Frontier Developmentsが開発を手掛ける宇宙MMOゲーム『Elite Dangerous』は天の川銀河が1分の1サイズで再現されており、瞬く星々の殆どにアクセスが可能という超弩級のマップスケールを誇ります。本作においてプレイヤーは、コマンダーとして自分の宇宙船を操り銀河を股にかけて飛び回ることが可能。ロールプレイの選択肢は探索、輸送、採掘、さらにはちょっとダーティな暗殺稼業だったりとまさに無限大です。
そこへ先の2021年03月29日、大型拡張DLC『Elite Dangerous: Odyssey(以下Odyssey)』のアルファ版がDeluxe Alpha Expansion購入者向けに配信されました。今回のDLC最大の目玉は、「コマンダーが一人称視点で行動可能になる」ということにあります。
全体で見れば30年近い歴史を持つ本シリーズにおいて、移動や戦闘といった行動は、自身の宇宙船や乗り物によってのみ行われてきました。そして『Elite Dangerous』におけるコマンダーとは、ロールプレイの便宜上グラフィックが用意され、身体的特徴やコスチュームの変更が可能な程度のいわばフレーバー的な存在だったのです。
その意味において、今回の史上初とも言える「人間の操作」に多くのプレイヤーが沸き立ちました。もちろん筆者もその一人。
前回の記事ではフェーズ1(Phase 1)をご紹介しました。その後Phase 2~4が短期間でリリースされたので、今回の記事ではそれらがどのようなプレイ体験だったかをお伝えします。さっそくやってまいりましょう。
アルファロードアウト

まずは各Phaseにおけるアップデート内容について、上記画像から引用して翻訳すると以下の通りです。
Phase 2:戦闘
距離20光年の範囲で移動可能になった
プレイヤーが船を購入可能になった
Manticore Dominator社製のコンバットスーツを購入可能になった
Faction(派閥)間の衝突が有効になった
Frontline Solutionsが利用可能になった
拠点やPOI(特定地点)との取引を含む、近隣星系のミッションが受注可能になった
Phase 3:探索
距離50光年の範囲で移動可能になった
未踏の惑星が含まれているため、FirstFootfall(一番乗り)を体験可能になった
Supratech Artemis社製のエクスプローラースーツを購入可能になった
プレイヤーはGenetic Sampler社製ツールを使用して有機物を分析可能になった
Phase 4:互換性
プレイヤー本来のコマンダーグラフィックがアルファに追加された
宇宙空母、宇宙船、宇宙戦闘機、SRV(車両)が使用可能になった
現在のアルファはPhase 4まですべてプレイ可能。個人的な感覚ではありますが、今回「一人称視点によるコマンダー操作」という革命的な機能が導入されたものの、ゲーム全体で見れば、それを強制されているとは感じませんでした。これまでの宇宙船、戦闘機、車両といったものと同様に、ユーザーが自由に選べるオプションのひとつ……という位置づけと言いましょうか。平たく言えばロールプレイの選択肢が広がったという感覚です。
ユーザーインターフェースについて
さてあらためて本編開始。前回の記事、Phase1でのプレイレポにおいて、ステーションの宇宙船サービスは利用不可でした。カウンターの向こうにいるスタッフに声をかけようにもEキーが表示されない。隔絶された宇宙が目前に広がるようでした。


それがPhase2になると、画像のように話しかけて操船のチュートリアル、宇宙船の購入、ハンガー内駐機中の船の管理などといったサービスを受けられるように。

この時点で、これまでのシリーズ経験者は、ユーザーインターフェースのデザインが格段に洗練されたことに気が付きます。今までのやや味気ないホログラフィック風の表示も、無機質な宇宙を演出する素晴らしいデザインでしたが、やはりこれから購入する機体は、実際に目で眺めてみたいところ。このプレビューつきのリスト表示は、個人的に大変見やすく、好感度が高いですね。

またOdysseyから新しく登場したコマンダーのスーツ関連についても、画像のように全体像ならびにスペック詳細情報がわかりやすく表示されるようになっています。

この他にも、インターフェースの進化については、ミッション受諾画面などもデザインが変更されていました。
Phase2で近場のミッションを受けよう……?

ともあれ、Phase2現時点ではアルファ用に用意されたコマンダーと船だけなので、現時点では資金が足りず船の購入ができません。せめてコンバットスーツは購入しましたが、とりあえずは画像の、特別支給された宇宙船(名称:コブラ)に乗り込んで、近隣の惑星地表ステーションのミッションを受けに行きます。

惑星に接近したら地表に安全に降りるため、角度を深すぎず浅すぎず調整しながら滑空降下しましょう。

どうにかこうにか角度を見つけて安全に無事に現場近くまでやってきまs……、

サーバーエラー。
さすが大人気状態のアルファ、狂喜乱舞したコマンダー達が押し寄せて混み合っているのかもしれません。この後も何度か着陸を試みましたが、エラーによって弾かれてしまいました。
Phase3-4で戦闘と採集を楽しもう……?

小規模な修正アップデートなどが何度かあったため、サーバーが安定するまで数日時間を置くことにしました……と、考えていたらあっという間にPhase3と4が開始。あらためてゲームにアクセスしたところ、Phase1-2で使用していた見た目だけは歴戦の老コマンダーと、はんぺん号(宇宙船)が跡形もなく消えており、代わりに筆者がこれまで数百時間一緒に飛んできたAsp Explorerと若コマンダーがそこにいました。

画像は、 僕こんな子でしたっけ……?という味わい深い表情。
採集用スーツを入手しよう

久々の操縦がてら近場の惑星地表面の基地へ向かう筆者。しかしいくらランディングリクエストを送り続けても向こうはダンマリで、待てど暮らせど着陸許可が下りません。それもそのはず、画面左上のメッセージを見ると基地がオフラインだから。そういうことは先に教えておくれよ!(他責思考)

それじゃあ代わりに何かオーガニックなBIOLOGICAL採取しますかね、と最寄りに着陸する筆者。ランディングギアを出すだけでオートで接地してくれるのがありがたい。

さて、これまでは機体から外に出て地表を探索するには、SRVといった搭載車両に乗り込む必要がありました。しかしこのOdysseyではコマンダー自身がスーツに身を包み出歩くことが可能。

外に出て振り返ると、愛機が主人をおいて上昇を始める姿がありました。


いやいやいやどこへ!?一体どちらへ行かれるというのですか!?と慌てふためくこちらを尻目に彼女はぐんぐん高度を上げて飛び去ってしまいました。

見渡す限り何もない荒野に取り残される筆者。

記憶と表示を頼りに必死で走り、なんとか先ほどオフラインだった基地へ向かいます。ごめんください、酸素と帰りの足を助けて頂けませんか?

クソが。どこも閉まっています。

あきらめのポーズをとる筆者。またうっかり採集用のスーツを購入し忘れていたので、現状この真っ黒なフライトスーツでは何もできず、強いて言うなら取り出した武器をこめかみに当てて引き金を引くくらい。

しかしこの後幸いにも、Qキー長押しで開くメニュー画面から機体を呼び戻せることに気が付いたので、規模の大きい惑星都市で態勢を整えることにしました。


無事にスーツを購入し、ロードアウト画面から装備も完了しました。

ご覧ください。先ほどまで唇を結んでご機嫌ナナメだったのが、今ではしたり顔です。
採集ついでにサボタージュミッションもこなそう

せっかくなので、ミッションも受けつつ惑星地表を探し回りましょう。今回受けるのはどっかの地表基地の設備を妨害してこいというもの。場合によっては戦闘もありうるので、銃撃戦に備えておくと良いでしょう。おろしたてのスーツを着込んでウキウキに出発します。



さて、目的地に到着してしばらく飛んだり跳ねたり自機の上に乗ったりして楽しんでいましたが、ミッションの目的を思い出したので基地内部に侵入すべくセキュリティロックへ向かいます。

ところが例によって扉は固く閉ざされていたので、まだ人類が地球を主な拠点としていた頃から続く伝統的な方法(射撃)で解除を試みます。どうせ警備の人間も居ないことでしょうし多少騒がしくしてもバレn……、

あっ。

(全力疾走で逃げる筆者)

(四方から銃弾を浴びる筆者)

なんとか機体に乗り込んで離陸脱出を強行しますが、ここで機体のバリア耐久値がゼロになっていることに気が付きます。

ああっ……。

死。
今度こそ採集にいこう

なまじ良い機体に乗っていたためリスポーンの際に支払う保険その他の金額が、Phase1の頃と比べてえらいコトになっています。もう気軽にアホなことができない……。ここからは心を入れ替えて真面目に採集へ向かうとしましょう。
採集の主な方法については、上記公式YouTubeが大変わかりやすく解説しています。大筋を抜粋すると下記の通り。
GENETIC SAMPLER(サンプル回収道具)が付いたスーツを装備
宙域から惑星表面にスキャンを行う
BIOLOGICALのシグナル反応を確認したら地表に降下
シグナルを頼りに地表を探索しサンプルを回収
サンプルはステーションにてオーガニックデータとして売却可能

さて手順もわかったことですし、実際にやってみましょう。画像はアルファ版Phase1において全コマンダーが閉じ込められていた星系でお馴染みADITYAN。アルファの盛況からか宇宙空母も大集合しており、星系マップ内の情報密度がえらいコトになっています。

とりあえず地表へ降下できる惑星をいくつか調べていきましょう。採集要素は新規目玉ですし、そんなに手こずることなく見つかりそうです。

スキャンこのように惑星表面にPROBE(調査装置)を打ち込んで、画面左下の%数字を100にすれば完了です。

さてさて……?

HUMAN(人間)という数字しか見えませんが、万が一ということもあるかもしれないので降下開始。やけくそになって降りているわけではありません。

あ、ホラ!地表が緑色ですよ!ここには植物があったんです!やはりスキャナ結果が間違っていた!はやく降りて探索に参りましょう。

……というところでナイトビジョンモードを切ったら、先ほどの緑豊かな地表は消滅してただの岩肌が目の前に広がりました。そっか……さっきの緑はナイトビジョンが表面輪郭を浮かび上がらせていただけだったんですね……ところで降下速が通常の3倍くらいある件について。

(思いっきり腹を打ち付けた機体)


死。

……はい!という訳でこのように安全に降下したら!
安

全に地表へ着陸を行い!

安全に外へ出て、この装置でスキャンしていくんです!楽しいですねえ!
おわりに

なかなか人間以外が見つからない……ともあれ、実際のところすべて筆者の自爆で機体が四散しているため、この手痛い保険料については当然の帰結として留飲を下げます。
記事冒頭の繰り返しになりますが、漠然とした「コマンダーの一人称操作を強制されるようなゲームに変わってしまうのではなかろうか」という不安は、今回のアルファ版をプレイしたことで綺麗に吹き飛びました。内容は豪華でありながらも、あくまでロールプレイの選択肢がひとつ増えるというバランス配分が実に素晴らしいですね。
大型拡張DLC『Elite Dangerous: Odyssey』は2021年5月19日にリリース予定。船で、車両で、徒歩で、この宇宙に広く散らばる惑星を探索してまいりましょう。