2023年4月15日、秋葉原にてインディーゲームイベント「TOKYO SANDBOX 2023」が開催されました。これから注目を浴びそうな数多くのインディーゲームが集った本イベントですが、その中から編集部が注目したタイトルの試遊レポをお届けします。
本稿では、奇妙すぎるアドベンチャーゲーム『Tamarindos Freaking Dinner』をご紹介します。
奇抜なデザインにクラクラ……実写映像も!?
本作は、90年代のシットコム(シチュエーション・コメディ)風のホラーアドベンチャーゲームです。ピザ配達員兼エクソシスト(!?)である主人公マカリオ・マカブロは、エルゼウェス・ワトリー伯爵夫人が主催する晩餐会が開催されるタゴマゴ邸にピザを届けることになります。
しかし、伯爵夫人はなんとカニバルで、マカリオを呼び寄せて襲い、食べるつもりだったのです。マカリオは晩餐会が始まるまでの1時間45分間を繰り返し、25以上のエンディングを通して7人の住人を倒して脱出しなければなりません。
ゲームを起動すると宇宙人が目玉ゴルフをしている謎の画と、日本語の電車アナウンス音声から始まります。その後場面は切り替わり、主人公たちがバンド演奏を行うオープニングに突入。様々な色がミックスされた色彩のセンスやキャラの造形などの奇抜さにいきなり強烈パンチを食らわされました。
このままこの不思議な世界に身を埋められるのか……とおもいきや、ニューゲームを始めると謎の実写映像が。すごく「それっぽい」映像に思わずニヤリとしてしまいます。
もちろん、本作のスゴさは映像だけではありません。操作パートになっても、本作の摩訶不思議な世界を自分の手で歩くことができるのです。序盤は斜め45°くらいに傾いた土地を歩き、タゴマゴ邸に訪れます。道中にはダンスをする謎の生物や脳みそのオブジェクトなどが……。
ピザを届けるために邸宅に入ると、おばあさんのような人に案内されます。この空間には墓石や銅像、床を突き抜けた触手などどこを向いても異質なもので溢れています。ライトの表現も、まるで酩酊しているときの視界のようにビカビカと眩しく、画面右上のタイマーがブレブレ(撮影ミスではありません)で見づらいことも拍車をかけています。
邸宅に住まう住民は奇妙な人物ばかり。頭がラーメンどんぶりになっている「DR.NOODLE」や、檻の中に顔が入った「TIM GLOSTER」など不気味なデザインが目を引きます。
ゲームプレイ面では『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』から影響を受けており、自分が食べられてしまうディナータイムまでの1時間45分間、各人物の行動が決まっています。そのため、行動を逐一把握して邸宅内を探索することが重要です。試遊の範囲ではしっかりと仕様を把握することができませんでしたが、25種類以上のエンディングが用意されているとのことで、濃密なループ体験が味わえそうです。
ビジュアルの強烈さはもちろんですが、BGMやサウンドも、突然叫び声が流れたり「I am Jacob Jazz~♪」と開発者の名前を歌ったりと、なかなかアブノーマルな雰囲気。サウンド面でも本作の世界に引き込ませる魔力を持っているように感じます。
全編を通してビジュアル、ストーリー、サウンドの全面でアブノーマルなセンスを爆発させており、思わず頭がクラクラとしてしまいました。スクリーンショットの雰囲気が好みの人は間違いなく引き込まれるでしょう
本作のパブリッシャーは『添丁の伝説』『Yuppie Psycho』『My Lovely Wife』など数々の名作インディーを発売しているNeon Doctrineですが、開発はJacob Jazz氏がひとりで行っているとのこと。このセンスの塊のようなゲームをひとりで作り上げるというカッコよさに惚れ惚れしてしまいます。
なお、本作はJacob Jazz氏が展開するシリーズ「Jacob Jazz’s Treelogy」の2作目であるとのこと。残念ながら日本語非対応ですが、第1作目となる『Baobabs Mausoleum Grindhouse Edition - Country of Woods and Creepy Tales』が各プラットフォームで配信されていますので、興味のある方はチェックしてみてはいかがでしょうか。
『Tomarindos Freaking Dinner』は、PC(Steam)向けに配信予定。製品版は日本語に対応するほか、英語のみですがデモ版も配信されていますのでぜひチェックしてみてください。