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Chillで特別な体験がしたいあなたへ、『コーヒートーク トーキョー』プレイレポ―東京の片隅で、群像に身をゆだねて

妖怪から幽霊まで、夏の東京で、誰もが抱える人生の悩みへ、静かに耳を澄ます。

連載・特集 プレイレポート
Chillで特別な体験がしたいあなたへ、『コーヒートーク トーキョー』プレイレポ―東京の片隅で、群像に身をゆだねて
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2026年5月21日には、Chorus Worldwide Gamesからいよいよ『コーヒートーク トーキョー』が発売されます。

喫茶店のバリスタとなってお客さんたちと話す画期的なADVタイトルであり、前作『コーヒートーク』や『コーヒートーク エピソード2:ハイビスカス&バタフライ』では、その温かでゆるい雰囲気と、ウィットに富んだ登場人物たちの会話から非常に高い評価を受けています。

そんな『コーヒートーク』が、新作『コーヒートーク トーキョー』では舞台が一変し、2026年の東京に。

とにかく“Chill”な雰囲気と体験が売りのシリーズですが、『コーヒートーク トーキョー』ではどんなゲーム体験が待っているのか――このプレイレポート記事でお伝えしようと思います。

しかし実を言うと、筆者は恥ずかしながら今まで『コーヒートーク』シリーズを遊んだことがありません。しかし、今作を遊んでからはすっかりその面白さの虜になってしまい、全登場人物のエンディングを全種類コンプするまでにハマってしまいました。

そこでまずは、『コーヒートーク トーキョー』で触れたこの面白さのエッセンスについて、筆者が個人的に気付いたことを(取り留めもないですが)紹介していこうかと思います。

傾聴のゲームシステム

すでに『コーヒートーク』シリーズをプレイしたことのある方ならご存じかと思いますが、本シリーズのゲームプレイは基本的に、「物語の中でプレイヤーの介入する余地」がそれほどありません。

なにせプレイヤーは寡黙なカフェの店長という設定ですから、人と会話をして謎を解いたり、何か重要な決断を下したりするという、テキストベースADVゲームでは普通にあるような要素がこのゲームではありません。

プレイヤーがゲーム中で行うのはただ一つ、客の注文に応えて美味しい飲み物を提供するだけ――。

極端なことを言ってしまえば、本作はただただ“人の話を傾聴する”ということに尽きる、そんな変わったゲームなのです。

謎も解かない。選択肢もない。「そんなゲームプレイが果たして面白いのか?」と遊んだことの無い方なら思うでしょう。しかし、これがメチャクチャ面白いのです。

不思議ですよね。だって、このゲームで私がしたことと言えば、本当に黙って人の話をじーーっと聴いていただけなんですから。

もちろんたまにバリスタであるプレイヤーに話が振られることもありますが、それだって二言三言返事をするだけで、あとやることと言えばお茶やコーヒーを淹れるだけ……ずっとそんな感じなのです。

では、なぜ黙って人の話を聴くだけのゲームが面白いのか?

それにはいくつか理由があるのですが、まず何と言っても「会話の内容自体が面白いから」というのは間違いないでしょう。それについて話すために、ここで少し登場人物たちについて紹介しようと思います。

あの世とこの世の狭間で妖怪や幽霊たちが語るのは、どこまでも人間的な話

『コーヒートーク トーキョー』はタイトルの通り東京が舞台なのですが、現実での東京とは少し様子が異なっています。というのも、このゲームの世界には普通の人間以外にも様々な種族が暮らしており、それぞれの種族が独自の(大抵はその種族の設定故の)生き方や悩みを持っています。

そして本作では東京が舞台ですから、登場する種族たちも日本の妖怪や幽霊など、かなり日本色が強めな面々に。

のっぺらぼうや雪女、河童やマレビトなど、私たちに馴染み深い顔ぶれが揃っています。しかもゲーム内の季節はちょうど夏、お盆の時期となっており、まさにあの世とこの世の境目が曖昧な、日本独特の混沌とした世界観が描かれています。

しかしそうした設定ながら、ゲーム内で彼らが繰り広げる会話は妖怪トークではなく、むしろかなり人間的な内容となっているのが面白いところです。

例えば、スランプを抱えたミュージシャンが自らのキャリアについて語ったり、定年退職を迎えた河童が空虚となった余生の悩みについて語ったり、あるいは若いビジネスマンののっぺらぼうが「フラフラしている自分の軸」について思いを馳せたり……。

舞台が東京なので会話の節々に日本の地名などが出てくるのも、日本に住む我々にとってはなんだか現実と地続きのようで面白いです。

設定上はかなり奇抜な彼らですが、その会話の中身はどれも私たちが共感できるような市民的なものばかり。そしてそのどれもが、私たちが人生の中で一度は抱えるであろうちょっとした悩みや不安に非常に近いものなのです。

この「私たちが共感できるようなテーマ」について、おそらくシナリオライターの方はかなり意識的に書かれているのだろうと思います。

というのも、本作には子供から中年のおじさんまで様々な登場人物が登場するのですが、そのキャラクターたちの抱える悩みが全て「その年齢特有のもの」となっているからです。

例として、最近イギリスから日本に越してきた親子のピクシー族の話をちょっとだけお話しましょう。

彼らは父親がイギリス人で母親が日本人という家族構成なのですが、彼らが子育てに関して抱える悩みはいかにも「日本的」です。日本人の母親は仕事で忙殺され子供との時間を取れず、ハーフとして日本で育つ子供はそのコミュニケーション文化の違い故に学校に馴染めない。

頼りになるのは専業主夫の父親ですが、父親はイギリスの生まれなので教師に相談しようにも片言の日本語で上手くいかない……。幼い娘の将来ついても不安になる。なんだか映画「ロスト・イン・トランスレーション」のような話ですが、いかにも2026年に日本で暮らす外国籍の家族の悩みっぽいですよね。

こういうその時期特有の(親なら親の、子供なら子供の時期の)悩みって、恐らく誰しもが持っているものだと思います。そういった悩みが、登場人物のみんなにあるのです。

こういった共感性の高い内容の会話だからこそ、このゲームの会話は聴いてて飽きない。どころか、首をうんうんとうなずきながら、つい画面の向こうの登場人物に「分かるよ」と言ってしまいたくなるのです。

どうでしょう、ちょっと面白そうなゲームに思えてきましたか?

東京で、他人の人生の隙間を垣間見る。その素晴らしき体験

上記のように様々な「分かる」とうなずける会話でいっぱいの『コーヒートーク トーキョー』。しかし、バリスタとしてそれら全てをスパッと解決……とはならないのも本作の面白いところ。

これらのお話がどう展開していくのかについてはネタバレになるため詳しくお話できませんが、いずれにせよ、プレイヤーにできるのは彼の話を傾聴し、その行く末を暖かく見守るのみ。そして、時には心温まる美味しい飲み物で彼らを癒すだけなのです。

ちなみに、ゲーム的な話をすると、もちろん本作はただ会話ログを進めるだけのゲームではありません。プレイヤーには「飲み物を作る」という役割が与えられています。

このシステムについては多くの方がご存じでしょうが、プレイヤーは様々な材料を組み合わせてお客に飲み物を提供できます。客が喜ぶ飲み物を提供し続けることができればベストエンディングに、そうでないなら別のエンディングというシナリオの分岐システムは、初代から受け継がれています。

日本らしく抹茶やほうじ茶もしっかりと完備されており、日本のWABISABI溢れるお茶文化をしっかりと体験することが可能です(もちろん、コーヒーも)。

また、プレイヤーはゲーム内SNS「トモダチル」を確認することができ、各キャラクターの日常や交友関係、あるいは物語上の重要なヒントなどもチェックできます。とりとめもない呟きを眺めるもよし、ハッシュタグを追ってキャラクターを深く知るもよし、様々な使い方が可能です。

そして、そうしたゲームプレイを彩るのは、美しいピクセルグラフィックとLo-fi全開のゲーム内BGM。特に注目したいのは本作を象徴するChillな名曲の数々で、“AJ”ことアンドリュー・ジェレミー氏が手がけるサウンドはまさに一級品。和モノなどを使った日本風のLo-fiビートが、夜にゆるやかなムードを作り出します。

こうしたゲーム内の諸要素も、「腰を落ち着かせて人の話を聴く」という本作のプレイに、多大なる没入感を生み出しているのです。このゲームが面白い理由の一つですね。

――と、ここまで本作がなぜ面白いのかについて語ってきたわけですが、ここで一つ個人的な話をして、この記事を終わろうと思います。

筆者は以前、仕事で東京に行った折、帰り際にある食堂兼居酒屋に立ち寄ったことがあります。その時は1人だったのでカウンターに座っていて、隣の席には常連客がおり、その人はお上さんにむかって何やらしきりに話をしていたのを覚えています。

そのとき筆者は、その話を中途半端に盗み聞きしながら店内ラジオに耳を傾けていたのですが、今思えばあの時私が感じた情感は『コーヒートーク トーキョー』で遊んだときに感じた情感どどこか似ている気がするのです。

東京は、とにかく人が多い街です。だけども皆他人にはどこか無関心で、暖かいようであり冷たいようであり……そんな不思議な場所だと私は思います。そして、そんな街だからこそ、ふとした時に垣間見える他人の人生の隙間が、とても新鮮で美しく見えるときがあります。

本作のキャラクターたちのように、それぞれの人にそれぞれの人生があり、生き方があり、悩みがあり、楽しみがある。そんな“群像”に静かに身をゆだねることができるのは、とても幸せで満ち足りた体験だと思います。

そして、そんな体験をゲームで出来るのがこの『コーヒートーク トーキョー』なのだとしたら、そういったものを求める人にとって、本作は忘れがたい作品になることは間違いないでしょう。

コーヒートーク トーキョー』は、PC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S/Xbox One/ニンテンドースイッチ向けに5月21日より発売予定です。もちろん、プレイするときはコーヒーを忘れずに。


コーヒートーク|オンラインコード版
¥1,422
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
ライター:植田亮平,編集:八羽汰わちは


編集/ 八羽汰わちは

はちわたわちは(回文)Game*Sparkの共同編集長。特技はヒトカラ12時間。

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