスタッツを狙う使い方もできます。試合全体を通して腐りにくいカードなので積極的に採用できるでしょう。
■ボグスパイン・ナックル
本拡張で追加された2枚目の強力な“進化”カードです。盤面にいる全てのミニオンに対して影響があるのでランダム性は高いのですが、攻撃力4を装備できるだけでも十分強力です。進化したミニオンは召喚酔い状態になるので、ミニオンでヒーローより先に攻撃しておくのを忘れないようにしましょう。挑発持ちミニオンを武器で処理したい場合に少し使いづらさを感じるかもしれません。
ウォーロック
■不安定なフェルボルト
1コストで使い勝手が良く、ミニオンが倒されやすいアグロデッキで採用しやすいカード。スタッツの低いミニオンでトレードした後に使うことが、効果的に使うために意識するべきポイントでしょう。自身のミニオンにダメージを与える効果は、断末魔持ちのミニオンの効果を発動させたい時にも使えるので意外とデメリットになりにくい効果です。
■封印されしスクラップ・インプ
手札内にいる全てのミニオンに対して+2/+2を付与できるワルいインプです。4マナのターンで+2/+2持ちのミニオンを召喚できる上、自身も3/3と悪くないスタッツを持っています。アグロデッキには欠かせない1枚になるでしょう。
ウォリアー
■海賊の隠し武器
「クズ拾いの工夫」と同様、特定のカードを確定サーチ出来るうえスタッツ強化も可能な優れもの。「イカリ」を持って来ようものならやりたい放題になります。多数の武器を入れるよりも少数精鋭に絞り、高確率で強化した武器をサーチする使い方が良さそうですね。
■血気の拳鬼
急襲持ちでスタッツが高くコストを減らす条件も緩いので、上手くいけばかなり序盤に出せるカードです。特に「扇動する船頭」とのコンボで簡単にコストを減して召喚できます。アグロやテンポウォリアーの盤面コントロール用として採用しましょう。相手からすれば、攻撃力6を持つカードを盤面に残しておくのは非常に危険なので、処理リソースを受けてくれるカードにもなります。
「灰に舞う降魔の狩人」では“封印”と“転生”をコンセプトとしたカードが多数登場し、ガラクロンドの目覚めと合わせてかなり強力なデッキが多く登場しました。“フェニックス”年が始まり1か月が過ぎようとしているところで、ユーモア溢れるコンボやデッキも話題に出ています。個人的には「転生アカマ」が面白い効果を持っているので、使いどころを考えているところです。読者の皆さんはお気に入りカードやデッキは見つかりましたか?
2020年4月25日11時から、TwitchとYouTubeの『ハースストーン』日本公式チャンネルにて「デーモンハンター生誕祭」が放送されます。デーモンハンター生誕祭では、新拡張の徹底研究コーナーや「ハースストーン バトルグラウンドスペシャルマッチ」、そして先日予選が行われたイリダン党選手権の決勝大会が行われ、新拡張初の日本一プレイヤーを決定します。新拡張の研究やトッププレイヤーの立ち回りを見たい方は必見の番組です!
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