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Game*Sparkレビュー:『Haneda Girl』斬撃かメカ射撃か?“キャラ切り替え放題”の独特&多様な攻略スタイルで挑む爽快2Dアクション。リトライ性も高くトライ&エラーが苦にならない

名作ゲーム『Narita Boy』のStudio Kobaが手掛ける最新作をレビュー。

連載・特集 Game*Sparkレビュー

今や多くのゲームが大海のごとく溢れていますが、その大海原のなかで時折「トンデモナイ作品」に巡り合うことがあります。ここで言う“トンデモナイ”とは、良い意味でも悪い意味でも規格外、もしくはブッ飛んでると言うべきか……まあとにかく、尋常ではない熱量や狂気じみた匂いを感じるゲームのことでございます。

2021年3月30日PC(Steam)にてリリースされた傑作2Dアクション『Narita Boy』は、先ほどの定義に大きく当てはまる"トンデモナイゲーム”として、筆者の心に深く爪痕を残しました。

そんな『Narita Boy』の開発を手がけたスタジオが、またしてもやってくれたのです。というわけで今回は、PC(Steam)向けに、2025年5月23日発売予定の新作アクション『Haneda Girl』のレビューをご紹介します。

なお本稿は、開発元のStudio Kobaから事前にSteamキーを提供いただいています。また、ゲームシステムなどネタバレを多く含んでいるので、閲覧には十分ご注意ください。



ゲーマー少女が奮闘!ハッカー集団から“データ帝国”を救え

“やつらを焼き尽くしてやるんだから”

本作は、2Dピクセルアートで描かれたアクション・プラットフォーマーです。アーケードゲーム「ハネダガール」が大好きな少女「千地若羽(チチワカバ)」は、その腕前をナカムラ教授に見込まれ、ある任務のためゲームの世界に送りこまれます。

その目的は、次元の奥深くに潜む恐ろしい敵の集団・ハッカーノーツを焼き尽くし、データ帝国に真の平和をもたらすというもの。プレイヤーは切れ味鋭いライトセーバー「ケンちゃん」を携え、戦術型メカM.O.T.H.E.R.とともに脅威を排除していきます。

複数のタイトルからインスパイア

開発元によると、本作品を構成する要素はさまざまゲームタイトルからインスパイアされているようです。たとえば、ゲームフィールは高評価アクション『Celeste』、破壊の爽快感はラン&ガンアクション『Broforce』、斬撃の鋭さはノワールアクション『Katana ZERO』、そして一発死の危うさは超名作『Hotline Miami』などなど。どれも名作ぞろいなので、この機会に一度手にとってみてはいかがでしょうか。

『Narita Boy』より

スピンオフ的作品

『Haneda Girl』はStudio Kobaが手がける『Narita Boy』のスピンオフ的な位置づけです。ゲーム性としては異なりますが、一部世界観や設定などを共有しています。

そして、この『Narita Boy』が本当に素晴らしいゲームで、仮想デジタル世界を舞台に「テクノソード」を巡って繰り広げられるクレイジー(褒め言葉)な物語です。80年代風の強烈なピクセルアート、きらびやかなシンセミュージック、攻撃と回避を組み合わせた爽快なアクションなど、インディーゲームの傑作と言って過言ではありません。こちらのプレイレポもぜひご覧ください。


斬撃かメカ射撃か?戦闘スタイルを瞬時に切り替えて進め!

ここからは実際のプレイを交えてレビューしていきましょう。本編が開始すると、オープニング・ムービーが流れストーリーが始まります。

本作の主人公は、「千地若羽」という少女。彼女には、ちょっと変わった趣味があります。それは、大人気アーケードゲーム「ハネダガール」を日課としてプレイすること。しかもその腕前はかなりのものらしく、ある日ナカムラ教授にスカウトされ、「ハネダガール」のパイロットとしてゲーム世界に行くことになります

主人公の目標は、恐怖の次元に潜むマルウェアであり、「ハッカノーツ」と呼ばれる悪のテクノ軍団をせん滅してトドメを刺し、ハネダガールの世界に平和をもたらすこと。なかなか壮大な計画ですが、果たしてうまくいくのでしょうか……。

注目したいのは、特徴的なピクセルアート。『Narita Boy』においては、ドット絵の緻密性とは裏腹に、どこか気の抜けたようなヘタウマ感のギャップがとても独特でした。本作でもそのテイストは健在で、さらにシンプルになったファミコン風のビジュアルは非常に新鮮。Studio Kobaらしい唯一無二の雰囲気を出しています。

本作最大の特徴は、2つのキャラクターを瞬時に切り替えながら、必要に応じて戦闘スタイルを使い分けて進んでいくことです。

ハネダガールは、素早い動きとライトセーバーを使った「斬撃」が持ち味。しかし、生身ゆえに一撃くらえば即死するリスクがあります。対して、戦術型メカ「M.O.T.H.E.R」は耐久性と銃弾による「連続射撃」が可能で、より安全に進むことができます。ただし、動きが鈍くクリアタイムに時間がかかってしまうのと、狭いルートには入っていけないのがネックです。

つまり、どちらのキャラも一長一短あるので、自分なりにロジカルに判断し、最速かつ最適なルートを見つけ出すのが本作の魅力です。

筆者は今回コントローラーでプレイしましたが、操作感は反応もよく良好。ただ、スティックでの操作性はややシビアで、最初は行きたい方向にいけないことも結構ありました。慣れの問題だと思いますが、最初のうちは精密な動作が難しく感じるかもしれません。

チュートリアルは何度もリプレイできる

チュートリアルでは、実物のステージを体験しながら、丁寧に操作説明を行ってくれます。はじめは、ハネダガールの基本アクションからです。

ダッシュは空中でも可能

Aボタンで通常ジャンプ/長押しでハイジャンプ、ウォールジャンプで壁に張り付いて移動、RTボタンで任意方向にダッシュ、が基本アクションです。どのアクションも消費ゲージなどはなく、連続で使い放題です。とくにダッシュは、タイムアタック時に重宝します。

アクションだけ見ると普通のプラットフォーマーのようですが、本作が特徴的なのは攻撃方法です。特殊攻撃以外は、基本的にLBボタンで「処刑」して倒していく、ステルス系に近い仕様です。雑魚なら近づいて処刑するだけですが、タイタンなど硬い敵の場合はバーが出現しタイミングよくボタンを押さないと倒せません。無闇に武器を振り回して進むというよりは、じっくりと戦略を立てて攻略していくという感じです。

それに加えて、ジャンプ後の激しい着地やドアを開ける際に「ノイズ」が発生します。これがやっかいで、ノイズが感知されてしまうと「!」マークが出て敵が警戒モードに変わってしまいます。そうなると、なかなか敵に近づけなくなるので、慎重にタイミングを見極めてから行動しないといけません。

スーパーダッシュはとても便利な技

次は、「スーパーダッシュ」という非常に便利なアクション。ステージの要所にあるバッテリーでチャージすれば、Xボタンで1度に最大3回まで使用可能になります。これがもう破壊力バツグンで、たいていの雑魚敵は一発で仕留められるほか、壁ブロックも簡単に破壊することができます。

一閃!

移動速度がかなり早く、上手く使えばクリアタイムも大幅に短縮できる優れモノ。なにより、スーパーダッシュをキメて敵を一掃したときの気持ちよさはとても爽快でした。ただ、回数制限があるのでタイミングをしっかり見極めることが重要です。

ゴーストモード」はYボタンで発動し、ハネダガールが青く光っている一定時間は敵に感知されることなく進むことが可能になります。とても便利そうなアクションでしたが、筆者のプレイではあまり使用する機会がありませんでした。

射撃は石と金属を破壊可能

さて、今度はさまざまな機能を持つ戦術型メカ「M.O.T.H.E.R.(以下、マザー)」のご紹介です。マザーは、ハネダガールとは違いド派手な「射撃アクション」で、敵を蹴散らしたりトラップを壊したり、ステージを攻めていくことができる特攻型の戦闘スタイルです。

プッシュアクションはゲージを消費する

通常の射撃はガトリング銃のように、弾が尽きるまでシューティングできます。加えて、その巨躯を活かして建物や敵にダメージを与える「プッシュ」で突進攻撃を行えます。黄色のエネルギーゲージを消費し、クールダウンすれば再度使用可能になります。まとめて破壊できるので、使い勝手が良い技です。

そして、LTボタンでマザーの召喚/排出を行い、ハネダ↔マザー間を瞬時に切り替えることができます。たとえば、マザーでは通れない狭い場所では、一旦ハネダに切り替えてから再度召喚するなど、状況に応じて使い分けていきます。ただ、このキャラ切り替えの感度が良すぎて、不慣れなうちは逆に操作ミスを誘います。筆者のプレイでは敵陣に生身で放り出されて蜂の巣になったりと、中々上手く使いこなせませんでした。

また、マザーには機体のシールド耐久力が設定されており、赤いゲージがゼロになると爆発して一定時間使用不可能になります。ハネダガールに切り替えるとシールドが回復していくので、切り替えながら活用していきましょう。

リトライ性の高さが生むトライ&エラーの面白さ

チュートリアルが終わり、今度は実戦に挑みたいと思います。上掲のスクリーンショットがステージセレクト画面で、往年のアーケードゲーム風のシンプルな見た目が好印象です。データ帝国に潜むハッカーノーツの脅威をすべて排除するのが、プレイヤーの使命になります。全体がセクションごとに分かれており、奥深くにいくほどステージも複雑になり敵もトラップも増えていくレベルデザインでした。

いざ出撃!

初っ端の1-1は、直線的なステージで敵も少なく簡単そうです。しかし、変なところでジャンプしたり、キャラの切り替えを間違えるなど、操作ミスが多くてうまくいきません。マザーで入れない場所にハネダガールで行ったところ、爆破系のオブジェクトに誤って特攻してしまい、はじめての死亡。

これまでの死亡回数が表示される

失敗すると「GAME OVER」の文字がデカデカと表示されます。ついでにこれまでの死亡回数もカウントしてくれる親切設計です。

ちなみに、筆者がなんとか心を折らずにクリアできたのはリトライするのが簡単だったから。Aボタンですぐにリスタートが可能であるのと、プレイ途中でもクイックリスタートして最初からやり直せます。ユーザーが感じるストレスを極力排除してくれる非常にありがたい機能でした。

それに加え、ステージからゴールまでが短く1ゲームのサイクルが早いのもプレイヤーのモチベーションを高めていたと思います。とくに序盤のステージはサクサク進めるのでテンポ良くプレイできます。

スコア表

とはいえ、ただクリアするだけではスコアは伸びません。スコアは、「タイム」「最大コンボ数」「マザーの再起動」「ゴーストモードの使用」など、さまざまな項目の達成具合によって合計ポイントが変動し、ブロンズ~プラチナまでのランクが決定します。

筆者の体感的に、クリアタイムの短縮とコンボ数の多さが直接ポイントに響くようで、それらをどう達成していくかが、高ランクを目指すカギになると思いました。

ムムム……とりあえずクリアするだけでも手こずっているのに、スコアランクを獲得するなんてとても難しそうです。とにかく、やれるだけやってみましょう。

舞台はセクション2-1へ。やはり初見のステージの場合、敵やトラップの配置が分からず思った以上に時間がかかってしまいます。高速でスタイリッシュにゴールしたいものですが、反射神経の鈍った中年プレイヤーの筆者には到底無理です。

ステージ2-3はとりわけ難しく、死亡回数をどんどん積み重ねていきます。ただ、先述のようにリトライ性が高いので、トライ&エラーが全然苦になりません。むしろクリアできない悔しさから、気づけば中毒的に繰り返しプレイしていました。

同じステージを何度も反復する中で、次第にステージの全体像が頭に叩き込まれていき、「まずここはマザーで敵を一掃するか。そんでハネダに切り替えてスーパーダッシュで一気に駆けてみよう」といった感じで、自分なりに最適なルートを導き出しコツを掴めるようになってきます

そしてついに初めてのブロンズランクをゲット……!クリア時間など問題は多くあれど、トライ&エラーを頑張った効果が出てきました。その達成感やプレイフィールは『Hotline Miami』で感じたのと同じ感覚だったような気がします。

特別セクション

マップには特別なセクションが用意されており、道中で拾える「フロッピーディスク」やゴールドランクでもらえる「メダル」などを使って解放することで挑戦できます。通常とは異なり、一風変わった難易度の高いステージとなっています。

無事クリアすると、「フロッピーコーデックス」というコンテンツが解放され、登場人物や設定といった世界観の解説を読むことができます。

他にもマザー用の新しい武器や、ハネダガールの防御シールドなど、戦術的アドバンテージが広がり実戦で役立つアイテムもクリア特典として入手可能です。こういうプレイヤーをワクワクさせる遊び心と、ちょっとしたお楽しみ要素を取り入れているのも魅力的で、本作に惹かれたポイントでした。

総評

ここからは総評です。本作は、2Dアクションプラットフォーマーとしてオーソドックスながらも、異なる性能を持つ2キャラを入れ替えながら戦う独自のシステムを取り入れ、唯一無二のゲーム性を確立していました。

そのシステムのおかげで、筆者みたいにアクションが苦手なプレイヤーでも十分楽しめるうえに、得意なプレイヤーにとっては、さらにスコアを伸ばし高みを目指せるような、あらゆるユーザーに対応するゲームバランスを実現していました

また、トライ&エラーで試行錯誤しながら攻略方法を探るのもとても楽しめました。リトライ性の高さや、やり直しが簡単でストレス要素が少なかったのも優秀な点だったと思います。

ほかにも、スタイリッシュなアクションとコンボの爽快感、やりがいのあるステージ、遊び心満載のコンテンツ、轟音テクノサウンドなど、多くの魅力を備えていますStudio Kobaらしさ全開の個性的なビジュアルや世界観も非常に素晴らしく、是非一度はプレイしてみて欲しい超オススメのアクションゲームです


Game*Spark レビュー 『Haneda Girl』 Windows PC(Steam) 2025年05月23日リリース

ビジュアル、サウンド、ゲームプレイすべてが丁寧に纏まったやりごたえ抜群のスタイリッシュ2Dアクション

GOOD

  • 個性的なビジュアルと世界観
  • どんなプレイヤーでも楽しめるゲーム設計
  • リトライが簡単でトライ&エラーが苦にならない
  • スタイリッシュで爽快なアクション

BAD

  • 操作性がシビア(慣れてくれば問題ない)

Narita Boy
¥3,200
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
Haneda Girl Original Soundtrack
¥1,600
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

ライター:DOOMKID,編集:みお

ライター/心霊系雑食ゲーマー DOOMKID

1986年1月、広島県生まれ。「怖いもの」の原体験は小学生の時に見ていた「あなたの知らない世界」や当時盛んに放映されていた心霊系番組。小学生時に「バイオハザード」「Dの食卓」、中学生時に「サイレントヒル」でホラーゲームの洗礼を受け、以後このジャンルの虜となる。京都の某大学に入学後、坂口安吾や中島らもにどっぷり影響を受け、無頼派作家を志し退廃的生活(ゲーム三昧)を送る。その後紆余曲折を経て地元にて就職し、積みゲーを崩したり映像制作、ビートメイクなど様々な活動を展開中。HIPHOPとローポリをこよなく愛する。

編集/取材も執筆もたくさんやる、半ライター半編集 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。

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