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『The Binding of Isaac: Repentance』プレイレポ―10年前に生まれた色褪せない反骨精神のローグライト

シリーズ初代がリリースされてからおよそ10年、いよいよ決定版となる『The Binding of Isaac: Repentance』コンソール版のリリースが控えています。ローグライトが大ブームのいま、本作ならではの魅力とは何なのでしょうか。

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『The Binding of Isaac: Repentance』プレイレポ―10年前に生まれた色褪せない反骨精神のローグライト
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2011年にリリースされた『The Binding of Isaac』。暗い世界観によるローグライトは評判を呼びました。以降はリメイク版の『The Binding of Isaac: Rebirth』(以下 Rebirth)が2014年にリリースされ、『The Binding of Isaac: Afterbirth』などのDLCをリリースしてきました。

今年2021年には最終章と銘打たれた『The Binding of Isaac: Repentance』(以下、Repentance)のPC版がリリース。そこへ続くかたちで、PlayStation 5/ニンテンドースイッチ版のリリースが予定されています。今回の東京ゲームショウ2021(以下、TGS 2021)ではPlayStation 5版が展示されており、コンソール版のリリースに先駆けてプレイすることができました。

膨大なやりこみ要素を抱え、子供たちの心の闇はさらに深まる。

『Repentance』の基本ゲームプレイは、アイザックの涙を敵に飛ばして敵を倒しながら、ファミコン時代の『ゼルダの伝説』のような自動生成マップを探索し、アイテムを見つけて自身を強化しながら、フロアのボスを倒して奥へと進んでいく……という、まさしく現代のローグライトらしいものとなっています。

ですが、ダンジョンを彩る背景はあまりにも汚いもので覆われており、「アイザックはどこへ行くんだ……」と思わず心配にさせられます。多くの部屋ではウンコがばら撒かれており、アイザックと同じような子供が血だるまになりながら襲い掛かってくるのです。

なぜこんなダンジョンなのか? その理由はストーリーにありました。とある小さな丘の家に、アイザックという子がママとふたりきりで暮らしていました。ですがある日、ママが “天のお告げ”を聞き、突如アイザックを生贄へささげようと襲い掛かるのです。

アイザックはママから逃げる為、部屋で見つけた地下への扉を開き、地下ダンジョンへと逃げ込んだのでした。つまり、ダンジョンは家の汚らしい地下を意味していますし、アイザックの精神を見せているものなのでしょう。

さて『Repentance』では『Rebirth』に加えて膨大な要素が追加。700種類以上のアイテムに加え、アイザックの他に17人以上の性能が違うプレイアブルキャラクター達が登場。さらに300体以上の敵と、125体以上の個性の強いボスが登場するなど、さらにアイザックに涙を流してもらう環境が広がっているのです。

アイザックはウンコに塗れた暗闇のダンジョンに、長らく捉われていたわけですが、『Repentance』では最終章と銘打つとおり、なんと真のエンディングが用意されているとのことです。本当の結末にたどり着いたとき、アイザックが泣きやむ物語があるのでしょうか。

いまローグライトが流行る時代だからこそ、あらためて異形の世界観が際立つ

いま『Hades』をはじめ、ローグライトのジャンルは大人気を博しています。何度もゲームオーバーになりながら、プレイヤーのスキルが上達していく喜びを得られるだけではなく、近年ではストーリーや世界観まで楽しめるようデザインされたタイトも出てきています。

そんななか、あらためて『The Binding of Isaac』シリーズを振り返ると異様な内容に戸惑わされるのです。あからさまに虐待を扱った題材や、暗い心の底へ落ち込むような世界観の凄絶さと裏腹に、何度もプレイしたくなる手応えのアクションという落差は今もって新鮮でしょう。

ローグライト人気は凄まじく、インディーゲームの規模だけではなく、PlayStation 5をプラットフォームとしたビッグバジェットからも 『Returnal』がリリースされるほどの状況です。

そんな華やかなSFローグライトよりも、かなり小さい規模である『Repentance』を、同じPlayStation 5でプレイしていると、むしろ身を背けたくなるような題材で 、ものすごくハマるゲームデザインをやってしまうという、強烈な反骨精神を抱いたゲームであることに、あらためて驚かされるのでした。

いまでこそインディーゲームは多くのコンソールでも遊べるような、広いゲーマーに伝わるようなジャンルに成長しました。しかし今から10年、いやそれよりも前のインディーゲームは、はっきりと反主流の精神を(特に一部のクリエイターが)見せていたことを痛感させられる内容なのです。

かなり古い例になるのですが、漫画で言えば「少年ジャンプ」に対する「ガロ」のような……いや、いまWeb漫画誌でたとえるなら「少年ジャンプ+」に対する「トーチ」のような感じでしょうか。

ローグライトがどれだけ流行っても、『The Binding of Isaac』に似た完成度を持つタイトルはなかなか出会えないですし、いまあらためてこの反骨精神に触れる価値はあるでしょう。『The Binding of Isaac: Repentance』はPlayStation 5/ニンテンドースイッチで2022年の春にリリースを予定しています。

《葛西 祝》

ジャンル複合ライティング 葛西 祝

ビデオゲームを中核に、映画やアニメーション、現代美術や格闘技などなどを横断したテキストをさまざまなメディアで企画・執筆。Game*SparkやInsideでは、シリアスなインタビューからIQを捨てたようなバカ企画まで横断した記事を制作している。

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