『Stardew Valley』の成功を皮切りに、インディーシーンでも牧場経営シム・スローライフのゲームは数多く見られるようになってきました。5月21日にアーリーアクセスが開始される『清宮物語』もそんなタイトルのうちのひとつです。妖怪たちの暮らす島「清宮」を舞台に、農場を営み、住民と交流し、冒険を繰り広げます。本記事では、本作を一足先にプレイしたレポートをお届けします。
妖怪たちが暮らす島「清宮」での暮らし
「人間」の存在が伝説となった世界。この世界では、多くの妖怪たちが人間の姿となって暮らしていました。狐一族の最後の生き残りである主人公は、昔、狐一族によって栄えた島「清宮」へとたどり着き、新たな生活をはじめます。


清宮は、どこか日本のような雰囲気が感じられる素朴な町が残る隠れ島です。たどり着いた主人公は、久々の狐一族の帰還とあって人々から歓迎を受けます。清宮にはさまざまな妖怪が暮らしており、まるっきり人間の姿になっている者もいれば、半獣人のような姿で暮らしているキャラクターもいるようです。ここで彼らと交流を深め、清宮のさらなる発展をめざします。
狐一族による加護のためか、清宮は平和そのものなようです。あまりに平和すぎて、町の用心棒が島を出ていこうとする始末。しかし、実際のところは町の周囲にはかなり魔物が生息しており、普通に町から農場までのルートで襲われます。

戦闘はオーソドックスな3Dアクションゲームといった印象で、敵に注目し、通常攻撃と回避のヒット&アウェイで倒すというような形。しっかり駆け引きが用意されているというほどではないですが、アクションが苦手な人でも大丈夫なほど簡単というわけでもありません。特に、序盤にもらえる訓練用の木剣は相応に火力が低いので、しっかり回避をしないと結構手痛いダメージを食らいます。食べ物を持参していないと回復手段がないのも大変。ゆるいスローライフが遊びたいという人は少し面食らうかもしれません。
しかし、武器にもいろいろあるようで、少し進めるとより火力の高い太刀のような武器を入手することができ、戦闘はだいぶ楽になりました。


狐一族である主人公は、人間だけでなく、さまざまな姿に変身できます。物語序盤に手に入る変身である「イノシシ」は、突進によって素早い移動と攻撃ができます。さらに、イノシシになれば、畑を耕すこともできるようです。このタイプのゲームでクワを使わないのはだいぶ独特ですね。
耕した畑には種を撒き、毎日じょうろで水やりをして収穫の時を待ちます。スライムに変身する能力を手に入れれば、じょうろを使わなくても水やりができるようになるようです。

ダンジョン探索のような要素もあり、ちょっとした謎解きやバトルが用意されています。消えた狐一族の過去が垣間見える壁画がある場所にたどり着くこともあり、物語の鍵を握る要素が残されていそう。ダンジョンの中には、空を飛べる変身を持っていないとたどり着けなそうな場所や、泳ぎができる変身がないと入れなそうな水場などもあり、変身を入手してまた訪れることになりそうです。

家の中および農場周辺の庭は、クラフトした家具を置いて自由にカスタマイズが可能。木を伐採したらまずは作業台を作って、そうすると炭焼き窯やかまど、収納用の木箱が作れるようになって……というように、サバイバルクラフトゲームのようなサイクルで少しずつ農場を発展させていきます。
かまどがあれば料理を作ることも可能です。作業で消費したエネルギーを回復したり、敵の攻撃で受けたダメージを回復したりといったことに使えるほか、ほとんどの住人は料理を渡すと喜ぶので、好感度を上げるのにも使えます。

料理に使える素材は、フィールドにあるキノコや山菜、イノシシを刈って手に入れた肉や、収穫した作物など。自由に4種類まで組み合わせて料理を作れるのですが、失敗料理ができることもしばしば。一度成功したレシピは登録され、いつでも作れるようになります。
ところで、清宮の町にはいたるところにゴミ箱が設置されているのですが、たいていの場合、中に生肉が入っています。ゴミ箱漁りをするだけで相当数の肉や素材が手に入るので、序盤は毎日ゴミ箱漁りをするのもアリかもしれません。まだ食べられる肉を捨てる清宮の人々を咎める狐になりましょう。

登場する住人は妖怪をモチーフにしており、皆特色があって魅力的です。町にたどり着いて数日後に行われる歓迎会では、祭りに赴いた彼らが思い思いに過ごしている様子が見られます。季節の行事でキャラクターたちの様々な一面が見られるのは牧場経営シムやスローライフならではの楽しみですね。
何らかの事情で人間の存在が伝説となっているので、人間が実在するかどうかについてキャラクターによって意見が分かれるテキストが見られるのも設定として面白いです。そのうち、本物の人間が物語に現れることもあるのでしょうか。
本作はまだアーリーアクセス版であり、パフォーマンスには若干の問題を抱えているようです。筆者の環境では頻繁にカクつきが発生したほか、Tポーズの住人が歩いていたり、UIが消えて操作ができなくなったりといった怪しい挙動も見受けられました。
しかし、日本の田舎町風の風景や、妖怪たちが暮らす世界観など、唯一無二の魅力も多数秘めている本作。清宮の空気をいち早く味わいたいという人は、アーリーアクセス版を購入し、清宮と『清宮物語』の発展を応援してみてはいかがでしょうか。