10月2日に発売された、バンダイナムコエンターテインメントのフライトSTGシリーズ最新作『エースコンバット8 ウイングス・オブ・シーヴ』。同日にはスラストマスターより『ACE8』のコラボフライトスティック「T.Flight HOTAS NEO ACE COMBAT 8: WINGS OF THEVE Edition」が発売されました。
今回は「T.Flight HOTAS NEO」フライトスティック本体をお借りすることができたため、実際に『エースコンバット8』をプレイしながら、その試用レポートをお届けします。
歴代「T.Flight HOTAS」シリーズと形は同じでも、ミニスティックと振動機能を搭載する新モデル
本フライトスティックは、これまでスラストマスターが展開してきた「T.Flight HOTAS」シリーズと基本的な形状は同じです。スロットルとスティックを一体化・分離できる構造や、ラダーデバイスの接続機能、ハットスイッチ、スティックのねじり操作によるヨー操作、スロットル側のシーソー式ヨー操作なども受け継がれています。さらに、PS5コントローラーなどで右スティックに相当する「方向ミニスティック」と「振動機能」が搭載されています。
また、従来の接触式センサーに代わり、Z軸に非接触式の磁気センサー「H.E.A.R.T.(HallEffect AccuRate Technology)」を採用しています。これにより、従来のセンサーで問題となっていた経年による軸ズレの発生を抑え、長期間使用する際の耐久性向上が期待できます。
内容物は、スロットルとスティックの本体と、USB Type-C to Type-Aのケーブル、そしてスラストマスター製品のドライバなどの案内が書かれた用紙です。


筆者は2018年に発売した「T.Flight HOTAS 4」を所有しています。今回の「HOTAS NEO」と比較すると、スロットルやスティックの基本的な形状は共通していますが、グリップ部分には滑り止め加工が施されるなど、細かな違いも見られます。
スティック基部へのボタン追加やホールエフェクトセンサーの採用は、前モデルにあたる「T.Flight HOTAS 5」から引き継がれた要素です。「HOTAS NEO」での変更点は、本体に直付けされていた接続ケーブルが着脱式に変更され、USB Type-C端子の差込口が採用されるなど、接続面に及んでいます。
『エースコンバット8』の挙動と相性が良いフライトスティック
本スティックをPS5へ接続し『エースコンバット8』を早速プレイしてみると、このスティックの特徴をいち早く感じることができました。スティックとスロットルを握ってみると、滑り止め加工からかグリップ感が増しており、比較的手が小さい筆者でも持ちやすくできています。新設されたミニスティックも違和感なく操作でき、親指が無理なく届く位置に配置されています。
一方で、ボタン配置や押し心地は旧モデルから大きく変わっていません。全体としては、従来の使い勝手を維持しながら、細かな改良を加えた新モデルという印象です。










『エースコンバット8』との相性は良好で、操作時の違和感もほとんどありません。序盤の機体でも細かな機動を行いやすく、狙ったとおりに機体を制御できました。スタンダードとエキスパートのどちらの操作タイプでも違和感なく扱いやすく動かせます。
特に操作しやすいのが接近戦におけるガンファイト時のエイミングと、敵機を中距離から追いかける時です。高さのあるスティックは細かな入力を行いやすく、機体の姿勢を安定させながら狙った方向へ動かせるため、思いどおりに操縦する快感を味わえました。スロットルは出力を細かく調整しやすく、敵機を捕捉したあとに速度を落として距離を詰める操作も容易になりました。
こうした細かな速度調整は、地上攻撃でも役立ちます。失速寸前まで速度を落として敵を狙うなど、状況に応じた飛行が可能になり、ゲームプレイの幅が広がったと感じました。ただし、絞りすぎて失速し、撃墜されたり地面と激突することもありました。

スティック側で操作の反発力(加重)を調整可能です。スティック裏にあるダイヤルを+(プラス)側に回せば、スティック端の反発力は強まりますし、―(マイナス)側に回せば弱くできます。これは一律に加重が変化するわけでなく、スティックが端に行けば行くほど変化する感触です。例えば、反発力最大だと倒し始めの加重が1とするなら、途中で1.3→1.5と増えていき倒しきった加重は2へと変化。一方で、反発を最大まで弱めると倒し始めの加重が1なら、反発力が途中で変化せず、倒しきった加重も1になっていると思えました。
反発力の適切な設定は、使用する機体やプレイスタイルによって変わります。例えば、機体を大きく動かしすぎないようにしたい場合は反発力を強め、素早い機動を重視する場合は弱めるなど、自分の操作感に合わせて調整できます。
反発力の調整が特に役立ったのは、敵機に接近して追撃する場面です。反発力を適切に設定すると、スティックを倒しすぎることなく細かな入力を行えるため、敵機をガンレティクル内に捉えやすくなり、機銃による撃墜も狙いやすくなりました。もちろん、パッドでも十分に操作できるため、フライトスティックが一方的に有利というわけではありません。それでも、『エースコンバット8』はフライトスティックとの相性が良く、細かな機動を楽しみたいプレイヤーには魅力的な選択肢だと感じました。
近年復活し始めたフライトスティック用のフォースフィードバック(FFB)は搭載していないものの、振動機能が搭載されておりゲームの臨場感を高めてくれます。振動する場面はPS5のコントローラーでプレイしたときと共通しており、スロットルを全開にしたときや、失速寸前になったときなどに振動が発生します。こうしたゲーム内の状況に応じたフィードバックによって、操縦時の臨場感やリアリティが増していると感じました。
ヨー操作は、スロットル側のチルトレバー式ラダーと、スティック側のひねり操作(ツイストラダー)で行えます。ただし、『エースコンバット8』ではヨー操作の入力に応じた細かなアナログ制御ができず、ひねる量を変えても操作量を細かく調整できません。この点は惜しいところですが、今後のアップデートで改善されることに期待したいです。

スティック側にはハットスイッチ、ミニスティック、L1・L3ボタン、R1トリガーが配置されています。スロットル側は、表面に□や△などの基本ボタンが集約され、裏面にはチルトラダーとR2・L2ボタンが配置されています。ただし、『エースコンバット8』などに接続すると、フライトスティック本体に記されたボタン表記とゲーム内の操作割り当てが必ずしも一致するわけではありません。実際の操作は、ゲーム側の専用設定に従います。

スロットルの基本構造も旧モデルから変わっておらず、フライトシム向けの一部製品に見られる、左右のエンジンを独立して操作する機能はありません。一方で、スロットルの動きは軽く、中央付近の位置も保持しやすいため、『エースコンバット8』をはじめとする対応タイトルで扱いやすい設計となっています。
フライトスティックによる微妙な入力の繰り返しによって戦闘機動を制御したり、一定の角度で保持し続けるなど、センサーの摩耗をある程度気にせず扱えるのが非常に楽しいと思えるデバイスだと感じました。
一方で、元々2010年代前半に登場したデザインそのままに改良を重ねた製品であるため、細かな操作感は古いままです。△ボタンが微妙に押しにくいことや、底面の安定性が十分ではなくスティックを左右に切り返すと底が浮いたりずれてしまうことも変わっていません。スロットルやスティック側の形状もより人の手に合わせて変化して欲しいとは思ってしまいます。こうした不満は旧製品の「T.FLIGHT HOTAS 4」で触れた時の不満がそのまま残っています。
ここで気をつけておきたいのが本スティックの接続モードです。このスティックはPCとPS4、そしてPS5に対応しておりそれぞれに適した接続状態があります。
接続時には接続先が自動判別されますが、PS5に接続していてもPS4モードで認識される場合があります。その際は、スティック側のMODEボタンを押してPS5モードに切り替えます。適切なモードになっていないと、振動機能が正しく動作しないほか、ミニスティックも使用できなくなるため注意が必要です。モードは本体のLEDの色で判別でき、緑色がPCモード、青色がPS4モード、赤色がPS5モードとなっています。なお、PS5でPS4タイトルを遊ぶ際は、PS4モードに切り替える必要があります。

接続モードによって利用できる機能が異なるため、プレイするタイトルに合わせて設定する必要があります。例えば、PS5移植版『エースコンバットZERO』では、ヨー操作のアナログ入力に加え、ミニスティックによる視点移動や振動機能も利用できます。一方、PS4版『エースコンバット7』などをPS5でプレイする場合はPS4モードで動作するため、ミニスティックや振動機能が利用できません(PS4移植版『エースコンバット5』など未対応タイトルもある)。さらにPCに接続するとPS4/PS5モードへ切り替えても強制的にPCモードへ戻されてしまいます。

値段の高さがネックなものの、非常に扱いやすい「T.Flight HOTAS NEO ACE COMBAT 8: WINGS OF THEVE Edition」
本スティックは形状こそ昔の製品と同じであるものの改良され耐久性が上がった磁気センサーを採用し、振動機能とミニスティックによって、非常に操作しやすく耐久性のある製品となっています。
特にこれまでの製品で弱点だったセンサーの軸ズレをある程度解決する、磁気センサーを前モデルからそのまま採用しており、それなりにラフに扱っても長く使える製品となってるであろうことは特筆すべき点です。

しかしながら、価格が2万8,900円(税込)と旧製品より大幅に値が上がってしまっているため、購入へのハードルも同時に高くなってしまったのは否めません。純粋に、この価格帯のフライトスティックとして考えると、同社のPC向けフライトスティック「T16000M FCS Hotas」も選択肢に上がってきてしまいます。ただし、コンソール対応で振動機能も有しているという点は代えがたい魅力です。
より多くの場で活用させるために、『エースコンバット8』だけでなく、『MSFS2024』や『DCS World』など他のフライトシムジャンルへ触れる足掛かりにしても良い製品であるでしょう。
なお、PC版『エースコンバット8』では、初期バージョンでプレイ中にゲームがクラッシュする不具合に遭遇しました。今後のアップデートで改善されることに期待したいところです。一方、PC移植版『エースコンバットZERO』はSteam入力を無効にすれば操作可能。振動やミニスティックも機能し、ひねりラダーなどによるアナログ入力も可能です。
「T.Flight HOTAS NEO ACE COMBAT 8: WINGS OF THEVE Edition」は、PC/PS4/PS5向けのバージョンと、PC/Xbox Series S|X/Xbox One向けのバージョンがそれぞれ発売中。価格は2万8,900円(税込)です。











