1998年のPS1ゲームが描いた「2020年の監視社会」─鬼畜難易度の実写SFサスペンス『ALIVE』の魅力を振り返る【特集】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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1998年のPS1ゲームが描いた「2020年の監視社会」─鬼畜難易度の実写SFサスペンス『ALIVE』の魅力を振り返る【特集】

実写系ゲームで「屈指の鬼難易度」を誇る、ゼネラル・エンタテイメントより発売されたSFアドベンチャーの魅力とは。

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1998年のPS1ゲームが描いた「2020年の監視社会」─鬼畜難易度の実写SFサスペンス『ALIVE』の魅力を振り返る【特集】
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1998年8月6日、ゼネラル・エンタテイメントからPS1向けに『ALIVE(アライブ)』が発売されました。

本作は、全編実写ムービーを中心に構成された実写SFアドベンチャーゲームです。舞台となるのは、発売当時から22年後の「2020年の東京」で、個人の行動が厳しく制限される“監視社会”をテーマにしており、ひとりの女性が身に覚えのない殺人事件に巻き込まれ、警察や謎の刺客から逃亡する物語が展開します。

また本作は、当時流行した「実写ゲーム」の一つでありながら、「アドベンチャーゲーム史上屈指の理不尽な超高難易度」、通称“死にゲー”“鬼畜ゲー”として、今なおレトロゲームファンの間で語り継がれているカルト作でもあります。

本稿では、本編で描かれた“2020年の監視社会”とは何だったのかを検証しつつ、なぜ本作のゲームプレイは理不尽までに難しかったのか、その忘れがたい魅力を振り返っていきます。

◆20世紀末に描かれた、恐るべき「2020年の監視社会」

主人公は、20歳の女性「カワダ・アツコ(演:今井陽子)」。ある日、殺人事件の現場で遺体を発見した彼女は、何者かによって犯人に仕立て上げられてしまいます。テレビにはアツコが殺人を犯したかのような映像が流れ、警察から追跡されることに。さらに正体不明の刺客まで現れ、彼女の命を狙い始めます。

誰が事件を仕組んだのか、なぜ自分が狙われているのかーー。逃亡を続けるアツコは、巨大な組織による陰謀と、自身に関わる秘密へと迫っていく、というサスペンス仕立ての物語になっています。

カワダ アツコ(演:今井 陽子)

作中では、市民が「ID」で一元管理され、空を飛び交うドローンの監視カメラが私生活を監視、さらに「安全監視システム」によって社会の安全と引き換えに自由が制限されるディストピアが描かれました。

これは現実の2020年代においては、マイナンバー制度やスマホの位置情報による行動追跡、街中に張り巡らされた顔認証AIカメラの普及と完全に重なります。

こうした描写は、現実の個人情報の管理や監視のあり方異なりますが、現実の2020年代におけるマイナンバー制度やスマートフォンの位置情報、防犯カメラの普及など現実と重なるところも。

超監視社会

また、主人公が「捏造された監視カメラの映像」によって無実の殺人犯に仕立て上げられる展開は、現代のAI技術が生み出すディープフェイク動画の脅威や、SNSの切り取り映像による冤罪・ネット私刑の構造を、偶然とは思えないほど先見の明で的中させていることも驚きです。

このように本作の描く「2020年の未来」は、警察と企業が密接に連携する管理体制、情報の集中、個人の行動履歴への依存など、90年代末のSF作品が抱いていた、先進技術に対する期待と不安がよく表れています。

映像を捏造され、指名手配犯として追われることに…

Windows 98が発売されたばかりの1998年において、情報技術の発展がもたらす「利便性と引き換えの息苦しさ」を奇しくも見抜いていた『ALIVE』。

作中の時代設定である2020年から6年が経った現在、劇中の市民と同様、見えないネットワークに常に監視され、安全のために自由の一部を差し出す生活を当然のように受け入れており、本作のSF世界は今や紛れもない「現実の日常」へと近づいているのかもしれません。

◆物語の運命を左右するインタラクティブ・ムービー

本作のゲームシステムは、映像の途中でプレイヤーが選択や操作を行う「インタラクティブ・ムービー」と呼ばれる形式です。

基本的には実写映像に沿ってストーリーが進行し、危険な状況になるとプレイヤーに行動の選択が求められます。

プレイヤーは主に「ACTIVE」「CLEVER」「ESCAPE」の3種類から行動を決定します。

具体的には、ACTIVEは積極的に相手へ立ち向かう行動、CLEVERは状況を利用して機転を利かせる行動、ESCAPEは逃走や回避を優先する行動に対応しています。

回避系のQTEはマジでムズイ

例えば、刺客に襲われた際、正面から反撃するのか、周囲の環境を利用するのか、その場から逃げ出すのかによって異なる映像が再生されます。

同じ危機でも選択によって展開や難易度が変化するため、主人公の運命にプレイヤー自身が介入している感覚を味わえるのです。

さらに、物語の途中には銃撃戦や特殊な操作パートも登場し、例えば「ガンシューティング」では敵の急所へと移動する照準を見極め、適切なタイミングで攻撃ボタンを入力しないといけません。

また、追跡を振り切る場面では画面の指示に応じて方向キーを押し、時にはCGで描かれたセキュリティシステムの内部へ入り込む場面も用意されています。

シューティングシーン

実写映像を見ながら状況判断、反射神経、操作の正確さを要求されるため、選択肢を読むだけのADVとは異なる独特の緊張感があります。

謎のミニゲーム

そして携帯情報端末を利用した情報収集や、セキュリティを突破するミニゲームも用意されています。

このように本作は、探索や謎解きよりも実写映像の展開に合わせた判断と操作を重視している点が大きな特徴です。

しかし、初見では対応できないシビアな場面が多く、何度もゲームオーバーを繰り返しながら操作の順番とタイミングを覚えることになります。

いわゆる典型的な「死に覚えゲー」ですが、場面によっては失敗の原因が分かりやすいとは限らず、入力判定そのものを把握する作業が攻略の大部分を占めてしまいます。

もっとも、次々に襲ってくる敵を撃退し、危機を乗り越えられた時の達成感は確かにあります。実写映像で描かれるアクションを自分の操作で成功させたという感覚は、本作ならではの面白さに違いありません。

◆“初見殺し”の罠がいっぱい!理不尽すぎるQTEの鬼難易度

本作のゲームシステムは、実写映像といわゆる「QTE(クイックタイムイベント)」が融合した作品ですが、人間の反射神経を試す「ノーヒントの即死要素」が連続する、凄まじい「理不尽さ」を誇る高難易度でも注目されました。

特にゲーム中に登場する「カーチェイス」シーンは、本作屈指の絶望度を誇る最難関ステージです。

実写ムービーのド派手な爆破やカースタントが見どころですが、ゲームとしては「1つのミスも許されない超高速QTEが数十回連続する」という、とんでもないプレイを要求されます。

道路のカーブに応じた方向入力や、追跡する敵への対処を短時間でこなさなければならず、一度のミスが即座に失敗につながります。

さらに、入力と入力の間には実写映像が流れるため、一定のリズムでボタンを押し続ければ突破できるわけでもありません。場面の変化を確認しながら、次の指示に備える必要があります。

なんとこのカーチェイスシーンだけで、合計約30~40回以上のQTEが息つく暇もなく飛んできます。

敵の車が突っ込んできたり、障害物が現れたり…タイミングと同時に画面に矢印が出るため、初見でのクリアは至難の業。

入力が一瞬でも遅れたり、押し間違えたりした時点で即ゲームオーバー。車がガードレールを突き破って崖から転落する、大爆破する、敵の挟み撃ちに遭うなどして、主人公アツコは即死します。

その上、本作は「セーブポイントが限定的」かつ「リトライ時の巻き戻しが過酷」という鬼畜な仕様。もちろんオートセーブ機能はなく、難所で即死(ゲームオーバー)した場合、直前からリトライすることはできません。

つまり、セーブデータから再開すると、「セーブした場所から難所(QTE)が始まるまでの、スキップできない長い実写ムービー」を何度も強制的に見るしかない仕様になっています。これがまた辛いのよ。

ゴクリ…
ふぅ…

ただまあ、作中唯一のちょっとしたお色気(息抜き)要素である、アツコの入浴シーンは何度見ても飽きないんですがね……フヒヒ。

さて、こうした過酷な仕様こそ、本作が一部のレトロゲームファンから、実写アドベンチャーゲーム屈指の「理不尽」な難易度の作品として語られる理由なのでしょう。

◆「理不尽さ」も含めて記憶に残る、本格的SF実写サスペンス

理不尽すぎるゲーム性がネックだった本作ですが、当時の刑事ドラマを思わせる、本格的で迫力ある実写アクションも見どころです。

とりわけ筆者が推したい代表的な3つのシーンについてご紹介しましょう。

まず一つ目は、先述した「カーチェイス」のくだりです。アツコが追っ手から逃れるため、白煙を上げながらドリフトしたり、迫り来る敵車両との激しい競り合いの結果横転したり、果てはアツコが手榴弾を車両に投げ込み、何台もの車両を爆破炎上させる光景は、ハリウッドさながらの超迫力のあるカースタントシーンでした。

2つ目は、物語の最終盤、厳しい包囲網を敷く無数の警官隊やセキュリティ社の防衛網を突破する「ド派手な銃撃戦」です。

QTE(シューティングパート)

アツコは車を遮蔽物にしながら、二丁拳銃で警官隊と激しく応戦していきますが、その合間にエイムのQTEが挿入されたりするので、映像の迫力も相まって緊迫感が存分に伝わってくる、本編で最高潮のシーンの一つです。

最後は、暗視ゴーグルをつけた不死身の刺客(アサシン)から襲撃されるシーンです。視界の悪い中での銃撃や、狭い室内での泥臭い格闘アクションなど、息を呑む肉弾戦が展開されます。

特に、刺客がギターでアツコをフルスイングで容赦なくブン殴る場面など、一連のアクションシーンは迫力の中にも、緻密に構成された「間」や、体を張った演技がとても良く出来ていたと思います。

本作の映画的演出の特徴は、徹底したカット割りと実写ならではの臨場感によるサスペンス性の構築です。

低画質な当時のPS1画面でも映えるよう、カメラアングルが緻密に計算されています。主人公の焦りを煽るクローズアップや、追跡者の冷酷さを際立たせるローアングル、そして爆破シーンでの大胆なマルチカメラ演出など、映画的手法を大いに取り入れているため、「実写ゲーム」の枠を超えた本格的な見応えがあるのでしょう。

とはいえ、本作のゲームシステムは不親切な部分が目立ちます。特に、失敗を繰り返すことが前提となる難易度と、ムービーを何度も見直さなければならない仕様は、現在の基準で評価しても大きな問題点でしょう。

そして、映画的な映像表現を追求するだけでなく、“プレイヤーが直接物語に介入できる映画”としてのインタラクティブなゲーム性は、テレビゲームの新たな可能性を感じさせる作品でもありました。

本作の持つ、「近未来の監視社会」という重厚なディストピア世界と、90年代の実写ゲームの尖った感性は、今なお振り返る価値のある一作ではないでしょうか。

《ライター:DOOMKID,編集:みお》


ライター/心霊系雑食ゲーマー DOOMKID

1986年1月、広島県生まれ。「怖いもの」の原体験は小学生の時に見ていた「あなたの知らない世界」や当時盛んに放映されていた心霊系番組。小学生時に「バイオハザード」「Dの食卓」、中学生時に「サイレントヒル」でホラーゲームの洗礼を受け、以後このジャンルの虜となる。京都の某大学に入学後、坂口安吾や中島らもにどっぷり影響を受け、無頼派作家を志し退廃的生活(ゲーム三昧)を送る。その後紆余曲折を経て地元にて就職し、積みゲーを崩したり映像制作、ビートメイクなど様々な活動を展開中。HIPHOPとローポリをこよなく愛する。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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