『モンハンライズ:サンブレイク』現実世界にも「怪物」と「ハンター」は実在する!壮絶な獣害の世界と立ち向かう猛者達【ゲームで世界を観る#29】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『モンハンライズ:サンブレイク』現実世界にも「怪物」と「ハンター」は実在する!壮絶な獣害の世界と立ち向かう猛者達【ゲームで世界を観る#29】

ハンターを雇う費用をどうするのか、多くの自治体が問題を抱えています。

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『モンスターハンター』シリーズでは、プレイヤーは経験を積んだ一人前のハンターとしてモンスターと対峙しますが、狩猟技術を持たない一般人にとって、モンスターは自分を殺しかねないとても危険な存在です。ギルドからの依頼の中にも緊急性が高そうなものもありますが、ハンターの気分次第で後回しにされたら、依頼者としてはたまったものではありません。

現実世界においても多数の被害、時には人間の犠牲者を出す「モンスター」が現れることがあります。「獣害」というカテゴリーで扱われ、ゲーム顔負けのハンターとの攻防が繰り広げられます。

国内で獣害の代表と言えば、やはり熊。直近では「OSO18」と名付けられた個体が、2019年以降放牧している牛を60頭以上襲っています。人間の仕掛けた電気柵や罠を回避し、まるで忍者のようとも言われています。

この事件で引き合いに出されるのが、1915年に北海道で起きた「三毛別羆事件」です。一度の犠牲者数は最大の7名を記録し、小説などの題材として有名になりました。この事件の恐ろしいところは、人間と偶然遭遇したから襲ってきたのとは違い、明らかに人間を「捕食」するために民家を襲撃した点です。大型の肉食動物にとって、人間は栄養もあり楽に狩れる獲物でしかありません。標的にできると認識したら積極的に狙ってくるのも仕方が無いことです。

アイヌの世界観では、熊は「キムンカムイ」という山の神ですが、人の肉の味を覚えた熊は「ウェンカムイ」、悪神として討伐されます。仕留めても決してその肉を口にしてはならないという掟もあり、それくらい熊の獣害は昔から深刻な脅威となってきたのです。

日本の大型肉食動物は熊ぐらいですが、世界ではまさに「モンスター」と呼べる甚大な犠牲を出した獣害がいくつも記録されています。伝説上の「ジェヴォーダンの獣」はもちろんのこと、より正確な記録が残る現代でも、100人以上という信じられない数を襲ったものもいて、何をやっても倒せない怪物として住民を恐れさせました。

そんなときには、「凄腕のハンター」を雇って討伐してもらうことがあります。1910年頃、インドとネパールでは「パナーの人喰い豹」「チャンパーワットの人食いトラ」という、それぞれ400人規模を襲った猛獣がいました。国軍が動いたものの討ち取ることはできず、「ジム・コーベット」という人物に狩猟を要請しました。彼は地域のハンターとして獣害を出す猛獣を何度も狩っており、2頭それぞれの狩猟を見事成功させたのです。彼は自然の生態系保護を訴える活動も行い、その功績が讃えられて「ジム・コーベット国立公園」にその名前が残っています。

日本では前述の三毛別羆事件を目撃し、その後マタギになった大川春義の逸話が有名です。彼の父は熊討伐を指揮した区長で、春義は6歳の時に起きた事件を機に、犠牲者の仇討ちとして熊狩りの道へ進みました。犠牲者1人につき10頭、計70頭を仕留めることを誓い、1977年の引退までに100頭を仕留めています。その大半は周囲の支援なしに単独で狩猟したとされています。

これらの獣害やハンターとの攻防はどうしてもエグい話が避けられないので、詳細については覚悟のある人のみ調べて頂きたいのですが、このような「怪物狩り」のような世界が現実世界には存在するのです。

さすがに怪物級ではなくても、日本では熊によるけが人・死者は毎年出てくるものであり、その対処には猟友会などのハンターが要請を受けて出動します。そうした場合、手当等はどうなっているのでしょう。

熊には基本的にライフルを使うのですが、急所に当てるのはかなり難しいようで、一発で仕留め損なった場合には反撃を受ける可能性もあります。本当に命がかかっている仕事になるのですが、害獣駆除として自治体から報奨金が出されます。その金額は自治体に寄りますが、熊1頭につき1万円から最大5万円になります。ほとんどのところは3万円以下になるでしょう。

それに加え、研究用の献体部位を除いて残った肉や皮などを売却、出動に対する日当を入れてトータルの収入となります。しかし、ジビエとして肉を売却するにはまた別の免許が必要なこと、皮の需要が減っていることから、「熊を仕留めたからしばらくは安泰」と言えるほどの収入はまず得られないでしょう。危険だからと言って手厚い報酬が特別に出ることは少ないので、「命がけのボランティア」とも形容されます。

ハンターに対する手当の問題は、北海道島牧村のケースが以前報じられました。島牧村では出没する熊への対応を猟友会に依頼してきましたが、2018年には予算の縮小で報奨金が支払えなくなり、ハンターが出動できないという事態が発生しました。保険金や新人育成の予算の減額から、議会と全面的な対立にまで至ります。

村でハンターを雇う、『モンハン』の世界では王国などの支援を受けたギルドによって成り立っていますが、現実にはそのような大きいパトロンがおらず、どこも厳しいのが現状です。そのため、このままでは熊を仕留められる技術を持つハンターがいなくなるのではないか、そんな懸念も出てきています。

獣害の原因となる猛獣の方も理由無く人間を襲い始めたのではなく、開拓などで住処を失った、ハンターに撃たれて通常の狩りができず、弱い人間を襲うようになった、そういった人間側の影響も少なからず存在します。ルワンダで300人以上を襲ったナイルワニ「ギュスターヴ」も、内戦によって流れてきた遺体を食べたために人間の味を覚えたとも言われています。

最近では国内でもカラスが家畜の吸血を行うようになっているなど、人間社会との関わりで動物達の新しい行動が生まれています。ハンティングとは何か、モンスターが何故暴れるのか。「命」を守り、「命」を奪うハンターとして、たまにはこういうことを考えてみるのもいいかもしれませんね。

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《Skollfang》

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