2022年4月21日にRunning With ScissorsよりPC向けに正式リリースされた『POSTAL 4: No Regerts』は、悪趣味系ゲームシリーズ『POSTAL』の最新作。ナンバリング作としては『III』から約12年ぶりの作品となります。
本作は『2』より始まったお下劣・お下品・おバカ路線をそのまま引き継いで作られた作品です。ストーリーは『POSTAL 2』のDLC「Paradise Lost」から数年後、新たな舞台「エデンシン」でハチャメチャを繰り広げます。
2019年より早期アクセスが開始されていましたが、この度約2年ほどで正式リリース。月曜日から金曜日までの5日間をプレイできます。本稿では、正式版のプレイレポをお届けします。

実は筆者、『POSTAL 2』が大好きです。Steam版はDLC含め100時間以上何周もプレイしましたし、公式の日本語版や、パッケージに収録されたユーザー作成拡張『エターナルダムネーション』も楽しみました。『2』の正統進化的な本作には期待していましたが、果たしてどのような出来となっているのでしょうか。
『POSTAL 4: No Regerts』の実内容に迫る!
……結論から言いますと、品質はかなり低いです。FPS低下や非常に長いローディングなどパフォーマンスはすこぶる悪く、ゲームの進行を妨げる致命的なバグも存在します。
ゲームライターとして活動する上で、記事で作品に対してあまりネガティブなことばかり書くのは本意ではありませんし、本作の方向性やプレイレポという記事の性質を考慮しある程度のバグは許容しようと思っていましたが、現状看過できないほどプレイに支障をきたすクオリティとなっているため、悪い部分の指摘が中心となってしまうことをお許しください。
また、本記事執筆にあたりプレイした範囲は1日目(月曜日)の最初の3ミッションを軽くプレイした時点というかなり序盤での感想であることもご注意ください。

今作のポスタル・デュード(主人公)は、ホームレス生活からスタートします。プレイヤーが最初に行うミッションは、ダンボール板に「仕事さがしてます」という文を書き、街行く人に仕事を斡旋してくれる場所を探すというもの。過去作ではいきなりクビにされ職を失なっていましたが、今作も「らしい」始まり方となっています。

ダンボール板を用意すると街に出られるようになりますが、街を歩いている間はパフォーマンスが安定せず、画面がカクカクになります。グラフィックはお世辞にも高品質とはいえないチープさで街の密度も高くないのにも関わらず、明らかに異常な重さです。
グラフィックのチープさについては本作に高品質なグラフィックを求めているわけではないのでこれでも許容範囲ではあるのですが、FPS落ちが頻発するとやはり快適にはプレイできません。筆者のPCは場面によっては『サイバーパンク 2077』をプレイした時並にファンが唸っていました。
本作のフィールドはオープンワールドではなく箱庭形式を採用しており、エリア間移動ではローディングが発生します。ミッションによってはエリアを行き来するため何度もローディングが行われ、その度30秒ほどの長いローディングが挿入されるため非常にテンポが悪く大きなストレス要因のひとつです。

街ゆく人にしつこく仕事がないかと訪ねていると、3件の仕事を紹介されます。そのうちの1つは猫と犬を3匹ずつ集めるというものです。
このミッションでは犬用の餌と猫用のまたたびを使っておびき寄せなければならないのですが、ここでも不具合が。犬と猫が障害物や動けなくなっていたり近くに餌をおいても無反応だったりと挙動に不具合が多く、ミッションがまともにプレイできません。



他にもNPCの挙動はところどころおかしくなっています。筆者は『2』でおしっこを人の顔にひっかけることで嘔吐させるプレイが好きだったのですが、今作ではバグにより反応しないだけでなく銃での反撃だけはしてくる場合が多々あり、シリーズならではのお下劣行動も楽しむことがままなりません。

ホームレスが住み着いた下水道の掃除をするミッションは複雑な構造のマップを探索したりそれなりにシビアなプラットフォームアクションを要求されたりします。ホームレスの寝床に大麻パイプが転がっているなどのちょっとしたネタはありますが、このミッション中は特に面白い場面もなく退屈な作業に終始……。また、初期設定では画面が非常に周りが見通しづらく、小さなネズミも襲ってくるためストレスが多いミッションです。
他にも、設定を変更していないにも関わらずゲーム中に字幕がオフになったりマップ遷移時などにダッシュが突然遅くなるといった細かいバグにも多数遭遇しました。正直に言って、このクオリティでは正式リリースする必要はなかったのではないでしょうか。もうしばらく安定性向上をメインとした早期アクセス期間を設けてほしかったと思います。ユーモアの効いた「らしい」部分はあるにはありますが、全体的な品質が低く、残念ながらただただストレスの多い作品となっています。

最後に良い部分をあげるとすれば、ゲーム開始ポスタル・デュードの声優が選べることは非常に素晴らしいです。『Duke Nukem』シリーズの声優で知られる新規声優・Jon St. John氏はもちろんですが、『2』のRick Hunter氏、さらには『III』のCorey Cruise氏の2名が再びポスタル・デュードを演じ、ファン胸熱仕様となっています。再び過去作デュードの声が聞けるという部分だけでも多少は価値のある作品といえるかもしれません。
『Postal III』からは11年ぶり、『Paradise Lost』からは6年ぶりとなる久々の『POSTAL』シリーズ新作は、残念ながらとてもおすすめできない出来となっていました。根本的にゲーム部分が退屈になりがちなのは残念ですが、パフォーマンス改善が行われれば多少はプレイしやすくなるかもしれないため、今後のアップデートに期待したいところです。
もし『POSTAL』に興味がある場合は、『2』をおすすめします。Steam版は頻繁に安売りされますし、完全日本語版は味のある吹き替え付きで楽しいですよ!
対応機種:PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC
発売日:2022/04/21
記事執筆時の著者プレイ時間:5時間
価格:4,100円
関連リンク
編集部おすすめの記事
連載・特集 アクセスランキング
-
1998年のPS1ゲームが描いた「2020年の監視社会」─鬼畜難易度の実写SFサスペンス『ALIVE』の魅力を振り返る【特集】
-
『エースコンバット8』はフライトスティックでどう変わる? 約3万円の「T.Flight HOTAS NEO」を徹底レビュー!【特集】
-
『サイバーパンク2077』を生み、『バルダーズ・ゲート3』開発元も進出!ゲーム企業300社超が集まる巨大開発都市・ワルシャワの今
-
三重の夜道を走って手に入れた、シリーズ最愛の一作。『アーマード・コア3』と『サイレントライン』の記憶【オリーさんのロボゲーコラム】
-
100万体のゾンビが埋め尽くす街から生存者を救出するゾンビサバイバルRTS『Ebbtide』に注目集まる。人類最後の空母機動部隊を指揮し、時には自らも出撃【今週のインディー3選】
-
【漫画じゃんげま】545.「いたずら」の巻
-
「三部作にまたがるストーリーをうまく締めくくった」海外レビューひとまとめ『Remothered: 赤き修道女の遺産』
-
「前作は全く売れませんでした」―だからこそ生まれた美少女ローグライトACT『夢幻桜楼閣』。電猫遊戯・ほーせんか氏が語る、レトラへの愛と開発の裏側【インタビュー】
-
レトロ風ターン制ストラテジー『Chaos Front』混沌の宇宙を新米傭兵団が成り上がる!覚えることも多いが「部隊の成長」をしっかり味わえる作品【ゲムスパロボゲーカタログ】
-
『ファイナルファンタジー レゾナンス』はなぜ話題に?「もしFFがドットのまま進化していたら」を形にした、懐かしくも新しい“FFらしさ”【特集】













