最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。
今回は2020年7月17日にSUPERHOT TeamよりPC/Xbox One/海外PS4/Stadia向けにリリースされた『SUPERHOT: MIND CONTROL DELETE』について生の内容をお届けしたいと思います。
『SUPERHOT: MIND CONTROL DELETE』とは
本作は、「自分が動いたときにだけ時間が進む」システムが特徴のFPSパズル。元々は2016年に発売された第1作『SUPERHOT』の拡張コンテンツとして開発されていましたが、ファンからの熱烈な反響を受けてスタンドアロン版として0から再設計された経緯があります。最初の早期アクセス版から6回ゲームの根幹部分を作り直したという本作は、シリーズの魅力をそのままに新たなゲーム性を持たせ、やりごたえ抜群となっています。
なお、本シリーズはゲーム性だけでなく、そのストーリー性も高く評価されています。ただし、その内容はどこを切り取ってもネタバレになってしまうため、本レビューではなるべく物語の内容を伝えず、極力ゲーム性を伝えるものにしていることをご了承ください。
『SUPERHOT: MIND CONTROL DELETE』の実内容に迫る!
本作はステージ上にいる敵を倒せばクリアのステージ制アクション。背景の白、敵キャラクターの赤、オブジェクトの黒の三色で構成される世界はシンプルで、スタイリッシュな雰囲気です。ゲームを開始すると、ほとんどのステージで敵が銃を突きつけている状況などプレイヤーは絶体絶命のピンチで始まりますが、心配はいりません。
冒頭で紹介した「自分が動いたときにだけ時間が進む」システムとは、こちらが動かなければどんな危機でも話が進まないということでもあります。たとえ敵が銃を撃ってこようとも、こちらが動かなければ銃弾の雨は止まったまま。動きを予測すれば避けることはもちろん、こちらの銃弾で相殺したり、刀で弾くと言った華麗なアクションも可能です。
時間の流れはプレイヤーのものです。攻撃を避けて相手を倒すというシンプルなルールで、いかにして華麗でスタイリッシュなアクションを描くのかが重要です。
今作の『SUPERHOT』はライフ制!自由度も大幅増加
「ストーリーを追う単発ステージ」「ダメージを受けたら即死でステージ最初からリトライ」だった第1作などと大きく異なるゲーム性になっています。ゲームはプレイヤー自身が次に進むエリアを選択する選択式になり、戦闘エリア「ノード」、ゲーム内で「ハッキング」と呼ばれるパッシブスキル習得エリアのほか、ストーリーに関わる行くるかの特殊エリアが存在します。また、戦闘はライフ制に変更されているほか、敵やスキルの種類も大幅に増加しています。
「ノード」は戦闘ステージとパッシブスキル獲得ステージで構成され、ライフが尽きた場合はエリアの最初からやり直す形式です。戦闘ステージは「地下鉄」「教会」「道場」などのステージからランダムで選出され、進行状況に応じた敵が登場します。ステージは登場する敵を一定数倒すことでクリアになるため、全滅を狙う必要はありません。
スキル獲得はランダムに表示される2つの内容から選択式で、プレイヤーの強化や体力回復などを行えます。スキルの種類は上記の「キャッシュ」で増えていき、リロード速度上昇のような基礎的なものから、壁に当てた弾が敵に向かって跳ねるような強力なものも存在しています。ただし、種類が増えると当然ランダムで選ばれる確率も下がるということでもあります。
また、プレイヤーは「ノード」開始時に強力な使用スキル「コア」を選択可能。前作にも登場した敵と自分を入れ替える「HotSwitch」、離れた敵に飛びかかる「襲撃」のほか、開始ライフをひとつ増やすような能力も存在しています。ランダム性の高い本作ですが、確実にプレイに組み込める「コア」のおかげでプレイヤーのスタイルに合わせた戦略を組みやすくなっています。なお、「コア」もステージが進むと新しい能力を獲得可能です。
もちろん敵もパワーアップ!アイテムと敵を知り尽くせ
プレイヤーの攻撃方法は拳や刀を使う「近接」、ハンドガンやショットガンで使用する「銃撃」、マップ内のオブジェクトなどを投げつける「投てき」の3種類が存在。敵に当たれば殺せる銃はもちろん強いのですが、初期で武器を持ってる状況は殆どありません。そのため、プレイヤーは状況に応じた適切な攻撃方法でピンチを切り抜けなければなりません。
「投てき」は本シリーズでは重要な攻撃方法です。物があたった相手は怯んで武器を手放すため、戦術として手放して武器を奪ってそのまま攻撃というのがあります。今作ではヘッドショットで相手を殺せる「ダーツ」「尖った棒」「注射器」、切断効果のある「レコード」「扇子」「皿」など直接攻撃に使用できるオブジェクト数も大幅に増加。配置されているオブジェクトはマップごと異なるためいつも確実に使えるわけではないですが、強力なものは覚えておくと有利に戦うことができます。
ただし、今作でパワーアップしているのはプレイヤーだけではありません。敵のAIも大幅に強化されており、こちらの攻撃をある程度避けるほか、一部の武器を持っている場合に飛び道具を打ち落としてくることも。また、ステージが進むと「弱点が体の一部だけの敵」「武器と一体化して攻撃しても落とさない敵」「倒すと爆発して銃弾を撒き散らす敵」などの強力な敵が登場するようになります。その先にはもっと厄介な存在が登場することも……。
スキルを駆使して「かっこいい」を作り出そう!
ステージを何度もリトライして最適解を見つけ出す「トライアンドエラー」式だった前作から、ステージや取得スキルなどランダム性のあるローグライト風のシステムになったことで、今作では「最高にかっこいいアクションを作り出す」要素が強化されている印象です。
特にパッシブスキル「ハッキング」の存在が大きく、組み合わせによって強力な相乗効果が生まれることも珍しくありません。「初期装備で刀を持つ」「武器で銃弾を跳ね返した場合にすべての弾が敵に飛んでいく」「敵の弾が遅く見えるようになる」などが組み合わさった時には、銃相手に刀で軽く捌き切る達人気分が気軽に味わえます。
ちなみにプレイ内容はいつでもゲーム内機能でリプレイと録画が可能。華麗な連続キルを決めた時には、ゲーム側でリプレイを表示するように促してくれるのがなかなか嬉しい機能です。録画したデータはゲームを通じてTwitterやFacebookアカウントで世界中に公開することもできます。
ここまで紹介してきた『SUPERHOT: MIND CONTROL DELETE』ですが、シリーズの魅力を活かしつつやりこみ要素が強化され、より遊びやすくなった作品です。トライアンドエラーで最適解を導き出すアクションパズルゲームだった従来作と比べ、格段にアクションゲームとしての要素が強くなった本作。プレイヤーのスタイルに合わせたそれぞれの「かっこいい」が表現できるようになっています。
プレイすればするほどに感覚が研ぎ澄まされ、背後にいる敵や影に隠れている敵を対処できるようになるのは非常に爽快。スキルやアイテムなどある程度のランダム性はありますが、理解と技量がなによりも大切な財産になることは『SUPERHOT』そのままの魅力です。
なお、なるべくストーリーの内容には触れないようにしてきた今回のプレイレポですが、『SUPERHOT』ファン向けの「不穏さ」はしっかりと存在していることだけはお伝えしておきます。
タイトル:SUPERHOT: MIND CONTROL DELETE
対応機種:PC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com/Origin)/Xbox One/海外PS4/Stadia
記事におけるプレイ機種:PC(Steam)
発売日:2020年7月17日
記事執筆時の著者プレイ時間:8時間
価格:2,499円
もしまだ第1作『SUPERHOT』をプレイしていないのなら、
「ここ数年遊んだ中で、もっとも革新的なアクション・シューティングゲーム」でオススメですよ。