主人公のセレノアは武門の名家ウォルホートの当主。統治者として出会う人々はロラン王子をはじめとする王侯貴族です。いわゆる「やんごとなき人々」の会話なので、全体的に文語が多い堅苦しい表現が多くなっています。社交的な礼儀を踏まえた場面も多々あり、ビジネスシーンでも便利なフレーズも見受けられます。実際の英会話でも使える、フォーマルな表現を覚えましょう。
Dialogue:In society

Frederica:I am honored to join you in marriage. and to call House Wolffort my new home.
Serenoa:The honor and pleasure is mine, Lady Frederica. Pray forgive me for not introducing myself sooner...
フレデリカ:あなた様と婚姻を結ぶこと、そしてウォルホート家を我が家とすること、光栄に存じます。
セレノア:こちらこそ、フレデリカ殿。ご挨拶が遅れたことをお許しください…
“I am honored to”(~できて光栄です)と言われたら、“The honer is (all) mine”(こちらこそ)と返します。「Honor」には立場の上下もあるので、相手と対等である場合は自分も同時にへりくだる必要があります。これはやや大仰な表現なので、より使いやすい丁寧な言い方では“I am pleased to ~”(~できてうれしいです)で、こちらは普段でもよく耳にするフレーズです。これに対しても“The pleasure is (all) mine”と返せれば上品、もしくは簡単に“My pleasure.”と言いましょう。

Dragan:Pray forgive my cousins, Lord Serenoa. And forgive me if I was out of line...
ドラガン:我がいとこの無礼をお許しください、セレノア様。私に失礼があったなら申し訳ない…
執拗にフレデリカをなじるタラースとエリカに代わって謝罪するドラガン。それと同時に自分の失言についても言及しています。ここでは“Pray”を“Please”とほぼ同じ意味で使っています。古風な言い回しなので時代劇で出てきますね。
わざとではなくても、何か失礼なことを言ってしまったかもしれない、そんなときに “Forgive me if I was out of line.”が使えます。近頃は無自覚な差別がクローズアップされ、だれでも意図せず相手をむっとさせてしまうことがあり得ます。“Out of line”で「言い過ぎた」「本意では無かった」なので、ちょっと気まずい空気ぐらいなら取り繕えるでしょう。ただし、明らかに相手が怒りそうなときは「If」を抜かないと危ないです。

Serenoa:Serenoa Wolffort. At your service, Minister.
セレノア:セレノア・ウォルホートと申します。お見知りおきください、大臣。
申し出を断れないような高い立場の人や、仕事のクライアントに対して自己紹介するとき、“At your service”を付けることがあります。「お仕え申し上げます」「何なりとお申し付けください」と訳しますが、回りくどくなるときもあるので省略や別の言葉にする場合が多いです。接客業では必須とも言えるフレーズですね。上下があるため対等な立場でのビジネスでは使えません。

Symon:As of this day, I abdicate my position as lord of House Wolffort.
You will serve in my stead from tomorrow forth. my son.
シモン:今日限りを以て、私はウォルホート家当主の座を退く。明日より先、おまえが代わりを務めるのだ、我が息子よ。
滅多に使う機会はありませんが、セレノアの父シモンによる退位宣言です。当主の退位以外に「Abdicate」(権利、責務を放棄する)は法律の分野に関係あり、親権や相続権などに関わるやりとりの中でよく使われます。

Svarog:A word of advice, lad: you’d do well not to anger her.
Serenoa:I shall take your words to heart.
スヴァローグ:若者よ、一つ忠告しよう。フレデリカを怒らせるでないぞ。
セレノア:しかと胸に刻みます。
雑談や会食の席では、目上の人のありがたい、またはめんどくさいアドバイスを受けるのはよくあることです。下手に相づちを打ったり、黙って聞き流しているとこれまた面倒なことになるので、できればタイミングを見計らって話を逸らしたいところ。「Shall」だと古風なので、“I will take your words to heart. By the way...”とやれば、自分に話の流れを持ってこれるでしょう。
覚えておきたい英単語集
Indeed:確かに、その通り
Archduke:大公
Brother-in-law:義兄弟
Diplomacy:外交
Formality:形式
Smuggler:密輸業者
Meritocracy:能力主義
Comodity:日用品(大量生産)、一次生産品
Illicit:非合法の、不正な
Ledger:帳簿
フレーズを覚えるのも大事ですが、会話で大事なのはしっかりと相手の目を見て話すこと。目が泳いだり上の空になるのを相手は見逃してくれません。表情をしっかり見せ、時にはジェスチャーを交えていけば、無理に言葉を使うよりも相手は心を開いてくれるはずです。