『Slay the Spire』大ファンのカードゲームマニアたちが開発したローグライクカードゲーム『Endless Voyage』【中華ゲーム見聞録】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『Slay the Spire』大ファンのカードゲームマニアたちが開発したローグライクカードゲーム『Endless Voyage』【中華ゲーム見聞録】

「中華ゲーム見聞録」第80回目は、カードゲームマニアの開発者たちによるローグライクカードゲーム『Endless Voyage(無尽航路)』をお届け。単なる『Slay the Spire』フォロワーではありませんでした。

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『Slay the Spire』大ファンのカードゲームマニアたちが開発したローグライクカードゲーム『Endless Voyage』【中華ゲーム見聞録】
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中華ゲーム見聞録」第80回目は、カードゲームマニアの開発者たちによるローグライクカードゲーム『Endless Voyage(無尽航路)』をお届けします。

本作はDalaran Game Studio(達拉然遊戯工作室)が開発し、KuYou Games(苦柚Games)によって2020年1月8日にSteamで配信されました。開発チームのメンバー全員が『ハースストーン』などカードゲームのハードコアプレイヤーで、ローグライクカードゲームの聖典ともなった人気作『Slay the Spire』の大ファンだそうです(本作のプロデューサーは『Slay the Spire』を800時間以上プレイしているとのこと)。

「自分たちのカードゲームを開発するためにお金を稼いできた」というほどの気合いの入りようで、本作は「ローグライクカードゲームとしての純粋な楽しさを求める」というコンセプトの元に開発されました。開発中には1000種類ほどのカードがあったそうですが、テストプレイを繰り返しながら無駄なカードを省いていき、70枚以上に絞り込んだとのことです。中国で開催されたインディーゲーム賞「2020年indiePlay中国独立遊戯大賽」では「最佳デザイン賞」を獲得しています(ちなみに同賞には、「中華ゲーム見聞録」第67回で紹介したオープンワールドRPG『部落与弯刀(Sands of Salzaar)』も入っています)。

本作ですが、いわゆる『Slay the Spire』のフォロワー作品で、敵を倒してマップを進みながらカードデッキを構築していき、ステージ最深層にいるボスを倒すといった内容です。プレイヤーキャラだけでなく、ミニオンを召喚して共闘できるとのこと。カードゲーム好きな開発者たちが作った本作はいったいどんな内容なのか、さっそくプレイしていきましょう。

「訓練所」で基本を学ぼう!

本作はゲーム本編の「ニューゲーム」以外に、初心者プレイヤーのための「訓練所」が用意されています。ちなみに本作は日本語サポートがされています。起動時に日本語以外の言語だった場合は、メニューの「設定」から「言語」を日本語に変更してください。とりあえず訓練所から始めます。

ストーリーはコミック調で展開されていきます。主人公は女海賊・ジャン船長。海中にあった宝箱を引き上げて開けた所、子分たち共々その中に吸い込まれてしまったようです。

宝箱の中は「魂の領域」という場所で、通常の戦い方では敵を倒すことができません。そこで遭遇した「謎の人」に、女海賊は戦い方を学びます。まずはカードを使った戦い方として、何枚かのカードを渡されました。

バトルに突入。基本的には『Slay the Spire』と同じで、手札からカードを出していき、敵を攻撃したり、防御をしたりします。カードを出すためのリソースは、本作では「スピリット」と呼ばれています。カードが強力なものであれば、消費するスピリットの量も多くなります。

スピリットが尽きるか、手札が無くなれば行動不能になるので、「ターン終了」ボタンを押して敵のターンにします。毎ターン回復する『Slay the Spire』のエナジーとは違い、スピリットは次のターンになっても回復しないので注意(持ち越すことはできます)。コスト0の「ミルク」というカードはスピリッツを+3しますので、これら「スピリットカード」を使ってスピリットを増やさなければなりません。この辺りは『Slay the Spire』との大きな違いですね。

攻撃カードを使用するときは、ダメージを与えたい敵キャラのところへカードをドラッグ。防御カードは、カードに書かれている数値だけ、プレイヤーにアーマーを付けます。この辺りの操作は、一般的なローグライクカードゲームと同じです。

攻撃カードを出し続け、初戦は楽に勝利。報酬として最大HP+4のポーションをもらいました。この調子でどんどん行きましょう。

本作の開発者は、敵がただの「HPと攻撃力が違う相手」というふうにしたくなかったとのことで、「特徴のある敵」を登場させています。次の相手は「墓守」で、墓石を盾にしてくるため、「最大3ダメージまでしか与えられない」という特性を持っています。何度も攻撃するしかなさそうですね。

墓守を倒しましたが、謎の人から「効率が悪い」とダメ出しされました。攻撃力の高いカードよりも、連続攻撃のできるカードの方が墓守には効果的です。そこで「4ダメージを2回与える」という「ダブルスラッシュ」のカードをもらいました。最初から渡してくれればいいのに……。

デッキを強化せよ!

デッキビルディング型のカードゲームでは、デッキの圧縮が重要になります。余計なカードがデッキに入っていると、使いたいカードがなかなか手札に回ってきません。「工房」では不用なカードを削除することができますので、いらないものは処分し、自分好みのデッキに近づけていきましょう。

イベントが発生。おじゴブリンに「地面に落ちているオレンジを集めてくれないか」と頼まれました。引き受けると、「ミルク」カード(スピリッツ+3)を「オレンジ」カード(スピリッツ+6)と交換してくれました。要はカードのアップグレードですね。

「ダブルスラッシュ」の上位版であるレアカード「連撃」も入手。「4ダメージを4回与える」という効果です。ただ消費するスピリットは3とハイコスト。前述のとおりターンごとにスピリットが回復しないので、ハイコストカードの使いどころはしっかり考えた方がいいでしょう。

毎ターン、仲間全体に攻撃力+2のバフを与えるという面倒な敵「ホーンリッパー」。本作では敵は複数の行動をすることもあり、ホーンリッパーは攻撃力バフに加え、攻撃もしてきます。放っておくとどんどん敵が強化されてしまうので、早めに倒してしまいましょう。

他のローグライクカードゲームでもお馴染みですが、ゲーム中にずっと有効な装備アイテムとして「レリック」があります。画像のカード「研ぎ石」は、プレイヤーが与えるダメージを+2してくれます。他のローグライクカードゲームで考えれば、結構強力な効果ですね。レリックは効果が重ね掛けになるので、多いに越したことはありません。

本作には前列・後列の概念があり、前列に敵がいる場合は、基本的には後列の敵に攻撃することができません。墓守が前列になっているため、後ろにいるホーンリッパーを狙えなくなっています。防御力の高い敵が前列、バフ持ちが後列と、なかなかイヤらしい配置ですね。

「すべての攻撃を-3する」特性を持つアイアントレント。墓守とは逆に、連続攻撃系カードよりも一発のダメージが大きいカードのほうが、効率よくダメージを与えられます。「ラム酒」などの攻撃力アップカードで攻撃力自体を底上げするのもいいでしょう。敵に合わせてデッキ構成を考える必要があります。

アイアントレント2体とホーンリッパー2体の組み合わせ。アイアントレントは2回攻撃持ちなので、2体のホーンリッパーに毎ターン攻撃力をバフされていけば、とんでもないダメージになってしまいます。できるだけ短いターンで仕留められるよう考えましょう。

本編に挑戦!

だいたい遊び方が分かったところで、本編に進みましょう。ゲームをスタートすると、2人の主人公から一人を選べます。ただオカルティストという人物のほうは開発中なので、現在はジャン船長しか選べません。ゲームの難度は0から始まり、クリアすると次の難度がアンロックされていきます。

次に船長ショップから、冒険に持っていく初期アイテムを購入します。購入にはボスを倒した時に入手できる「宝石」が必要です(毎回のプレイで使える宝石は最大4つまで)。初プレイなので、宝石コスト2の「海賊の必需品」しか選べません。宝石2を与えられているので、とりあえずこのアイテムを選択。「180ゴールド、最大HP+10、最大スピリット+2、鉄槌+1」のボーナスが得られます。後述しますが、「鉄槌」はレリックを作製するのに使用します。

ゲームは3つのチャプター(章)で構成されており、それぞれのチャプターには7つのステージがあります。まずどのルートを進むかの選択ですが、とりあえず一番左を選んでみましょう。

最初の敵はブラッドハウンドが2匹。前述したように、本作は敵に特徴があるので、戦う前に敵の能力を見ておくのがいいでしょう。ブラッドハウンドは死亡時に、すべての仲間に攻撃力バフを与えます。

マシンガンナー」のミニオンカードを使用し、ジャン船長の前方に召喚しました。本作ではミニオンを最大5体まで呼び出すことができます(もちろんミニオンカードが手札にあれば)。様々な種類のミニオンがいるので、プレイヤーの盾にするなり何なりで、上手く使って戦いましょう。ちなみにミニオンは召喚した次のターンから、ターン終了時に自動的に攻撃をしてくれます。

敵を倒すとゴールドや設計図、そしてローグライクカードゲーム恒例の「3枚のカードから1枚を選んでデッキに加える」ことができます。デッキを分厚くしたくなければ、加えなくてもOK。ゲームに慣れてきたら、強そうなカードをとりあえず取ることより、デッキの方向性を決めながらカード集めをした方がいいでしょう。

レリック「プレートアーマー」の設計図を入手。本作では前述した「鉄槌」を消費して、レリックを作ることができます。レリックはゲーム中ずっと効果が持続するので多い方がいいですが、鉄槌の数と相談して、どのレリックを採用するかの判断も必要になってきます。ちなみにプレートアーマーは「毎ターン、ターン数のアーマーを得る」というものです。長期戦に備えて、作製しておきたいですね。

?マークの場所では、ランダムイベントが発生します。小人の行商隊と出会い、100ゴールドで設計図を2枚か「ギフト券」が得られます。鉄槌が無いので設計図を受け取っても使えないため、ギフト券をもらっておきましょう。

金床マークの場所では、デッキにあるカードの削除が行えます。削除にはゴールドを消費し、連続で削除するとコストが上がります。無駄なカードを減らし、デッキを最適化していくのがいいでしょう。

キャンプマークの場所ではHPを回復できるのですが、所有するレリックによって、キャンプで選択できる項目が増えます。例えば「食卓」というレリックがあると、「最大HP+12」を選択可能です。

宝箱マークの場所では、ゴールドや鉄槌、スピリットなどを入手することができます。本作はリソース不足になることが多いので、宝箱のあるマップを選んでいくのがいいでしょう。

チャプター1のボス「石怪」に遭遇。怪石を召喚してきます(召喚した怪石のHPは、そのターンで石怪が受けたダメージと同等)。どんどん増えていくので、火力を集中して、さっさと倒してしまいましょう。

チャプター1をクリアし、次なるチャプターへ。敵も強力になっていきます。画像の「スリ」という敵は、死亡時にプレイヤーの手札をすべて捨てさせるという能力持ち。倒す前に手札を使い切った方がいいですね。果たして最終チャプターまでたどり着けるのか、続きは自身の手でプレイしてみてください。

デッキ構成を考えるのが楽しいローグライクカードゲーム

本作はご覧の通り『Slay the Spire』のフォロワー作品ですが、ターンごとにスピリットが回復しなかったり、ミニオンを召喚できたりと、プレイ感覚は結構違うものがあります。特にデッキのカードを削除する機会が多く、削除に必要なコストも高くないので、プレイヤーの望むデッキ構成を作りやすくなっている印象を受けました。

また本作の敵には特徴があり、「カードゲーム」として考えて戦わなくてはならない場面が多く用意されています。例えば画像の敵「エンチャントレス」ですが、「プレイヤーが出したカードを1枚おきに無効化する」という能力を持っていますので、出す順番を考えながら戦わなくてはなりません。敵を力でねじ伏せるだけのパワーゲームでなく、「カードゲーム」としても楽しめる作品として仕上がっています。日本語翻訳が変な所もありますが、意味は分かるので許容範囲でしょう。『Slay the Spire』フォロワーの中でもオススメの作品と言えそうです。

製品情報

『Endless Voyage(無尽航路)』
開発・販売:Dalaran Game Studio、KuYou Games
対象OS:Windows、MacOS
通常価格:1,750円
サポート言語:日本語、中国語(簡体字・繁体字)、英語
Steamストアページ:https://store.steampowered.com/app/1325310/Endless_Voyage/

※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字を日本の漢字に置き換えています。


■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。著者Twitter「マイナーゲーム.com」Twitter

《渡辺仙州》

歴史・シミュ・ボドゲ好き 渡辺仙州

主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。

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